パワーアシストスーツの問題点は?|導入した際に発生しうるリスクと対応策を解説

投稿日 2022.06.01 / 更新日 2022.08.18
投稿者:豊田 裕史

パワーアシストスーツは移乗介助の手助けをしてくれる介護ロボットで、介護現場での導入が進んでいます。これを装着することで移乗介助時に発生する腰痛のリスクを軽減可能です。

その一方で「高額だ」、「装着に手間がかかる」、「装着した際に身動きが取りにくい」などの声も聞かれます。実際のところはどうなのだろうかと気になる方もいるでしょう。

今回はパワーアシストスーツを導入した際のメリットやデメリットを解説します。最後におすすめの機種7選も紹介するので、ぜひお読みください。

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パワーアシストスーツとは

パワーアシストスーツはセンサーやモーターなどを装着し、身体動作をサポートする衣類型や骨格型装置のことで、持ち上げや歩行などの身体の動作をアシストしてくれます。

医療介護業界のほか、農林水産・建設業・物流業などの業界でも広く活用されており、これら重労働で腰痛などの多い人手不足の業種でも、作業を円滑にアシスト可能です。

パワーアシストスーツの種類

パワーアシストスーツには、動力や測定器などの機器を搭載しているかどうかによって、次の3種類に分類されます。

種類 特徴 主に向いている施設
アクティブ型 モーターなど機器を組み込むタイプ 医療機関でのリハビリ施設
パッシブ型 人工筋肉などの反発力を利用するタイプ 介護施設での自立支援施設
サポートタイプ 簡易な構造 自宅での自立支援施設

パワーアシストスーツの導入メリット

さまざまな分野でパワーアシストスーツの導入が進んでいるのには、理由があります。 導入のメリットは次のとおりです。

  1. 少ない人数で移乗介助ができる
  2. 職員の腰痛を防止することができる
  3. 大きな機械でないため保管スペースをとらない

1.少ない人数で移乗介助ができる

車いすをやベッドからの移乗介助は、介護をするものにとって非常に労力のかかる重労働です。作業中に腰を痛めてしまうこともあります。

パワーアシストスーツでは、モーターや人工筋肉などでアシストしてくれるので、少ない労力で作業をこなすことが可能です。

2.職員の腰痛を防止することができる

介護業界では腰痛保持者の割合が多く、一度腰を痛めると再び痛める恐れのある箇所には配置が困難です。これを考慮しはじめると、人員の適正な配置が難しいことがあります。パワーアシストスーツを使えば少ない力で作業できるため、腰痛を防止することができるでしょう。

3.大きな機械でないため保管スペースをとらない

アクティブタイプのパワーアシストスーツは、モーターの動力やセンサーなどの精密機械を背負っているとはいえ、重さは数キロ程度にとどまります。また、衣類型や外骨格型が多いため、さほど大きさもありません。したがって、大規模な介護ロボットと違って大きな保管スペースは必要ないのが特徴です。

パワーアシストスーツの問題点

パワーアシストスーツを導入するにあたり、懸念される問題点があります。次の4つの点について順番に説明しましょう。

  1. 高額な費用
  2. 着脱に手間がかかる
  3. 動きが制限される
  4. 導入しても現場に浸透しない

1.高額な費用

パワーアシストスーツには安価のモデルも登場してきていますが、まだまだ値段が高いという声がよく挙がります。

サポートタイプは数万円から購入できますが、パッシブ型やアクティブ型となると数十万円、中には100万円規模の予算が必要です。初期費用が高額になると、どうしても導入に際してハードルとなるでしょう。

2.着脱に手間がかかる

一般的なパワーアシストスーツはリュックのように背負って、ベルトをいくつか締めて使用するものが多いので、慣れれば1人でも装着可能です。しかし、慣れるまでは時間がかかってしまい、面倒に感じてしまう人も多いでしょう。

また、電源が不要で動力を使わないサポートタイプのパワーアシストスーツの中には、手動で空気を入れる必要があるタイプのものもあり注入の手間がかかります。

3.動きが制限される

機種によっては窮屈感を感じたり、しゃがんだりする動作がしにくいという声もよく聞かれます。スーツ本体も軽くなったとはいえ数キロの重量があるため、慣れるまでは違和感を感じてしまう人もいることでしょう。また、操作性が馴染まないことも考えられます。

4.導入しても現場に浸透しない

高価なパワーアシストスーツを導入しても、着脱や動作の不便さを理由に、現場で利用が進まないケースがよくあります。 はじめての機器なので、導入当初は慣れないことも多いでしょう。 現場に浸透させるまでにさまざまな工夫が必要になるのは問題点と言えます。

問題点への対応策

これまでパーアシストスーツ導入の問題点を挙げましたが、次にこれらの問題点に対する対応策を順に説明します。

1.費用面の対応策

費用が高額な点に関しては、リースやレンタルを活用して初期費用を抑えられます。

リースやレンタルを行っている事業者は多く、例えば株式会社ナックが行っているイノフィスの「マッスルスーツエブリィ」のレンタルサービスでは、月額5,478円で利用可能です。メーカー自身がレンタルに対応している場合も多く見られます。

また、各自治体で行われている補助金の活用も有効です。自治体により補助金の申込時期や要件が異なるため、補助金の活用が前提でアシストスーツの購入を計画する場合は、事前に自治体に補助金が受けられることを確認しておきましょう。

なお、実際に補助金を受け取るには、自治体の審査を受けなければなりません。必ず補助されるかどうかは審査が終わらないとわからない点にも注意しましょう。

2.着脱や動作の不便さへの対応策

パワーアシストスーツのタイプによっても、装着者の感覚が異なります。 導入の際には、価格だけでなく機能性も十分に検討する必要があるでしょう。 可能であれば複数社のデモを試して、多くのスタッフに実際に装着してもらい、導入前後のイメージのギャップを少なくすることが大切となります。

また、サポートタイプやパッシ型のパワーアシストスーツであれば10分程度で装着できるものもあり、慣れれば着脱にそれほど手間はかからないでしょう。 不便さについても、操作に慣れていくことで要領を得てスムーズに動作できるようになる場合があります。

3.現場に浸透しないことへの対応策

導入の際には、パワーアシストスーツを導入することによる効果を、事前に現場スタッフに十分に理解してもらうことが大切です。トップダウンではなく、現場スタッフを巻き込んで運用体制を整えておくことに留意しましょう。目的と効果を認識することで、より効果的な使用方法が見つかるかもしれません。

4.他の手段も検討する

デモを試してみて着脱や動作の不便さが解消されない場合、他の移乗介護ロボットと比較してみることも一案です。パワーアシストスーツ以外にも効果的な対応が考えられるかもしれません。施設の現状に合った、スタッフも使ってしっくりするものを利用しましょう。

介護向けパワーアシストスーツ7選

ここからは介護向けパワーアシストスーツ7選を紹介します。

マッスルスーツ エブリィ|株式会社イノフィス

マッスルスーツEvery

出典:マッスルスーツEvery https://musclesuit.co.jp/product/

「マッスルスーツ エブリィ」は空気圧によって動くタイプのパワーアシストスーツです。動力を使用しないため、浴室など水回りの箇所でも使用でき稼働時間の制限もありません。 本体重量は3.8㎏と軽量で、慣れれば約10秒で装着可能です。

また、操作も簡単ながら最大補助力25.5kgfで動作をアシストします。家庭用でも購入可能な低価格なので、手軽に導入できるでしょう。

マッスルスーツEveryの比較ポイント

  • 操作も簡単で最大補助力25.5kgfで動作をアシスト
  • 空気圧で動くので、稼働時間や場所の制限なし
  • 10秒で装着可能

製品情報

タイプ パッシブタイプ
重量 3.8kg
連続稼働時間
デモの有無 あり
レンタルの有無 あり
価格帯 メーカー希望小売価格:149,600円(税込)

J-PAS fleairy(フレアリー)|株式会社ジェイテクト

J-PAS fleairy(フレアリー)

出典:J-PAS fleairy(フレアリー) https://active-life.jp/jpasfleairy/

「J-PAS fleairy」は、センサーで動きを検知し、適切なタイミングでモーターが動作をアシストするアクティブ型のパワーアシストスーツです。

介護作業中の腰の負担を大きく軽減し、トイレ空間等での立位保持介助では59%低減、オムツ交換などの中腰姿勢保持では約94%低減を実現しました。(株式会社ジェイテクト調べ)

外殻フレーム構造をもたない、衣服型ベルト巻き上げ式により大幅な軽量化を実現しています。

J-PAS fleairy(フレアリー)の比較ポイント

  • センサーに連動したモーターの駆動により、適切なタイミングと力でアシスト
  • 腰部への負担を大幅軽減
  • 衣服タイプのアクティブ型で、業界最軽量クラス

製品情報

タイプ・動力 アクティブ
本体重量 1.6kg
連続稼働時間 約4時間 (当社規定の動作環境下での測定結果による)
デモの有無 あり(施術院関係・医療従事者の方・法人に限る)
レンタルの有無 あり
価格 本体セット(本体、バッテリー、ベスト、膝パッド、脚部ベルト) ¥298,000 (税込¥327,800)

サポートジャケットBb+PROⅡ|ユーピーアール株式会社

サポートジャケットBb+PROⅡ

出典:サポートジャケットBb+PROⅡ https://www.upr-net.co.jp/products/suit/bbpro2.html

「サポートジャケットBb+PROⅡ」は、初代モデル発売から5年かけ、作業性・快適性の向上にさまざまな改良を重ねた新モデルです。「サポートジャケットBb+PROⅡ」は、初代モデル発売から5年かけ、作業性・快適性の向上にさまざまな改良を重ねた新モデルです。

第二の背骨と位置づける独自開発の「Bb+」が理想的な姿勢へ誘導するフォームナビ機能と大きなベルトで腰周辺を安定させるランバーサポート機能、前屈や起き上がりの動作をサポートするマッスル機能など科学的な視点で開発されています。

サポートジャケットBb+PROⅡの比較ポイント

  • 理想的な姿勢へ誘導するフォームナビ機能
  • 腰回りを安定させるランバーサポート機能
  • 脚の筋肉を補助するマッスル機能

製品情報

タイプ サポートタイプ
重量
連続稼働時間
デモの有無 各地の体験会や展示会にて
レンタルの有無
価格帯 メーカー希望小売価格 ¥41,800(税込)

レイボ エクソスケルトン|LAEVO B.V.

レイボ エクソスケルトン

出典:レイボ エクソスケルトン https://laevo.jp/

「レイボ エクソスケルトン」は、オランダで開発され、日本人用にチューニングされたパワーアシストスーツです。

胸パッドと腰ベルトを留めるだけの簡単操作で、電源やバッテリーなどの動力は不要です。 かがんだ時に蓄えたパワーを利用する「エネルギー回生システム」や体幹を3本の「骨」で支えることにより、前かがみ時の肩から腰の負担を40~50%軽減します。(株式会社加地調べ)

立ち膝での前屈姿勢や中腰での前屈姿勢のまま左右に回旋するなど、自然な動作も可能です。

レイボ エクソスケルトンの比較ポイント

  • 簡単装着であらゆる動作を自然にアシストする
  • かがむ時に蓄えたパワーを利用する「エネルギー回生システム」
  • 体幹を3本の「骨」で支える

製品情報

タイプ パッシブタイプ
重量 約2.8㎏
連続稼働時間
デモの有無 あり
レンタルの有無
価格帯 一着 641,970円(税抜)

楽衞門(らくえもん)|株式会社ラクエモン

楽衛門

出典:楽衛門 https://rakuemon.jp/

「楽衞門」はシンプルな構造で、気軽に脱着できるパワーアシストスーツです。軽量かつ約10秒で脱着できるのが魅力です。

独自開発した3層構造の超高弾性素材である超ハイパワーゴムの復元力により、屈伸をともなう腰の曲げ伸ばしをアシストします。

また、両肩と股間の3点を支点に腰を支えているので、まるで無重力のように腰が浮き上がり、骨盤の位置が安定します。

楽衛門(らくえもん)の比較ポイント

  • 軽量で10秒で脱着可能
  • 超ハイパワーゴムで腰の曲げ伸ばしをアシスト
  • 両肩と股間の3点を支点にして腰を支えるので骨盤が安定

製品情報

タイプ パッシブ
重量 約0.8kg
連続稼働時間
デモの有無 あり
レンタルの有無 あり
価格帯 販売価格 38,000円(税込 41,800円 ※送料無料)

PAIS-B100|パワーアシストインターナショナル株式会社

PAIS-B100

出典:PAIS-B100 https://pai.co.jp/product/pais-b100/

「PAIS-B100」は、4.4kgと軽量コンパクトで電磁ブレーキにて中腰作業時の姿勢保持のアシストができるパワーアシストスーツです。現在改良中で販売はしていません。

PAIS-B100の比較ポイント

  • 4.4kgと軽量コンパクト
  • 動力は電磁ブレーキのアクティブ型
  • 中腰作業時の姿勢保持をアシスト

製品情報

タイプ アクティブ型
重量 4.4kg
連続稼働時間
デモの有無 改良中で販売休止(2022年5月時点)
レンタルの有無 改良中で販売休止(2022年5月時点)
価格帯 直販、代理店経由での販売価格 72万円(税抜)

HAL®腰タイプ|CYBERDYNE株式会社

CYBERDYNE株式会社

出典:HAL https://www.cyberdyne.jp/products/bb04.html

「HAL®腰タイプ介護・自立支援用」は、介護支援と自立支援の2つの用途で活用できる、装着型サイボーグとも呼べるパワーアシストスーツです。

新商品では、運動時に脳から筋肉へ送られる運動意思を反映した「生体電位信号」を読み取り意思に従った動作を実現するHybridモードに加え、「生体電位信号」を検出できなくても、人のような動作を実現する「サイバニクス自律制御」のみのアシストを受けるモードが選択できるようになりました。

介護者が装着することで介護動作時の腰部負荷や腰痛発生リスクを低減することを目的とした「介護支援用途」と、介護を受ける方が装着することで、弱った足腰などの身体機能の向上を目的とした「自立支援用途」の2つの用途で使用できます。

HALについては世界初の装着型サイボーグ「HAL」!実際の評判・導入事例についてもご紹介!でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

HALの比較ポイント

  • 運動をアシストし自立を支援
  • 介助時の腰の負担を軽減
  • 新制御モードでユーザビリティ向上

製品情報

タイプ アクティブ
重量 3.1kg (バッテリ含む)
連続稼働時間 約180分(動作環境に応じて変動あり)
デモの有無
レンタルの有無 施設向け・個人ともレンタル可
価格帯 介護支援用 初期導入費用 100,000円 1年契約 108,000円/月 3年契約  78,000円/月

まとめ

パワーアシストスーツは、医療や介護業界のほかさまざまな業界で広く活用されています。普及が進むメリットは次のとおりです。

  1. 少ない人数で移乗介助ができる
  2. 職員の腰痛を防止することができる
  3. 大きな機械でないため保管スペースをとらない

初期費用や使い勝手の点でデメリットも指摘されるものの、どれも正しく対応すれば決定的なデメリットにはなりません。今回紹介したおすすめ機種も参考にされ、介護される方の負担軽減と業務改善のため、パワーアシストスーツ導入の検討に役立てば幸いです。

介護ロボットについては介護ロボット徹底解説|種類やメリット、具体的な製品紹介まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

アシストスーツ選びの専門知識・時間が無い方

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セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.

URL:https://twitter.com/toyoda_2ndLabo

セカンドラボ株式会社の社員。病院・介護施設のDX&業務効率化オタク。中小企業診断士取得予定(8月)です。毎日医療福祉施設向けの製品やサービス、企業の調査研究を行っています。


フリーランスWEBライター

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元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。

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