結石破砕装置(ESWL)は尿路結石に対して効果的な治療法となります。
しかしながら、ESWLを導入する際にどのメーカーの製品を選べば良いのか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、おすすめのESWLを7種類ご紹介します。
目次
本記事でご紹介する結石破砕装置(ESWL)の製品名と開発会社を、以下の表にまとめました。
製品名 | 企業名 |
---|---|
ドルニエ DELTA® III | ドルニエメドテックジャパン株式会社 |
ソノリスアイムーブ | エダップテクノメド株式会社 |
New Tripter NOVA | ダイレックス・ジャパン株式会社 |
インテグラ | ダイレックス・ジャパン株式会社 |
モデュリス SLX-F2 FD21 | すみれ医療株式会社 |
モデュリス SLX-F2 connect | すみれ医療株式会社 |
モデュリス SLK inline | すみれ医療株式会社 |
上記7種類の製品に関する詳しい情報は、以下の内容をご覧ください。
ここでは、おすすめの結石破砕装置(ESWL)を7種類ご紹介します。
各製品の特徴を解説していますので、ESWL導入の参考にしてください。
ドルニエ DELTA® IIIは、泌尿器科に特化した医療機器メーカーであるドルニエメドテックが開発した製品です。まず、OptiCoupleという独自のカップリング機能が搭載されている点が、ドルニエ DELTA® IIIの特徴となっています。治療ヘッド内に搭載されたCCDカメラを通して、治療ヘッドと患者の間にある気泡を目視で確認できるようになっているため、気泡の除去を迅速に行えます。またOptiVisionという画像処理ソフトウェアによって、結石を鮮明に捉えた画像を得られるため、治療を効果的に進めることが可能です。
そのほかにも独自開発の電磁衝撃波発生装置(EMSE/エムゼ)や、超音波とX線による画像モードなど、さまざまな機能が搭載されています。
ドルニエ DELTA® IIIの比較ポイント
ソノリスアイムーブは、超音波のハンドプローブで結石の探査と位置決めを行うシステムです。タッチスクリーンを使用しながら操作を行い、結石を正確に破砕します。また、結石を破砕する際には、自動圧力制御システムで焦点の圧力が調整されます。圧力を制御することで、衝撃波を発生させるときの再現性を高めることが可能です。
導入するソノリスアイムーブは、スタンダード、タッチ、ビジオトラックの3種類から選択できます。タッチはタッチスクリーンがより高性能になっており、ビジオトラックは赤外線3次元解析技術が搭載されている高性能な機種となっています。
ソノリスアイムーブの比較ポイント
New Tripter NOVAは、程よいサイズで取り扱いやすいESWLです。装置のサイズが小さめで頑丈に作られているのに加えて、キャスターが付いているおかげで装置本体を移動させることも可能です。また位置決めの方法は、デジタルX線透視装置で行うか超音波で行うかを選択できます。New Tripter NOVAにはデジスコープRX-2というデジタルX線透視装置があり、これを使用することで迅速に位置決めを行えます。
それから、高性能な画像アプリケーションを利用できる点も、New Tripter NOVAの特徴です。ユニバーサルコンソール内にある画像アプリケーションにはさまざまな画像操作機能が備わっており、診療を効果的に進められます。
New Tripter NOVAの比較ポイント
インテグラは、ダイレックス・ジャパン株式会社が誇る最先端のESWLです。インテグラの特徴の1つが、衝撃波を垂直に出力する点です。患者の背中から垂直に衝撃波を出力することによって、エネルギーが高い水準で維持され、効果的に結石を破砕できます。
また、リアルタイムX線透視装置機能が搭載されている点もインテグラの魅力です。このリアルタイムX線透視装置機能のおかげで、治療を進めている間であってもリアルタイムに画像を確認できます。さらに、コンソールの操作方法は分かりやすく、画像処理機能も高性能です。
インテグラの比較ポイント
モデュリス SLX-F2 FD21は、シリンダー型の衝撃波発生源を採用しています。エネルギー発生面積が広く、低い電圧でも大きな破砕エネルギーを発生できます。加えて、広いレンジで調整が可能ですので、症例に合わせた衝撃波の強さで治療出来ます。
また、モデュリス SLX-F2 FD21の結石探査システムはインライン方式となっています。照射方向の調整や位置決めを行いやすく、精度の高い治療が実現します。そのほか、タッチパネルで直感的に操作を行える点もモデュリス SLX-F2 FD21の魅力です。アイコンやレイアウトが分かりやすくて操作方法も簡単に覚えられるため、治療を行う際の大きな助けとなります。
モデュリス SLX-F2 FD21の比較ポイント
モデュリス SLX-F2 connectで治療を行う際は、17インチのX線フラットパネルディテクターでX線画像を取得します。多機能フットスイッチによって、画像の切り替えや保存も自由に行うことが可能です。
また、モデュリス SLX-F2 connectに搭載されている回転式Uアームは、位置調整のやりやすさやアプローチ範囲の拡大に貢献しています。
そして、モデュリス SLX-F2 connectは円筒型電磁変換方式を採用しています。円筒型電磁変換方式は破砕効果が高いうえ、臓器や肋骨などを避けながら治療を行うことが可能です。
モデュリス SLX-F2 connectの比較ポイント
モデュリス SLK inlineはインライン方式を採用しているESWLです。障害物を避けながら低侵襲の治療を行うことができ、破砕効率も高いです。
また、照射を上から行うか下から行うか選択できる点も、モデュリス SLK inlineの特徴となっています。症例に合わせて治療ヘッドの位置を調整することが可能です。
また、モデュリス SLK inlineの操作はタッチパネルを通して行います。治療ヘッドやテーブルの移動、衝撃波の発生といった各種操作は、すべてタッチパネルから実行可能です。
モデュリス SLK inlineの比較ポイント
次に、結石破砕装置(ESWL)を選ぶ際に注目したいポイントを解説していきます。
ESWLを選ぶ際は、各製品の画像選択の種類や位置決め方法を比較しましょう。
画像選択に関しては、X線と超音波を使い分けられるかという点に注目したいです。X線と超音波のどちらかを使用する、または両方を使用するといった具合に画像選択の種類を選べれば、症例に応じた使い分けが可能となります。
また、照射位置を決めやすいかどうかも、製品を選ぶ際に見ておきたいポイントです。に位置合わせを行うことで、効果的に治療を進められます。
製品そのものの使いやすさも、前もって確認しておきましょう。押さえておきたいポイントは、治療前のセットアップに要する時間や治療時間に関する情報です。
また、さまざまな体型の患者に対応できるか、という点も事前に調べておいた方が良いでしょう。装置を動かす際に利用するタッチパネルの操作性に関しても、メーカーの公式サイトなどから情報を得ておきたいです。
続いて、結石破砕装置(ESWL)の基礎知識について解説します。
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は、尿路結石に対する治療法として知られています。装置から発生させた衝撃波を体内へと照射して結石を破砕するのが、この治療法の基本です。破砕した結石は尿と一緒に体外へと排出されるため、患者の健康を害することなく治療を行えます。
また、ESWLは臓器が傷つけない治療法で、体への負担が少ないです。ESWLによる治療は約30~60分で完了し、日帰り入院で対応できるケースも多いです。このように、ESWLは患者にあまり負担をかけない点が特徴となっており、尿路結石に対して効果的な治療法です。
ESWLのメリットは下記の通りです。
治療を行っても患者にほとんど負担がかからない点が、ESWLの大きなメリットです。そのため、患者側も安心して治療を進められます。
一方で、ESWLには少なからずデメリットもあります。
治療対象の結石が大きいと、結石を破砕しても尿管に詰まってしまう可能性があります。そのため、ESWLを行う際は患者の症状をしっかりと把握したうえで、治療の判断を行うことが大切です。
ここからは、結石破砕装置(ESWL)の導入に関するよくある質問をご紹介します。
結石破砕装置(ESWL)を用いた治療の診療報酬は、19,300点とされています。また、破砕した膵石を内視鏡を用いて除去した場合、診療報酬が加算されます。内視鏡的膵石除去加算は5,640点です。
出典:しろぼんねっと|K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき)
出典:しろぼんねっと| K699-2 体外衝撃波膵石破砕術(一連につき)
政府公共調達による入札の落札情報によると、3,000万~6,000万円円程度で導入している医療機関が多そうです。
出典:日本貿易復興機構(ジェトロ)|政府公共調達データベース
結石破砕装置(ESWL)を導入することで、結石の治療を効果的に進められます。ESWLによる治療は患者の臓器を傷つけず、体にかかる負担も少ないです。このようにメリットの多い治療法なので、結石の治療を行う際はぜひESWLを導入したいです。ESWLを新規導入する際には、本記事でご紹介した製品の中からお選びになってみてはいかがでしょうか。