オンライン服薬指導のメリット・デメリット|導入の流れも解説

更新日 2024.04.09
投稿者:横山 洋介

これまで調剤薬局で薬を受け取る際には、薬剤師から服薬指導を受けるのが一般的でした。しかし、近年ではオンラインによる服薬指導が普及しつつあります。超高齢化社会になる日本において、オンライン服薬指導はますます必須になっていくことでしょう。
当記事では、オンライン服薬指導とはどのようなものなのか、またメリットやデメリットについて詳しく解説していきます。オンライン服薬指導について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

オンライン服薬指導とは?

オンライン服薬指導は「遠隔服薬指導」とも呼ばれます。ここからは、オンライン服薬指導の概要やこれまでの変遷について、詳しく解説していきます。

オンライン服薬指導の概要

オンライン服薬指導とはパソコンやタブレット端末といった情報通信機器を用い、薬剤師が対面ではなく遠隔で服薬指導を行うことです。これまでは、調剤薬局で薬を処方する際に、薬剤師が薬の説明や飲み方を口頭で説明するのが一般的でした。この説明を「服薬指導」と言います。

しかしながら、高齢で外出が難しい患者さんの急増や医療資源の乏しい地域に住む方への負担が大きいため、対面による服薬指導には限界がありました。そのような理由から導入されたのが「オンラインによる服薬指導」なのです。令和2年9月に本格導入されたオンライン服薬指導ですが、実はそれまでにも段階的に導入が進められてきました。オンライン服薬指導の変遷については次の項目で解説していきます。

制度の変遷

対面による服薬指導は2014年頃まで「薬剤師法・医薬品医療機器等法」により、義務付けられていました。しかしながら、2015年から離島や僻地といった限定的な地域で、オンライン服薬指導が実験的に導入されるようになりました。ただし、初診は対面でオンラインは不可など制限も細かく設けられています。

その後、2020年4月10日に「0410対応」が厚生労働省から通達され、全国的にオンライン服薬指導が実施されるようになったのです。0410対応とは新型コロナウイルス感染症拡大による特例的な対応です。これまでのエリアの限定を解除し、さらに初診からオンライン服薬指導が受けられるようになりました。しかも、電話の音声のみでの指導が可能で、映像は不要とされました。

2022年4月以降は、このオンライン服薬指導が特例ではなく恒久的に実施可能となることが公表されています。しかしながら、音声のみでの指導は不可で、ビデオ通話など映像も必要とされているので注意しましょう。

出典:厚生労働省医政局医事課厚生労働省令

オンライン服薬指導のメリット

オンライン服薬指導にはさまざまなメリットがあります。ここからは、オンライン服薬指導によるメリットを詳しく解説していきます。

患者様の通院負担・待ち時間軽減

最初に挙げられるメリットは「患者様の通院負担・待ち時間軽減」という点です。離島など医療資源の乏しい地域において、病院や薬局へ通うのは患者さんにとって大きな負担となります。移動手段がなかったり、公共交通機関の待ち時間が長かったりすることで、通院を他躊躇う患者さんも少なくないでしょう。

その点、オンライン服薬指導であれば、通院の負担や待ち時間を軽減することが可能です。オンライン診療と併用すれば、自宅にいながら診察と服薬指導を受けることができます。オンライン服薬指導は予約制のところも多いので、待ち時間も軽減されるでしょう。

薬剤師の業務効率向上

次のメリットは「薬剤師の業務効率向上」という点が挙げられます。これまでは、在宅医療を受ける患者さんに対しても対面での服薬指導が義務付けられていました。そのため、薬剤師が患者さんの自宅を訪問して、服薬指導を行う必要があったのです。

しかしながら、オンライン服薬指導であれば薬剤師が患者さんの自宅へ足を運ぶ必要がありません。医療機関や保険調剤薬局から服薬指導を行えるので、終わり次第すぐに次の患者さんへの対応に移ることができます。映像を使えば残薬確認もすぐに行えるのもメリットのひとつです。

感染予防

最後のメリットは「感染予防」につながるという点です。病院や薬局内で患者さんが薬を待っている間、施設内が密になりがちです。特に高齢の患者さんや免疫力の低下した患者さんが多ければ、感染対策もより慎重に行う必要があるでしょう。

感染のリスクが高まることは、患者さんにとっても病院にとっても大きなデメリットです。しかしながら、オンライン服薬指導であれば自宅で服薬指導を受けられるため、感染予防につながります。施設内で待つ患者さんの数も減り、病院側も感染拡大のリスクを減らすことができるでしょう。

オンライン服薬指導のデメリット

数々のメリットがあるオンライン服薬指導ですが、いくつかのデメリットもあるので注意が必要です。主に挙げられる3つのデメリットについて、ここから詳しく解説していきます。

薬を受け取るまで時間がかかる

最初のデメリットは「薬を受け取るまで時間がかかる」という点です。服薬指導自体はオンラインで行うことが可能ですが、薬そのものは患者さんの自宅に届けなければなりません。すぐに届けられない場合は受診から薬が到着するまでのタイムラグが生じます。薬の種類によっては、温度帯や湿度に気を付けなければならないものもあるので配送方法も十分に検討する必要があるでしょう。配送料金を誰が負担するかどうかも、病院によって対応が異なっています。患者さんに事前に医薬品の受け取り方や配送料についての説明を十分に行うことが大切です。

薬局・患者様ともに通信環境の整備が必要

次に「薬局・患者様ともに通信環境の整備が必要」であることが課題となってきます。オンライン服薬指導をするにあたり、映像および音声による対応ができる環境が必要不可欠です。そのためには、薬局側はもちろんのこと、患者さん側でもビデオ通話などができる通信環境が必要になります。しかしながら離島や山間部などでは、通信環境が整っていないところも少なくありません。また、高齢の患者さんの中には、情報通信に必要な端末の操作が難しい人もいます。オンライン服薬指導を実施するために、まずは通信環境やツールの操作といった基礎的な部分を整える必要があるのです。

オンラインのみだと細かな情報を受け取りづらい

最後のデメリットは「オンラインのみだと細かな情報を受け取りづらい」という点が挙げられます。対面と画面越しでは、やはり受け取れる情報に限度があります。患者さんの細かな容態や状態の変化など気づきにくい部分が発生するため、患者さんの不安点や疑問点はより丁寧に確認する必要があります。電子お薬手帳などを活用して過去の調剤情報を確認できるようにするのもよいでしょう。

オンライン服薬指導の流れ

実際のオンライン服薬指導のイメージがしにくいという方もおられることでしょう。ここからは、オンライン服薬指導の診察からクロージングまでの流れを説明します。

対面診療もしくはオンライン診療を実施する

オンライン服薬指導を受けるためには、まず医師の診察が必要です。オンライン服薬指導を希望する人の多くはオンライン診療や在宅医療を受けるケースが多いですが、対面診療からオンライン服薬指導という流れも可能です。オンライン診療に対応しているかどうかは、厚生労働省のホームページから確認することができます。医療機関の窓口に直接問い合わせてみても良いでしょう。対面診療からオンライン服薬指導という流れを希望する際は、薬局に問い合わせて対応可能かどうか確認してみてください。

医療機関から薬局へ処方箋が送付される

診療後に、医師が薬の処方が必要だと判断すると「処方箋」が発行されます。通常であれば患者さんが処方箋を持って調剤薬局へ出向き、指定の薬剤を薬剤師から処方してもらいます。その際に、薬の服用方法などを指導してもらうのが一般的です。オンライン服薬指導の場合は、医療機関から指定の薬局へ処方箋をFAXで送付します。FAXで処方箋を受け取った薬局がオンライン服薬指導を行っていないと、患者さんが希望してもオンライン服薬指導を行ってもらうことができません。そのため、事前にオンライン服薬指導の可否を確認しておく必要があるでしょう。

通信環境の確認・服薬指導計画書の作成

病院から処方箋のFAXを受け取った薬局は、まず通信環境の確認を行います。パソコン・スマートフォン・タブレットのどの端末を使うのか、どのツールを使ってコンタクトを取るのか、事前に患者さんに確認を取るのです。確認が取れたら、服薬指導契約書の作成に入ります。医薬品をどのように受け渡すのかといった配送方法や、今後の服薬指導の方法について、さらに緊急時の医療機関との連絡方法などといった情報を確認していきます。さまざまな点を検討し、オンライン服薬指導が困難であると判断されれば対面での服薬指導に切り替える可能性もあります。

薬剤師による調剤

調剤師は服薬指導契約書を作成しつつ、処方箋で処方された薬を調剤していきます。処方された薬剤の量に間違いがないか、薬の種類が適切かを患者さんの状況と照らし合わせて処方していくのです。処方箋の内容に疑問点があれば、薬剤師は処方箋を発行した医療機関に確認を取ります。既に患者さんが同じような薬を服用している場合の「重複投与」や、薬の副作用などによる「相互作用」が疑われる場合には医師に対して処方提案をすることもあります。

オンライン服薬指導の実施

調剤を行った後は、いよいよオンライン服薬指導の実施です。薬剤師から患者さんの使用する端末に連絡が入ります。オンライン服薬指導のやり方は、薬局によってさまざまで特定の端末やアプリを使用するなどといった規定はありません。もし専用のソフトやアプリを使用する場合は、患者さん側も事前にインストールしておく必要があるでしょう。オンライン服薬指導は対面と同じように、薬剤の情報や飲み方を患者さんに指導していきます。副作用や注意点、服用する回数や時間帯といった細かな点も対面と同じく説明しなければなりません。

患者へ医薬品を配送

オンライン服薬指導が滞りなく終わったら、医薬品が患者さんの元へ配送されます。基本的には自宅まで配送してもらえるので、患者さんは外出することなく薬を受け取ることが可能です。都合の良い時に薬局に薬を取りに行けるのであれば、薬局の店舗に直接受け取りに行くこともできます。受取方法について事前に患者さんの希望を確認しましょう。医薬品によっては配送できないものもあるため、事前の確認や説明が重要です。

医師との情報共有

オンライン服薬指導で気づいたことがあれば、薬剤師は医師と情報を共有します。特に初めて調剤した薬剤については、服薬状況や副作用の確認を行うことが少なくありません。初めての調剤ではなくても、必要があれば処方後にも確認を行います。そして、得られた情報は処方した医師に情報共有し、今後の医療に役立てていくのです。このように薬剤師と医師が連携して情報を共有し合うことで、患者さんの健康を管理していくことができます。最近では電子カルテなどを用いて、情報を共有することも増えてきています。

オンライン服薬指導に必要な準備

オンライン服薬指導には、事前の準備が必要です。ここからは薬局側の準備と患者さん側の準備に分けて、詳しく解説していきます。

薬局側の準備

オンライン服薬指導はどの薬局でも行えるというわけではありません。オンライン服薬指導を行うためには、必要な条件を満たしている必要があるのです。患者さんがオンライン診療なのか、在宅医療なのかによってオンライン服薬指導ができる薬局の条件も異なってきます。在宅医療後のオンライン服薬指導の場合は、薬剤服用歴管理指導料の4(情報通信機器を使用した服薬指導)に係る届出を行った保険薬局であればオンライン服薬指導が可能です。しかし、オンライン診療からのオンライン服薬指導の場合は、下記の2つの条件を満たしていなければなりません。

  1. 医薬品医療機器等法施行規則および関連通知に沿ってオンライン服薬指導を行う体制を有する保険薬局であること
  2. 1月あたり①②の算定回数の合計に占めるオンライン服薬指導の割合が1割以下であること
    • ①薬剤服用歴管理指導料
    • ②在宅患者訪問薬剤管理指導料(在宅患者オンライン服薬指導料を含む)

出典:厚生労働省

上記の条件を満たした保険薬局はオンライン服薬指導が可能です。ビデオ通話ツールを通して、映像と音声で患者さんと会話することで服薬指導を行います。

患者側の準備

オンライン服薬指導を受ける患者さん側でも、準備をする必要があります。ここからは、患者さん側が事前に揃えておかなければならないものについて、具体的に解説していきます。

ビデオ通話機能がある機器

最初は「ビデオ通話機能がある機器」です。オンラインではテレビ電話やビデオチャットなどの映像を用いて、患者さんに服薬指導を行うことが義務付けられています。スマートフォンに搭載されたテレビ電話でも可能ですが、音声のみでの会話だけでは指導を受けることができません。最近では「オンライン服薬指導支援ツール」が、さまざまなメーカーからリリースされています。通常のテレビ通話機能はもちろん、オンライン診療や処方箋のネット受付やキャッシュレス決済、お薬手帳といったさまざまな機能が搭載されているため患者さん側も便利に使用することができます。

電子お薬手帳

次に準備しなければならないのは「電子お薬手帳」です。従来の紙のお薬手帳とは異なり、クラウド上に薬の情報を保管することができるシステムです。システムによっては、通院日や服薬時間のアラームをセットできる機能を搭載しているものもあります。今後は厚生労働省で取り組みを始めている「電子処方箋」と連携できる可能性もあり、より利便性が高まることが期待されています。直近の調剤情報や過去の薬剤情報を一元的に確認することができ、必要に応じて医療機関や薬局からのサービスを受けることができるでしょう。

クレジットカード

最後は「クレジットカード」です。オンライン服薬指導の場合は、支払いもオンラインで行わなければなりません。モバイル決済や銀行振込、コンビニからの後払いなどができる場合もありますが、基本的にはクレジットカード決済となります。クレジットカードを持っていない方は、事前にカードを作っておかなければなりません。最近では即日発行のできるクレジットカードなどもありますので、早めに申請しておくようにしましょう。どうしてもクレジットカードが用意できない場合は、それ以外の支払い方法にも対応しているかどうか事前に確認が必要です。

オンライン服薬指導システムの選び方

さまざまなオンライン服薬指導システムが出ていますが、機能や使い方が異なるので選び方には注意が必要です。ここからは、オンライン服薬指導システムの選び方について詳しく解説していきます。

テレビ電話ツールとの違い

オンライン服薬指導システムはテレビ電話だけでなく、それ以外の機能を搭載したシステムのことです。オンライン服薬指導自体は、スマートフォンやパソコンのテレビ電話を使えば実施することが可能です。わざわざオンライン服薬指導システムを導入しなくても問題ないのではないか、と思われる方も多いことでしょう。しかし、オンライン服薬指導システムを使うことで、服薬指導の前後に必要とされるさまざまな業務を一括で行うことができるようになるのです。

たとえば、主な機能のひとつに「予約管理機能」があります。オンライン服薬指導は調剤薬局に時間の予約をして行うことがほとんどです。テレビ電話ツールでは予約の変更やキャンセルといった管理はできませんが、専用システムを使うことで予約状況の確認やキャンセルを簡単に行うことができます。また、保険証の確認のためにメールやFAX送信といった作業が必要になりますが、専用システムの中には保険証の事前共有機能が付いているものもあります。この機能を使うことで、薬局側が簡単に画像の確認を行うことができるのです。

このように、オンライン服薬指導に関係するさまざまな工程を、システム内で完結できるのがオンライン服薬指導システムのメリットです。テレビ電話ツールだけでも指導自体は受けられますが、システムを導入することでより利便性を高めることができるでしょう。

アプリかブラウザか

最初の比較ポイントはアプリを入れるのか、ブラウザで使えるのかという点です。ブラウザであれば、アプリのインストールがないので初めての方でも導入しやすいというメリットがあります。しかし、使用のたびに指定のページにアクセスしなければならないので、継続的に使用する人にとっては手間に感じることでしょう。

その点、アプリであれば継続的な服薬指導でも利用しやすいというメリットがあります。ただし初回のインストールが難しいと感じる人もいるので、導入時にサポートが必要になるケースも少なくありません。オンライン服薬指導を利用する頻度や患者さんの使いやすさを考えて、どちらのタイプにするのかを決める必要があります。

患者のアクセスのしやすさ

次のポイントは「患者さんのアクセスのしやすさ」という点が挙げられます。初めてオンライン服薬指導を使う場合、患者さんがまず迷うのは「どこの薬局でオンライン服薬指導を受けられるのか」という点でしょう。ホームページで周知できれば良いのですが、ホームページをわざわざ確認しない患者さんも少なくありません。薬局内にチラシやポスターを貼って周知したとしても、薬局に来院しない患者さんは目にする機会がないでしょう。

そのため、アプリを通してどの薬局がオンライン服薬指導を行っているのかを確認できるようなシステムが理想です。確認後にそのまま予約に進むことができれば、患者さんの負担も少なくなるでしょう。初めてオンライン服薬指導を利用する患者さんがアクセスしやすいシステム選びが重要になるのです。

まとめ

オンライン服薬指導にはさまざまなメリットがあることを解説してきました。オンライン服薬指導を活用することで、感染対策だけでなく患者さんの治療継続率の向上にもつながります。定期的な通院や薬局で薬をもらうことができずに、治療を途中でやめてしまうケースを減らすことができるからです。より良い医療を提供するために、今後もオンライン服薬指導は普及していくと考えられています。さまざまな課題は残されていますが、上手にオンライン服薬指導を活用することで業務効率化を図っていきましょう。


セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n33882f74cd71

国立大学を卒業後、新聞記者として4年間勤務。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、レジの導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野はレジ関連(POSレジ、自動精算機)、ナースコール、レセプト代行。

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