歯科ユニットの価格相場は1台につき200万〜500万円です。この価格は、購入台数や他の機材との同時購入に応じてメーカーと交渉のうえ決定します。では、メーカーとの交渉以外にコストを抑える方法はないのでしょうか。
この記事では、おすすめの歯科ユニットや機器の比較方法を紹介します。さらに価格を抑える方法についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。
歯科で診察の際に患者様が座る椅子を「歯科ユニット」といいます。ボタン一つで椅子の角度を調整でき容易に診察ができるので、歯科には欠かせない装置です。歯科ユニットは、一般的に次のように構成されています。
これに加えてモニターや口腔内カメラなど、目的に応じてカスタマイズできます。ほとんどの歯科では、タービンやハンドピースの動力となるコンプレッサー(空気圧縮機)を設置する場合がほとんどです。
歯科ユニットの価格は、メーカーや搭載する機能によってさまざまです。あくまでも一般的な相場をあげるとすれば、200万〜500万円がひとつのポイントになるでしょう。ただし、近年では海外メーカーも進出しており、100万円程度の低コストモデルも見られます。
前述した通り、歯科ユニットは使用目的に応じてカスタマイズが可能です。本体だけの価格を見てしまい最終的な値段に慌てないよう、必ずオプションを加えた値段をチェックしましょう。可能であれば、複数メーカーで同条件の値段を比較するのがおすすめです。
ここからは、歯科ユニットを取り扱っているおすすめメーカーを紹介します。
シートは人間工学を参考に、ふたんを軽減できる独自設計です。バックレストを倒しても姿勢が不自然になることがなく、患者様へ安心感を与えられます。スムーズな治療を提供できるよう、細部の機能までこだわっている点も特徴です。
昇降スタート・ストップ時において、衝撃を感じさせない「ショックレス機構」も搭載しています。8色のカラーバリエーションを展開しており、施設の雰囲気にぴったりのシートを選ぶことができるでしょう。
シグノ T500の比較ポイント
製品情報
価格 | 要お問い合わせ |
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重量 | TUA60:約260kg TUA70:約280kg |
寸法(幅×奥行×高さ) | 要お問い合わせ |
シート座面高さ | 最高位 800mm 最低位 400mm |
サポート | 電話、メール |
メーカー名 | 株式会社モリタ東京製作所 |
高い機能性と美(シェルト)をコンセプトとした歯科ユニットです。無駄をそぎ落としたスタイリッシュなデザインと追及した機能性を搭載し、タカラベルモントらしさを追及しています。フット部分のステップをなくすことで、患者様の昇降が容易です。
シートを倒した際にはレッグレストが足先まで支えてくれるので、患者様が安定した状態で診察を行えます。カラーは27色を展開しており、患者様の視覚にも優しくインテリアと調和しやすいユニット選びが可能です。
CIERTO(シェルト)の比較ポイント
製品情報
価格 | 要お問い合わせ |
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重量 | 要お問い合わせ |
寸法(幅×奥行×高さ) | 要お問い合わせ |
シート座面高さ | 要お問い合わせ |
サポート | 電話、現地訪問 |
メーカー名 | タカラベルモント株式会社 |
さまざまな組み合わせから、施設のコンセプトやニーズに合わせて選べる歯科ユニットです。パーテーションは収納棚の多い「HIGHタイプ」と、コンパクトで開放感がある「LOWタイプ」があります。
カラーバリエーションも豊富で、キャビネット・シート・カラーカバーの組み合わせは1,000通り以上です。typeCに対応したユニットも3種類あり、好みのデザインを選べます。さらに、5年間のパーツ保証に加えて延長申し込みにより最長10年まで延長できる点も特徴です。
ユニットtypeCの比較ポイント
製品情報
価格 | 要お問い合わせ |
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重量 | 要お問い合わせ |
寸法(幅×奥行×高さ) | 要お問い合わせ |
シート座面高さ | ノバ セリオα 最低位 カンター:380mm 最高位 カンター:700mm 最低位 前折れステップ:450mm 最高位 前折れステップ:670mm セリオMu 最低位 カンター:400mm 最高位 カンター:800mm 最低位 前折れ:400mm 最高位 前折れ:800mm 最低位 前折れステップ:435mm 最高位 前折れステップ:835mm セリオMuR 最低位 カンター:400mm 最高位 カンター:800mm 最低位 前折れ:400mm 最高位 前折れ:800mm 最低位 前折れステップ:435mm 最高位 前折れステップ:835mm |
サポート | 電話、遠隔、現地訪問、お預かり修理 |
メーカー名 | 株式会社ヨシダ |
コスト面を抑えつつ必要な機能を搭載した歯科ユニットです。開業時で資金繰りが難しい場合にも、手を出しやすい価格設定となっています。贅沢さがデフォルトだった歯科運営を優しくサポートしてくれるのが特徴です。
シートのカラーは赤・黄色・緑・青・水色の5色を展開しています。明るく鮮やかなカラーバリエーションで、患者様が抱えやすい不安感を軽減できるでしょう。サポートは現地訪問の他に遠隔にも対応しており、素早い解決も期待できます。
RF929デンタルユニットの比較ポイント
製品情報
価格 | 要お問い合わせ |
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重量 | 260kg |
寸法(幅×奥行×高さ) | 2250×1900×1900(mm) 最小設置スペース:2700×1800(mm) 理想設置スペース:4000×3000(mm) |
シート座面高さ | 630~930mm(腰掛位置) |
サポート | 電話、遠隔、現地訪問 |
メーカー名 | 株式会社RF929(クリニック) |
「みず」「くうき」「こころ」の3視点をコンセプトとして、患者様と院内スタッフの調和を大切にしています。3年間の保証期間を標準搭載しており、導入後の万が一の故障も長期でサポートしてくれるのも特徴です。
カラーは「抹茶」「紅」「栗」の他に、特別色として「真珠」の4色展開から選べます。他メーカーでは珍しいカラー展開に高級感を演出できるでしょう。ドクターユニットの可動域も幅広く、多様な診察スタイルに対応できます。
EOM和-なごみの比較ポイント
製品情報
価格 | 要お問い合わせ |
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重量 | 150kg |
寸法(幅×奥行×高さ) | 要お問い合わせ |
シート座面高さ | 要お問い合わせ |
サポート | 電話、メール、現地訪問、安心サポートパックへの加入も可能 |
メーカー名 | 株式会社ジーシー |
ユニットは、テーブルタイプ(E30T)とスイングアームタイプ(E30S)をラインナップとして取り揃えいます。カラーバリエーションも豊富で、パネル部分とシートを好みに合わせて選択可能です。
組み合わせパターンも自由なので、施設のコンセプトに沿ったシート選びができるでしょう。パワーのあるエアー回路でエアースケーラーや歯面清掃器もスムーズです。スピットンボウルは取り外して掃除でき、患者様が使う部分を清潔に保てます。
エステチカ E30の比較ポイント
製品情報
価格 | 要お問い合わせ |
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重量 | 要お問い合わせ |
寸法(幅×奥行×高さ) | 要お問い合わせ |
シート座面高さ | 要お問い合わせ |
サポート | 電話 |
メーカー名 | カボ デンタルシステムズ ジャパン合同会社 |
「故障の少なさ」や「耐久性の高さ」を特に重視した歯科ユニットです。長く使える製品を提供できるよう使用できる5年間の保証を提供しています。アメリカで50年以上製品を提供し続け、多くの歯科大学や航空母艦内でも使用されている実績がある製品です。
シートカラーは最大30色から選べます。シートタイプは縫合式であるソウンとシームレスの2種類を用意しており、4つのグレードから選択可能です。オプションを組み合わせれば、理想的な診察環境を実現できます。
A-decチェアの比較ポイント
製品情報
価格 | 要お問い合わせ |
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重量 | 要お問い合わせ |
寸法(幅×奥行×高さ) | 要お問い合わせ |
シート座面高さ | 要お問い合わせ |
サポート | 現地訪問※その他要お問い合わせ |
メーカー名 | Ivoclar Vivadent株式会社 |
ここからは、歯科ユニットの価格を抑える方法を紹介します。
どの製品にもありますが、歯科ユニットにも定価は設定されています。ただし、複数台を合わせたり他の医療機器と一緒に購入する場合が多いでしょう。コストも上がってくるため、価格を調整してもらうためメーカーと交渉して購入するのが基本となってきます。
多くのメーカーは購入台数や金額を加味してくれる場合が大半ですが、厳密な割引率はさまざまです。コストを抑えるためには、複数のメーカーをピックアップし相見積もりを取ると比較しやすくなります。
歯科ユニットは高価な製品なので、1度導入すると長期的に使用する施設がほとんどです。そのため、購入にかかる初期費用だけでなくランニングコストも合わせて考えることをおすすめします。
長期的に使用した場合、毎月かかる費用の他に修理費も発生してくるでしょう。メーカーによっては長期保証に対応している場合もあるので、メンテナンス期間も合わせて確認するのがおすすめです。
歯科ユニットの法定耐用年数は7年と定められています。そのため、購入費はもちろん維持費を含めて5~10年のトータルコストで検討すると良いでしょう。
歯科ユニットの耐用年数については歯科ユニットの耐用年数は?その他医療機器と合わせて一覧表で解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
歯科ユニットの価格を抑えるためには、中古で購入するのもひとつの方法です。新品よりもメンテナンスに気を遣う必要はありますが、初期費用は抑えることができます。ただし、依頼する中古医療機器業者は慎重に選ぶ必要があります。
例えば施設より離れた場所に拠点がある場合、トラブルの発生時にすぐに駆け付けてくれない可能性もあるでしょう。そもそもサポート力が弱い業者もあります。状況によっては患者様に迷惑をかけてしまうこともあり得るので、業者選びには注意しましょう。
リース会社と取り決めた期間中、一定料金を支払って製品を利用するというサービスもあります。製品を購入しないので、導入時に多額の資金が必要ない点はメリットでしょう。契約内容にもよりますが、所有者はリース会社となるので故障時も迅速に対応してもらえます。
契約期間が終われば製品はリース会社に返却するため、新製品との入れ替えもスムーズです。このようにリースはメリットが非常に多い方法ではありますが、全くデメリットがないわけではありません。
リースによる最大のデメリットは、リース期間中の中途解約ができない点です。万が一解約ができたとしても、残りの期間で支払う予定だった金額を一括で請求されることがほとんどになります。
また、毎月払うリース料は手数料が含まれた料金です。そのため、総額で比較すると一括購入よりリースの方が割高になります。このようにリースにはメリット・デメリットの両方があるので、施設の状況に応じて利用すると良いでしょう。
歯科ユニットを選ぶ際には、価格以外にも抑えておくべきポイントがあります。ここからは、歯科ユニットを導入する際に見るべきポイントについて見ていきましょう。
歯科ユニットは、患者様が来院した際に必ず目にする設備のひとつとなります。そのため、施設の内装に合ったカラーのユニットを選ぶことが大きなポイントです。メーカーごとにユニットのカラーは豊富に取り揃えられています。
中にはシートのデザインを選べるメーカーもあり、施設のコンセプトに合わせることも可能です。患者様が心地よいと感じるユニットを導入すれば、不安感を取り除くこともできるでしょう。
患者様が安心できる空間づくりを目指すことで、リピート率向上にもつなげられます。
歯科ユニットによって、搭載している機能はさまざまです。この時に注意したいのが、必要な機能と不要な機能の見極めがどこまでできるかという点になります。いくら機能が多いといっても、使わなければ宝の持ち腐れになるでしょう。
機能の多さに比例して費用も上乗せされるので、コストの無駄にもなりかねません。オプション機能に関しては、運営していく中で必要に応じて追加することも可能です。特に開業時には「メーカーさんが言うなら…」という理由だけで追加するのは避けた方が良いでしょう。
まず前提として、どのサイズのユニットであれば施設に設置できるのかはしっかり把握しておきましょう。せっかく気に入ったユニットが見つかったとしても、施設に設置できなければ意味がありません。
たとえギリギリ収まるサイズだとしても、スタッフはもちろん患者様の動線をさえぎってしまう恐れもあります。部屋の広さから動線を確保できるサイズを選定したうえで、候補に入るユニットから選択するのがおすすめです。
医療施設で最も気をつけたいのが、院内感染です。特にユニットは1日に複数の患者様が使用するため、細かな配慮が必要になります。近年ではユニット内の給水系システムによる感染リスクも問題視されており、対策をとっている製品も多いです。
例えば感染の原因とされる「サックバック現象」を防止する機能は、従来のリスクを大幅に軽減してくれます。また、給水系システム内に殺菌水を流すことで、清潔をキープしてくれる自浄機能も有効です。
歯科ユニットは、一度購入すると数年にわたって使用することが多い装置です。1日の診察時間の間にも多くの患者様が使用する事になるため、場合によってはトラブルや修理が必要となるでしょう。
万が一の事態が発生した際に慌てないためにも、メーカーのサポート内容は確認すべきポイントです。どの程度までサポートしてくれるのか・営業所はどこにあるのかを確認しておくことで、いざという時も安心できます。
サポート期間についてもメーカーによって異なるポイントとなるので、必ず確認しておきましょう。
ここまで歯科ユニットのおすすめメーカーや比較ポイントについて解説してきました。そもそも歯科ユニットにはどのようなタイプがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。
歯科ユニットには通常の歯科診療向けタイプの他にも、さまざまな用途に応じた装置が存在します。用途目的別のユニットは、主に次の4タイプです。
文字通り、子供の体形に合わせたコンパクトサイズが主流です。フルフラットシートを採用しており、子供の小さな手足が挟まりにくいよう考慮されています。隙間が少ないので、掃除がしやすい点も特徴です。
治療器具は子供がストレスを感じにくいよう目隠しし、見えにくく工夫されています。
歯科衛生士が使用するユニットです。カウンセリングをする際に会話がしやすいよう設計されています。他にも、メインテナンスを行う際に使用する機器を中心に搭載したタイプなども利用可能です。
医師によるカウンセリングに特化したユニットも登場しています。モニターやパネルを設置できるカウンセリングテーブルにより、視覚に訴えた説明が可能です。歯科衛生士によるメインテナンス用と同様、コミュニケーションを取りやすいチェア配置もされています。
中にはそのまま治療まで行えるユニットもあり、省スペース化も期待できるでしょう。
スーツケースのようにコンパクトでありながら、吸引機やハンドピースなど必要な機器を持ち運べるタイプです。これからますます需要が伸びるであろう、訪問歯科のために開発されました。
歯科用ユニットの設置方法にもいくつかのタイプがあります。以下は、その代表的な3タイプです。
これ以外に、タービンなどのホースを上方に設置したアームに固定するフライング(コンチネンタル)タイプもあります。主に海外メーカーで採用されており、PLANMECA・kavo・A-decなどで取り扱っているタイプです。
ホースを下に垂らす従来型に比べて衛生的で、軽い力で操作ができるため術者の負担を軽減できます。
歯科用ユニットのシートは、大きく分けて次の2タイプがあります。
以下は、歯科ユニットに関するよくある質問です。
一般的に高価なユニットと安価なユニットには、次のような違いがあります。
基本的にどのメーカーでも幅広いグレードのユニットを取り扱っているため、比較が容易でしょう。ちなみに、海外製ユニットの購入も予算を抑える有効な手段となります。ただし、万が一トラブルが発生した際にサポートが受けにくい点はデメリットともいえます。
歯科ユニットは患者様へ提供できるサービスのひとつです。価格は機能や組み合わせるオプションにより異なりますが、200万〜500万円が相場といえます。近年では外国製ユニットも選択肢として加えられるようになり、100万円台での導入も可能です。
一言で歯科ユニットといっても用途や歯科のニーズにより、おすすめしたい製品は異なります。一度導入すると長年使用することになるので、価格だけでなく機能面やサポート内容も比較しつつ検討していきましょう。