歯科ユニットの耐用年数は7年です。そもそも耐用年数とは、国が定めた対象資産を使用できる期間のことを指します。では、この耐用年数は中古の場合でも同じように適用されるのでしょうか。
この記事では、耐用年数についての解説や歯科医院でよく使う機器で定められた期間を一覧表でまとめています。同時に、医療機器の特別償却についても解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
前述した通り、歯科ユニットの耐用年数は7年と定められています。減価償却は資産取得にかかった費用を耐用年数で分割して計上するのが一般的です。例えば300万円の歯科ユニットであれば、次のように計算します。
この式で出た43万円を、1年ごとに7年間減価償却していくのです。実際の計算では定額法や定率法があてはめられる場合がありますが、今回は省略します。資産ごとの耐用年数についてはこちらでも確認可能です。
国で定めている耐用年数ですが、あくまで新品で資産を取得した場合のみに該当します。そのため、中古で導入した際には別の計算方法が用いられるのです。もし前回からの使用履歴が分かれば、導入後の使用可能期間も簡単に見積もることができるでしょう。
しかし、実際には使用履歴が分からないことの方が多く、その場合には次の計算式によって耐用年数を決定します。
また、耐用年数が全て経過した資産を中古で取得した場合には次の計算式をあてはめます。
計算の結果、1年未満の端数が生じた場合は切り捨てて計上します。ただし、耐用年数が2年未満の場合は2年として切り上げるルールです。中古資産における耐用年数の算出は、その資産を導入した年のみで行えます。
最初の年で計算しなかった場合、以降の年では計上することができないので十分注意しましょう。
耐用年数とは、対象の資産を問題なく使用できると国税庁が定めた期間のことです。設備の種類ごとに年数は異なり、それに沿って企業は資産を減価償却していきます。ここで注意したいのが、実際に使用できる期間との差が生じやすいという点です。
減価償却で使用する法定耐用年数は、購入費用を分割して計上できるのが特徴です。減価償却がないと購入年に大きな費用を計算しなければならないため、場合によっては利益が出ない恐れがあります。
実際は長年使用する資産なので、この状態では正しい利益を算出することはできません。耐用年数があることで高額な資産を分割して計上し、毎年の損益を正しく計算することができるのです。
法定耐用年数は、資産によって細かく決められています。正しい年数については国税庁のホームページで調べましょう。
出典:法定耐用年数|国税庁
特別償却とは、高額な機器を取得した事業年度に通常の減価償却に加えて、一定の金額を償却できる制度です。取得した資産が500万円以上の場合に適用され、医療機器でも利用することができます。償却限度額は「取得価格×12%」までです。
例えば500万円の歯科ユニットを購入した際には以下のような計算で計上します。
通常であれば71万円の減価償却費を131万円まで引上げて計上できるので、事業者としては利用したい制度です。特別償却の対象となる資産は、1台(もしくは1基)の価格が500万円以上である他にも条件があります。
特別償却については、国税庁のホームページでも確認できます。歯科の対象となるのは、歯科ユニット・一般撮影エックス線装置・エアタービン装置が対象です。
出典:租税特別措置法第十二条の二第一項及び第四十五条の二第一項の規定の適用を受ける機械及び装置並びに器具及び備品を指定する件|国税庁
ここでは、歯科医院でよく使う医療機器などを項目別に一覧としてまとめました。
歯科ユニット | 7年 |
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パノラマX線装置 | 6年 |
エックス線装置 | 6年 |
術者用椅子 | 7年 |
無影灯 | 7年 |
歯科用スピットン | 7年 |
フリーアーム | 7年 |
自動現像機 | 6年 |
バキューム | 7年 |
コンプレッサー | 7年 |
超音波洗浄器 | 4年 |
高圧滅菌器 | 4年 |
乾燥滅菌器 | 4年 |
顕微鏡 | 8年 |
口腔内カメラ | 5年 |
キャビネット(木製) | 8年 |
キャビネット(金属製) | 15年 |
電気メス(手術機器) | 5年 |
超音波スケーラ | 6年 |
低周波治療器 | 6年 |
レーザ治療器 | 6年 |
顎関節写真撮影用補助装置 | 6年 |
咬合力測定装置 | 5年 |
電気エンジン | 7年 |
高速タービン | 4年 |
タービン用ハンドピース | 7年 |
歯髄診断機 | 10年 |
イオン導入装置 | 10年 |
真空吸引装置 | 7年 |
酸素吸入装置 | 5年 |
歯面清掃器 | 10年 |
光重合器 | 5年 |
超音波根管拡大洗浄器 | 6年 |
咀嚼筋電気刺激装置 | 6年 |
咬合器(平均値) | 5年 |
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咬合器(半調節) | 10年 |
歯科技工用電気レーズ | 10年 |
歯科技工用高速レーズ | 10年 |
リングファーネス | 10年 |
高周波真空加圧鋳造器 | 10年 |
歯科技工用エンジン | 10年 |
超音波洗浄器 | 10年 |
スチームクリーナ(歯科用蒸気洗浄器) | 10年 |
ダストキューブ(集塵装置) | 10年 |
サンドブラスター | 10年 |
歯科技工用重合器 | 10年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 39年 |
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ブロック造・れんが造・石造 | 36年 |
木造作り | 24年 |
木造・合成樹脂造 | 17年 |
木造モルタル建物 | 15年 |
鉄骨造り 3~4ミリ | 24年 |
鉄骨造り 3ミリ以下 | 17年 |
塀(石造) | 35年 |
塀(コンクリート造) | 15年 |
塀(木造) | 10年 |
屋上看板(主として金属製のもの) | 20年 |
屋上看板(その他) | 10年 |
内装(賃借物件) | 賃借期間(または概ね10年から15年が一般的) |
内装(所有物件) | 建物の耐用年数と同じ |
電気設備 | 15年 |
衛生設備 | 15年 |
給排水・衛生設備・ガス設備 | 15年 |
ボイラー・暖房(スチーム)・通風設備 | 15年 |
冷暖房設備(冷房機の出力が22kw以下) | 13年 |
冷暖房設備(上記外) | 15年 |
ガス設備 | 15年 |
給排水設備 | 15年 |
消火・災害報知設備 | 8年 |
アーケード・日よけ設備(主として金属製のもの) | 15年 |
アーケード・日よけ設備(その他) | 8年 |
自動ドア | 12年 |
袖看板( 主として金属製のもの) | 18年 |
袖看板(その他) | 10年 |
応接セット(待合室など、接客業用外) | 8年 |
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室内装飾品(木製など、金属外) | 8年 |
カーテン | 3年 |
カーペット | 6年 |
冷暖房機器 | 6年 |
瞬間湯沸器 | 6年 |
空気清浄器 | 6年 |
換気扇 | 6年 |
インターホン | 6年 |
エアータオル | 6年 |
時計 | 10年 |
ラジオ・テレビ・テープレコーダー | 5年 |
環境音楽装置 | 6年 |
事務机・椅子・キャビネット(主として金属製のもの) | 15年 |
事務机・椅子・キャビネット(その他) | 8年 |
電話器(内線用) | 10年 |
ビジネスフォン | 6年 |
電子計算機(パソコン外) | 5年 |
パソコン(サーバ用外) | 4年 |
金庫(手さげ) | 5年 |
金庫(その他) | 20年 |
冷蔵庫、電気洗濯機 | 6年 |
電気掃除器、床磨器 | 6年 |
複写機・計算機・金銭登録機 | 5年 |
タイムレコーダー | 5年 |
スタンド看板 | 3年 |
広告灯 | 3年 |
乗用自動車 | 6年 |
2輪・3輪自動車 | 3年 |
自転車 | 2年 |
耐用年数は、事業計画策定や確定申告など運営に関わる手続きの際に必要です。減価償却をうまく利用すれば、所得から差し引くことができます。定められた年数の間は税額負担を減らせるので、節税対策が可能です。
ただし、これは税金上だけのもので実際の資金状況は違っている場合がほとんどでしょう。耐用年数についても、国で定められた期間よりも長く使えた…なんてこともあります。いずれにせよさまざまな事態を想定して、長期的な設備の入れ替え計画を立てておくのが安心です。
歯科の診療に必要不可欠な歯科ユニットの法定耐用年数は、7年と定められています。この耐用年数を資産の取得金額で割った金額は、減価償却として計上が可能です。さらに国から指定され、かつ500万円以上する資産については特別償却も利用できます。
法定耐用年数はさまざまな資産にあてはめられており、税金を減らす非常に有効な手段です。しかし、実際の資産消耗は計算通りにはいきません。不測の事態でも安心できるよう、資産の入れ替え計画は長期目線で立てておくことをおすすめします。
歯科ユニットの価格については歯科ユニットの価格はいくら?製品比較や価格を抑える方法も解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。