診療圏分析ツールおすすめ9選|メリットや選定時のポイントを紹介

更新日 2026.08.03
投稿者:豊田 裕史

新しい店舗や施設のオープンに向けたエリア選びにおいて、客観的なデータにもとづく診療圏分析は判断材料の一つになります。

専用の診療圏分析ソフトを活用すると、周辺の人口バランスや競合の状況、見込まれる需要などがグラフや地図上で整理され、視覚的に把握しやすくなるのが特徴です。データを根拠にすることで、オープン後の需要予測や事業の準備を進めやすくなります。

この記事では、診療圏分析ソフトを活用する主なメリットや、自社に合うソフトを選ぶ際に見るべきポイントを分かりやすく解説します。あわせて、機能や使い勝手の異なるおすすめの診療圏分析ソフト9選もご紹介します。目的や検討段階に合わせたソフト選びの参考にしてみてください。

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目次

診療圏分析とは?

診療圏分析とは、開業予定地や自院の周囲における人口構成、競合医院の状況、見込まれる患者数などをデータ化して把握する市場調査の手法です。感覚に頼らず客観的な数値を把握することで、開業時の意思決定や経営改善における判断材料として活用されています。

自院の周囲について詳細レポートが見られる

診療圏分析を行うと、推計患者数や周囲の医院数、人口世帯数などがレポートとして出力されます。周囲の人口が少ない地域や競合となる医院が多い地域では、見込まれる来院患者数も少なくなります。十分な患者数が見込めない場合、経営の継続が困難になるリスクも考えられるため、事前に行う重要なプロセスといえます。

分析ツールには、テキストを中心にまとめたレポートから、地図上にデータを色分けして表示するものまで多様なサービスが存在します。導入する際は、提供企業のホームページ等で画面サンプルを確認し、自院にとって扱いやすいものを選ぶことが大切です。

企業に依頼と自分でやる2通りがある

診療圏分析を進める方法は、専門の業者やコンサルタントに依頼する方法と、自分で行う方法の大きく2つに分かれます。かけられる費用や必要とする情報の深さに応じて、適した手法を選択することが求められます。

自分で分析を行う場合

必要な数値が手元にあれば、自力で計算して概算を出すことが可能です。推計患者数を割り出すための基本的な計算式は以下の通りです。

推定患者数 = エリア人口 × 受療率 ÷(科目別競合医院数 + 1)

また、専用のアプリやソフトを購入・契約して近隣の状況を確認する方法もあります。ただし、ツールで得られるのはあくまで整理されたデータのみであるため、その数値をもとにどのように判断し行動するかという分析作業自体は、自力で行う必要があります。

企業へ依頼する場合

詳しい分析結果や今後の経営方針に関する見解まで知りたい場合は、専門企業へ依頼する方が確実です。調査や分析を専門的に行っている企業であれば、データの集計にとどまらず詳細な考察まで確認することができます。

一方で、専門企業への依頼には一定の費用が発生します。検討の初期段階なのか、資金調達や物件決定などの最終判断を行う段階なのかといった状況に合わせて、費用対効果を考慮しながら利用を検討するとよいでしょう。

診療圏分析導入時の注意事項

診療圏分析を導入する際は、下記の点に注意してください。

  • どこまでの情報を入手できるかどうか?
  • 診療圏分析サービス導入にかかる費用

ここからは、診療圏分析を導入する際の注意点を詳しく解説していきます。

どこまでの情報を入手できるかどうか?

まずは「どこまでの情報を入手できるかどうか」という点です。近隣の医院の情報を入手することは、ほとんどの診療圏分析サービスで行うことができます。しかし、それ以外のサービスについてはツールによって異なるため、事前に調べておく必要があるでしょう。

たとえば、駐車場の有無や診療時間によって、競合強度は異なります。競合強度まで正確に行ってくれる事業者の方が、より精度の高いデータが得られるでしょう。技研商事インターナショナル株式会社の診療圏分析では、医院ごとに詳しい情報をデータ化して提供してくれます。

診療圏分析サービス導入にかかる費用

「診療圏分析サービス導入にかかる費用」も、導入する際にはチェックしておきたいポイントです。先述した通り、企業に詳細な分析までを依頼すると、それなりに費用がかかってしまいます。

サービスによっては簡易な情報だけ無料で提供してくれるところもあるので、初めての方は無料サービスから始めてみるのもおすすめです。たとえば、株式会社メディヴァやリコーリース株式会社などは、一部の機能を無料で使うことができます。

おすすめの診療圏分析サービス9選

株式会社ワイ・ビー・シー

株式会社ワイ・ビー・シー

出典:株式会社ワイ・ビー・シー https://www.ybco.co.jp/business/products/shinryouken

株式会社ワイ・ビー・シーが提供する「MAP-STAR Web診療圏分析」はクラウド型の診療圏分析システムです。Webブラウザさえあれば、どのデバイスでも、どこにいても手軽に診療圏調査を行うことができます。複数の料金プランを用意してあり、シンプルな構成であれば月額1万円台~利用可能です。

株式会社ワイ・ビー・シーの比較ポイント

  • クラウド型なのでどこにいても直ぐに利用できる
  • 調べたい地域の分析結果を最短5秒で表示
  • ミニマル1万円台~から利用可能

製品情報

主な機能 全国病医院・歯科データ、推計患者数結果表示、商圏編集(任意多角形)、診療圏調査報告書出力、周辺施設表示、既存院調査、複数科目別分析など
初期費用 要お問合せ
特長 Webサービスならではのスピード感が特徴です。調べたいエリアの分析が、ブラウザ上の地図を動かすだけですぐに表示されます。複数地域を連続して調査したい場合に、サクサク調査結果を得ることができます。

マップソリューション株式会社

マップソリューション株式会社

出典:マップソリューション株式会社 https://mapsolution.co.jp/

マップソリューション株式会社の診療圏分析では、算出された推計患者数と実績データを比較して経営評価に役立てることができます。

マップソリューション株式会社の比較ポイント

  • 網羅率100% の年4 回更新する最新のデータ
  • 在宅患者数の算出
  • 医療機関の診療収入を算出

製品情報

主な機能 商圏人口分析、競合医療機関情報、見込み患者数、見込み診療収入
初期費用 650,000円~
特長 診療圏内の人口集計では、指定地点を中心とした診療圏内の年齢階級別・男女別人口を集計します。
また、設定範囲における昼夜それぞれの人口情報の表示と、それに基づく患者数、おおよその診療収入の表示も可能です。専任のコンサルタントがついているわけではありませんが、詳しい情報を教えてくれるので自分でもある程度の分析をすることができるでしょう。

シャープファイナンス株式会社

シャープファイナンス株式会社

出典:シャープファイナンス株式会社 https://www.f-sfc.co.jp/

シャープファイナンス株式会社の診療圏分析は主に新規開業者向けのサービスですが、既に開業している場合でも経営評価に役立てることが可能です。

シャープファイナンス株式会社の比較ポイント

  • 徹底的な現地調査
  • 診療圏マップの作成
  • シャープのノウハウと国勢調査のデータを組み合わせた調査データ

製品情報

主な機能 商圏人口調査、競合医療機関プロット、診療圏設定、見込み患者数の算出
初期費用 要問合せ
特長 予定している場所で開業した場合に、一日どれくらいの患者数が見込まれるのかを算出できます。
分析を申し込んだ後、コンサルタントが直接街を歩いて状況確認を行い、競合状況を合わせてレポートを提出してくれます。河川や幹線道路、線路などによって診療圏は異なるため、実際に歩くことでその地域に合わせた分析を行ってくれるのです。また、分析結果に基づき診療圏を設定し、見込み患者数も提示してくれるサービスです。

リコーリース株式会社

リコーリース株式会社

出典:リコーリース株式会社 https://www.r-lease.co.jp/

リコーリース株式会社の診療圏調査ソフトは、近隣の競合医院の情報や、国勢調査の人口統計データから算出した来院患者予測数データを短時間で作成できるツールです。

リコーリース株式会社の比較ポイント

  • 短時間での診療圏調査が可能
  • 診療科目別の調査が可能
  • 複数の開業候補地の絞り込みに効果的

製品情報

主な機能 競合医院一覧表示、来院患者数予測、昼夜人口データ(詳細版)
初期費用 0円(WEB版)
特長 周囲の道路環境や周辺の建物状況から、視認性がいいかどうかなどをチェックしていきます。
ドクターサポート会員になると、無料で診療圏調査ができます。一日当たりの来院患者数予測や周辺地図、患者数予測や競合医院一覧を無料でチェックできるでしょう。昼夜間人口等データなど、より詳しいレポートが欲しい場合には「詳細版」の利用がおすすめです。

株式会社日本統計センター

株式会社日本統計センター

出典:株式会社日本統計センター https://www.nihon-toukei.co.jp/

株式会社日本統計センターの「診療圏レポート」は、診療圏分析に特化したクラウド型のオンデマンドエリア分析サービスです。

株式会社日本統計センターの比較ポイント

  • データ更新作業は不要
  • 推計資料報酬額の推計が可能
  • 選べる料金プラン

製品情報

主な機能 商圏人口分析、競合医療機関情報、見込み患者数、見込み診療収入
初期費用 0円
特長 精度の高い分析には最新の人口データ、競合医院・診療所データが必要不可欠ですが、クラウド型なので常に最新のデータを使った分析結果を取得できます。
初期費用は0円で、利用頻度にあわせて「従量制」と「定額制(使い放題)」の料金プランが用意されています。自院の予算に合わせたプランを選んで利用できるのも、「診療圏レポート」の特長といえるでしょう。

技研商事インターナショナル株式会社

技研商事インターナショナル株式会社

出典:技研商事インターナショナル株式会社 https://www.giken.co.jp/

技研商事インターナショナル株式会社の「Market Analyzer」は、新規開業向けに開発された診療圏分析ツールです。

技研商事インターナショナル株式会社の比較ポイント

  • 来院手段によってさまざまな診療圏の設定が可能
  • 対人口受療率ベースと傷病別受療率ベースの2種類を用意
  • 昼間人口にも対応したレポートテンプレートも用意

製品情報

主な機能 商圏人口分析、来院圏シミュレーション、見込み患者数
初期費用 要問合せ
特長 病院・診療所のデータはもちろん、受療率・疾病分類、統計データを利用した推計患者数レポートで経営をサポートしてくれます。
病院・診療所データは競合医院を把握するだけでなく、病診連携のための参考にもなるでしょう。また、昼夜人口の異なりや年齢別人口の活用により、医療需要の把握も可能になります。

株式会社MIS

株式会社MIS

出典:株式会社MIS https://www.mis-net.co.jp/

株式会社MISでは、厚生労働省の「患者調査受療率統計」、総務省の「国民生活基礎調査」、市町村人口統計などの資料から顕在患者や潜在患者数の予測を行ってくれます。

株式会社MISの比較ポイント

  • 生活習慣病対象者の把握
  • 対象診療圏における機能分担と連携調査ができる
  • 診療圏内の施設数、診療科目、病床数の現状把握が可能

製品情報

主な機能 人口分析、患者数予測、疾病別患者占有率、疾病予測
初期費用 要問合せ
特長 新規開業だけでなく、既存医院においても診療圏内の室病患者の占有率を把握するのに役立つでしょう。
また、市町村疾病率の調査や患者推計、地域の疾病特性による疾病予測といったユニークな機能も付いているのが特長です。それにより、地域医療連携体制の確立にもつながるでしょう。

株式会社メディヴァ

株式会社メディヴァ

出典:株式会社メディヴァ https://mediva.co.jp/

株式会社メディヴァの「診療圏調査」は、医師や関係者向けのスマートフォンアプリです。日本全国の外来患者の簡易市場調査を、住所を入力するだけで気軽に実施できます。

株式会社メディヴァの比較ポイント

  • 任意の場所の一日あたり推定外来患者数がすぐに調査可能
  • 個別相談フォームから問い合わせ可能
  • クリニック開業向け物件・承継情報も確認できる

製品情報

主な機能 商圏人口分析、診療科ごとの推定患者数
初期費用 0円
特長 登録不応で、料金もかからないので、初めての方にもおすすめです。
居住人口や昼間人口をもとに算出した、それぞれの時間帯の推定患者数が得られるので市街地にも郊外にも対応しています。なお、アプリ内で調査した結果は、履歴として保存されるのでいつでも見返すことが可能です。

大成建設株式会社

大成建設株式会社

出典:大成建設株式会社 https://www.taisei.co.jp/

大成建設の「診療圏分析技術」では、患者の施設選択の法則性と医療施設分布・交通条件から簡単に圏域分析ができます。

大成建設株式会社の比較ポイント

  • マクロとミクロの2段階分析
  • 地理的条件も加味して診療圏を設定
  • 増患対策の立案や施設整備後の患者数変化の予測が可能

製品情報

主な機能 商圏人口分析、潜在患者数、来院予測数
初期費用 要問合せ
特長 日本全国の外来患者の簡易市場調査を、住所を入力するだけで気軽に実施できます。登録不応で、料金もかからないので、初めての方にもおすすめです。
居住人口や昼間人口をもとに算出した、それぞれの時間帯の推定患者数が得られるので市街地にも郊外にも対応しています。なお、アプリ内で調査した結果は、履歴として保存されるのでいつでも見返すことが可能です。

診療圏分析導入のメリット

診療圏分析を導入することで、下記のようなメリットを得ることが可能です。

  • 自院と他院の関係性が見える
  • 潜在患者数を予測することができる

ここからは、それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

自院と他院の関係性が見える

最初のメリットは「自院と他院の関係性が見える」という点です。診療圏分析を導入することで、自院の診療圏にある競合医院との比較を行うことができます。それにより、自院に足りないポイントや、勝っている点を客観的に判断することができるでしょう。

たとえば「駐車場があって車が停めやすい」「夜間診療も行っている」といったポイントがあれば、その医院の強みになります。地域の特性や診療科目によっても強みになるポイントは異なりますが、診療圏分析を導入することでそれらを把握し、集患につなげる施策を考案できるでしょう。

潜在患者数を予測することができる

もうひとつのメリットは「潜在患者数を予測することができる」という点です。たとえば徒歩10分以内を通院圏内とすると、半径800m以内に居住する人が「患者さんになる可能性のある人」つまり潜在患者となります。

ただし、単純にエリア内の戸数を数え上げるだけでは、実際にクリニックに訪れる正確な数値は出ません。人の動線や時間帯による人口の変化なども調べたうえで、数値を出さなければならないからです。診療圏分析を導入することで抽出されたデータから、潜在患者数とその推定診療報酬までを算出できます。

まとめ

クリニックを経営していくうえで、集客のための施策を行っていくのは大切なことです。周囲の環境や競合医院の情報を把握し、より優れた施策を打ち出していく必要があるでしょう。

そのためにも、常に最新の情報をもとにした診療圏分析は必要不可欠になってきます。自力での調査には限りがありますので、プロの力も借りながらクリニック経営に役立てていきましょう。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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