2015年に労働安全衛生法が改正されて以来、健康管理システム市場は年々拡大してきました。現在では、さまざまなサービスがリリースされています。健康データの一元化による業務効率化以外にも、データを活用した組織の健康リスク解消まで行えるものもあり、今後も利用する企業は増える見通しです。
とはいえ、どの健康管理システムを選んだら良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。当記事では、企業向け健康管理システムの選び方やおすすめの健康管理システムを紹介していきます。健康管理システムの導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
企業向け健康管理システムを選ぶためには、下記の点に注目してみましょう。
ここからは、それぞれのポイントを具体的に解説していきます。
まずは「人事データの連携はスムーズか」という点です。従業員が多い事業所では、従業員の情報を一から手入力すると時間と労力がかかります。CSVファイルでデータを簡単に取得できるものや、既存の労務・勤怠管理システムとAPI連携できるサービスを選ぶのが良いでしょう。
なかには給与データなどを備えたシステムもあり、人事管理領域を一気に効率化させることが可能です。たとえば株式会社iCAREの「Carely(ケアリィ)」は、連携できる労務管理システム「SmartHR」や勤怠管理システム「TeamSpirit」「KING OF TIME」を公開しています。
「どこまで課題解決したいか」という点も、選ぶ際のポイントのひとつです。健康データの収集と一元管理までで十分なのか、それともデータを活用して従業員の健康増進や健康経営にも取り組む予定なのかどうかで、必要なサービスは変わってきます。
また、サービスによってはオプション機能でストレスチェックテストや産業医面談、専任コンサルタントによる健康経営コンサルなども行っています。外国人労働者が多い職場では、医療通訳サービスなどの機能があると便利でしょう。健康管理システムで解決したい課題を整理しながら、どこまでの機能を求めるかを決めてサービスを選択することが大切です。
たとえば、株式会社iCAREの「Carely(ケアリィ)」には、提出されたデータをもとに、健康リスクの高い従業員を自動抽出する機能がついているため、早めのアクションを起こすことが可能になります。
また、NTTテクノクロス株式会社の「HM-neo」では、健診結果やストレスチェックなどはもちろん、特殊業務履歴などデータの一元管理に強みがあります。それぞれのシステムの特長を知ることで、自社に適した健康管理システムを選ぶことができるでしょう。
健康管理システムにはクラウド型とオンプレミス型の2種類があります。おすすめの健康管理システムはクラウド型です。クラウド型は低コスト・低期間で導入ができ、運用管理の手間も必要ありません。
自施設に合わせたカスタマイズや開発を強く希望する場合は、オンプレミス型がおすすめですが、そうでない場合はクラウド型を選ぶようにしましょう。
おすすめの企業向け健康管理システムは下記の通りです。
ここからは、それぞれの健康管理システムの特長を解説していきます。
「Health Data Bank」は2002年に運用を開始した健康管理システムです。豊富な実績と便利な機能が注目され、従業員健康管理システムにおいてトップシェアを獲得しています。ワンタイムパスワード認証を採用しており、強固なデータセキュリティを実現しているところも特長のひとつです。
Health Data Bankの比較ポイント
製品情報
導入実績 | 2,000団体、400万人以上の利用実績 |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 人数課金のため要問合せ |
機能 | 健康課題の抽出、健診データの一元化、労働基準監督署への報告帳票作成、ストレスチェックの実施など |
特徴 | 約2,000医療機関とのデータ変換実績で健診データの一元管理が可能 |
「Carely(ケアリィ)」は労働安全衛生法で定められている各種健康情報を、ペーパーレスで一元管理できるシステムです。健康診断、ストレスチェックの結果、残業時間、意見書など、すべての情報が個人カルテに集約されるため、面談準備の時間がかかりません。
国際規格のセキュリティ認証を取得しているので、個人情報保護の面でも安心です。
Carely(ケアリィ)の比較ポイント
製品情報
導入実績 | 導入企業数490社(2021年12月時点)、継続利用率99.4% |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 初期費用従業員1人あたり~1,000円、基本月額料金従業員1人あたり~350円※ボリュームディスカウントあり |
機能 | 健康診断の事後措置、健康データの一元化、ストレスチェックの実施、長時間労働の管理、面談記録の記入 ・保管、各種労基署報告書の作成など |
特徴 | マニュアルなしで誰もが使えるシンプルな画面設計と豊富な機能の利便性の高さが特徴 |
NTTテクノクロス株式会社は、NTT研究所の幅広い分野での実績に基づく知識処理技術をベースとして、健康医療分野の豊富なノウハウを活かした健康管理システムを提供しています。
クラウド型とオンプレミス型の2パターン用意されているため、自施設に合ったサービスを選ぶことが可能です。
HM-neoの比較ポイント
製品情報
導入実績 | 全国940ヵ所以上の導入実績 |
---|---|
タイプ | クラウド型・オンプレミス型 |
費用 | 要問合せ |
機能 | 健康データの一元化、ストレスチェックの実施、帳票出力、健診・面談予約、産業医面談や保健指導をサポートなど |
特徴 | 30年以上の利用実績を誇る健康管理システム |
「Health Support System(H.S.S)」は約70万人以上のデータを管理しており、15年以上にわたる稼働実績を誇る健康管理システムです。再検査などの受診推奨対象者を簡単に検索し、一括で受診推奨のメール配信が可能です。
プレミアムプランなら、特殊健診や個別のカスタマイズもでき、より便利に使うことができます。
Health Support System(ヘルスサポートシステム)の比較ポイント
製品情報
導入実績 | 970社以上86万人以上の実績 |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 従業員1名あたり140円(従業員数1,000名の場合)※ボリュームディスカウントあり |
機能 | 健康管理、保健指導、ストレスチェック、長時間労働管理、WEB調査、データ集計・出力など |
特徴 | Zoom連携機能でオンライン面談にも対応でき、在宅勤務者へのフォローもできる |
「LifeMark HealthAssist(ライフマークヘルスアシスト)」は富士通株式会社がリリースしている健康情報ソリューションです。富士通社内で実践し、蓄積したナレッジやノウハウで従業員の健康管理をサポートしてくれます。
データは数値で見える化されるので、施策の立案や効果の把握が容易になります。
LifeMark HealthAssist(ライフマークヘルスアシスト)の比較ポイント
製品情報
導入実績 | 要問合せ |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 要問合せ |
機能 | 健康状態の一元化、保健指導、統計・分析、健康経営サポート、受信状況の把握など |
特徴 | 業務を自動化・効率化する機能で健康経営の推進をサポート |
「newbie」は健康数値をデータ化・見える化・分析・改善するだけでなく、健康経営サイクルを円滑に回すことができるクラウド型サービスです。従業員や組織の健康状態を、年代別・部署別など、さまざまな角度から分析・比較できます。
「ストレスチェックのみ」「健康診断のみ」などといったプランも用意されているため、予算や目的に合わせて選ぶことが可能です。
newbie(ニュービー)の比較ポイント
製品情報
導入実績 | 要問合せ |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 |
|
機能 | ストレスチェック、ダッシュボードでの組織分析、報告書の自動作成、面談記録管理など |
特徴 | ストレスチェックの実施から健康診断の分析など、自施設に合ったサービスを選ぶことが可能 |
「勤次郎Enterprise ヘルス×ライフ」では、健康ポイントシステムを採用しています。従業員の健康状態によってポイントが付与されるため、ポイントインセンティブなどが可能です。
健康経営のやる気が伝わるだけでなく、従業員のモチベーションアップにも繋がります。無料お試し期間もあるため、初めての企業でも安心して取り組むことができるでしょう。
勤次郎Enterprise ヘルス×ライフの比較ポイント
製品情報
導入実績 | 要問合せ |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 要問合せ |
機能 | ストレスチェック・分析、健康診断の一元管理、診断結果判定・分析など |
特徴 | 健康ポイントで従業員の健康状態が分かりやすく判断できる |
「FiNC for BUSINESS」は人事側の健康状態把握だけでなく、従業員それぞれが健康課題を意識できるような企画を提供しています。
たとえば「歩数ランキング」では、部署のメンバーがオンラインで歩数を競います。また、歩行や体重記録に応じてポイントが付与され、ポイントはウェルネスセレクトショップFiNC MALLで1ポイント=1円相当で使用可能です。
FiNC for BUSINESSの比較ポイント
製品情報
導入実績 | 320社以上の導入実績 |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 要問合せ |
機能 | 健診データ管理、健康状態の可視化、健康チャレンジプログラム、歩数ランキング、チャットルームによるコミュニティなど |
特徴 | 酸魚保険領域の業務効率化だけでなく、従業員本人の健康行動をサポートするクラウド型ソフト |
「WELSA」は「メンタル」と「フィジカル」の両面から健康リスクを評価できるソフトです。全体状況の把握や経年変化を見ることで、健康課題の早期発見や早期対策が可能になります。
40代以上の従業員に対しては、健康診断・生活習慣の結果をもとに、重大疾病の10年以内の発症リスクを計算できるのも特長です。
WELSAの比較ポイント
製品情報
導入実績 | 要問合せ |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 要問合せ |
機能 | 健康状態の一元管理、グラフでの視覚化、経年データの閲覧・抽出、健康リスク分析、重大疾病リスク予想など |
特徴 | ストレスチェック分析だけでなく、プレゼンティズム調査やエンゲージメント調査、ハラスメント調査など追加対応も可能 |
「mediment(メディメント)」は、シンプルで簡単な操作が特長のクラウド健康管理システムです。産業医とのオンライン面談やPCR検査申込など、新型コロナ対策も充実しています。
セキュリティも強固で、個人情報保護の面でも安心して利用が可能です。過去に導入した企業のなかには、健康管理業務にかかる業務が93.5%削減できたという報告も上がっています。
mediment(メディメント)の比較ポイント
製品情報
導入実績 | 要問合せ |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 要問合せ |
機能 | 健康データの可視化、ストレスチェックの実施、受診推奨、産業医連携、労基署へのシステムを自動作成など |
特徴 | 組織の健康管理・データ活用をスマートに解決してくれるクラウド健康管理システム |
「Be Health(ビーヘルス)」はシンプルな機能で、安さにチャレンジした健康管理システムです。予算やこだわりに合わせ、クラウド型かオンプレミス型かのどちらかを選択できます。
オプションも付けられるので、自施設の要望に合わせた健康管理が可能です。健診データは、人間ドック学会基準で判定を統一できます。
Be Health(ビーヘルス)の比較ポイント
製品情報
導入実績 | さまざまな業種の企業や大学、官公庁での導入実績あり |
---|---|
タイプ | クラウド型・オンプレミス型 |
費用 | 要問合せ |
機能 | 健康状態の一元管理、ストレスチェック、受診推奨者の抽出など |
特徴 | 従業員1人あたりのコスト最安値、5年間でのトータルコスト最安値にチャレンジした健康管理システム |
「コンレポ」は人に寄り添い、健康と安全を見守る企業・自治体向けのマネジメントサービスです。従業員の体調や体温を毎日チェックし、レポート出力ができます。
また災害時の安否確認を即時に、一括して行うことも可能です。さらに、ドライバーの乗車前後のアルコールチェックもできるので、事故を未然に防ぐこともできます。
コンレポの比較ポイント
製品情報
導入実績 | ー |
---|---|
タイプ | ー |
費用 | 従業員1人あたり月額100円※サービスによって料金の変動あり |
機能 | 毎日の健康チェック、心の変化の気づき、ストレスチェック、健診データのデジタル管理、アルコールチェック、安否確認など |
特徴 | 健康管理だけでなく、従業員の安全も確認できるシステム |
「健康観察ツール eへるすLite」は、従業員の毎日の健康管理を可能にするサービスです。登録された情報は、リアルタイムに集計し、グラフや一覧で見える化できます。最速3営業日内に導入できるので、今すぐに健康管理システムを導入したい企業にもおすすめです。
日々の健康観察だけでなく、ワクチンなどの予防接種情報も個人で管理できます。
健康観察ツール eへるすLiteの比較ポイント
製品情報
導入実績 | 要問合せ |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 要問合せ※ボリュームディスカウントあり |
機能 | 体調異常者・未入力者の抽出、柔軟な検索機能、体調異常データ発生時のメール通知機能、ストレスチェック、安否確認など |
特徴 | シンプルな操作性で短期間での導入が可能なクラウド提供型サービス |
「すこやかサポート21」は運営歴20年以上の実績があり、課題やリスクの早期発見・予防対策のできる健康管理システムです。
健康診断だけでなく、面談指導、長時間残業、休職・復職などの健康データの一元管理が可能になります。セキュリティ対策も万全で、安心・安全に利用できるでしょう。
すこやかサポート21の比較ポイント
製品情報
導入実績 | 20年以上、1,000名規模から数万人規模の企業に導入実績あり |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 要問合せ |
機能 | 健康状態の一元管理、長時間労働管理、二次検査対象者の抽出、データ化サポートなど |
特徴 | さまざまな健康データを一元管理、課題・ニーズに合わせたクラウド型健康管理システム |
「アドバンテッジヘルスケア」は「データの見える化」と「データ活用・健康経営の推進」を強みにした健康管理システムです。
健診結果から明らかになった健康課題に対して、亜sン行保健支援や健康維持支援のつながるソリューションを提示してくれます。健診未申込者に対して、督促メールの配信も可能です。
アドバンテッジ ヘルスケアの比較ポイント
製品情報
導入実績 | 要問合せ |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 要問合せ |
機能 | 健診予約システム、健診結果のデータ化・一元管理、健診結果の入力代行、勤怠データとの連携など |
特徴 | 全国2,800件の医療機関と提携実績のある健康管理システム |
「VCバリューパック」では全国3,000以上の提携健診機関とのネットワークを活かし、健診機関に契約を依頼できます。
健診予約システムを使えば、24時間365日インターネットで予約が可能です。健診機関からの請求書を取りまとめ、煩雑な健診費用の支払手続きの代行もできるため、利用者の満足度向上にもつながるでしょう。
VCバリューパックの比較ポイント
製品情報
導入実績 | 健康経営銘柄7社、大規模法人233社、中小規模法人820社の支援実績あり |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 要問合せ |
機能 | 健診機関との契約代行、未申込者の受診督促代行、健診費用の清算代行、健診結果のデータ管理、報告用集計など |
特徴 | 健診実施に係る業務の効率化と受診者および管理者の利便性向上をサポートするサービス |
株式会社麻生情報システムの「健康管理支援システム」は、人事情報や健康情報をサーバ内で一元管理するシステムです。
保健指導対象者を抽出し、報告資料の作成などの作業が行えます。管理者・従業員それぞれに向けたオプション機能もあるので、目的や予算に応じてカスタマイズできるでしょう。
健康管理支援システムの比較ポイント
製品情報
導入実績 | 要問合せ |
---|---|
タイプ | オンプレミス型 |
費用 | 要問合せ |
機能 | 健診データの一元管理、長時間労働や病休者・予防接種の管理、保健指導対象者抽出、抽出データのCSV形式出力など |
特徴 | 健康管理業務の効率化や報告業務の迅速化をサポートする健康管理支援システム |
「従業員健康管理クラウドサービス」はクラウド型でありながら、カスタマイズにも柔軟に対応できる健康管理システムです。
グループ内異動など、複雑な情報管理にも対応しています。仮名化した健康情報と暗号化した人事情報を分離して管理しているため、情報漏洩のリスクの低減を可能にしました。
従業員健康管理クラウドサービスの比較ポイント
製品情報
導入実績 | 日立グループにおける導入実績54社187,000人 |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 基本月額250,000円~※初期導入費は要見積もり |
機能 | 健診管理、面談管理、就業制限管理、集計機能など |
特徴 | SIとクラウドサービスを組み合わせ、業務の効率化とトータルコストの低減を実現したサービス |
「LIFEDESK」はクラウド上で健康状態を保存し、管理できるシステムです。不安なことや悩みがある従業員は、チャット機能を使って、保健スタッフからアドバイスを受けることができます。
ストレスチェックや各種アンケートは、マークシートで対応しているため、パソコンがない従業員がいても安心です。
LIFEDESKの比較ポイント
製品情報
導入実績 | 要問合せ |
---|---|
タイプ | クラウド型 |
費用 | 月額100円/人、初期設定費用100,000円/社、保守料無料※追加オプション料金あり |
機能 | 健診データの一元管理、ストレスチェック、勤怠管理、保健指導・面談結果登録、アンケート機能など |
特徴 | 健康診断・ストレスチェック・勤怠データを一元管理できる健康管理システム |
健康管理システムは、従業員の健康状態をデータ化し、一元管理するシステムのことです。従来の健康管理システムは、紙やエクセルを用いることが主流でした。しかし、従業員の増加に伴い、健康管理は難しくなり、過重労働や不調を見落としてしまうケースも少なくありません。
健康管理システムを導入し、データで健康管理をすることで、疾病の早期発見や予防ができるばかりでなく、業務効率化にも役立ちます。健康状態をデータ管理し、活用することで、離職率の抑制や生産性の向上にも繋がるというメリットもあります。そのため、健康管理システムの導入は「コスト」ではなく、「戦略的な経営投資」であるという見方が近年強まっているのです。
企業によって、リリースされている健康管理システムはさまざまです。それぞれのサービスで、機能や使い方は異なっています。そこで、健康管理システムの主な機能を改めて整理していきましょう。
ここからは、健康管理システムでできることを解説していきます。
まずは「健診管理業務の効率化」です。基本的にはどの健康管理システムにも、健康状態を一元管理できる機能が標準装備されています。従来、紙やエクセルで行われていた健診関連の業務を、ペーパーレス化し、データで保管するのです。
受診管理や健診結果のパンチング、再検査の受診推奨や未受診者へのリマインドなど、煩雑な業務を健康管理システムひとつで行うことができます。健診管理業務が簡素化されることで、管理者の負担軽減につながるでしょう。
次に挙げられるのは「ストレスチェック実施・産業医面談管理」ができることです。労働安全衛生法では、労働者50人以上の事業所に対し「ストレスチェックテストの実施」が義務付けられています。
健康管理システムを導入することで、WEB上でのストレスチェックテストの実施が可能です。さらに、結果を分析し、産業医面談が必要なスタッフを選定、オンライン面談の実施までを一環して行うことができるようになります。
健康管理システムによっては、健康経営コンサルティングも行ってくれるため、健康経営優良法人の認定取得をサポートしてもらうことが可能です。健康経営優良法人認定制度とは、地域の健康課題に即した取り組みなどをもとに、特に優良な健康経営を実践している企業を顕彰する制度のことです。
従業員の健康データを一元化するだけでは、健康経営の推進はできません。データを活用しながら、最適なアドバイスやサポートを行ってくれることで、健康経営優良法人の認定取得をサポートしてくれるのです。
就労データのアップロードや勤怠管理システムと連携できる健康管理システムもあります。そのような健康管理システムを使うことで、過重労働状況の把握ができるようになるでしょう。
これまでは、勤怠管理システムから一人一人の勤務時間を洗い出すことでしか、過重労働の管理はできませんでした。しかしながら、健康管理システムを使えば、基準値をあらかじめ設定することで過重労働を抑制できます。対象者には、厚生労働省が公表している疲労蓄積度チェックを実施することも可能です。
最後は「ワクチン接種予約管理」が挙げられます。健康管理システムの中には、新型コロナウイルスやインフルエンザのワクチン接種予約・管理が行えるものもあります。システム上で、ワクチン接種の予約が変更が可能なので、従業員にとっても便利な機能といえるでしょう。
ワクチンの接種漏れを防ぐために、各従業員の接種予約日に応じたリマインドメールの送信を行うことも可能です。
健康管理システムを導入することで、下記の3つのメリットが期待できます。
ここからは、それぞれの効果とメリットについてみていきましょう。
最初のメリットとして「事務スタッフの業務負担が減る」ことが挙げられます。従業員の健康管理には、かなりの時間と労力がかかります。労働基準監督署へ提出する「定期健康診断結果報告書」や「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」など、手作業で作成するとなると大きな負担となるでしょう。
従業員が多ければ多いほど、管理者の負担は大きくなります。健康管理システムなら、上記の書類を自動で作成してくれる機能が付いているものがほとんどです。そのため、大幅な工数の削減につながり、作業時間の圧縮ができるでしょう。
また、スタッフの健診の受診状況を管理したり、再検査の受診推奨、未受診者へのリマインドが健康管理システムひとつで可能となります。事務スタッフの業務負担が減ることで、他の業務に手をかけられるようになり、人件費の削減にもつながるでしょう。
次に「組織の健康に関わる課題が把握しやすくなる」という点も挙げられます。健康管理システムなら、健診やストレスチェックテストの結果などの健康データと、勤務時間や残業時間などの就労データを一元管理できます。
それにより、部署ごとや個人単位の健康リスクを把握しやすくなるのです。紙ベースのデータを洗い出さなくても、一目で健康課題が把握できるので、早期対策が可能になります。
最後のメリットは「離職率の低下につながる」という点です。離職者の多くは、過重労働などの労働環境をはじめとする会社への不満を抱えています。健康管理システムなら、過重労働状況の把握や、メンタル不調者の検出が可能です。
従業員が離職する前に対策ができるので、離職率の低下につながるでしょう。さらに、専門家による健康相談や、根本的に予防するための取り組みを企画したり、実行をコンサルティングしてくれるサービスもあります。離職率が多い企業であれば、そのようなサービスがある健康管理システムの検討もしてみましょう。
企業の健康経営をサポートしてくれる健康管理システムについて解説してきました。健康管理システムを導入することで、離職率の低下や生産性の向上を図ることができ、企業においても大きなメリットとなります。
従業員ひとりひとりの健康を大切にすることで、会社への満足度にもつながるでしょう。健康管理システムはさまざまな企業からリリースされており、それぞれに機能や特長が異なります。自社に合ったシステムを選ぶためには、健康管理システムを導入する目的をはっきりさせ、予算と相談してみましょう。