おすすめの牽引器メーカー3選|牽引療法の基礎知識から機能・特長まで

更新日 2024.04.09
投稿者:横山 洋介

整形外科病院で、患者様が首や足を引っ張っている光景を目にすることがあるでしょう。とにかく治療部位を牽引しさえすれば、症状が改善するだろうと安易に考えるのは危険です。

各メーカーも、より効果的で患者様の使い心地改善のため様々な改良を加え、製品の質も向上しています。ただ、牽引治療してはいけない場合やリスクがあるのも事実です。

本記事では、牽引療法やおすすめの牽引器メーカーを個別に紹介しています。加えて、牽引療法の効果や注意点も解説していますので、ぜひ参考にしてください。

おすすめの牽引器メーカー3選

最初におすすめの牽引器メーカー3選を紹介します。

ミナト医科学

ミナト医科学

出典:ミナト医科学 https://www.minato-med.co.jp/medical/products/tcc1/

ミナト医科学株式会社のトラックタイザー [TC-C1]は、従来の治療器とは異なり、シートのチルティング機構の採用で牽引角度を制御し、各治療部位に最適な牽引療法を行うことが可能です。また、首枕やリラクゼーションサウンド、ゆったりしたシートなど、患者様のリラックス効果を高める機能も搭載されています。

また、医療スタッフにもメリットが多いのが特徴です。牽引ポジションの設定や、牽引力の強弱もすべて操作パネルで行え、スタッフの作業を軽減します。ほかにも、省スペース・威圧感を抱かせないデザインで、患者様・医療スタッフ、どちらにもメリットがある装置です。

製品情報

主力商品 トラックタイザー [TC-C1]
分類 管理医療機器/特定保守管理医療機器
質量 100kg(付属品除く)
牽引力 10~250N(1.02~25.5kg)、
10N単位 [精度:90±15N、250±40N]
治療時間 1~99分または連続(1分単位) [精度:設定時間の±5%]
寸法 幅640×奥行1,130(1,400※2)×高さ1,790mm
価格 2,150,000円(税別)

オージー技研

オージー技研

出典:オージー技研 https://www.og-wellness.jp/product/medical/ol6610

オージー技研株式会社の 「オルソトラックラセディア」は、1台で頸椎・腰椎牽引がおこなえる「2in1」モデル[OL-6610]と、腰椎牽引のみ可能なスタンダードモデル[OL-6110]の2機種があります。

左右どちらにも付けられるレイアウト自在の操作パネルや牽引力の自動設定、などスタッフが使いやすい設計になっています。さらに、患者様のさまざまな体型に簡単に装着でき、フィットする脇パッドや腰装具も特徴的なポイントになります。

製品情報

主力商品 オルソトラックラセディア
分類 管理医療機器/特定保守管理医療機器
質量 オルソトラックラセディアOL-6610 121kg
オルソトラックラセディアOL-6110 108kg
牽引力 OL-6610 頸椎:29~245N (3~25kgf)、腰椎:49~588N (5~60kgf)
OL-6110 49~588N(5~60kgf)
牽引持続時間 1~99分(1分単位)
寸法 OL-6610:800(W)×1240(D)×1840(H)mm
OL-6110:800(W)×1240(D)×1530(H)mm
価格 OL-6610:¥2,970,000(税別)
OL-6110:¥2,390,000(税別)

日本メディックス

日本メディックス

出典:日本メディックス https://www.nihonmedix.co.jp/products/details/prd_000501.php

株式会社日本メディックスが販売する「エルケイヌVR」は、牽引する際にそれぞれの治療部位によって牽引角度を調整できることが可能です。

緊急停止スイッチ等で治療時の安全性を、フィット感を追求する頸装具や腰装具で安定性も高めています。また、使いやすい操作パネルと、冷感緩和機能で適温での治療が可能です。様々なスペースに、医師が望む治療方針にも対応できるバリエーションが揃っています。

製品情報

主力商品 エルケイヌVR5511/5521
分類 管理医療機器・特定保守管理医療機器
質量 55kg/65kg
牽引力 9.8~970N(1~99kgf)[9.8N ≒ 1kgf ]
治療時間 1~30 分(1分単位)または連続 ± 10%
寸法 [本体] 574(W)×860(H)×304(D)
[フラットベッド] 580(W)×555(H)×2,015(D)
価格

牽引器とは?牽引療法の基礎知識を解説

人間の脊椎は身体を支える重要なもので、頸椎から尾骨まで約30個の骨で構成されています。また脊椎は、骨とクッションの役目である軟骨が重なり合っているのが特徴です。

労働や加齢、ケガが原因でできた変形したトゲや椎間板が飛び出したものが、脊髄や末梢神経に触れると強い痛みや痺れ、運動麻痺といった症状を引き起こします。こういった症状が多く現れるのが頸椎(首)と腰椎(腰)周辺です。

牽引療法とは、牽引器を用いて頸椎や腰椎を引っ張ることで骨の間隔を拡げ、神経への圧力を軽減することにより、痛みを緩和させる治療のことを言います。

牽引器とは?

牽引器は、頸椎(首)または腰椎(腰)を引っ張ったり、緩めたりする牽引療法の際に用いられます。脊椎症や椎間板ヘルニアなどの病気治療に使用されるほか、骨折や脱臼などの整復や拘縮、変形を正常に戻すためにも使用されるのです。牽引の連続性、動力、牽引方向、牽引角度など、さまざまな治療に対応できるよう、豊富なバリエーションがあります。

牽引方法の種類

牽引方法には骨に鋼線を通して直接骨を引っ張る「直接牽引法」と皮膚や筋肉を介して骨を牽引する「介達牽引法」の2つの方法に大別されます。「介達牽引法」には「頸椎牽引療法」と「腰椎牽引療法」があります。以下で、この2つの介達牽引法を詳しく解説していきます。

脊椎牽引療法(頚椎牽引)

頸椎を引っ張ることで、狭くなった骨の間隔を拡げ神経根や椎間板への圧力を和らげ、痛みを軽くします。該当部位の血行不良を改善し、硬直した筋肉の緩和を促進させるのに有効です。患者様の症状や体重を考慮した適切な強さで治療します。

四肢牽引療法(腰椎牽引)

腰椎を引っ張ることで骨の間隔を拡げ、椎間板や関節への負担を軽減する治療法となります。背骨周辺の硬直した筋肉を緩和させ、椎間板などの軟部組織の血行不良を改善するのに有効です。患者様の症状や体重を考慮した適切な強さで治療します。

牽引器の機能・特徴

牽引器は骨折や脱臼、関節疾患などを治療する際に、頸椎(首)や腰椎(腰)などを牽引して治療する機器です。各個人の症状や体型に合わせ、さまざまな形や動力の牽引器があります。適正な角度や強さで施術することが重要です。

牽引時の角度調整機能

牽引療法は、治療部位に適した角度で牽引をする必要があります。姿勢が不安定な状態で牽引すると、治療に適した角度での牽引治療ができないばかりか、逆に悪化させかねません。牽引時の角度の調整機能が搭載された牽引器であれば、より安全に効果的治療を行うことができます。

牽引力の調整

牽引力を段階的に調整できる機能が搭載されているのかも重要です。牽引力を設定の強さまで段階的に強める機能や、徐々に弱める機能、ほかにも牽引スピードを調整できる機能などが搭載されているものもあります。

牽引器を中古で買うのはアリ?

多くの中古の牽引器が、中古医療機器業者やオークションサイト等で販売されています。新品で購入するよりも安く購入できるため、新規開業資金を抑えるために中古品を選ぶ方もいることでしょう。同時に、中古であるがゆえに故障や不具合がも起きやすかったり、故障した際に修理部品が手に入らないケースもあります。中古品を選ぶ際は、よくリスクも理解したうえで導入するようにしましょう。

まとめ

本記事では、牽引療法の詳しい解説と、牽引器を導入することで得られるメリットや機能を解説してきました。3つのおすすめメーカーも紹介していますので、比較・検討のうえ適切な牽引器を選ぶ参考になさってください。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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