ポータブルレントゲン撮影時の被曝量はどれくらい?対応方法を解説

更新日 2024.04.09
投稿者:豊田 裕史

ポータブルレントゲンで撮影を行う際、被曝量がどのくらいなのか気になる方は多いでしょう。撮影機器や撮影条件にもよりますが、胸部・腹部ポータブル撮影では2m以上離れて撮影を行なえば、身体への影響は限りなく少ないです。

今回の記事では、ポータブルレントゲン撮影時の被曝量はどれくらいなのか?また、ポータブルレントゲン撮影の影響や対応について詳しく解説していきますので参考にしてください。

ポータブルレントゲンとは?

ポータブルレントゲンとは、コンパクトかつ軽量で、低線量・高画質なX線画像を撮影することができる装置のことです。以前は病院まで足を運ばなければレントゲン撮影はできませんでしたが、ポータブルレントゲンであれば在宅医療や災害現場などでも撮影ができます。

通常のレントゲンとポータブルレントゲン撮影の違い

たとえば胸部レントゲン撮影の場合、通常は立位の背腹方向で撮影を行いますが、ポータブル撮影ではベッド上で撮影を行うことが可能です。臥位(横になった状態)、座位または半座位となり腹背方向で撮影します。
ポータブルレントゲンを使用することで、立位や座位が困難な患者さんでもレントゲン撮影を行うことが可能です。

どんな場合にポータブルレントゲン撮影を行う?

ポータブルレントゲン撮影は、以下のような場合に行います。

  • 訪問診療・訪問歯科の場合
  • 患者さんが撮影室への移動が難しい場合
  • 患者さんが手術直後などでベッドでの安静が必要な場合

ポータブルレントゲンは、ベッド上で横になったり座ったりといった姿勢のまま撮影が行えるため、患者の身体への負担を減らすことができ、素早い診断につなげることができます。

ポータブルレントゲン撮影時はどれくらい離れる?

胸部・腹部のポータブルレントゲン撮影は2m以上離れて撮影を行います。ポータブル撮影を行う際は、被曝の防止・管理が重要で、線量は撮影条件や装置によって異なります。厚生労働省は、在宅医療におけるエックス線撮影装置の安全な使用について以下のように勧告していますので覚えておくといいでしょう。

『エックス線撮影に必要な医療従事者以外は、エックス線管容器及び患者から二メートル以上離れて、エックス線撮影が終了するまで待機すること。また、二メートル以上離れることが出来ない場合には、防護衣(〇・二五ミリメートル鉛当量以上)等で、防護措置を講ずること。』

『患者の家族、介助者及び訪問者は、エックス線管容器及び患者から二メートル以上離れて、エックス線撮影が終了するまで待機させること。特に、子供及び妊婦は二メートル以上の距離のある場所に移動すること。また、二メートル以上離れることが出来ない場合には、防護衣(〇・二五ミリメートル鉛当量以上)等で、防護措置を講ずること。』

出典:在宅医療におけるエックス線撮影装置の安全な使用について

また、昭和病院雑誌の論文では以下のように勧告しています。

『結論的には、胸部ポータブル撮影では 2m、腹部でも 3m離れていれば問題ないことが分かりました。』

出典:ポータブル撮影時における被曝について- 2m 離れて下さい -|昭和病院雑誌

ポータブルレントゲンの放射線量・被曝量はどのくらい?

昭和病院放射線課の測定では、ポータブルレントゲンの放射線量は以下の通りでした。

『胸部では1mで0.5μSv、2mで 0.1μSv、3mで 0.02μSv、腹部では 1mで 2.5μSv、2mで 0.6μSv、3mで 0.3μSv という値になりました。胸部では2m、腹部でも3m離れると問題にならないほど小さな値となりました。』

撮影部位 \ 距離 1m 2m 3m
胸部 臥位 0.5 0.1 0.02
座位 0.2 0.08 0.01
腹部 臥位 25 0.6 0.3
座位 25 0.4 0.1

また、X線検査による被曝線量は以下の通りです。

『X線検査による被曝線量です。1回の検査につき、胸部撮影で 0.1mSv、腹部撮影で 1.4mSv、頭部CT で 50mSv、腹部 CTで 30mSvです。』

出典:ポータブル撮影時における被曝について- 2m 離れて下さい -|昭和病院雑誌

ポータブルレントゲン撮影の患者や家族への影響と対応

家族・同室患者・見舞客への影響に関しては、2m離れれば問題ありません。対応については防護服や事前説明を行うようにしましょう。
被曝の不安がある場合は退出してもらうのもひとつの手段です。被曝線量が少ない事に関して理解を得た上で、患者からなるべく離れてもらった上で、できれば装置・放射線技師の後ろにいてもらうように声をかける必要があります。

ポータブルレントゲン撮影の介助者への影響と対応

介助者が体位保持が困難な場合の介助(抑え)でその場を離れることができない場合、基本的に直接介助する際は、放射線防護具を着用する必要があります。介助してもらう側は、線量分布図より線量の少ない所で介助をしてもらわなければなりません。

また、隣接する患者の急変や処置の対応でその場を離れることができない場合は、その場を離れることができないことを放射線技師に伝えてもらうようにしましょう。可能な限り撮影時のみ離れてもらい、離れることができない場合は、装置などを間に配置したり放射線防護具を着用してもらったりする必要があります。

診療に役立つポータブルレントゲンを紹介

持ち運んで撮影を行えるポータブルレントゲンは患者の負担を軽減し、迅速な診断に役立ちます。

ポータブルレントゲンについては【2023】ポータブルレントゲンのメーカー9選比較|選び方や基礎知識まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

ポータブルレントゲンに関するよくある質問

ここでは、ポータブルレントゲンに関するよくある質問に回答していきます。

在宅医療でのポータブルレントゲン活用メリットは?

在宅医療におけるポータブルレントゲンを活用するメリットは以下の通りです。

  • その場で高画質なX線画像を得ることが可能
  • 患者とその家族へX線撮影時の負担軽減に貢献する
  • コンパクトな設計で手軽に持ち運べる。すぐに準備できる

歯科でのポータブルレントゲン活用メリットは?

歯科においてもポータブルレントゲンを活用するメリットはあります。患者の歯の状態を見る際にX線撮影を行うことで、外から見ただけでは分からない場所にある虫歯を見つけることが可能です。そのほか、見えづらい歯石の付着や歯周病の症状なども、X線画像から確認できます。

ポータブルレントゲンについては歯科用ポータブルレントゲンのメーカー4選比較|選び方や基礎知識まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

ポータブルレントゲン撮影のデメリットは?

ポータブルレントゲンのデメリットは以下の通りです。

  • 同じ病室にいる他の患者や見舞者、看護師への放射線被曝が懸念される。
  • 撮影者である診療放射線技師の被曝の可能性。
  • 背中にカセッテ(撮影用の板)を敷くため、患者自身に負担がかかってしまう。

上記のようなデメリットがあるものの、防護服の着用や正しい距離を取ることで安全に使用することができます。

まとめ

ポータブルレントゲンは、適切な距離をとり対応すれば安全に使用することが可能です。そのため、使用する際は事前に患者やその家族に丁寧に説明するようにしましょう。

影響や対応については、今回の記事の内容を参考にしてください。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。


フリーランスWEBライター
URL:https://twitter.com/kakeru5152

元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。

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