【国内初】障害支援区分認定にAI活用!和歌山市とAURAの新たな試み

更新日 2026.08.28
投稿者:豊田 裕史

全国の自治体で課題となっている、障害福祉サービスの手続き作業の多さ。なかでも「障害支援区分」の認定業務は、手書きメモの書き起こしや書類作成、個人情報の黒塗りなど、手作業が多くて職員の大きな負担になっています。

こうした現場の負担を減らそうと、和歌山市と株式会社Jinがタッグを組み、認定業務にAIを活用する取り組みを始めました。政令指定都市や中核市では全国で初めてとなる試みです。

判定そのものは人が行い、書類づくりなどの事務作業をAIが助けることで、年間およそ2,000時間の作業削減を見込んでいます。この記事では、和歌山市でのAI活用の仕組みと、それを支える障害福祉AI「AURA」についてわかりやすく紹介します。

出典:株式会社Jinプレスリリース|和歌山市と障害支援区分認定業務へのAI活用に関する連携協定を締結

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目次

自治体で増える障害福祉の手続き作業

現在、全国の自治体において、障害福祉サービスに欠かせない障害支援区分の認定業務が大きな課題となっています。認定調査では、一人ひとりのお話を丁寧に聞き、状況を正しく把握することが大切です。

しかし実際の現場では、調査が終わったあとに手書きメモを文字に起こしたり、情報を整理したり、国の決まりに合わせたたくさんの書類を作ったりと、手作業の事務作業に多くの時間と手間がかかっています。

さらに審査会に出す資料を作るときは、公平さを保つために名前や通院歴などの個人情報を職員が一つひとつ手作業で黒く塗りつぶす作業まで発生しています。

福祉のニーズが多様化するなかで、こうした事務作業の多さは自治体職員の負担になるだけでなく、申請からサービスが始まるまでの待ち時間が長くなる原因にもなっています。職員が「本当に大切な市民との対話や判断」に十分な時間を使えない状況が、全国的な課題となっています。

和歌山市と株式会社Jinが進める『障害支援区分認定』のAI活用

こうした課題を解決するため、和歌山市と株式会社Jinは連携協定を結び、認定調査と審査会資料づくりにAIを活用する仕組みづくりを始めました。

ここで目指しているのは、認定の判断そのものをAIに任せることではありません。「判断は人が行い、事務作業はAIが担う」という考えのもと、調査員の判断を前提にしながら、記録や整理、書類づくりなどの事務作業をAIがしっかり支える仕組みをつくっています。

現場の作業を助けるため、具体的には次のような仕組みを取り入れています。

音声の自動要約と80項目の自動振り分け

調査のときの会話をAIが自動で要約し、国の基準にある約80の項目へ分けて整理するため、手書きメモや帰庁後の文字起こし作業が不要になります。

記入漏れ・情報確度の可視化

聞き取りが足りない項目を赤字で教えたり、情報の正確さをパーセンテージで示したりして、確認作業をスムーズに進められるようにします。

審査会資料作成と個人情報の自動黒塗り

厚生労働省の決まりに合わせた資料づくりを助けるほか、名前や通院歴などの個人情報を自動で消し込む機能も備えています。

年間約2,000時間の作業削減と対応の向上

業務削減効果

今回の取り組みにより、現場の作業時間と対応体制の両面で効果が見込まれています。和歌山市の試算によると、認定調査から審査会資料の作成までにかかっていた1件あたりの作業時間が、これまでの「約3時間30分」から「約1時間50分」へと短縮されます。

市内の対象業務(年間約1,200件を想定)にAIを導入した場合、全体で年間約2,000時間(約48%)の作業削減ができる見込みです。

手書きメモの整理や書類作成などの事務作業が減ることで、職員は一人ひとりへの確認や判断といった作業に時間を使えるようになります。また、調査の際にも相手との対話にしっかりと集中できるようになります。

事務手続きにかかる時間が短くなることで、支援を必要とする市民へ、よりスムーズに福祉サービスを届ける環境づくりにつながります。

障害福祉AI「AURA」とは?

AURA

会社名 株式会社Jin
提供サービス

今回の和歌山市との取り組みを支えているのが、株式会社Jinが提供する障害福祉AI「AURA」です。

福祉特有の業務手順や専門用語を理解したAIが、日々の記録や書類づくり、情報整理をサポート。事務作業の負担を減らし、職員やスタッフが一人ひとりとの対話や判断に集中できる環境づくりを支えています。

もともと「AURA」は、就労支援や相談支援など民間の福祉現場に特化して開発されたサービスです。これまでも就労継続支援A・B型や相談支援の事業所において、書類作成時間を大きく削減してきた実績があります。

こうした現場での実績とノウハウが基礎となり、今回の和歌山市との連携へとつながりました。株式会社Jinは「AURA」を通じて、事業所や行政をはじめとする障害福祉業界全体のAI活用を進めています。

AURA就労支援

就労継続支援A・B型や就労移行支援事業所に対応し、個別支援計画や日報作成などの書類業務を削減するAIサービスです。現場の事務負担を軽減し、利用者への支援時間を確保します。

AURA相談支援

相談支援事業所向けに開発され、面談記録やプラン作成といった書類作業の手間を減らすAIサービスです。事務の負担を抑え、相談者と向き合う時間を増やせるようサポートします。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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