歯科ユニットの耐用年数は?その他医療機器と合わせて一覧表で解説

更新日 2024.04.09
投稿者:横山 洋介

歯科ユニットの耐用年数は7年です。そもそも耐用年数とは、国が定めた対象資産を使用できる期間のことを指します。では、この耐用年数は中古の場合でも同じように適用されるのでしょうか。

この記事では、耐用年数についての解説や歯科医院でよく使う機器で定められた期間を一覧表でまとめています。同時に、医療機器の特別償却についても解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

歯科ユニットの耐用年数は7年

前述した通り、歯科ユニットの耐用年数は7年と定められています。減価償却は資産取得にかかった費用を耐用年数で分割して計上するのが一般的です。例えば300万円の歯科ユニットであれば、次のように計算します。

300万円÷7年(耐用年数)=約43万円

この式で出た43万円を、1年ごとに7年間減価償却していくのです。実際の計算では定額法や定率法があてはめられる場合がありますが、今回は省略します。資産ごとの耐用年数についてはこちらでも確認可能です。

出典:耐用年数(器具・備品)(その2)|国税庁

中古で歯科ユニットを導入した場合の耐用年数は?

国で定めている耐用年数ですが、あくまで新品で資産を取得した場合のみに該当します。そのため、中古で導入した際には別の計算方法が用いられるのです。もし前回からの使用履歴が分かれば、導入後の使用可能期間も簡単に見積もることができるでしょう。

しかし、実際には使用履歴が分からないことの方が多く、その場合には次の計算式によって耐用年数を決定します。

法定耐用年数の一部を経過した資産を中古で取得した場合
( その資産の法定耐用年数 - 経過年数 ) + ( 経過年数 × 20% )=中古資産の耐用年数

また、耐用年数が全て経過した資産を中古で取得した場合には次の計算式をあてはめます。

・法定耐用年数の全部を経過した資産を中古で取得した場合
その資産の法定耐用年数 × 20% =中古資産の耐用年数

計算の結果、1年未満の端数が生じた場合は切り捨てて計上します。ただし、耐用年数が2年未満の場合は2年として切り上げるルールです。中古資産における耐用年数の算出は、その資産を導入した年のみで行えます。

最初の年で計算しなかった場合、以降の年では計上することができないので十分注意しましょう。

そもそも耐用年数とは?

耐用年数とは、対象の資産を問題なく使用できると国税庁が定めた期間のことです。設備の種類ごとに年数は異なり、それに沿って企業は資産を減価償却していきます。ここで注意したいのが、実際に使用できる期間との差が生じやすいという点です。

減価償却で使用する法定耐用年数は、購入費用を分割して計上できるのが特徴です。減価償却がないと購入年に大きな費用を計算しなければならないため、場合によっては利益が出ない恐れがあります。

実際は長年使用する資産なので、この状態では正しい利益を算出することはできません。耐用年数があることで高額な資産を分割して計上し、毎年の損益を正しく計算することができるのです。

法定耐用年数は、資産によって細かく決められています。正しい年数については国税庁のホームページで調べましょう。

出典:法定耐用年数|国税庁

医療機器の特別償却

特別償却とは、高額な機器を取得した事業年度に通常の減価償却に加えて、一定の金額を償却できる制度です。取得した資産が500万円以上の場合に適用され、医療機器でも利用することができます。償却限度額は「取得価格×12%」までです。

例えば500万円の歯科ユニットを購入した際には以下のような計算で計上します。

通常の減価償却:500万円×7年(法定耐用年数)=約71万円
特別償却:500万円×12%(償却限度額)=60万円
71万円+60万円=131万円

通常であれば71万円の減価償却費を131万円まで引上げて計上できるので、事業者としては利用したい制度です。特別償却の対象となる資産は、1台(もしくは1基)の価格が500万円以上である他にも条件があります。

  • 高度な医療の提供に資するものとして厚生労働大臣が指定するもの
  • 薬事法の高度医療機器、管理医療機器、一般医療機器のうち厚生労働大臣が指定した日から2年以内のもの

特別償却については、国税庁のホームページでも確認できます。歯科の対象となるのは、歯科ユニット・一般撮影エックス線装置・エアタービン装置が対象です。

出典:租税特別措置法第十二条の二第一項及び第四十五条の二第一項の規定の適用を受ける機械及び装置並びに器具及び備品を指定する件|国税庁

その他医療機器などの耐用年数一覧

ここでは、歯科医院でよく使う医療機器などを項目別に一覧としてまとめました。

歯科医療機器の耐用年数

歯科ユニット 7年
パノラマX線装置 6年
エックス線装置 6年
術者用椅子 7年
無影灯 7年
歯科用スピットン 7年
フリーアーム 7年
自動現像機 6年
バキューム 7年
コンプレッサー 7年
超音波洗浄器 4年
高圧滅菌器 4年
乾燥滅菌器 4年
顕微鏡 8年
口腔内カメラ 5年
キャビネット(木製) 8年
キャビネット(金属製) 15年
電気メス(手術機器) 5年
超音波スケーラ 6年
低周波治療器 6年
レーザ治療器 6年
顎関節写真撮影用補助装置 6年
咬合力測定装置 5年
電気エンジン 7年
高速タービン 4年
タービン用ハンドピース 7年
歯髄診断機 10年
イオン導入装置 10年
真空吸引装置 7年
酸素吸入装置 5年
歯面清掃器 10年
光重合器 5年
超音波根管拡大洗浄器 6年
咀嚼筋電気刺激装置 6年

歯科技工用機器の耐用年数

咬合器(平均値) 5年
咬合器(半調節) 10年
歯科技工用電気レーズ 10年
歯科技工用高速レーズ 10年
リングファーネス 10年
高周波真空加圧鋳造器 10年
歯科技工用エンジン 10年
超音波洗浄器 10年
スチームクリーナ(歯科用蒸気洗浄器) 10年
ダストキューブ(集塵装置) 10年
サンドブラスター 10年
歯科技工用重合器 10年

建物・設備の耐用年数

鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 39年
ブロック造・れんが造・石造 36年
木造作り 24年
木造・合成樹脂造 17年
木造モルタル建物 15年
鉄骨造り 3~4ミリ 24年
鉄骨造り 3ミリ以下 17年
塀(石造) 35年
塀(コンクリート造) 15年
塀(木造) 10年
屋上看板(主として金属製のもの) 20年
屋上看板(その他) 10年
内装(賃借物件) 賃借期間(または概ね10年から15年が一般的)
内装(所有物件) 建物の耐用年数と同じ
電気設備 15年
衛生設備 15年
給排水・衛生設備・ガス設備 15年
ボイラー・暖房(スチーム)・通風設備 15年
冷暖房設備(冷房機の出力が22kw以下) 13年
冷暖房設備(上記外) 15年
ガス設備 15年
給排水設備 15年
消火・災害報知設備 8年
アーケード・日よけ設備(主として金属製のもの) 15年
アーケード・日よけ設備(その他) 8年
自動ドア 12年
袖看板( 主として金属製のもの) 18年
袖看板(その他) 10年

什器備品の耐用年数

応接セット(待合室など、接客業用外) 8年
室内装飾品(木製など、金属外) 8年
カーテン 3年
カーペット 6年
冷暖房機器 6年
瞬間湯沸器 6年
空気清浄器 6年
換気扇 6年
インターホン 6年
エアータオル 6年
時計 10年
ラジオ・テレビ・テープレコーダー 5年
環境音楽装置 6年
事務机・椅子・キャビネット(主として金属製のもの) 15年
事務机・椅子・キャビネット(その他) 8年
電話器(内線用) 10年
ビジネスフォン 6年
電子計算機(パソコン外) 5年
パソコン(サーバ用外) 4年
金庫(手さげ) 5年
金庫(その他) 20年
冷蔵庫、電気洗濯機 6年
電気掃除器、床磨器 6年
複写機・計算機・金銭登録機 5年
タイムレコーダー 5年
スタンド看板 3年
広告灯 3年
乗用自動車 6年
2輪・3輪自動車 3年
自転車 2年

耐用年数はどんなときに必要になる?

耐用年数は、事業計画策定や確定申告など運営に関わる手続きの際に必要です。減価償却をうまく利用すれば、所得から差し引くことができます。定められた年数の間は税額負担を減らせるので、節税対策が可能です。

ただし、これは税金上だけのもので実際の資金状況は違っている場合がほとんどでしょう。耐用年数についても、国で定められた期間よりも長く使えた…なんてこともあります。いずれにせよさまざまな事態を想定して、長期的な設備の入れ替え計画を立てておくのが安心です。

まとめ

歯科の診療に必要不可欠な歯科ユニットの法定耐用年数は、7年と定められています。この耐用年数を資産の取得金額で割った金額は、減価償却として計上が可能です。さらに国から指定され、かつ500万円以上する資産については特別償却も利用できます。

法定耐用年数はさまざまな資産にあてはめられており、税金を減らす非常に有効な手段です。しかし、実際の資産消耗は計算通りにはいきません。不測の事態でも安心できるよう、資産の入れ替え計画は長期目線で立てておくことをおすすめします。

歯科ユニットの価格については歯科ユニットの価格はいくら?製品比較や価格を抑える方法も解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。


セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n33882f74cd71

国立大学を卒業後、新聞記者として4年間勤務。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、レジの導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野はレジ関連(POSレジ、自動精算機)、ナースコール、レセプト代行。

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