非常用発電機とは?|基礎知識から補助金、定番メーカーまで総合的に解説!

更新日 2024.07.01
投稿者:豊田 裕史

近年、記録的豪雨や大規模な地震が頻発しており、BCP対策の重要性が叫ばれています。災害時の停電に備えて、非常用発電機の導入を検討する医療機関や介護施設が増えているのはご存知でしょうか。

今回は、非常用発電機の必要性や仕組み・導入価格・点検やメンテナンスにかかるランニングコストを総合的に解説します。導入のポイントや導入事例も紹介するので、ぜひ参考にして下さい。

この記事でわかること
  • 非常用発電機とは何か?
  • 非常用発電機導入時のポイント
  • 非常用発電機の定番メーカー・業者
非常用発電機導入でこんなお困りではありませんか?
  • 非常用発電機を導入したいが、メーカーのページに価格情報が書かれていない
  • 予算の範囲内で購入できそうな製品を知りたい
  • 時間がないため複数メーカーの製品情報を一度に知りたい
業界に精通したコンシェルジュが、希望条件をお伺いし、ピッタリな非常用発電機を厳選してご案内。時短&手間ナシで情報収集が可能です。価格帯や各社の特徴などのご質問にもお答えします。
コンシェルジュに相談(無料)

この記事は2024年6月時点の情報に基づいて編集しています。

目次

非常用発電機とは?

非常用発電機とは、災害や事故の発生により施設への電力供給が止まってしまった場合に稼働して、電力供給を行う機材です。

この項では、非常用発電機の設置義務に関連する法令や、仕組みと2つのタイプ、耐用年数などの基本的な内容を解説します。

非常用発電機の役割

大規模な地震や大雨等の災害によって医療機関や介護施設で停電が起きた場合、施設の利用者には多大な影響があります。第一に停電により医療機器が使用できなくなると、命の危険につながります。また夏場にエアコンが利用が出来なくなり、利用者が熱中症になったというニュースも珍しくありません。

そのような事態を防ぐため、緊急時に電力を供給するのが非常用発電機の役割です。

設置は法令で義務付けられているのか?

以下の条件を満たす施設は、国によって非常用発電機の設置が義務付けられています。設置を義務づけている法令と対象施設は次のとおりです。

法令名 対象施設
消防法 消防用設備を備える、延べ床面積1,000㎡以上の病院や商業施設、オフィスビル
建築基準法 防災設備(非常用の照明装置、排水装置、防火戸・防火シャッター、排煙設備、可動防煙壁など)を有する施設

法令で設置が義務付けられていない場合でも、生命維持管理装置や吸引器等の医療機器の非常用電源として、自主的に設置している医療機関や介護施設が多いです。

非常用発電機の仕組み

非常用発電機は、燃料を用いてエンジンを動かし電気を発生させます。発電に使う燃料は以下のように、さまざまなものがあります。

  • ガソリン
  • 軽油
  • 灯油
  • 重油
  • LPガス
  • 天然ガス

非常用発電機は、エンジンのタイプによって大きく2つに分類されます。詳しく見ていきましょう。

2つのタイプとメリット・デメリット

非常用発電機は、「ディーゼルエンジン非常用発電機」と「ガスタービン非常用発電機」の2タイプがあります。それぞれのメリットデメリットは次のとおりです。

タイプ メリット デメリット
ディーゼルエンジン 機種が豊富で安価
燃料が低い
メンテナンスが簡単
発電効率が良い
エンジン自体が大きく重いため移動が困難
ラジエーターが必要
騒音や振動が大きい
排煙が多くクリーンでない
ガスタービンエンジン 軽量コンパクトで省スペース
多様な燃料に対応
騒音が小さく低振動
排煙が少なく排気がクリーン
冷却水不要
高価な耐熱性材料が必要なため本体が高額
燃料が高単価
吸排気風量が大きく排風口は場所を選ぶ
メンテナンス業者が限られるため費用が高額
発電効率がやや悪い

耐用年数について

非常用発電機の耐用年数は、「法定耐用年数」と「国土交通省官庁営繕所基準の耐用年数」の2種類があります。

法定耐用年数は15年
法定耐用年数は、帳簿上で減価償却が認められている期間です。

国土交通省官庁営繕所基準の耐用年数は30年
こちらの耐用年数は、修繕を繰り返しながら実際に使用できる年数の基準です。

減価償却ができるのは15年、実際に使用できるのは30年と覚えておきましょう。

非常用発電機のニーズはなぜ高まっているのか

次に、非常用発電機のニーズがなぜ高まっているのか、その背景と理由を確認しておきましょう。近年頻発する自然災害と介護報酬改定の側面から解説していきます。

頻発する自然災害とBCP対策

近年、過去に例のないような自然災害が発生し、それに対する対応が報道されるようになりました。

令和元年に千葉県で死者13人を出した大雨(令和元年10月25日の大雨 - Wikipedia)や、令和2年に熊本県をはじめ死者84人など日本各地で大きな被害を出した令和2年7月豪雨(令和2年7月豪雨)などが記憶に新しいところです。また、令和元年に千葉県を襲った台風15号では、災害時の停電による痛ましいニュースもありました。

参考:停電の特養入所の82歳死亡 冷房使えず熱中症か 君津:朝日新聞デジタル

このような災害や犠牲となった方が報道されるたびに、介護施設などでのBCP対策への関心が高まっています。

介護事業所のBCP策定義務化

このような中、厚生労働省は2021年4月に「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」で、2024年までの介護業でのBCP策定が義務づけています。

具体的には、介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドラインで、「介護サービスは、要介護者、家族等の生活を支える上で欠かせないものであり、昨今大規模な災害の発生がみられる中、介護施設・事業所において、災害発生時に適切な対応を行い、その後も利用者に必要なサービスを継続的に提供できる体制を構築することが重要です。」と述べられています。また、このガイドラインの中では、電気が止まったときの対策として自家発電機の設置についても触れられているのが特徴です。

このため、非常用電源の確保のため非常用発電機の導入が増えており、導入に対する補助金・助成金の制度も創設されています。

国や自治体は、策定されたBCP計画を実践するために、必要な物品・設備等の導入に対し、経費の一部を助成する補助金・助成金を出しているのです。 詳細については後ほど解説します。

なお、令和2年3月に発行された一般社団法人 日本総合研究所の「高齢者施設への非常用自家発電設備等の導入に関する調査研究事業報告書」によれば、BCPの策定率は回答施設・事業所全体では25.1%に留まっています。

非常用発電機にかかる費用は?

非常用発電機にかかる費用については、家庭用から大工場用まで規模によってもバラツキが大きいので、この項では医療機関や介護施設での導入を前提に解説します。

導入時にかかる費用

医療機関や介護施設で導入する費用は、本体価格と工事費用の相場で150万円〜250万円となっています。

ディーゼルエンジンの発電機は、もっとも普及しているタイプであり機種も豊富です。価格の幅は、小型のもので数十万円から、大型のものでは1,000万円近くなることもありますが、150〜250万円くらいのものが多くみられます。

ただし、ここに挙げたのはあくまでも相場であり、実際は導入する発電機の規模・発電量によって異なるので、詳細は導入事業者への確認が必要です。

保守・メンテナンスにかかる費用

非常用発電機の費用には、保守やメンテナンスにかかる費用も必要となります。点検にかかる費用の目安は15万円〜50万円です。

非常用発電機は、消防法により半年に1回と年に1回の点検が義務づけられていますが、点検のほかにも実費で燃料タンクや配管・フィルター等、燃焼系統の消耗品の交換費用がかかることがあります。

非常用発電機の定番メーカー


エネサーブ株式会社

エネサーブ株式会社

出典:エネサーブ株式会社 https://www.eneserve.co.jp/

エネサーブ株式会社は総合エネルギー企業として電気設備のメンテナンス事業から再生エネルギー、脱炭素・省エネルギー等の事業も展開しています。

発電設備事業ではこれまで全国7,000台以上の設置実績があります。停電時にお客様のどの設備に優先的に電力供給を行うべきかニーズに合わせた適切な設備と容量、回路設計提案を行っています。

非常用発電設備は22kVAから3,750kVAの機種を取り扱っています。蓄電池だけではカバーできない大きい容量をカバーすることも可能です。

エネサーブ株式会社の比較ポイント

  • 全国7,000台以上の発電設備設置実績あり
  • 22kVAから3,500kVAまで対応可能
  • 導入後のメンテナンス等のサポート体制も充実

三友工業株式会社

三友工業株式会社

出典:三友工業株式会社 https://www.sunyou.co.jp/

三友工業株式会社は非常用発電機の設置からメンテナンス、付随する機器を扱っています。50年以上の歳月で培ったメンテナンス技術で迅速、確実にトラブルを解消します。

災害発生時に必要不可欠な非常用発電機の納入実績は多数あり、公共機関から一般企業まで幅広く対応しています。

各種設計から申請書類の作成までも対応しているので、非常用発電機設置の際の官公庁への書類の申請届出もご安心下さい。

三友工業株式会社の比較ポイント

  • 正確で低コスト、短納期の製図を実現
  • 各種届出書類の作成
  • 50年以上の歳月で培われた確かなメンテナンス技術

日本テクノエンジ株式会社

日本テクノエンジ株式会社

出典:日本テクノエンジ株式会社 https://www.nt-e.jp/

日本テクノエンジ株式会社は電気設備や省エネ機器の工事・メンテナンスを中心としてサービスを展開している企業です。

専門的な知識、経験・技能を有した技術者によるメンテナンスを実施しております。発電設備を長く使えるようにメンテナンスサポートを行っています。

日本テクノエンジ株式会社

  • 防災用からBCP対策幅広く提案可能
  • バッテリー交換や機器本体の更新も対応可
  • 法定点検や各種メンテナンスにも対応

ヤンマーエネルギーシステム株式会社

ヤンマーエネルギーシステム株式会社

出典:ヤンマーエネルギーシステム株式会社 https://www.yanmar.com/jp/about/company/yes/

非常用発電機の国内シェアは約40%とトップを誇り、瞬時の停電も許されない学校や病院・ホテル・ビル・地下街にも使用されています。

ヤンマーの製品は、自動操作や自動並列運転・無停電電源装置など最新の技術をフルに搭載しており、高い信頼性を確保しているのが特徴です。

生産工場は「ISO9001」に加え、一般社団法人日本内燃力発電機設備協会の認定工場でもあり、品質で業界をリードしています。

また、メンテナンス網も強みです。不具合にすぐ対応できるメンテナンス網です。当社商品の修理が可能な協力会社は220社を超えており、日本全国どこでも迅速な対応が可能です。

ヤンマーエネルギーシステム株式会社の比較ポイント

  • 生産工場は「ISO9001」に加え、日本内燃力発電機設備協会の認定工場でもあり、品質で業界をリード
  • 全国にメンテナンス網
  • 非常用発電機の国内シェアは約40%とトップ

ニシハツ

ニシハツ

出典:ニシハツ https://nishihatsu.co.jp/

デンヨーの100%子会社で、デンヨーグループとしての国内シェアは約2割で東京電機と2位を争っています。 佐賀県唐津市の小さな町工場からスタートし、現在も本社を置いています。

数多くの経験と実績を活かし、ISO 9001による品質保証に基づいた発電機・制御システムやディーゼルエンジンも長年の実績があるものを採用し、高い信頼性を獲得。

マイコン制御の全自動コントローラ(GAC)を標準で搭載したり、タッチパネルを採用したりすることで、操作性も一段とアップします。

また、メンテナンス時に必要な運転履歴や故障履歴が確認できるので、トラブル時に的確な修理が可能です。

ニシハツの比較ポイント

  • デンヨーの完全子会社
  • 本社を置く佐賀県唐津市の小さな町工場からスタート
  • OEM供給するデンヨーの設置台数を加えた設置台数はシェア2割で業界第2位

東京電機

東京電機

出典:東京電機 https://www.tokyodenki.co.jp/

関東地方の設置台数のシェアは約40%と関東1位の実績があります。全国シェアではデンヨーグループと2位を争っている会社です。

1920年の創業以来、経験と実績を積み重ねており、非常・防災用発電機および発電装置の設計・製造・据付・メンテナンスまで行い、(一社)日本内燃力発電設備協会認証の非常用発電装置で責任を持った対応を行うのが特徴です。つくば研究学園都市内のテクノパーク桜地内に立地しており、めぐまれた技術環境で、永年蓄積された伝統とノウハウをベースに製品開発を進めています。

製品ラインナップは容量も3.5kVAから2,000kVAをとりそろえており、常用発電装置や非常用発電装置・コージェネレーション等を生産しています。

東京電機の比較ポイント

  • 関東地方の設置台数のシェアは約40%と関東1位の実績
  • 全国シェアではデンヨーグループと2位を争っている
  • 容量も3. 5kVAから2,000kVAをとりそろえて、常用発電装置や非常用発電装置・コージェネレーションまでのラインナップ

非常用発電機の補助金・助成金について

非常用発電機の補助金・助成金には、国からのものと各自治体が独自に公募しているものがあります。ここで紹介するのは、そのうち代表的なもの2つです。

災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金

国からの補助金・助成金では、経済産業省の災害に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業補助金を紹介しましょう。

補助金の概要は、発電機の導入に対し医療法人や福祉施設は補助率が1/2、補助金交付限度額は5,000万円(税抜)までとなっています。令和6年度の公募期間は3月で終了しています

参考:災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金について

BCP実践促進助成金

地方自治体の補助金・助成金では、東京都の中小企業向けの制度である、公益財団法人 東京都中小企業振興公社の補助制度を紹介します。

緊急時用の自家発電装置や蓄電池が対象で、補助率は中小企業者等が助成対象経費の1/2以内、小規模企業者であれば2/3以内。助成上限額は1,500万円(下限額10万円)です。補助金制度の詳細はこちらをご覧ください。

参考:令和4年度 BCP実践促進助成金 申請案内

非常用発電機の点検・メンテナンスについて

非常用発電機は、導入して終わりではありません。適正な点検をしないと万が一の際に作動しない可能性があります。

東日本大震災の際には、作動しなかった非常発電機の41%が整備不良であり、始動後異常停止したものが27%というメディアの報道が注目されました。

1000㎡以上の建物は毎年の点検が義務

消防法では、非常用発電機の設置が義務付けられている1000㎡以上の建物は、毎年の点検も義務付けられています。

点検には、半年に1回の機器点検や1年に1回の総合点検に加えて、負荷運転及び内部監察等があります。機器点検と総合点検の点検基準は、次のとおりです。

機器点検(半年に1回) 1.設置状況
2.表示
3.自家発電装置
4.始動装置
5制御装置
6.保護装置
7.計器類
8.燃料容器等
9.冷却水タンク
10. 排気筒
11. 配管
12. 結線接続
13. 接地
14. 始動性能
15. 運転性能
16. 停止性能
17. 耐震措置
18. 予備品等
総合点検 (1年に1回) 1.接地抵抗
2.絶縁抵抗
3.自家発電装置の接続部
4.始動装置
5.保護装置
6.負荷運転または内部観察等
7.切替性能

出典:消防法の点検にまつわるリーフレット

負荷試験または内部監察等について

負荷試験とは、漏油や異臭・不規則音・異常な振動・発熱等がなく、運転が正常であることを確認する試験です。実負荷試験や模擬負荷装置等により、定格回転速度及び定格出力の30%以上の負荷で必要な時間連続運転を行い確認すると定められています。

負荷試験は1年に1回の実施が義務付けられていましたが、2018年6月の点検方法の改正により変更されています。運転性能の維持に係る予防的な保全策が講じられている場合は、負荷試験及び内部監察等の点検周期は6年に1回と延長されました。

負荷試験には次の2つがあり、法律上はどちらの方法でも問題はありません。

  • 実負荷試験
  • 模擬負荷試験

それぞれのメリットとデメリットをまとめると次のようになります。

方法 メリット デメリット
実負荷試験 非常時に電力を供給する設備を実際に稼働させて負荷をかける方法 試験の際に施設内の設備を稼働させて負荷をかけるため、各設備が正常に稼働するかを同時に点検ができる 施設の停電、もしくは瞬停が発生する
負荷率が安定しない
大人数での対応が必要となるため、試験費用が高価になる
模擬負荷試験 非常用発電機は施設内の設備の系統を一時的に切り離し、専用の模擬負荷装置を繋げて負荷をかける試験方法 施設の停電が発生しない
模擬負荷試験なので、負荷率が安定する
消防法で定める負荷試験以上の対策が可能
人員配置は最低2名で可能
各設備の点検は別で行う必要がある

負荷試験では、商用電源を停電させないと実負荷による点検が出来ない場合があります。また、発電機の設置場所により疑似負荷装置の設置が出来ず、模擬試験が出来ない場合もあります。これらの問題を解消する為に、負荷運転に代わる内部監察*等が2018年6月の点検方法の改正で登場しました。

(注)内部監察とは、部品を分解することによって発電機エンジン内部のコンプレッサーやタービン・シリンダなどを内視鏡または目視で点検を行う方法です。 潤滑油や冷却水は、メーカーの公表する指定値範囲であるかどうかも検査します。

参考:消防法の点検にまつわるリーフレット

非常用発電機を導入する際のポイント

高額な導入費用と、点検・メンテナンスでランニングコストがかかる非常用発電機は、どのメーカーの製品を選ぶかが重要です。

導入の際には、説明が明確で詳細か、導入後のサポートが手厚いかなどといった点に気を付けるべきでしょう。

また、メーカーに任せきりにならないよう、必要な事前知識を身に付けることも大切です。最低限押さえておきたい3つのポイントを紹介します。


補助金・助成金情報に詳しいメーカーを選ぶ

非常用発電機は、これまで述べた「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金」や「BCP実践促進助成金」以外にも、補助制度があります。事業所の所在地や事業内容によって使える補助制度は異なり、情報収集の難易度は高めです。

メーカーを選ぶ際には導入実績と同時に補助金利用の実績も重視しましょう。どのような補助金を受けられるのか、申請書の作成を支援・代行してくれるのかも問い合わせてみましょう。

事前に必要な電力量を想定する

非常用発電機の想定用途は、照明や非常用コンセント・通信手段・冷暖房・給水設備・エレベーターのほかに、医療機関や介護施設であれば、医療機器やナースコールなど多岐に渡ります。

そのなかから非常時に必要な機器を選定して消費電力のトータルを計算し、対応した発電容量を備えた非常用発電機を選ぶことが大切です。


電気機器の消費電力と起動電力

ここでは、電気機器ごとの消費電力と起動電力を表で紹介します。必要電力数は、使用する機器の起動電力を足し合わせることで計算できます。計算の際には、必要電力数は「起動電力」を確認するのがポイントです。

消費電力の1倍=起動電力
電気機器 消費電力(W) 起動電力の目安(W)
フロアライト 50 50
ノートパソコン 200 200
テレビ(37型) 300 300
電気ポット 1,000 1,000
ハロゲンヒーター 1,000 1,000
複合機 1,200 1,200
家庭用炊飯器 1,300 1,300
ホットプレート 1,300 1,300

消費電力の1.1〜1.2倍=起動電力(目安)
電気機器 消費電力(W) 起動電力の目安(W)
家庭用扇風機 50 100
電子レンジ 1,000 1,800

消費電力の2.1〜4倍=起動電力(目安)
電気機器 消費電力(W) 起動電力の目安(W)
家庭用冷蔵庫(小型) 100 400
家庭用冷蔵庫(大型) 250 1,000
エアコン(12畳用) 1,200 2,200

引用:高齢者施設への非常用自家発電設備等の入に 関する調査研究事業 報 告 書

使用する燃料を前もって検討しておく

発生した災害の規模によっては、復旧まで時間がかかるケースがあります。発電機を長時間にわたり運転するには、多くの燃料が必要となります。燃料の備蓄には消防法の規制があることに加え、燃料によって保存期間や価格が異なるため、どの燃料を選定するか検討すべき点が多いです。

おすすめの選定方法として、すでに施設内の他用途で利用している燃料を選ぶことがよいでしょう。浴室給湯でLPガスを利用していたり、ディーゼル車や除雪車に軽油を使っていたりする場合は、それに合わせた燃料を選択すると無駄が生じません。

また、導入の際に利用する補助金の条件に、使用する燃料の制約がないかも念のため確認しておきましょう。

非常用発電機の導入事例

それでは、実際に介護施設への導入事例を見てみましょう。

介護老人保健施設 都筑ハートフルステーション(神奈川県横浜市)


施設の概要と導入した発電機の概要

都筑ハートフルステーションは、2001年10月に一般棟60床・認知症専門棟40床・計100名の受け入れが可能な介護老人保健施設として開設しました。横浜市で初めて、グループホームを併設する老健施設です。

今回、連続稼働時間が72時間と長い非常用LPガス発電機「RAYPOWER 3kVA」を導入しました。


既存の発電機の問題点

停電になったとき動作を確保したいのは、照明機器や通信機器・介護用機器でした。これまで当所で設置していたディーゼル発電機では、稼働時間は4時間しか持ちません。これでは決して十分とは言えませんので、長い時間稼働する発電機が必要だと考えていました。

また、災害時には入居者様のケアが優先されるので、発電機のスイッチを入れることすら余裕がありません。夜間や休日だったらもっと深刻でしょう。


新しい発電機の決め手

今回導入した非常用LPガス発電機「RAYPOWER 3kVA」は、連続稼働時間が72時間と3日間もの時間を稼いでくれて、また停電すると約40秒以内に自動で起動する機種でした。入居者様の安心・安全が確保できたと感じています。

さらに、発電機が小型軽量な点も大きな魅力で、「洪水浸水 想定区域」に立地する当施設では、1階ではなく2階に2台設置できました。発電機が稼動する際の音と振動が小さいため、まったく問題ありません。


新しい発電機で何が変わった

発電機を2台導入したことで、長時間の電力が供給できる施設になりました。災害が無いのが一番ですが、入居者様に安心安全の提供をし、万全の対策をとることは私たちの使命だと思っています。

引用:連続稼働時間 72 時間のレイパワー製発電機導入で、災害時も入居者様に安心していただける施設に

まとめ

近年頻発する自然災害によりBCP対策の重要性が高まり、非常用発電機の導入をする施設は増加傾向にあります。導入のために国や自治体で助成制度を設けていることも後押ししています。
非常用発電機を選ぶポイントは次の3つでした。

  1. 補助金・助成金情報に詳しいメーカーを選ぶ
  2. 事前に必要な電力量を想定する
  3. 使用する燃料を前もって検討しておく

人の命を預かる医療機関・介護施設にとって、非常用発電機について理解を深めておくことは大切でしょう。今回の記事が、非常用発電設備の導入を検討する際の参考となれば幸いです。

非常用発電機導入でこんなお困りではありませんか?
  • 非常用発電機を導入したいが、メーカーのページに価格情報が書かれていない
  • 予算の範囲内で購入できそうな製品を知りたい
  • 時間がないため複数メーカーの製品情報を一度に知りたい
業界に精通したコンシェルジュが、希望条件をお伺いし、ピッタリな非常用発電機を厳選してご案内。時短&手間ナシで情報収集が可能です。価格帯や各社の特徴などのご質問にもお答えします。
コンシェルジュに相談(無料)

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

PAGE TOP