髙橋 公一 先生|みさと中央クリニック 院長 平成8年、埼⽟医科⼤学医学部卒業後、埼玉医科大学病院第一外科入局。消化器・一般外科、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺内分泌外科、移植外科、脳神経外科、小児科などを経験。平成13~15年、アメリカのジョンスホプキンス大学外科に留学し、移植免疫学を学ぶ。帰国後、埼⽟医科大学消化器一般外科に復職し、 チーフレジデントをつとめる。その後、池袋病院外科医長、行田総合病院外科医長を経て、平成20年、生まれ育った三郷に、みさと中央クリニックを開院。 |
埼玉県三郷市にある「みさと中央クリニック」。内科や小児科などを標榜し、ご高齢の方から子どもまで幅広い世代を診療するクリニックです。外来診療はもちろんのこと、訪問診療にも力を入れています。
院長の髙橋公一先生は栄養管理をライフワークとし、在宅でも胃ろう交換をするという特徴的な診療を実践されています。弊社創業者の川島とのご縁で、髙橋先生には、弊社の顧問も務めていただいています。
今回は、書類作成代行(入力代行)サービスのご利用感想や今後の弊社サービス展開などについて、幅広くお話をうかがってきました。
【インタビュアー:株式会社クラウドクリニック 看護師 三浦あかね】
祖父が認知症だったということが⼤きなきっかけになりました。
私が物心つく頃には、すでに徘徊が始まっていたのですが、父曰く、認知症になる以前の祖父は頭の良い人で、父の誇りだったそうです。
祖父の認知症は、私が高校生になる頃には、いよいよ状態が悪くなりました。徘徊が酷くなり、祖母のことも誰だかわからない。時に、祖母に手を上げてしまうこともありました。
そうですね。家族からすると、介護する祖母の体力・精神面も心配でした。やむをえず、祖父を入院させることにしたんですが、当時は、今のように認知症の方を介護してくれるような施設はありませんでした。積極的な治療ができる病気ではないということで、認知症患者の⼊院先は、精神科の病院しか選択肢がなかったんです。
入院しても祖父の状態は悪くなる一方でした。危ない段階になって、学校帰りに一人でお見舞いに行ったことがありました。そこで見た光景が、高校生だった私には衝撃でした。精神科病棟に、祖父が動くこともできずに寝ているというのが大きなショックでしたね。その時初めて、医師になろうと思ったんです。祖父のような人たちを助けたい。ここに入院している人たちがこうならないために尽くせる方法を考えたいという思いでした。
外科医として勤務していた頃、 NST(Nutrition Support Team)で患者さんの栄養管理にも携わっていました。まず栄養管理に興味を持って、そこから在宅医療を考えるようになりました。
例えば、栄養管理をすることで、薬を処方するよりも患者さんの状態が改善することがあったり、薬の処方でも興味深い作用が見られたりすることがありました。外科医として手術をするよりも、患者さんの状態を全体的に診るということにやりがいを感じるようになりました。
また、NSTにおける外科医の役割の1つに、胃ろうの造設・交換というものがあります。直接的な治療ではないので、一般的に医師はあまりやりたがらない施術ですが、必要とする患者さんは少なからずいることがわかりました。
栄養管理や胃ろう交換が自宅でもできるようになれば、患者さんとそのご家族の助けになるのではないかと思いました。それで、在宅医療をやりたい、やってみよう、と。
その通りです。ニーズはあると思っていたものの、在宅医療は開業してすぐに上手くいったわけではありません。患者さんの開拓には苦労もありました。
それで、胃ろう交換をやっていることを何とか伝えたくて⽣まれた表現が「くだもの(管物)のお医者さん」です。私の名刺を見た方は、最初はフルーツ?となりますが、それで掴みはOK。触れてもらえると、こちらから説明できるので。そこから少しずつ皆さんに知ってもらえるようになって、患者さんも増えてきたという印象です。
今回は紙ベースで作成していた主治医意見書を、約260名分データ入力していただきました。データそのものが今すぐ必要だったというよりは、将来的に、主治医意見書を更新する際にそのデータを活用したいと考えて依頼しました。データをベースにすることができれば、すべてを書き直すのではなく、修正が必要な箇所だけを書き換えることを想定しています。あの時データ化しておいたから、今この業務が楽になったんだねと感じられるのではないかと思っています。
データーは、若くて医療や経営に積極的な先生、患者さんを診ることに自分の時間の最大限を費やしたいという先生には、最適なサービスだと思います。医師の立場からすると、やはり医療行為に集中させてもらえるのであれば、それに越したことはないと思います。
当院では患者さんのご自宅に伺うだけでなく、介護施設への訪問診療も行っています。施設の種類によっても診る範囲が異なったり、同じことをやっていても保険点数が異なったりすることがあります。
診察や治療はやってはいけない、健康管理のみの施設に訪問する際には、コスト面を考えると、どうしても私一人で訪問することになります。
健康管理だけだからとカルテをつくらないわけにはいきません。ただ、一人で診た患者さんすべてのカルテを自分で入力するのも大変です。
そういう理由で、クラウドクリニックにお願いしようかなと思いました。
実は、もう1つ期待している側面があります。それは、入力を依頼することで、第三者の目が入るということです。第三者という中立的な立場の人の言葉で、医師、看護師、薬剤師等がそれぞれ言ったことを入力してもらうようにする。それで、その情報を関わるスタッフ全員が共有できるようになればいいなという狙いもあります。
そういう客観的な立場で入力した情報を、さらに文章としてまとめることができれば、施設のスタッフさんとの情報共有にも役⽴つのではないかとも考えています。
保険の点数を考慮したカルテの入力方法まで指導できるようになるといいと思います。特に若い先生は書き方を知らないことが多いです。
私は、医師は医療行為に対してはきちんと保険点数を取るべきだと考えています。傷口の深さが筋肉に達していたかどうかでも点数は変わりますが、カルテに正しく記載しないともちろん点数にはなりませんよね。外来診療と訪問診療でも点数の取り方も違いますし、大学病院では当然だったことが在宅医療ではできない、ということもあります。そういうことを医師が理解した上で、カルテを書けるようになることが理想です。
あとは、訪問薬局で薬歴入力に悩みを抱えているところも少なからずあります。医師だけでなく、薬剤師のサポートまでできると、尚良いと思います。一緒に回ってくれる薬剤師さんの記録は、医師の立場でも必要不可欠なものですからね。
少し話が逸れますが、クラウドクリニック代表の川島さんとは、ある勉強会で知り合いました。まだ会社を立ち上げる前だったんですが、川島さんの中にはアイディアベースで今のサービスの原型のようなものがありました。色々と話を聞いていくうちに、川島さんのいいなと思うところは、できないと絶対に言わないところなんですよね。
私も同じ考え方なのですが、できるかできないかではなく、できるようにするためにはどうすればいいのかをまず考える。
やってみてダメなことがあれば、その時点で軌道修正すればいいんです。
クラウドクリニックは、まだまだサービスをつくっていく段階にあるので、その川島さんの考え方が活きていると思います。私たちはまだまだ若いんだという思いで、これからもトライ&エラーでチャレンジし続けてほしいです。