排泄予測支援機器「DFree」とは?|2022年4月から介護保険適用に

更新日 2023.05.12
投稿者:豊田 裕史

排泄予測支援機器「DFree」は、尿のたまり具合を知らせてくれることで、入所者の自立支援をサポートするデバイスです。時と場所を選ばず、ウェアラブルで様々な姿勢にも柔軟に対応して計測が可能です。計測したデータから、排尿前と排尿後のタイミングで通知をしてくれます。
このような通知デバイスがあることで、入所者の排尿タイミングやおむつ交換のタイミングを正確に把握することができます。入所者のトイレ誘導などを適切なタイミングで行えるため、自立支援にもつながるのでしょう。
2022年4月1日から、「排泄予測支援機器 」が介護保険の給付対象として追加されました。そのため、より多くの施設で活用が進むことが見込まれます。今回の記事では、そんなDFreeについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

DFree(ディーフリー)とは?

DFree

出典:DFree https://dfree.biz/
デモの有無 あり
レンタルの有無
価格帯
構成内容
  • (エントリープラン)無料
  • (スタンダードプラン)6か月:9万円~/台(税別) 3年:30万円~/台(税別)
  • (プロフェッショナルプラン)DFree5台以上 要お問い合わせ

DFreeは、尿のたまり具合によって排尿のタイミングを知らせてくれるデバイスです。

人体に安全な超音波を利用し、4方向の超音波を発することによって尿のたまり具合を10段階で測定できます。そのデータから、排泄前・排泄後のお知らせがデバイスに通知され、最適なタイミングでトイレに行くことを促したり、おむつを交換したりできます。

いつでもどこでも計測ができ、膀胱の位置に合わせて装着するだけで様々な姿勢にも対応が可能なのです。ここでは、DFreeの効果や利用方法、費用などについて詳しく解説していきます。

超音波による安全な膀胱観察

出典:仕組み | 製品のご紹介 | DFree Professional- 排泄予測デバイス 退院支援や介護施設での負担軽減へアプローチ

期待できる効果

期待できる効果として、下記の4つが挙げられます。

  • トイレ排尿率が23.7%増加

事前に通知がされることによって、最適なタイミングでトイレへ誘導できます。介助者にとっては、事前にタイミングがわかるので介護の効率化を図ることができるのです。

入所者にとっても、自分でトイレで排泄ができたという自信につながります。入所者の介護への満足度の向上や、自立排泄を促すことによって生活意欲の回復、排泄障害の予防にも寄与していると言えるでしょう。

  • 失禁回数が46.8%減少

入所者が失禁すると自尊心を傷つけ、社会参加を制限する原因となってしまう場合もあります。DFreeを使用することで失禁回数が46.8%も減少するというデータもあり、入所者自身も長時間不快な思いをせずに、自尊心を保ち快適に過ごせるようになるのが魅力です。

また、介護者が気が付かないうちに失禁してしまうと、排泄物が皮膚に付着した状態が長く続き、皮膚トラブルを起こす可能性があります。その点、DFreeを使用すると排泄後すぐに通知が来るので、失禁による皮膚トラブルを防ぐことが可能です。

  • 排泄関連業務が22.5%減少

入所者の排泄タイミングが合わなかったり、失禁してしまった場合、介護者には衣類・シーツ・おむつの取り換えなど様々な業務負担があります。 DFreeを使用して自立排泄を促すことにより、こうした排泄関連業務も効率化できるのです。

  • おむつ、パッド費が25.0%削減

厚生労働省が公表している調査資料によると、入所者1人が年間に消費するオムツは72,000円程度との調査結果があります。これが25%削減されるということは、入所者さま1人あたり年間18,000円のコスト削減になるのです。コスト面でもメリットがあるのは、DFreeの特徴の一つと言えるでしょう。

出典:特別養護老人ホームにおける入所者の重度化に伴う効果的な排泄ケアのあり方に関する調査研究事業報告書(平成28年3月)

DFreeの利用方法

DFreeを使用する際は、まず恥骨(おへそから徐々に指を下げたときに最初にあたる骨)を探してください。そして恥骨に添えた指に装着用シート下部のクボミをあて、肌に貼り替えます。その後、均一の厚みになるようジェルを塗ってください。最後に、DFreeを正しい向きに持ち、横からはめれば利用可能です。

DFreeの費用

ここからは、DFreeの利用費用について見ていきます。スタンダードプランからDFreeデバイス本体が利用可能です。

費用はDfree1台あたり、6か月: 9万円~、3年: 30万円~となっています。 サービス内容としては、排泄ケア記録が電子で行える排泄ケア記録サービスが利用できるほか、DFreeデバイスにより膀胱計測、排泄前後のお知らせが利用できます。

エントリープランの場合は、DFreeデバイスはついていませんが、排泄ケア記録サービスは無料で利用できます。電子で簡単に記録するだけで集計や分析が行えるので、業務効率化につながるでしょう。

さらに、プロフェッショナルプランになると排泄ケアの見直し、ICT・介護度ボット導入に関する各種アドバイス・研究会等のサポートサービスが受けられます。ただし、このプランではDFree5台以上の契約が必要で、価格は問い合わせが必要です。

なお、DFreeは介護ロボット認定製品のため、地域や時期によっては補助金を活用して導入できる場合もあります。令和4年度の補助金事業について、自治体ごとに情報提供していますので、導入検討時にはチェックしてみてください。

2022年4月から介護保険適用に

2022年4月1日より、「排泄予測支援機器」が介護保険の給付対象として追加されました。給付対象となるのは下記条件を満たす方です。

「運動動作の低下、排尿のタイミングが不明、または伝えることができない等により、トイレでの自立した排尿が困難となっている居宅要介護者等であって、排尿の機会の予測が可能となることで、失禁を回避し、トイレで排尿をすることが見込める者」

つまり、DFreeの装着によって排尿タイミングが分かり、トイレへの誘導を行うことで自分で排尿をすることが見込まれる場合に給付対象となります。

こうした機器を活用して入所者の自立排泄を促すことで、尿失禁、頻尿、排泄困難などの排泄障害の発生リスクを抑えることができるのです。今回の給付対象への追加も、こうした効果を目的としていると考えられます。

出典:介護保険最新情報|令和4年3月31日 厚生労働省老健局高齢者支援課

DFreeの導入に向いている施設

DFreeの活用は、下記のようなお困りごとを抱えている施設にとっておすすめです。ここでは、DFreeの導入に向いている施設についてそれぞれ見ていきます。

排泄関連業務の負担を軽減したい施設

まず、排泄関連業務の負担を軽減したい施設はDFreeの導入に向いているでしょう。 現代では、適切なタイミングで排泄支援ができないことにより、介護者の業務負担が大きくなっています。DFreeを活用し、トイレで排泄できる方を適切に誘導することで、失禁時のシーツ・衣服・おむつの取り換えなどの業務負担を削減できます。

入所者のトイレ誘導のタイミングにお困りの施設

また、入所者のトイレ誘導のタイミングにお困りの施設も、DFreeの導入に適しています。 DFreeを導入することで、入所者のトイレ誘導のタイミングが分かると、入所者の満足度が向上することが可能です。自分で排泄ができたという自信が持て、生活への意欲向上につながるでしょう。タイミングが分からない場合はこうした機器を活用することで、入所者・介護者とも良い影響があるのです。

失禁で皮膚トラブル起こしている入所者さまがいる施設

失禁した際の発見が遅れ、皮膚トラブルを起こしている入所者はいませんか?失禁による皮膚トラブルでお悩みの施設も、DFreeの導入をおすすめできます。デバイスの活用により排泄後すぐに処置ができるため、皮膚トラブルの軽減や、自尊心を傷つけない介護のための支援が可能なのです。

まとめ

本記事では、排泄予測支援機器「DFree」の導入に際して、費用や事例を含めて紹介しました。

DFreeを活用することで、排泄前後に通知が可能になり、トイレへの誘導やおむつ・パッドの取り換えが適切なタイミングで行えるようになります。

利用者も、自分で排泄ができることで自信を取り戻し、失禁時の不快感も最小限に抑えられ、自立した生活への意欲向上にもつながります。

2022年4月から介護保険の給付対象となったことにより、よりDFreeが活用しやすくなりました。導入に向いている施設に当てはまる場合は、利用者の笑顔を増やすためにも導入を検討してみてはいかがでしょうか。

介護ロボットについては介護ロボット徹底解説|種類やメリット、具体的な製品紹介まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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