病床管理は一般的に、看護師長が務める非常に重要な業務の一つです。患者をできるだけ多く受け入れて、効率的に病床を管理する目的の他、病院経営においても重要な役割を果たします。
しかしながら、医療の現場では労働力不足や患者の受け入れ体制などに多くの課題があり、改善が求められる状況です。
本記事では病床管理の目的や課題を基に、病床管理システムを導入するメリットや選び方を比較しながら紹介をしていきます。病床管理システムが課題解決の糸口になれば幸いです。
病床管理は「ベッドコントロール」とも呼ばれ、大きく分けて二つの目的があります。
地域のニーズに合わせて患者を受け入れる体制を整えることに加えて、ベッドの数を確保すること、また病院経営の観点からみても病床管理は非常に重要です。
全国的にみると人口に対する病床の数は多いですが、一人当たりの在院日数が長いことや病床の数に対して医療従事者が少ないことは大きな課題となっています。
度々訪れるコロナの爆発的な流行に加えて、緊急な入院や重症患者の受け入れ体制を保つこと、加えてコロナ以外の疾病患者の病床を確保することも病床管理に求められます。こういった厳しい医療体制を今後維持していくことも、大きな問題の一つでしょう。
病床管理システムは、業務の効率化に非常に役立ちます。以下の3つが大きな特徴です。
以上のことから、病床管理システムは医療現場の負担を最大限に減らし、他の業務に注力することが可能です。
病床管理システムを導入することのメリットは大きく2つです。
病床全体の利用状況・入院患者の状況を可視化することで、最大限に業務を効率化することができます。また、最適な病床稼働で入院収入の安定化をサポートしてくれることは大きなメリットだと言えるでしょう。
さまざまな病床管理システムの中から、最適なものを選ぶ時にみておきたい「2つのポイント」を紹介します。
病棟全体マップに表示されるものは、病床の稼働状況だけではなくメーカーによって細かな差があります。入退院患者情報がどこまで詳細に記されているのか、医師や看護師などの配置情報があるかなど、必要な情報を直感的に管理できるのかが重要なポイントです。「MEDI-SINUS」は患者情報を最も詳細に管理・絞り込むことが可能で、同時に医師などのスタッフ配置情報なども把握することができます。
病院経営を考える上では、急な入院の調整だけではなくDPC期間を考慮し退院や転棟の調整を行っていくことが大切です。「MEDI-SINUS」は、入院計画のシミュレーション機能や、退院・転棟の患者の候補を自動抽出することに加え、DPC期間間近や超過している入院患者を明瞭に把握することができます。
病床管理を扱うシステムにはそれぞれ強みがあります。順に紹介します。
経営ダッシュボード機能で、いつでも経営指標をモニタリングすることができます。前日と比較した指標をマークで表示されるため、経営者目線を持った取り組みが可能です。
病棟ごとに患者日誌の集計を管理可能なので、帳票関連の業務を正確に行うことができます。
タブレット端末対応により、場所を問わずに院内の病床や病棟の管理、看護記録の作成も可能です。
病床管理の専門のシステムではないですが、拡張性が高く、アプリ上でいつも最新データを閲覧・編集することができます。
数ある中で、おすすめの病床管理システムは以下の4つです。
ニッセイ情報テクノロジー株式会社は、各業界向けのアプリケーションの開発などを行っています。「MEDI-SINUS」は最適な病床管理業務をするために開発されたもので、医療現場の業務負担の改善やサポートに役立ち、現場の抱える課題解決に有効です。
電子カルテやDPC業務システムなどの各種情報を自動で集約し、一元管理できます。病院全体をマップ化することにより、患者情報を一目で確認することができ、詳細表示で看護必要重要度等の情報も確認することが可能です。
入院のシミュレーション機能や計画のサポートは、病床管理においてとても優れた機能であり、「MEDI-SINUS」は製品力の高い非常におすすめできる病床管理システムだと言えるでしょう。
MEDI-SINUS(ニッセイ情報テクノロジー株式会社)の比較ポイント
製品情報
病床マップ | 患者情報が最も詳細でスタッフ配置情報あり、シミュレーション可能 |
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患者情報管理 | 退院・転棟の患者候補を自動抽出可能 |
料金 | お問い合わせ |
アカウント数 | フリー |
システム・アポローション株式会社は医療システム事業の他に、ネットワークやセキュリティソリューションに関しても幅を広げる企業です。病床管理システム「BedManager V3.0」は、入院や退院、転棟・空床の状況をリアルタイムで確認することができます。関係する他の部署との連携が容易となり効率的な業務を実現することが可能です。
マップにあるベッド横のアイコン表示は、要望に応じてカスタマイズすることができ、他のシステムと連携することで情報をより詳細に表示する機能も備えてあります。
BedManager V3.0(システム・アローポーション株式会社)の比較ポイント
製品情報
病床マップ | 病棟のレイアウトにマッチした画面を表示することが可能 |
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患者情報管理 | リアルタイムで入院患者病床稼働率をみることができる |
料金 | 要お問い合わせ |
アカウント数 | 要お問い合わせ |
院内でタブレット利用をし、その場で写真や動画を撮影、看護経過記録をデータ付きで作成することができます。患者の氏名や、担当の医師、アレルギーの情報などから入院患者の検索も可能です。
病床の情報や看護経過記録、その他の申し送り事項などを共有でき、コミュニケーションコストを削減することは業務の負担軽減につながります。オプションで平均在院日数、病床稼働率などの情報を集計することもできます。
SPACE(株式会社ジェネコム)の比較ポイント
製品情報
病床マップ | 病床の状態を色分けすることにより、視覚的にわかりやすく把握可能 |
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患者情報管理 | 患者の名前や診療科、担当の医師などを指定して、入院患者を検索できる |
料金 | 要お問い合わせ |
アカウント数 | 20ユーザ〜(1ユーザ〜可能) |
住友電工情報システム株式会社はwebアプリケーションなどを開発する企業です。楽々webデータベースはエクセルのファイルを取り込みアプリ化できます。Webの一元管理と、エクセルの活用を活かした業務を効率化することのできるシステムです。
病床管理の専門システムではありませんが、拡張性が高いのが特徴です。エクセルで管理している場合には非常に役に立つシステムでしょう。
住友電工情報システム株式会社の比較ポイント
製品情報
病床マップ | なし |
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患者情報管理 | カスタマイズ可能 |
料金 | 1ユーザ ¥1500/(スタンダードプラン) |
アカウント数 | 10ユーザ以上から(スタンダードプラン) |
病床管理は、必要なベッドの数を確保・把握して患者に適切な治療を提供すること、また病院経営の面で収入を維持していく目的があり、非常に大切な業務です。現状の医療現場では労働力不足に加えて、緊急入院に対応するためのベッド確保やコロナウイルスの流行が大きな負担となっています。
病床管理システムを取り入れることで、リアルタイムで病床状況を把握できると同時に、入院収入などを考える上で必要なことを管理しやすくなります。
毎日変わる空きベッドを確認しながら入院シュミレーションする機能、また電子カルテ・DPC業務システム等と連携し転棟・入院患者を自動的に抽出する機能は非常に価値のあるものです。
そのような点を網羅している病床管理システムを選択し、日々の業務の改善に役立てることを祈っております。