近年のIT・Iot化の流れの中で、医療機関でも同様に対応が必要となってきています。
特に検査業務においては、検査結果を記入し正確に素早く医師や看護師のもとに届けることが求められているのです。
新型コロナウィルスの蔓延によって、検査業務のさらなる時間短縮と生産性向上が求められていますが、その点では臨床検査システムは非常に有効です。
本記事では、おすすめの臨床検査システムを12選紹介します。
ご自身の病院への導入検討に参考にしてみてください。
臨床検査システムとは、主に臨床検査のデータを保存し、検査業務をスムーズに行えるよう支援するシステムのことです。検査する部門ごとに結果を一元管理することができるシステムで、LIS(Laboratory Information System)とも呼ばれています。
臨床検査には、血液検査や細菌検査、尿検査などあらゆる項目があります。これらの検査にシステムを導入することで、結果をデータで分かりやすく確認でき、電子カルテと連携させて患者情報を一元管理することができるのです。
こうしたシステムは医療機関や検査機関において重要な役割を担っています。 臨床検査システムは結果を管理するだけではなく、検査の受付から報告書の作成、検査結果のデータ管理までのあらゆる検査フローをサポートしてくれます。
様々な医療機器や院内設備と連携が可能で、分析器はもちろん、心電計や脳波計と接続できるシステムもあるほどです。前述した電子カルテだけではなく、医事システム、受付システムとも接続し医療機関内での検査にはかかせない存在となっています。
システムは、スタンドアロン構成から各上位システムとの連携まで幅広い構成での利用が可能です。オンラインで院外の分析装置とも接続し、タイムリーに検査結果を確認できるなど、医療機関においてもIT技術は進歩しているといえるでしょう。
それでは、臨床検査システムを導入した方がよいのは、どのような医療機関なのでしょうか。ご自分の医療機関の規模や業務にかかっている負荷などを考慮して導入を検討してみましょう。
まずは、検査記録の入力に時間がかかっている場合は導入を検討した方がよいでしょう。
検査結果を紙やExcelなどで管理している場合は、検査結果だけでも探すのが大変で、それを個人のカルテと紐づけるには大変な労力がかかります。
臨床検査システムがあると、検査結果をオンラインで管理できるだけではなく、カルテとの連携もあるため入力・管理の手間を大幅に削減することが可能です。
次に、医療機関内で情報共有がしづらくなっている場合は、臨床検査システムを活用することがおすすめです。
臨床検査情報が多岐にわたるため、予約管理が大変になったり、関係する医師や看護師が多かったりすると、紙の検査記録では情報共有ができません。
医療機関の規模が大きいほど、情報共有が問題になりやすいでしょう。
それでは、実際に臨床検査システムを選ぶときはどのようなポイントに気を付けるべきなのでしょうか。
導入にかかる費用だけではなく、その使い勝手も重視しなければなりません。ここでは、臨床検査システムを選ぶときのポイントについて具体的に見ていきましょう。
1つ目に、他システムとの連携が可能かを確認しましょう。臨床検査システムは、受付システムから電子カルテ、分析器まで幅広く連携可能なものがほとんどです。
オンラインで院外の設備とも連携可能なものもあります。
どこまで他のシステムとの連携が必要か、自院に適した規模感や費用感の設備を選定することが大切です。
なお、機能が充実していて幅広く対応可能なシステムを提供しているのは、株式会社ティー・エム・アール・システムズや株式会社 グローバル ビジョンです。
2つ目に、セキュリティやバックアップ体制についても注目しましょう。患者様の大切な検体情報を管理しているため、セキュリティとバックアップ機能も重要です。
例えば、院外からのセキュリティ攻撃に耐えられるか、バックアップはどのくらい取られているかなど、求めるレベルに対してどの程度対応しているのかを確認するとよいでしょう。
導入後のウィルスチェック等のサポートの充実具合も検討が必要です。
誰がどこでいつ記録を入力したのか、閲覧したのか、ログがわかるものもあるので、自院の規模に合ったセキュリティを搭載したものを選ぶ必要があります。
株式会社日立製作所、メディカルシステム株式会社、シスメックスCNA株式会社が提供するシステムは、バックアップシステムが充実しています。
最後に、導入費用や利用料も重要なポイントです。
導入に際して、初期費用や購入費用に加えて年間の保守料金等もかかることがあります。
他の機器と連携する場合、機器によってはオプションで追加費用が必要な場合もあるので、かけられる費用と効果を十分に検討しましょう。
それでは、おすすめの臨床検査システムを12選紹介します。 各システム会社によって、連携できるシステムや基本機能にも差があります。
医療機関の規模によっても利用に向いているシステムが異なりますので、下記を参考に選んでみてください。
臨床検査システムのTM-LABは、病院検査部からクリニックまで幅広い規模の医療機関が対象です。
検査受付システムや電子カルテ、医事システムなどさまざまなシステムとオンラインで連携し、検体の取り間違いを防止し、ランダム測定も可能にしています。
医療機関に合わせて最適なシステムを提供できるノウハウがあるところも安心です。また、基本機能が充実しているだけではなく、日々変わる検査業務に合わせて、検査担当者が追加費用の発生なく、項目を自分で追加・編集できることも特徴でしょう。
株式会社ティー・エム・アール・システムズの比較ポイント
製品情報
主な機能 | データ一元管理、マスターテーブル化、分析器オンライン接続、バーコード管理、ラベラー機能 |
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連携可能システム | 電子カルテ、オーダリングシステム、医事システム |
初期費用 | 要お問い合わせ |
実績 | 要問い合わせ |
特長 | 病院検査部からクリニックまで幅広く対象としたシステム。基本機能が充実しており、加えてオプションで各種機能を最適化して利用可能。 |
株式会社エイアンドティーが提供する臨床検査情報システム(LIS)は検査統合プラットフォームです。
個別の検査項目に対し、検体検査システムから、検査情報のデータベースに至るまで細分化して提供しています。
疾病別に経過を管理することもでき、検査周りの消耗品の管理や、冷蔵庫の温度管理まで網羅しているので、検査関連業務が一通り効率化できるでしょう。医療機関に合わせ、使う機能を組み合わせて活用できる点もおすすめのポイントです。
株式会社エイアンドティーの比較ポイント
製品情報
主な機能 | データ一元管理、分析器オンライン接続、各種連携可能 |
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連携可能システム | 電子カルテ、オーダリングシステム、医事システム、その他多数 |
初期費用 | 要お問い合わせ |
実績 | 要問い合わせ |
特長 | 検査統合プラットフォームとしてサービス提供しており、検体検査システムから検査情報データベース等細分化して提供している。自院にあった組み合わせで活用することも可能。 |
ニューコン株式会社の提供するHi-LABOシリーズは、臨床検査システムだけではなく、総合健診システムや、細菌検査システムなど多岐にわたりシリーズ製品があります。
小規模なスタンドアロン構成から大規模構成まで対応が可能です。地域医療連携にも対応しており、業務を円滑に進めるため、メイン画面に機能が集約されていて、操作に慣れていない方でも安心して利用できるでしょう。
分析器の検査時間の経過情報なども表示ができるので、スタッフに検査の進捗状況が分かりやすい画面構成となっています。
ニューコン株式会社の比較ポイント
製品情報
主な機能 | 分析器オンライン情報、画像管理機能、CSV抽出 |
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連携可能システム | 電子カルテ |
初期費用 | 要お問い合わせ |
実績 | 国内外で、関東を中心に186施設で利用。 |
特長 | 小規模なスタンドアロン構成から大規模構成まで対応可能。地域医療連携にも配慮している。メイン画面に機能を集約し、見やすいUIとなっている。分析器の検査時間経過情報等も表示可能。 |
株式会社日立製作所が提供する臨床検査システムLavoluteは、大規模病院・臨床検査センターにも対応しているサービスです。
受付・検査・報告・請求までの臨床検査にかかる業務をすべてサポートしてくれ、事業規模を拡大した場合にも安定して稼働できます。
システム状況モニターで検査室内の全端末を監視でき、障害発生時には新しいPCにプログラムをダウンロードするだけで再度セットアップが可能です。システムの画面を刷新し、閲覧するものに応じた見やすい画面を実現しています。
株式会社日立製作所の比較ポイント
製品情報
主な機能 | 受付、バーコドラベル発行、精度管理、タブレット運用可能、分析器接続 |
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連携可能システム | 電子カルテ、分析器、医事システム |
初期費用 | 要お問い合わせ |
実績 | 要問い合わせ |
特長 | システム状況モニターで検査室内の全端末を監視することが可能。障害発生時も予備端末からダウンロード可能なため迅速な復旧が可能。 |
臨床検査システム「フィット臨床検査」は、少人数で検査業務をしている医療機関でも進捗状況の共有がしやすいシステムです。
検体検査業務支援機能が基本性能ですが、電子カルテとの連携や細菌検査、WEB検歴、分析機連携など、オプションを追加することでより使いやすくなります。
検査の依頼内容を容易に把握する機能を提供しており、ランニングコストの削減につながります。これまでは統計データを出しづらかった医療機関であれば、システムの活用により検体検査の業務実績を容易に集計することも可能です。
株式会社富士通四国インフォテック
製品情報
主な機能 | 情報一元管理、画像報告書自動取り込み、検体受付確認、細菌検査支援機能 |
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連携可能システム | 電子カルテ、分析器、医事システム、健診システム |
初期費用 | 要お問い合わせ |
実績 | 要問い合わせ |
特長 | WEBを利用した検査結果や画像表示機能もあり非常に使い勝手がいい形となっている。医事点数マスタを用いて点数集計することも可能で報酬実績だけでは見えなかった稼働実績も把握することが可能。 |
島津製作所系列の島津トラステック株式会社は、臨床検査システムLAPISを提供しています。
利用用途に合わせて複数の進捗確認画面を確認可能です。画面構成は上段・中段・下段に表示される項目が統一されており、簡単に使いこなすことができます。
島津グループの再来受付機や精算機などの周辺機器と合わせて導入することも可能で、臨床検査だけではなく周辺業務も併せて効率化できるでしょう。
島津トラステック株式会社の比較ポイント
製品情報
主な機能 | 受付登録、採血指示書印刷、検体検索、点数計算 |
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連携可能システム | 電子カルテ、分析器 |
初期費用 | 要お問い合わせ |
実績 | 要問い合わせ |
特長 | セット単位の状況確認や経過時間モニタなど複数の進捗確認が可能。再来受付機や精算機等周辺の機器と合わせて導入することも可能。 |
小規模施設~中規模施設を対象としているのが、メディカルシステム株式会社の臨床検査システムGINGA Birth(ギンガバース)です。
マスタ設定で柔軟に対応ができるシステムで、検査結果の承認・データ出力・報告書印刷などの機能が搭載されていることに加え、他システムとも連携できます。
特徴としては、システムの利用保証が10年が標準であることです。オプションで最大14年まで延長でき、長期間安心して利用できることもポイントでしょう。ユーザーごとにログイン権限を編集でき、ログ情報も管理されていますので、個人情報保護の観点からも安心です。
メディカルシステム株式会社の比較ポイント
製品情報
主な機能 | 検査結果承認、データ出力、報告書印刷、他システムとの連携 |
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連携可能システム | 要お問い合わせ |
初期費用 | 要お問い合わせ |
実績 | 要問い合わせ |
特長 | システム利用10年を標準保証としており、オプションで最大14迄保証可能。ログインアカウントごとに編集権限が異なるためセキュリティ面でも安心。ログについても細かく管理、確認が可能。 |
株式会社グローバルビジョンが提供する臨床検査システムGMES(ジーメス)は、検査業務ではなくより高度で高品質な「検査サービス」の提供を目指しています。
データベースに世界標準のOracleを採用しており、様々な検査データをすぐに活用することができます。業務効率化・見える化を推進し、検査の進捗状況をリアルタイムで表示が可能です。
主に小規模~中規模の医療施設向けに提供しており、システムの拡張性と柔軟性に優れたサービスと言えるでしょう。
株式会社 グローバル ビジョンの比較ポイント
製品情報
主な機能 | 検体受付、報告書出力、情報一元管理、CSV出力 |
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連携可能システム | オーダリングシステム、医事システム、健診システム、自動分析器 |
初期費用 | 要お問い合わせ |
実績 | 全国で340以上の施設に導入 |
特長 | システム拡張性と柔軟性に優れており施設規模に合わせた利用が可能。おもに小規模から中規模の医療施設向けに提供している。 |
臨床検査システム「Medlas-Fit」は、最新のWindowsプラットフォームで動作する、多機能で高性能なシステムです。
ルーティン業務の効率化ができるだけでなく、精度管理、試薬管理、簡易細菌検査など豊富なオプションで、医療機関の様々なニーズに対応できます。専用サーバーを設ける必要があるため、導入のハードルは少し高いかもしれません。
しかしながら、各種システムや分析機との接続実績が多くあり、高い拡張性が支持されています。検査状況が視覚的に把握でき、表示メニューなどは各PCごとにカスタマイズできることもポイントです。
キーウェアソリューション株式会社の比較ポイント
製品情報
主な機能 | 一元管理、精度管理、画像ファイリング、データ出力 |
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連携可能システム | オーダリングシステム、電子カルテ、健診システム、各種市販ソフト分析装置 |
初期費用 | 要お問い合わせ |
実績 | 要問い合わせ |
特長 | 各種システムや分析器との接続実績が多数あり拡張性がかなりある。専用サーバーを設ける必要があるので導入ハードルが若干高い。表示メニュー等はPC毎に自由にカスタマイズ可能。 |
シメックスCNA株式会社が提供する臨床検査情報システムは、検査室の一日の流れに沿ったシステム構成で業務効率化が可能です。複数の業務を同時に立ち上げられるマルチウィンドウを採用しています。
画像管理においては、分析装置や外部メディアから取り込みが可能で、画像編集やWEBシステムへの画像ファイル送信も可能です。
精度管理の観点についても、施設内部と外部の精度管理を比較することで、検査の精密さが維持管理されていることが証明できます。
シスメックスCNA株式会社の比較ポイント
製品情報
主な機能 | 一元管理、進捗確認、マルチウィンドウ対応可能、画像管理、精度管理 |
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連携可能システム | 要問い合わせ |
初期費用 | 要お問い合わせ |
実績 | 提供しているシステム全体で全国643施設 |
特長 | 施設内で行われている内部精度管理とオンラインで接続している外部精度管理を比較することで検査の精密さが維持管理され、信頼性が高まる形となっている。外部メディアからの画像取り込みにも対応しており幅広く対応可能。 |
臨床検査システム「メディシスリンク」は各種検査機器の検査データを自動集計・一元管理できるシステムです。電子カルテやオーダリングシステムとも連携し、院外の委託先の検査センターと連携が取れるなど、検査オーダーの発生から結果報告まで一連の流れが効率化できます。
同一ネットワーク内であれば、院内の他のパソコンからも検査結果が閲覧できます。このデータを簡単にグラフ化して、患者様へのインフォームドコンセントにも有効活用できるでしょう。
システム導入時に不安なサポートも充実していて、月額利用料の中に保守費用も含まれており電話や往訪で対応してくれるところも安心できるポイントです。
東京貿易メディシス株式会社の比較ポイント
製品情報
主な機能 | 基本情報一元管理、報告書作成、マスター管理、精度管理、バーコード発行 |
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連携可能システム | 電子カルテ、分析器、健診システム |
初期費用 | 要お問い合わせ |
実績 | 全国220以上の施設に導入 |
特長 | 院内の同一ネットワークに接続されたパソコンから結果情報の閲覧が可能。サポート体制が充実しておりオンラインでのサポートも可能。月額利用料にサポートも含まれている為突発的な支出がなく安心。 |
富士フィルム株式会社が提供する「MiniNet-Neo」は、富士ドライケムをはじめとする各種検査機の検査データを自動集計・一元管理できるシステムです。
検査結果の一覧表やグラフをすぐに呼び出すことができ、オーダリング機能や電子カルテとの連携も可能です。
他社のシステムに比べて、機能はコンパクトなため、中小規模向けのサービスと言えるでしょう。メインの機能は検査情報の自動集計と一元管理で、オプションを利用することで検査機器の接続は6台まで可能です。
富士フイルム株式会社の比較ポイント
製品情報
主な機能 | 検査データ一元管理、自動集計、グラフ表示、報告書作成 |
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連携可能システム | 電子カルテ、分析器 |
初期費用 | 要お問い合わせ |
実績 | 要問い合わせ |
特長 | 各種検査結果を一元管理可能。他社のシステムに比べコンパクトな形となっている。検査機器接続も6台までとなっており、比較的中小規模施設向けの製品となっている。 |
ここまでおすすめの臨床検査システムを紹介してきましたが、システムによってその構成は様々です。
ご自分の医療機関の規模や、検査情報の用途、どこまで情報を連携させるかによって最適な構成は異なってきます。ここからは臨床検査システムの構成イメージについて確認していきます。
まずは、スタンドアロン構成です。スタンドアロンの場合、ネットワークから切り離されているためセキュリティが安全であることがネットワーク型との大きな違いです。
初期導入費が安いことも特徴といえます。構成としては、以下がスタンダードです。
小規模な医療機関であれば、この構成でも十分に検査情報の蓄積や業務効率化に役立つでしょう。
次に、サーバークライアント構成です。サーバー機を中心に、操作端末・分析機・プリンターを複数台接続することができます。サーバー機自体も操作端末として利用することが可能です。
また、サーバーで接続しさらに上位のシステムとの連携も可能です。電子カルテやオーダリングシステムと様々な接続形態で連携が可能になります。WEBブラウザ画面でそれぞれの病棟やナースステーションから結果を参照することも容易です。
本記事では、臨床検査システムの選定ポイントとおすすめの臨床検査システムについて紹介しました。
各システム会社によって、提供している機能の範囲や連携できるシステムは様々です。また、個別の医療機関に合わせてカスタマイズするため、費用感も各社に問い合わせが必要になっています。
ご自分の医療機関内での情報共有をしやすくし、業務を効率化するため、最適なシステムの構成を検討してみてください。