従業員が働いた分の給与を給料日がくる前に振り込む、「給与前払いサービス」が近年注目されています。給与をすべて使って生活費に困ったり、冠婚葬祭などで急にまとまったお金が必要になったりする従業員もいらっしゃるでしょう。
サービス導入で、「従業員の定着率を向上させる」「企業への応募数を増やす」といったメリットが企業にもあります。しかし、どの給与前払いサービスを選んでいいのかわからず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、給与前払いサービスについて解説しつつ、選び方や比較ポイントを徹底解説します。給与前払いサービス選びで失敗したくない方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
給与前払いサービスとは、従業員が働いた分の給与を給与日がくる前に振り込むことができるサービスです。
働き方の多様化に向けた取り組みや福利厚生の一環として、給与前払い制度を導入する企業も増えています。従業員は、旅行や冠婚葬祭などで急にまとまった金額が必要になる場合もあり、ニーズも高いです。
また、給与前払い制度を導入している企業は、求人においても人気で、従業員の満足度や定着率も向上するでしょう。しかし、給与前払い制度を自社対応で導入すると、給与計算や手続きなどで人事や経理担当者の負担が大きくなってしまいます。
給与前払いサービスの導入によって、担当者の負担軽減、応募数の増加や従業員の定着力アップにつなげることができるのです。
ここでは、給与前払いサービスを選ぶ上でのポイントを下記の5つご紹介します。
一つずつ見ていきましょう。
給与前払いサービスには大きく分けて、「立替払い」と「自社払い」の2種類があります。
立替払いは、給与前払いサービス会社が前払い資金を立て替えてくれるため、企業が準備金を用意する必要はありません。従業員が前払い制度を利用する場合、従業員は申請額に対して3〜6%程度の手数料を負担する必要があります。さらに別途で振込手数料も発生するため、従業員側の負担額が大きくなるのが特徴です。
一方の自社払いは、企業が前払い資金を用意する必要があり、導入・運用費用なども負担します。企業負担となる分、従業員にかかる手数料の負担が減る場合が多いです。
そのため、自社の予算や従業員の利用傾向を見ながらサービスを選択すると良いでしょう。
給与前払いサービスを導入するにあたり、企業が運用しやすいシステムであるかは重要です。
給与前払いには従業員の勤怠データが必要になり、勤怠管理や給与計算システムとの連携は不可欠になるでしょう。勤怠データを連携できないサービスの場合、手動でデータを取り込む必要があり、手間がかかってしまいます。
基本はAPI/CSVによるデータ連携ですが、無料で簡易勤怠ツールを提供している会社もあります。
給与前払いサービスは、銀行振込やATM出金の方法を採用している場合が多いです。そのため、受取口座に指定があるかないかで、従業員にかかる負担が変わります。
振込口座に指定がある場合、その指定された口座を保有していない従業員は、新たに口座開設する手間がかかるでしょう。振込口座に指定がないサービスを選べば、従業員が普段利用している口座に振り込むことができます。
他にも、24時間365日、近くのATMで直接給与の受取が可能になる、口座開設を必要としないサービスもあります。
従業員にとって簡単、かつ使いやすいサービスでなければ意味がないでしょう。緊急でまとまったお金が必要でも、振込までに時間がかかるサービスは使いやすいとはいえません。
そのため、急いでいるときに申請から振込までにかかる時間が短く、即日振込が可能なサービスもあります。スマホからの申請に対応し、専用アプリで直感的に操作できるサービスは、利用者満足度も高いです。
給与前払いサービスの導入前に、従業員にとって使いやすいかをあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
ほとんどの給与前払いサービス会社は、利用者へのサポート体制があります。しかし、サービス会社によって、サポート内容も大きく異なるでしょう。
万が一、従業員がサービス利用時のトラブルで困ったときに、自社に問い合わせる体制だと手間がかかります。そのため、サービス会社がコールセンターを設置しているかの確認は重要です。
また、リテラシーに応じて、スマホ操作だけでなく、電話申請ができるサービスがあると利用者は安心と言えます。
ここでは、給与前払いサービスの「立替払い」5選をご紹介します。
CRIAはセブン銀行ATMと連携しているので、前払い申請後にリアルタイムで現金を受け取ることができます。
導入費用・月額費用の負担がなく、従業員が払う手数料も業界最安水準で、利用しやすくなっています。
実際にCRIAを導入した企業では、応募からの就業率が10%以上も向上し、利用した従業員からも好評のようです。
CRIA(クリア)の比較ポイント
製品情報
導入費用 | 無料 |
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月額費用 | 無料 |
利用手数料 | お問い合わせ |
受取方法 | セブン銀行ATM、給与口座 |
即時振込 | 原則可能だが金融機関によっては翌営業日振込 |
スマホ申請 | アプリから可能 |
サポート体制 | 24時間365日コールセンター対応 |
Will Payは24時間365日、パソコンやスマホ、携帯からいつでも申請できるサービスです。申請した後に、会社や上司の承認を待つ必要もないため、急な出費にもすぐに対応することができるでしょう。
また、前払いに必要な従業員手数料は、5,000円までなら0円なので、料金体系が明確で利用しやすいのもポイント。企業側がWill Payにかけるコストがほとんどないので、コストパフォーマンスが高いという声もあります。
Will Pay(ウィルペイ)の比較ポイント
製品情報
導入費用 | 無料 |
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月額費用 | 無料 |
利用手数料 | 5,000円までは0円 |
受取方法 | ジャパンネット銀行以外の口座 |
即時振込 | 最短翌日〜 |
スマホ申請 | 可能 |
サポート体制 | コールセンター対応(平日10:00〜18:00) |
アドバンストペイ セゾンは、各従業員の勤怠データを連携するだけで、前払い可能な給与額を計算してくれます。前払い資金もクレディセゾン側が立替払いするので、企業側の負担が少なくなります。
また、従業員は新たな口座を開設する必要がなく、すぐにサービスを利用することが可能です。アドバンストペイ セゾンを導入後、募集欄に「前払い制度あり」と記載したところ、応募数が導入前と比べて1.5倍になったという声もありました。
アドバンストペイ セゾンの比較ポイント
製品情報
導入費用 | 無料 |
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月額費用 | 無料 |
利用手数料 | お問い合わせ |
受取方法 | 給与受取口座、本人名義の口座 |
即時振込 | 原則可能だが金融機関や時間帯によっては翌営業日振込 |
スマホ申請 | 可能 |
サポート体制 | 従業員の問い合わせ対応専用のコールセンター完備 |
プリペイでは、電話・Webの2種類の申請方法があります。Webを利用すると、24時間365日いつでも申請可能です。また、プリペイのメニュー画面から、勤怠実績・利用履歴・給与残高を確認できる便利機能もあります。
オプション利用で当日中の入金が可能になり、従業員は急な事情でも安心して対応することができるでしょう。
PrePay(プリペイ)の比較ポイント
製品情報
導入費用 | 無料 |
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月額費用 | 無料 |
利用手数料 | 1回200円(税別)〜 |
受取方法 | お持ちの銀行口座 |
即時振込 | オプションで当日入金可能 |
スマホ申請 | 可能 |
サポート体制 | コールセンター完備(平日09:00~19:00) |
前払いできるくんは最短1週間で導入可能で、求人応募率の向上や福利厚生の充実をはかることができるサービスです。導入にかかるコストは0円で、前払いのための準備資金を用意する必要もありません。
サービス提供側が立て替えを行うため、企業は安心して導入を進めることができるでしょう。利用した企業の中には、「以前より応募してくださる方が増えた」と効果を実感している声もあります。
前払いできるくんの比較ポイント
製品情報
導入費用 | 無料 |
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月額費用 | 無料 |
利用手数料 | 申請額に対して6%のシステム利用手数料と振込手数料210円 |
受取方法 | 給与口座 |
即時振込 | 最短当日 |
スマホ申請 | 可能 |
サポート体制 | コールセンター対応(平日9:00-17:30) |
ここでは、下記の自社払いサービスを6選ご紹介します。
キュリカの特徴は、口座振り込みをせずに銀行ATMから給与の前払いができることです。銀行やコンビニにある、全国10万台以上のATMで24時間365日いつでも利用できます。
また、キュリカを導入する際の初期費用は無料で、企業規模・利用人数に応じて月額5,000円〜50,000円払うシステムになっています。キュリカを導入したことで、応募数が2倍になった企業もあるようです。
CYURICA(キュリカ)の比較ポイント
製品情報
導入費用 | 無料 |
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月額費用 | 企業規模・ご利用人数に応じて、月額5,000円〜50,000円(税抜) |
利用手数料 | 400円(税込440円) |
受取方法 | 各銀行ATMに対応 |
即時振込 | 即日払い対応 |
スマホ申請 | キュリカ専用アプリから可能 |
サポート体制 | 各種お問合せ窓口を設置 |
速払いサービスの特徴は、国内主要メガバンク(三井住友銀行、みずほ銀行、三菱UFJ銀行)に対応していることです。新たに口座開設をする必要がなく、既存の口座で安心して利用できます。
また、勤怠データを用意できない企業でも「簡易勤怠ツール」を無料で使えるので、勤怠データを簡単に連携することが可能です。勤怠データの取り込みや従業員の口座情報のメンテナンスなど、細かな処理をアウトソースできる点も魅力でしょう。
速払いサービスの比較ポイント
製品情報
導入費用 | 無料 |
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月額費用 | 無料 |
利用手数料 | 500円(税込み) |
受取方法 | お持ちの口座に対応 |
即時振込 | 即日払い対応※金融機関により異なる |
スマホ申請 | apアプリから可能 |
サポート体制 | チャットサポート24時間対応 |
ジンジャー給与前払いは、各種勤怠管理システムと給与計算システムと連携が可能です。勤怠管理システムと連携することで、データの自動連携が可能になり、勤務実績の手入力などがなくなります。
また、システム関連でトラブルが起こった場合でも、エンジニアが全て対応してくれるので、安心して利用を続けられるでしょう。
ジンジャー給与前払いの比較ポイント
製品情報
導入費用 | 無料 |
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月額費用 | 問い合わせ |
利用手数料 | 問い合わせ |
受取方法 | お持ちの口座に対応 |
即時振込 | 即時払い対応可能 |
スマホ申請 | 可能 |
サポート体制 | 従業員向けのサポートセンター完備 |
デジペイメントの特徴は、スマホが苦手な方でも利用できるように「自動音声振込申請」サービスがあることでしょう。普段スマホを利用しない従業員でも、機械の自動音声にしたがって申請できるので、誰でも前払いサービスを利用できます。
また、振込手数料を従業員負担から企業負担にすることができ、従業員がより利用しやすいサービスになっています。
デジペイメントの比較ポイント
製品情報
導入費用 | 無料 ※条件あり |
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月額費用 | 問い合わせ |
利用手数料 | 原則利用者負担、企業側で負担できるよう設定可能 |
受取方法 | お持ちの口座 |
即時振込 | 当日払い可能 |
スマホ申請 | 可能 |
サポート体制 | ご利用者のサポートは自社対応 |
THE給与の最大の特徴は、専用の前払い端末を設置できることでしょう。他社のサービスでは、銀行やコンビニATMなどで給与を引き出すことが多いです。
THE給与は、専用端末を自社に設置することで、いつでも前払い給与を引き出すことが可能になります。また、出退勤を静脈認証で行うため、タイムカードでの出退勤管理を廃止することができます。
THE給与の比較ポイント
製品情報
導入費用 | 問い合わせ |
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月額費用 | リースの場合、月額5万円〜10万円 ※要問い合わせ |
利用手数料 | 無料 |
受取方法 | 社内設置タイプのATM |
即時振込 | 可能 |
スマホ申請 | 静脈認証での出金 |
サポート体制 | 専用コールセンターなし |
楽天早トク給与の申請画面は、非常にわかりやすく直感的に操作することが可能です。また、普段から楽天銀行を利用している方であれば、給与を受け取る際に「楽天ポイント」が一緒にもらえます。
さらに、楽天銀行受取にすると振込手数料が0円になるので、楽天銀行ユーザーには大きなメリットでしょう。
楽天早トク給与の比較ポイント
製品情報
導入費用 | 問い合わせ |
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月額費用 | 問い合わせ |
利用手数料 | 楽天銀行利用で無料 |
受取方法 | 給与口座 |
即時振込 | 可能 |
スマホ申請 | スマホから簡単操作で申請可能 |
サポート体制 | 平日・土日祝日問わずコールセンターでのサポートを完備 |
ここからは、「立替払い」「自社払い」を選べるサービスを3選ご紹介します。
Paymeは、非常にシンプルな画面になっており、初めてサービスを利用する方でもすぐに扱うことができます。また、複数のシステムと連携可能で、勤怠管理システムや給与計算システム、各種金融システムとの連携に優れています。
従業員からのお問い合わせに対応した、専用窓口を設置しているので、企業側の負担を軽減することが可能です。
Payme(ペイミー)の比較ポイント
製品情報
導入費用 | 無料 |
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月額費用 | システムを運用していなければ無料 |
利用手数料 | 企業ごとに定められた3〜6%の手数料と振込手数料 |
受取方法 | 給与口座、セブン銀行ATM |
即時振込 | 即日振込可能 |
スマホ申請 | スマホアプリから可能 |
サポート体制 | 専用窓口あり |
プリポケは、24時間いつでも申請できるので、急な出費でも安心して利用することができます。立替払い型プランの場合、所定の時間帯であれば、ほぼ即時振込可能なのも嬉しいポイントです。
柔軟に給料を受け取れるプリポケを導入することで、従業員の満足度が向上し、定着率の向上にも期待できるでしょう。
プリポケの比較ポイント
製品情報
導入費用 | 無料 |
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月額費用 | 無料 ※直接払い型プランの場合、月10,000円 |
利用手数料 | 前払申請金額×1.5% ※立替払いの場合、200円/回 |
受取方法 | 給与口座 |
即時振込 | 即時振込可能 |
スマホ申請 | スマホアプリから申請可能 |
サポート体制 | お客様窓口設置 |
即給byGMOは、デジタルファーストに設計・運用している給与前払いサービスです。デポジット型と立替型から選ぶことができ、デポジット型は、給与の資金を企業側が準備します。
立替型は、GMO-PG側が資金を立て替えてくれるので、企業のニーズに応じて導入が可能です。また、これまで1,000社以上の企業に導入実績があり、確かな実績と信頼があるサービスといえるでしょう。
即給byGMOの比較ポイント
製品情報
導入費用 | 無料 |
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月額費用 | 問い合わせ |
利用手数料 | 問い合わせ |
受取方法 | お持ちの銀行口座 |
即時振込 | 即時振込可能 |
スマホ申請 | 問い合わせ |
サポート体制 | お客様窓口設置 |
給与前払い制度は、従業員の満足度を向上させ、採用力アップや従業員の定着率向上に期待ができます。しかし、導入には人事や経理担当者が、手動で勤怠データを取り込む必要があり、非常に手間がかかります。
給与前払いサービスを利用すれば、担当者の負担を大きく軽減し、応募数の増加や従業員の満足度を向上させることが可能です。導入コストがかからず、サポートが充実しているサービスも多数あるので、複数の前払いサービスを比較して検討してみてください。
その際、今回ご紹介した選び方やサービスごとの比較ポイントを参考にすることで、失敗せずサービスの利用ができるでしょう。