ジェネリックや新しい医薬品など、その種類は年々増加しています。毎日慌ただしい業務の中で、医薬品の在庫管理や適正量を見極めて発注していくことは、容易ではありません。過剰発注や有効期限切れなど、気をつけているつもりでも、ヒューマンエラーは必ず起こってしまうものです。
病院の規模が大きければ大きいほど、扱う医薬品が多ければ多いほど、在庫の管理は複雑になりますし、職員の負担も大きくなります。病院での在庫管理における労務幅の削減や経営悪化リスクの回避するためには、医薬品在庫の適正な管理が欠かせません。
今回は、医薬品の適正な管理を行うことができる、医薬品在庫管理システムを比較紹介していきます。医薬品在庫管理システムのメリットから選び方、実際にどんなシステムがあるのか、詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
医薬品在庫管理システムを導入することで、医薬品の在庫管理はもちろん、そのほかたくさんのメリットがあります。
医薬品在庫管理システムは、医療現場の縁の下の力持ちともいえる存在ですが、そもそもどのようなものなのでしょうか?
導入することで実際にどんなことが可能なのか、そのシステムの概要とメリットを解説していきます。
医薬品在庫管理システムは、医薬品の在庫管理を大きな柱として発注、検品、入庫などの事務手続きを総合的に支援してくれるサービスになります。
システム内で現在の在庫状況が一目で把握できるので、在庫切れや過剰発注を防ぐことが可能です。
そのほか、伝票事務の際の転記ミスや請求ミスを防止したり、医療材料の管理などさまざまな業務をサポートしてくれます。
在庫管理のほかにも、各医薬品の適正数量を自動で算出したり、在庫データを集約し統計を出すなど、病院経営に役立てることも可能です。
各メーカーで使用できる機能には多少の違いがありますが、いずれも医薬品の管理において心強い味方となることは間違いないでしょう。
新医薬品開発やジェネリック化により在庫管理のコストが増加していく中、医薬品や医療材料などを適正に管理できるかどうかは、大きな課題です。
病院の在庫管理におけるリスクは、欠品だけでなく過剰発注も同様に、経営悪化を招いてしまいかねません。
医薬品在庫管理システムの元で購入から管理、使用に至るまでを見える化することは、業務の効率化に繋がります。
在庫管理のシステム化を進めることで、スタッフの労務コスト削減、経営悪化のリスク回避を実現できるのです。
医薬品の在庫を管理し購入からデータ分析まで行えることは、安定した病院経営をする上で大きなメリットがあります。
では、実際にどのように医薬品在庫管理システムを選べばよいのでしょうか?抑えておきたい選び方のポイントを、具体的に解説します。
医薬品在庫管理システムを導入するにあたって、発注をオンラインで完結できるかどうかは大切なポイントです。
オンラインで確認した在庫の状況や有効期限を見て、その流れで発注を終えることができれば、業務がスムーズになりミスが起きにくくなるでしょう。
医薬品在庫管理システムには、残在庫数に応じたアラート機能や複数の医薬品卸へのシステム内入札が可能なもの、自動発注が可能なものもあります。
今の在庫管理に関連する業務の中で、負担の大きい部分や課題があれば、それらの改善が期待できるシステムを選ぶようにしてください。
現在病院でどの在庫をどれくらい抱えているのか、またそれぞれの医薬品の有効期限がいつまでなのか、すべてを把握することは簡単ではありません。この点でも、医薬品在庫管理システムは強い味方になってくれます。
有効期限の問題には使用期限管理機能が役立ちますし、ロット管理機能があれば在庫数を最小限に抑え、過剰在庫のリスクを回避できるでしょう。
また、RFID(医薬品の情報入ったタグをワイヤレスで読み込む機能)があれば、在庫識別を効率的且つ正確に行うことも可能です。
メーカーによっては、病院側の意向に沿って機能をカスタマイズすることもでき、医薬品の在庫管理における負担を大きく改善してくれます。
医薬品在庫管理システムと院内の他のデータを連携ができると、これまでぶつ切りになっていた業務の見える化を、さらに進めることができます。
例えば医事システムとの連携ができれば、使用した医薬品の医事請求漏れのチェックも可能です。
また、最新の医薬品データベースと連携できれば、償還/薬価を一括更新できるので、その後の医薬品扱いがスムーズになります。
さらに購入データと連携することで、価格ベンチマークを他社と比較して最適に調整することも可能です。
これらは業務の効率化だけでなく、複雑な作業によるミスを減らし、業務の改善に大きく貢献してくれることでしょう。
病院向けの医薬品在庫管理システムを選ぶにあたり、おすすめのシステム14選をご紹介します。
自院に必要な機能と照らし合わせながら、概要をチェックし最適なシステム選びにお役立てください。
Medyus2(医薬品版)は、医薬品の情報を一元的に管理し、購入から使用までの物流管理業務の効率化が実現できます。実際の使用実績から適正な定数を導き出したり、在庫管理や発注に関しても自動化が可能です。
また、医薬品データベースより最新マスタを自動で取得できるほか、取引先とデータの共有が可能になります。これにより業務のスピードアップが可能になるだけでなく、病院経営の改善、信頼性の向上やコスト削減に繋がり医療の質の向上が見込めるでしょう。
Medyus2の比較ポイント
製品情報
システム内入札 | お問い合わせ |
---|---|
オンライン発注 | 可 |
定数管理 | 自動発注 |
使用期限管理 | 可 |
ロット管理 | 可 |
RFID | 可 |
医事請求漏れチェック | 不可(Medyus2 医療材料版との連携で可能になる) |
償還/薬価一括更新 | お問い合わせ |
価格ベンチマーク | お問い合わせ |
HOPE LifeMark-Indiiは、医薬品や検査試薬、医療材料までの物流管理とコスト分析ができます。院内で扱う医療材料、医薬品の移動、在庫や購買情報をリアルタイムで一元管理が可能です。
また、これらの機能はそれぞれの運用やニーズに応じて構成することができます。その他にも、医事システムと物流システムを連携することにより、医事請求漏れや過剰在庫を抑制することが可能です。
医薬品だけでなく、院内の医療材料費に至るまで、総合的なアプローチによりコスト削減を実現していきます。
HOPE LifeMark-Indiiの比較ポイント
製品情報
システム内入札 | 可 |
---|---|
オンライン発注 | 可 |
定数管理 | お問い合わせ |
使用期限管理 | 可 |
ロット管理 | 不可(オプションにより可) |
RFID | お問い合わせ |
医事請求漏れチェック | 可 |
償還/薬価一括更新 | お問い合わせ |
価格ベンチマーク | 可 |
Pro_GRESS Logisticsは、変化しやすい院内物流管理に対応するための機能が豊富です。物品の回収や不具合があった場合におけるリコール情報の検索、在宅品の対応などもできます。
また、医薬品だけでなく医療材料や検査試薬、文具雑貨に至るまで業務拡張が可能です。月別の医薬品の定数と臨時の消費実績を基にしたデータから、自動発注の目安を設定できるなど、在庫の適正な管理をより正確に行うことができます。
これらのたくさんの機能を用いて、スタッフが安心して本来の業務に集中できるよう、サポートしてくれることでしょう。
Pro_GRESS Logisticsの比較ポイント
製品情報
システム内入札 | お問い合わせ |
---|---|
オンライン発注 | 可 |
定数管理 | 自動発注 |
使用期限管理 | お問い合わせ |
ロット管理 | 可 |
RFID | お問い合わせ |
医事請求漏れチェック | 不可(オプションにより可) |
償還/薬価一括更新 | お問い合わせ |
価格ベンチマーク | 不可 |
ZERO Supplyは、ハンディターミナルやSPDカードなどを使用して、希望の運用方法に合わせたシステムを構築して提供しています。既存のシステムがあれば、それを活かしてより効率的に業務が行えるように支援することも可能です。
一方的にシステムを提供するのではなく、どうすれば医薬品を始めとした院内の物流管理がしやすくなるのか、その提案を受けられるのも魅力になります。
そのほか、充実した統計データを短時間で確認することもでき、経営分析においても強い味方です。
ZERO Supplyの比較ポイント
製品情報
システム内入札 | お問い合わせ |
---|---|
オンライン発注 | 可 |
定数管理 | お問い合わせ |
使用期限管理 | 可 |
ロット管理 | お問い合わせ |
RFID | 可 |
医事請求漏れチェック | お問い合わせ |
償還/薬価一括更新 | 可 |
価格ベンチマーク | お問い合わせ |
MedicalStreamは、院内在庫を徹底管理し未開封の不動在庫なども含め、ラベルで管理するなど正しい在庫状況を見えるようにしています。このラベル管理を病院側で行うことで、これまでの購買実績(預託品を含む)を把握し、一元管理体制の構築が可能です。
また、特定診療材料が使用後に電子カルテや医事会計のシステムに登録されているかも判断できるので、医事請求漏れを防ぐことができます。
医薬品などの院内物流をはじめとした、たくさんの情報をリアルタイムで把握することで、コスト削減に繋げることが可能です。
MedicalStreamの比較ポイント
製品情報
システム内入札 | お問い合わせ |
---|---|
オンライン発注 | お問い合わせ |
定数管理 | お問い合わせ |
使用期限管理 | 可 |
ロット管理 | お問い合わせ |
RFID | 不可(新バージョン以降、オプションにより可) |
医事請求漏れチェック | 可 |
償還/薬価一括更新 | ー |
価格ベンチマーク | お問い合わせ |
Medi-Vitは、IT補助金2022対象のITツールです。発注から使用に至るまでを基本機能でカバーし、各部署での在庫管理をモバイルで行うことができます。
また、システム操作がしやすく、カーソルを画面上の該当箇所に合わせると説明が出るため、スムーズに作業をすすめることが可能です。
そのほかにも、遠隔サポートが受けられたり、レセプトシステムのデータが引き継げるなど導入時の準備作業を大幅に軽減できます。
Medi-Vitの比較ポイント
製品情報
システム内入札 | お問い合わせ |
---|---|
オンライン発注 | 可 |
定数管理 | お問い合わせ |
使用期限管理 | 可 |
ロット管理 | 可 |
RFID | 可 |
医事請求漏れチェック | お問い合わせ |
償還/薬価一括更新 | 不可(拡張機能により可) |
価格ベンチマーク | お問い合わせ |
東邦医薬品株式会社は、1986年から在庫管理システムを開発し、長年ユーザーと共に未来を見据え、進化し続けてきた会社です。最新システムであるENIFwin Nex-Susは、たくさんのお客様の声を形にした、自社開発の総合型在庫管理システムになります。
入荷履歴管理や過剰在庫の減少、部署間での在庫管理や期限の把握など、導入で得られるメリットはとても大きいでしょう。これまで培ってきたさまざまなデータをもとに、院内の物流を一元化し、あらゆる角度から経営をサポートしてくれます。
また、システムは中小病院向けスタンドアローンタイプ(単独運用)と、複数部署運用のネットワーク(LAN運用)の2つのタイプが選択可能です。
ENIFwin Nex-Susの比較ポイント
製品情報
システム内入札 | お問い合わせ |
---|---|
オンライン発注 | 可 |
定数管理 | お問い合わせ |
使用期限管理 | 可 |
ロット管理 | お問い合わせ |
RFID | 可 |
医事請求漏れチェック | 不可 |
償還/薬価一括更新 | 不可 |
価格ベンチマーク | お問い合わせ |
株式会社麻生情報システムの物品管理システムは、購入管理、在庫管理、使用(消費)管理の3つを柱として、院内物流を網羅的に管理します。これにより、在庫金額の削減、不良・不動在庫の削減などといった定量管理を安全かつ効率的におこなうことが可能です。
また、バーコード管理を取り入れることで事務作業の簡素化が図れ、病院全体としてのコスト削減や経営の改善に繋げていきます。
情報端末への入力も簡単で、現場の声をしっかりと吸い上げ、操作性にもこだわり抜いたシステムです。
物品管理システムの比較ポイント
製品情報
システム内入札 | お問い合わせ |
---|---|
オンライン発注 | 可 |
定数管理 | アラートのみ |
使用期限管理 | 可 |
ロット管理 | お問い合わせ |
RFID | お問い合わせ |
医事請求漏れチェック | 不可(オプションにより可) |
償還/薬価一括更新 | お問い合わせ |
価格ベンチマーク | 不可 |
Medicine Supervisionは、実務に合わせた豊富な機能を装備し、発注・検品から出庫までの事務作業を簡単かつ正確に行います。操作性に関しては、それぞれの要望に合わせて使いやすいメニュー構成にすることができ、医薬品の管理も実務に合わせた設定が可能です。
また発注では、安全在庫数を基にした発注点方式と過去の在庫数を基にした発注定数方式から選択が可能で、適正数量の計算も自動でできます。
こちらのシステムでは、ロット管理業務や麻薬管理業務なども対応でき、病院に合わせた使用が可能です。
Medicine Supervisionの比較ポイント
製品情報
システム内入札 | 不可 |
---|---|
オンライン発注 | 可 |
定数管理 | お問い合わせ |
使用期限管理 | 可 |
ロット管理 | 可 |
RFID | 可 |
医事請求漏れチェック | 不可 |
償還/薬価一括更新 | お問い合わせ |
価格ベンチマーク | お問い合わせ |
ODSSはクラウド型の医薬品在庫管理システムで、インターネット環境とパソコンがあればすぐに使用でき、導入時のコストを抑えることができます。ロットや有効期限付きの納品データを使い、入出庫を適切に管理でき、在庫単位もそれぞれの医薬品に合わせて選ぶことが可能です。
在庫の引き落としも、ハンディターミナルでのバーコード読み取りやシールやカードを利用する方法などから選ぶことができます。
クラウド型では大規模災害時のデータの損失が心配されますが、データ保管センターでの対策がきちんと取られているので安心です。
ODSSの比較ポイント
製品情報
システム内入札 | 不可 |
---|---|
オンライン発注 | 可 |
定数管理 | お問い合わせ |
使用期限管理 | 可 |
ロット管理 | 可 |
RFID | 可 |
医事請求漏れチェック | 不可 |
償還/薬価一括更新 | お問い合わせ |
価格ベンチマーク | お問い合わせ |
株式会社NDDの医薬品在庫管理システムは、在庫管理業務からさまざまな帳票の出力など、院内システムと連携して業務の効率化を図れます。VAN発注機能(オーダーデータ活用法式)やハンディ取込機能、契約・調達機能、統計・帳簿機能など、機能が豊富です。
これにより、病院内の各部署や薬剤部、経営管理部門など、部署ごとの医薬品在庫管理を強力に支援します。
「医薬品在庫を適正に管理したい」「管理帳票を手軽に出力したい」などの病院側のご要望に満足のいくシステムを提供することが可能です。
医薬品在庫管理システムの比較ポイント
製品情報
システム内入札 | お問い合わせ |
---|---|
オンライン発注 | 可 |
定数管理 | お問い合わせ |
使用期限管理 | 可 |
ロット管理 | 可 |
RFID | 可 |
医事請求漏れチェック | お問い合わせ |
償還/薬価一括更新 | お問い合わせ |
価格ベンチマーク | お問い合わせ |
システムK-1 CUBEは、医療機関内において元倉庫や薬局、病棟や診療科の請求のほか、棚卸業務まで管理範囲の広いサービスです。
中でも発注機能は、ハンディターミナルや定量発注などの複数の発注データ登録やオンライン発注など、幅広い運用ができます。そのほかにも入出庫はもちろんのこと、見積機能やバーコード印刷機能にも対応可能です。
また、法人内での各施設の購入実績や在庫実績等のデータを本部で管理する、グループ管理システムの構築実績もあります。
システムK-1 CUBEの比較ポイント
製品情報
システム内入札 | お問い合わせ |
---|---|
オンライン発注 | 可 |
定数管理 | お問い合わせ |
使用期限管理 | 可 |
ロット管理 | 可 |
RFID | 可 |
医事請求漏れチェック | 不可 |
償還/薬価一括更新 | お問い合わせ |
価格ベンチマーク | 可 |
ICquickstockは、使用期限、ロット情報などトレーサビリティを意識し、医療品倉庫を中心とした在庫管理を正確に把握することができます。膨大な医療品在庫管理にかかるデータを集約し、業務の効率化や経営管理に役立つ資料の提供が可能です。
使用するマスタや入力データは件数や保存年数の制限はありません。また、問い合わせやトラブルにはリモートサポートで対応が可能で、薬価改定情報などもオンラインで随時配信されているので安心です。
Icquickstockの比較ポイント
製品情報
システム内入札 | お問い合わせ |
---|---|
オンライン発注 | 可 |
定数管理 | お問い合わせ |
使用期限管理 | 可 |
ロット管理 | 可 |
RFID | お問い合わせ |
医事請求漏れチェック | お問い合わせ |
償還/薬価一括更新 | 可 |
価格ベンチマーク | お問い合わせ |
医薬品の種類は、時代背景と共に年々増加しています。医薬品の管理に伴うデータの連携、購入実績や価格データなどの膨大な情報をスタッフだけで行うことは容易ではありません。医薬品在庫管理システムは、これらのさまざまなデータを一元管理し、業務の効率化が図れるだけでなく、コスト削減に大きく貢献してくれます。
この医薬品在庫管理システムを選ぶ際には、発注が便利になるか、医薬品や医療材料などにおいても管理が正確にできるか、という点がとても大切です。
また、院内の他のシステムとの連携が可能なものは、医事請求漏れを防いだりなど総合的に院内物流から経営に至るまで改善することができるでしょう。
医薬品の発注から使用までをトータルに管理していくことはもちろんですが、管理の方法や機能はシステムによって異なります。
まずは、自院での院内物流における課題や現在の状況の把握など、さまざまな情報を集め、どんなサービスを求めているのか整理してみましょう。
そのうえで、具体的に医薬品在庫管理システムを比較検討し、最適なサービスを選ぶようにしてください。