日々の外来診療で、会計業務の効率化や未収金対策にお悩みのクリニック様は多いのではないでしょうか。
そんな医療機関にとって、解決策になりうるのが本記事で紹介する「医療費後払いサービス」です。医療費後払いサービスの基本的な内容に始まり、おすすめのサービス会社や、選び方のポイントなど幅広く紹介します。医療費後払いサービスに興味を持たれている方は、ぜひ本記事を参考に導入を検討してみてください。
医療費後払いサービスは、患者さんが診察後に会計窓口に並ばず、後日クレジット決済や口座振替、コンビニ支払い等でまとめて医療費を支払えるサービスです。
患者さんにとっては、会計の待ち時間がなくなり、体調がすぐれない時でもすぐに帰宅できます。また、手持ちの現金を気にする必要がなくなるため、安心して受診できるようになります。
医療機関にとっては、会計業務の負担が軽減され、スタッフが他の業務に集中できるようになります。また、未収金リスクの低減にも繋がり、患者さんの利便性が向上することで、他院との差別化にもなります。
一言に医療費後払いサービスといっても、いくつか種類があります。3つの利用シーンごとにどのようなことができるのかを見てみましょう。
診察後の会計待ち時間をなくすためのサービスです。事前に登録しておけば、診察が終わった後すぐに帰宅でき、後日まとめて支払います。院内の混雑緩和や感染症対策にも役立ちます。
急な入院や手術などで高額な医療費が必要になった際に、後払いまたは分割払いを可能にするサービスです。退院時の精算手続きを簡略化し、患者さんの経済的負担を軽減します。
医師や訪問看護師が訪問した際に現金で会計を行う手間をなくすことができます。患者さんは後日まとめて支払うことで、金銭管理の負担が軽減されます。医療機関側は、訪問先での会計業務や未収金管理が不要になります。
クリニックを例に医療費後払いサービスがおすすめの医療機関を紹介します。次のような課題をお持ちのクリニックでは、医療費後払いサービスが課題解決のきっかけになるかもしれません。
多くの患者さんが来院し、特に夕方や土曜日に会計窓口が混雑するクリニックでは、患者さんの待ち時間解消に大きく貢献します。待ち時間が減ることで、患者さんの満足度が向上し、リピーターの増加にもつながります。
会計のために窓口で患者さんとスタッフが対面する時間を減らすことで、院内感染のリスクを低減できます。特に発熱外来を設けているクリニックや、待合室での感染対策に力を入れているクリニックにおすすめです。
毎日の会計業務(現金の受け渡し、レジ締め、未収金の管理など)を効率化できます。スタッフが他の業務(受付、患者対応、電話応対など)に集中できるようになり、業務全体の生産性向上につながります。
医療費後払いサービス各社の特徴を見てみましょう。
株式会社デジタルガレージが提供する「CurePort」は、クリニック向けのオンライン決済サービスです。患者はアプリで受付から会計までをキャッシュレスで行うことができ、診察後は会計を待たずに帰宅できます。医療機関は受付機や精算機が不要で、業務負担や未収金リスクを軽減できます。これにより、患者の利便性向上と医療機関の業務効率化を実現します。
CurePortの比較ポイント
製品情報
導入費用 | 要問合せ |
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月額費用 | 要問合せ |
患者支払方法 | クレジットカード |
他サービスとの連携 | 電子カルテ・レセコン連携 |
「医療費あと払い」は、医療機関のニーズに合わせたさまざまな後払いサービスを提供しています。
この4種類のなかから、自院に適したサービスを選べるのです。しかも、WEB上で完結するサービスなので、低コストで導入できます。期限を過ぎても医療費の支払いがない場合は、督促業務を代行してくれるので医療機関側の負担軽減にもつながるでしょう。
医療費あと払いの比較ポイント
製品情報
導入費用 | 要問合せ |
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月額費用 | 要問合せ |
患者支払方法 | 口座引落・ドコモ利用料とまとめて支払・ソフトバンク利用料とまとめて支払・au利用料とまとめて支払・EPARK後払い(クレジットカード) |
他サービスとの連携 | なし |
「CADA2」は、入院費・高額医療費の支払いをサービス提供会社が立て替えてくれます。医療費立て替えによって、未収金の防止・抑制につながるので病院にとってはありがたいサービスです。
導入の申し込みから利用開始までは、約3週間~4週間で比較的スムーズに導入できます。患者も申し込みから2~3日で審査が完了して利用できるようになり、急ぎの場合は即時での審査も可能です。
CADA2の比較ポイント
製品情報
導入費用 | なし |
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月額費用 | 要問合せ |
患者支払方法 | 要問合せ |
他サービスとの連携 | なし |
「Sma-pa CHECKOUT(スマパ チェックアウト)」は患者の利用料が無料で、支払方法をクレジットカード決済とコンビニ支払いから選べます。専用アプリを利用すれば領収書・明細書の発行が可能です。これにより、発行業務の負担が大幅に軽減されます。
後払いシステムを利用する場合、専用端末機の「Sma-pa TERMINAL」を設置する必要があります。ただ、この端末は大型なのでそれなりのスペースがないと設置できません。
そこで、クリニック向けに開発されたのが「Sma-pa TERMINAL DESKTOP」です。非常にコンパクトなつくりで、クリニックのような限られたスペースでも無理なく設置できます。
Sma-pa CHECKOUT(スマパ チェックアウト)の比較ポイント
製品情報
導入費用 | 要問合せ |
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月額費用 | 要問合せ |
患者支払方法 | クレジットカード・コンビニ払い |
他サービスとの連携 | Sma-paTERMINAL |
医療費後払いサービスの導入メリットを紹介します。ここでも、クリニックの外来を例に、クリニック側、患者さん側それぞれの導入メリットを見てみましょう。
クリニック側 | 患者さん側 |
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クリニック側には次のような効果が期待できます。
診察、治療後の会計、スタッフが現金の受け渡しやレジ締めに費やす時間が削減されます。
医療費後払いのサービス会社が患者さんから代金を回収するため、クリニック側の未収金リスクが大幅に軽減されます。
会計待ち時間がなくなることで、患者さんのストレスが減り、クリニックの評価向上やリピート率につながります。
窓口での滞在時間が短縮され、対面接触を減らせるため、院内感染のリスクを下げることができます。
患者さんには次のような導入メリットがあります。
診察後すぐに帰宅でき、会計のために待つ必要がなくなります。
体調が悪い時でも、現金やクレジットカードの準備を気にせず受診できます。
高額な医療費でも、後日まとめて支払うことができるため、安心して治療を受けられます。
続いて、医療費後払いサービスを導入した際に想定されるデメリットについても見てみましょう。こちらも同じくクリニックの外来を例に、クリニック側、患者さん側それぞれについて紹介します。
クリニック側 | 患者さん側 |
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まずはクリニック側のデメリットです。サービス利用料がかかることや、院内で利用環境を整えること、患者さんへの周知などが課題となります。
導入費用や月額固定費用、決済手数料など、サービス利用にかかるコストが発生します。
サービスの導入にあたり、システム設定やスタッフへの周知が必要になります。
デジタルに不慣れな高齢者など、一部の患者さんは利用をためらう可能性があります。
続いて、患者さん側のデメリットです。
サービスによっては、利用ごとに手数料が加算される場合があります。
事前登録が必要な場合があり、特に高齢者にとっては手続きが煩雑に感じられることがあります。
医療費後払いサービスの一般的な利用の流れは次の通りです。ここでも、外来を例に紹介しています。
多くのサービスでは、最初に患者さんの情報(氏名、連絡先、支払い方法など)をWebサイトやアプリで登録します。
登録済みの患者さんは、受付で「後払いを利用したい」と伝えるだけで、通常の診察に進みます。
診察が終わったら、会計窓口に並ばずにそのまま帰宅できます。
登録した支払い方法(クレジットカード、コンビニ払い、口座振替など)で、後日サービス会社を通じて医療費が支払われます。
医療費後払いサービスは、患者さんではなく、クリニック側が料金を負担することが多いです。医療費後払いサービスで発生する料金は次の通りです。
システムの導入にかかる費用で、0円から数十万円まで幅があります。近年は、初期費用を無料としているサービスも増えています。
毎月支払うシステム利用料です。こちらも月額無料から数千円、場合によっては1万円を超えるサービスまで様々です。利用件数が少ない月でも発生するため、導入前にシミュレーションすることが重要です。
最も主要な費用で、患者さんの支払い金額に応じて発生します。これは、患者さんが後払いを利用して支払った医療費の総額に対する一定の割合(パーセンテージ)で計算されることが多いです。一般的な相場は、決済金額の1%台後半から5%程度ですが、サービスの種類(クレジットカード、コンビニ払いなど)やプランによって異なります。
医療費後払いサービスを選ぶ際は、コスト面や患者層に合ったものを見極めることが重要です。以下のポイントを参考に比較検討することをおすすめします。
導入費用やランニングコストがどのくらいかかるかを確認します。特に、自院の月間利用件数で試算し、長期的なコストパフォーマンスが良いかを見極めましょう。
患者さんが簡単に登録できるかを確認します。スマートフォンやPCに不慣れな高齢の患者さんが多い場合は、院内に専用端末があるサービスや、家族が代理で登録できるサービスが有効です。
また、支払方法の種類も大事なポイントです。クレジットカード、コンビニ払い、口座振替など、多様な支払い方法に対応しているかを確認します。患者さんの利便性が向上し、利用率が高まります。
お金に関わるサービスであるため、サービス会社の信頼性は非常に重要です。導入実績は選ぶ際の1つの指標になります。
導入時のサポートや、導入後のトラブル対応が充実しているかを確認しましょう。患者さんからの問い合わせ対応を代行してくれるサービスもあります。
本記事では医療費後払いサービスについて、基本的な内容から、おすすめのサービス会社、選び方のポイントなど網羅的に紹介してきました。
来院される患者さんの属性によっては、医療費後払いサービスの導入が「外来の混雑緩和」「業務効率化」につながる可能性があります。
サービス会社によって利用方法や料金体系が異なるので、導入を検討されている方は本記事を参考にそれぞれ比較してみてください。