近年、現金を使わずに支払いができる、「キャッシュレス決済」が飲食店や理美容室などさまざまな場面で活躍しています。しかし、医療機関での導入は、まだまだ進んでいないのが現状です。
本記事を読んでいる方の中にも、キャッシュレス決済の導入に踏み切れない方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、医療機関の事情を踏まえて、少しでもお得にキャッシュレス決済を導入できる方法を解説していきます。本記事を読むことで、医療機関でのキャッシュレス決済の実情を知り、自院に適切なサービスを選ぶことができるでしょう。
目次
キャッシュレス決済とは、現金で支払う代わりに、クレジットカードやQRコード決済などの手段を用いて支払う方法です。
ここからは、キャッシュレス決済の種類や決済手数料の特徴を詳しくご紹介します。
キャッシュレス決済の種類は、主に以下の4つに分類されます。
決済の種類 | 必要なもの | 例(ブランド) |
---|---|---|
クレジットカード | クレジットカード | Visa、JCB、Mastercardなど |
デビットカード | デビットカード | 各銀行ブランドなど |
電子マネー | スマートフォン | Suica、iD、QUICPayなど |
QRコード決済 | スマートフォン | Pay Pay、楽天ペイ、LINE Pay など |
キャッシュレス決済としては最も利用されており、商品やサービスを購入した後に支払い請求がくる仕組みです。
頭での支払いのほか、インターネットでの買い物や税金など、さまざまな場面での支払いに対応しているのが魅力と言えるでしょう。
クレジットカードを作成するには、与信審査が必要になります。
デビットカードは、使用して決済すると支払い分の金額が自身の銀行口座から即時に引き落とされる仕組みです。
銀行口座の残高以上に支払いができないので、お金を使いすぎる心配はありません。
電子マネーとは、カードやスマートフォンにデータ化した現金をチャージしておき、決済を行う仕組みのことです。
例えば、SuicaやPASMOなどの交通機関で使う電子マネーや後払い式のQUICPay、iDなどがあります。
スマートフォンに専用の支払いアプリをインストールし、銀行口座やクレジットカード情報を登録することで決済できる方法です。
代表例として楽天ペイやLINE Pay、PayPayなどが挙げられるでしょう。
クリニック・医院におけるキャッシュレス決済の手数料は、目安として決済額の3%がかかります。
ただし、患者自己負担額の3割に手数料がかかるため、実質負担は保険診療額の0.9%になります。したがって保険診療の場合は、医療機関にとっての負担は大きくないはずです。
それでも導入に踏み切れない医療機関が多い理由の一つに、コスト面の課題が挙げられるでしょう。医師会のアンケートでも、「ランニングコスト、初期費用」に課題を感じると答えた医療機関が多いです。
また、保険証を忘れてしまった患者さんの手続きも煩雑なのが課題となっています。
保険証を忘れた患者様への対応は、自費診療で払っていただく→全額返金→保険診療(3割負担)で再度お会計という流れが一般的です。そのため、現金払いの対応の方が楽という側面も考えられるでしょう。
出典:医療機関におけるキャッシュレス決済に ついてのアンケート結果概要について
日本医師会がおこなったアンケート調査によると、約9割の無床診療所が「キャッシュレス決済を導入していない」と回答しています。
また、厚生労働省が実施した調査でも、クリニックでカード(クレジットカード・デビットカード)決済を導入していないと回答したのが81%。
クリニックにおけるキャッシュレス決済の導入内訳で見てみると、
となっており、種類別ではクレジットカード決済が最も高い割合で、その他の決済方法はほとんど使われていないのが現状です。このことからも、クリニックや病院でキャッシュレス決済が進んでいないことがわかるでしょう。
出典:医療機関におけるキャッシュレス決済に ついてのアンケート結果概要について
出典:医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査 結果報告書
医療機関でキャッシュレス決済が普及していない大きな理由が、高齢の患者さんからの需要が低いことです。一般的な診療所を利用する高齢者の割合は、5割以上とも言われています。
クレジットカードを持っていないケースも多く、キャッシュレス決済を使いこなせない方も少なくありません。そのため、キャッシュレス決済を導入しても利用率が低く、必要性を感じないと思ってしまうのです。
クリニック・病院で導入が進まないキャッシュレス決済ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、キャッシュレス決済を導入する3つのメリットについて解説します。
一つずつ見ていきましょう。
患者さんにとって待ち時間が長くなることは、利用満足度の低下につながってしまいます。
現金払いの場合、「請求された金額を出して、釣り銭を受け取る」という一連の流れに時間がかかるでしょう。
キャッシュレス決済を導入することで、会計がスムーズになり、大幅な時間短縮が可能です。
また、患者さんの待ち時間が短縮されることで、患者満足度の向上にもつながります。
キャッシュレス決済の導入により、患者さんとスタッフの会計作業が減るので、業務効率化が可能です。
例えば、レジ締め作業時間の削減、受付スタッフの負担軽減など、さまざまな業務が効率化されます。
また、会計時のミスも減り、スタッフや患者さんに余計な負担をかけることも少なくなるでしょう。
昨今の感染症対策の一つとして、「非接触」で支払いを行うキャッシュレス決済が注目されています。
患者さんとスタッフがお金に触れることなく決済できるため、二次感染のリスクを抑えることが可能です。
ここでは、自院に適したキャッシュレス決済サービスを導入できるように、選び方のポイントをご紹介します。
まずは、キャッシュレス決済機能を導入している機器の選定をしなければなりません。クリニックがキャッシュレス決済を実現するための機器として、
などを設置する必要があります。
それぞれの特徴やコストを把握し、どの種類が自院に適しているかを決めましょう。
キャッシュレス決済端末の代表例として、AirペイやSquare(スクエア)なども人気です。
また、従来のレジを設置している場合は、レジ横にキャッシュレス決済端末を設置する方法がおすすめです。
キャッシュレス+POS端末は、上記端末にPOSを設置するとよいでしょう。
患者さんのニーズに合わせた決済方法の選定が重要です。
キャッシュレス決済の方法には、クレジットカード・QRコード・交通系ICカードに大別できます。
その中でも、多くの医療機関で使用されているのは、クレジットカードです。
導入する決済方法に迷っている場合は、高齢患者さんが多いことを想定してクレジットカード対応にしておくのが無難でしょう。
患者さんの年齢層やニーズを見極めながら、対応する決済方法を選ぶのが大切です。
ここでは、クリニックや病院で使えるキャッシュレス決済サービスを9選ご紹介します。
株式会社ユニエイムの提供するA920は初期費用0円、端末費用0円で電子マネーからバーコード決済まで対応が可能です。
スマホやタブレット、プリンターを必要とせず1台ですべてをまかなうオールインワンの決済端末です。
POSレジ機能も搭載可能なので省スペースで最低限の設備で利用を開始できます。会計カウンター、客席はもちろん屋外やキッチンカー等の環境でも利用できます。
A920|株式会社ユニエイムの比較ポイント
製品情報
決済端末 | 0円 |
---|---|
医療機関向け特典 | - |
USENのキャッシュレス決済サービス「Uペイ/UペイQR」は、47種類の決済ブランドに対応しているのが特徴です。
患者さんのさまざまな支払い手段に対応しているため、利便性や患者満足度の向上につなげることができるでしょう。
また、決済端末を無料でレンタルすることができ、月々の決済手数料のみで利用できる点も魅力です。
Uペイ/UペイQRの比較ポイント
製品情報
決済端末 | 無料レンタル |
---|---|
医療機関向け特典 | Mastercard、VISAが手数料料率 1.9%で利用可能 |
ORCAMOのキャッシュレス決済サービスは、日医会員向けに展開されているサービスです。日医会員に入会することで、特別手数料と価格にて決済サービスを利用できます。
例えば、Mastercard、VISAであれば、1.5%(非課税)の決済手数料率での利用も可能です。
また、クレジットカード利用においては、端末費用や月額利用料などが無料なのも魅力的なポイントでしょう。
日本医師会員向けキャッシュレスサービスORCAMOの比較ポイント
製品情報
決済端末 | 1台まで無償(日医会員) |
---|---|
医療機関向け特典 | 日医会員特別料率 |
Airペイは、iPadまたはiPhoneと専用のカードリーダー1台で、さまざまな決済方法に対応しているサービスです。
主要クレジットカード決済はもちろん、交通系電子マネーやQUICPay、Apple Payなどにも対応しています。
さらに、振込手数料、月額固定費などは0円なので、新たな銀行口座を開設する必要もありません。
Airペイの比較ポイント
製品情報
決済端末 | 無償レンタル |
---|---|
医療機関向け特典 | ー |
Squareなら振込手数料が無料で、決済代金を最短翌営業日に入金することが可能です。
また、決済手数料以外の費用が一切かからない料金設定なので、固定費を気にせず導入できるのも特徴の一つといえるでしょう。
Squareの決済端末は購入する必要がありますが、コンパクトかつ無線なので、訪問先でのキャッシュレス決済にもスムーズに対応できます。
Square(スクエア)の比較ポイント
製品情報
決済端末 | 購入 |
---|---|
医療機関向け特典 | ー |
STORES決済では、対象の医療業種の場合、クレジットカード決済手数料が1.50%の特別価格で利用できます。
他にも、初期費用・固定費・解約費が無料で、決済手数料のみで利用できる点も魅力です。
また、導入時には専門スタッフが丁寧に対応してくれるので、不明点を解消してから導入することができるでしょう。
STORES決済の比較ポイント
製品情報
決済端末 | 無料 |
---|---|
医療機関向け特典 | クレジットカード決済手数料1.50%〜(専用フォームからの申請が必要) |
stera pack for クリニックは、サブスクリプション型のキャッシュレス決済サービスです。
決済端末は1台で30種類以上の決済手段に対応し、レシート排出用プリンタ内蔵など、高機能端末を用意しています。
また、「おまとめ診察券by GMO for stera」を標準搭載しているため、紙媒体で行なっていた業務をデジタル化することも可能です。
stera pack for クリニックの比較ポイント
製品情報
決済端末 | レンタル |
---|---|
医療機関向け特典 | 決済手数料率1.50%〜 |
EZキャッシュレスサービスは、決済サービスだけでなくレジの導入やサポートを一貫して提供してくれます。
これにより、レジと決済端末が連動し、会計した金額の2度打ちをする手間がなくなります。
また、カードをかざすだけで決済ができる「非接触」にも対応しているので、衛生的な会計業務を行うことができるでしょう。
EZキャッシュレスサービスの比較ポイント
製品情報
決済端末 | 購入 |
---|---|
医療機関向け特典 | ー |
チョキペイは、あらゆる決済手段をたった1台で可能にした、キャッシュレス決済サービスです。
端末OSはAndroidを採用しており、FeliCaやNFC、プリンターやWi-Fi機能なども搭載しています。
また、スマートフォンのように持ち運べて操作も簡単なので、スタッフへの教育がほとんど必要ないことも魅力といえるでしょう。
チョキペイの比較ポイント
製品情報
決済端末 | 購入 |
---|---|
医療機関向け特典 | ー |
医療機関のキャッシュレス決済について、徹底解説してきました。高齢患者が多いクリニックや病院においては、導入がまだまだ進んでおらず、必要性を感じていない方も多いです。
しかし、キャッシュレス決済を導入することで、患者さんの満足度向上や業務効率化につなげることもできます。
今回ご紹介したサービスの中には、決済手数料の安いキャッシュレス決済メーカーもあります。自院に必要だと判断した際には、キャッシュレス決済サービスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。