2021年7月にエアアズアサービスを導入した社会福祉法人 吉祥福寿会 特別養護老人ホーム吾亦紅。その導入経緯とサービスへの期待について、理事 岩田 尚明氏、施設長 吉野 淳一氏に詳しく伺いました。
社会福祉法人 吉祥福寿会は、1997年に埼玉県蓮田市で特別養護老人ホーム「吾亦紅」、ケアハウス「すずらん苑」を開設して以来、「地域に密着した良質な福祉サービスを提供する」をモットーにサービス展開をしています。介護サービスについては、スタッフが一人ひとりの心身の状態とご希望を把握したうえでケアプランを作成。変化しやすい心身状況に合わせて適切なサービスの提供に努めつつ、施設をご利用される方々の想いを尊重し、サービスを提供しています。
さらに、スタッフ・嘱託医が連携して健康管理、急変時もスムーズに対応できるように看護師を24時間配置、個別の機能訓練計画作成、管理栄養士による食事・栄養管理、要望・苦情相談窓口の設置など、サービスを必要とされている方々が安心して生活できる環境づくりに努めています。
エアアズアサービスの導入概要をお聞かせください。
従来型のA棟とB棟、そしてユニット型のC棟からなる施設の共有スペース部の空調機を一元管理するため、エアアズアサービスを導入しました(表)。A棟とC棟はダイキン製の空調機を導入済みで、今回を機にB棟の空調機もダイキン製の空調機に変更しました。なお、入所者様の部屋には個々にルームエアコンが設置されています。
エアアズアサービス導入概況(2021年7月現在)
建物 | A棟(多床室・個室) | B棟(多床室・個室) | C棟(ユニット型) |
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サービス対象 | 共有部空調機および1階多床室(個室は除く) | 共有部空調機および多床室・個室 | 共有部空調機(個室は除く) |
契約年数 | 13年間契約 | ||
工事概要 | 1階多床室7部屋更新 iTM(intelligence Touch Manager)導入※ 更新対象空調機は故障修理費無償求 | VRV(ビル用マルチエアコン)全更新 iTM(intelligence Touch Manager)導入※ 更新対象空調機は故障修理費無償求 | iTM(intelligence Touch Manager)導入※ |
サービス内容 | フィルター清掃4回/年(全館の個室を含む)、法定フロン点検(対象空調機)、コミッショニング ✳︎ 更新対象外修理費用都度ご請求 | フィルター清掃4回/年(個室を含む)、法定フロン点検(対象空調機)、コミッショニング | フィルター清掃4回/年(個室を含む)、法定フロン点検(対象空調機)、コミッショニング ✳︎ 修理費都度請求 |
※建物内の設備を統合管理し、エネルギーマネジメント・省エネルギー制御機能も備えた総合監視盤
空調機の課題をお聞かせください。
空調機の保守・メンテナンスに課題がありました。部屋ごとのルームエアコンは、もし故障しても部屋単位で機器を交換すれば問題ありませんが、共有部分の空調機はメーカーが混在していたため、施設の空調管理やメンテナンスに大きな課題を抱えていました。
そもそも共有部分の空調機は大がかりなシステムですから、素人の我々では故障個所の特定は不可能。高価なシステムなので、簡単に機器交換というわけにもいきません。すぐ故障に気が付けばいいのですが、分かるのは暑さを感じたときで、故障からかなりの時間が経過している場合もあります。そして、お客様は高齢の方ばかりですから、夏の暑い時期に停止してしまうと大きな問題に発展してしまいます。
空調機が故障した際の修理フローにも課題がありました。施設としては待ったなしで早急に修理してもらいたいのですが、夏場の繁忙期は業者の方がすぐに駆けつけてくれるとは限りません。さらに、部品交換が必要となれば、部品を発注して交換するまでの時間もかかります。結局、1〜2週間は空調機が使えなくなり、ご利用者様に多大なご迷惑をおかけすることになってしまいます。涼しい夏に期待するばかりで、何か解決の手立てはないか思案していました。
エアアズアサービス導入のきっかけをお聞かせください。
2017年6月、東京都墨田区に特別養護老人ホーム「木下川吾亦紅」を開設した際、施工会社からの提案で空調機の一元管理が行えるダイキンのシステムを導入しました。空調機の稼働状況や故障などが一目で分かるシステムでしたので、当施設にも導入すれば懸案だった課題を解決できるかもしれないと考えました。実際、当施設B棟の空調機の改修工事に迫られていたこともあり、次の改修時の導入が良いタイミングだと思いました。
B棟の空調機は保守・メンテナンスに苦労しながらも細心の注意を払って何とか継続して使ってきましたが、使用している機器の不具合に修理では対応できない状況となってしまい、ついに入れ替えのタイミングがやってきました。その際、ダイキンエアテクノから提案されたのがエアアズアサービスでした。当施設が求めていた一元管理のシステムだったこと、サブスクリプション契約のため、資金計画に無理がないこと、プランの調整をしていただいたことなどを考慮し、エアアズアサービスの導入を決定しました。
エアアズアサービスの評価ポイントをお聞かせください。
前述した導入理由のほか、具体的な評価ポイントとしては以下の部分が挙げられます。
予兆保守で故障を未然に防げる
もっとも期待したのは、遠隔監視による予兆保守です。空調機(室内機、室外機)の稼働状況を24時間365日常時モニタリングするとのことで、とくに故障の予兆が分かる点に注目しました。しかも故障してからではなく、予兆を把握して故障する前に必要な部品を持参し、速やかに交換するなどの予防的メンテナンスにより、故障自体を未然に防ぐ仕組み。夏場の暑い時期に空調がストップしてしまうのは高齢者にとって大きな問題ですから、その部分を保証していただけるのは何よりも評価できます。
施設内の温度を一元管理できる
サスティナビリティを考えて節電に務めているのですが、夏場の暑い時期はそういうわけにいかず、現場レベルで空調機の温度設定を行ってしまうことが多々あります。そうなると、場所によって暑いところと寒いところの寒暖差ができてしまうため、余計に高齢者の体への負担が心配になってきます。
多くの業務を抱えながら、担当スタッフが日に何度も棟内すべての温度設定パネルを見て回るのは現実的ではありません。しかし、エアアズアサービスならそれぞれの棟に設置されるモニターで一元管理。室温の確認はもちろん、棟内すべての空調機の温度設定をモニターから行うことができます。
安心・信頼できるダイキン製品
C棟開設時に導入したダイキンの空調機は故障が少なく、施設内で高い評価がありました。そこで、A棟の空調機入れ替えの際にも、ダイキンを選択しました。ですので、もともとB棟の空調機を入れ替える際はダイキンと思っていました。そして今回、運よくダイキングループのエアアズアサービスを導入することができ、空調機の施工とメンテナンスが同じグループ会社になりました。施工から保守・メンテナンス、そして運用改善までワンストップでサポートしていただけることは、何にも代えがたい安心感だと思いました。
今後、エアアズアサービスには何を期待しますか。
まず、今回の導入工事で驚いたのですが、エラー信号が出ている空調機がいくつか発見されました。現在は普通に稼働していても、近い将来には故障する可能性がある予兆というもので、すぐに効果を垣間見ることができました。当施設としても今後大いに期待できると思いました。また、以下の2点にも期待しています。
トータルコストの低減
ご利用者様のホスピタリティを最優先にしつつも、運営する側としては「できるだけ運営コストを下げたい」と誰しも考えると思います。なかでも空調機は導入時のイニシャルコストはもちろん、月々の電気代、運用・保守・メンテナンスなど、常に多くの費用が発生するため、頭を悩ませる問題のひとつになっていました。
その点、サブスクリプション契約は資産に計上されませんから、イニシャルコストは大幅に削減できます。しかも、13年間までは故障した際の修理費が不要で、さらに年4回のフィルター清掃(個室も含む)、フロン点検なども月額サービス料金に含まれています。空調機の機器の故障修理費に関わるコスト問題に向き合う必要がなくなったのは助かります。
長期的なエネルギーマネジメント
電気代については、これまではいろいろと節電対策を練って月々の費用を抑える努力をしてきました。しかし、可視化できていたわけではありませんから、どこに注力すべきか手探り状態でした。その点、エアアズアサービスは室外機・室内機の運用時のエネルギーマネジメントに必要な運転データを蓄積してレポート化してくれます。可視化されたレポートを分析するコミッショニングにより、プロの目線から節電につながる運用改善コンサルティングを実施するとのことで、当施設としては大いに期待しています。