アシストスーツって実際効果あるの?|検証結果や評判を紹介

更新日 2024.06.25
投稿者:豊田 裕史

介護従事者の多くを悩ませているのが、腰痛の問題です。介助の際に腰への負担がかかりやすいことから、重症化する人も少なくありません。

そんな介護業界の人にとって職業病とも言える腰痛を軽減するために注目されているのが、アシストスーツです。専用の装具を身につけることで、腰の動きをサポートしてくれます。さらに、働き方改革の影響で、職員の負担を減らすために導入する施設も増えています。

それでは、アシストスーツにはどんな効果があるのでしょうか。
この記事では、アシストスーツの具体的な効果とメリットや評判について解説します。アシストスーツが気になる方は是非参考にしてください。それでは見ていきましょう。

アシストスーツとは

アシストスーツとは

アシストスーツとは、重い荷物を持った時や前屈みになった時の姿勢維持をサポートしてくれる装具のことです。腰や膝などを酷使する倉庫や介護業界、農業業界などで導入されています。また、着用者の力をアシストするため、パワードスーツやパワースーツといった呼ばれ方もしています。

それでは、どういった種類のアシストスーツがあるのでしょうか。具体的に以下の3点を見ていきましょう。

サポータータイプのアシストスーツ

身体に装着するだけの1番シンプルなタイプのアシストスーツです。装着することで姿勢を正し、腰の負担を和らげてくれます。コルセットや膝サポーターのように特定部位の酷使を防ぐのが特徴です。価格が1番安いため、導入しやすいアシストスーツと言えるでしょう。

動力なしのアシストスーツ

バネやゴム、空気の反発力によって腰の立ち上げをサポートするタイプのアシストスーツです。腰をかがんだ状態から戻すときに、補助力が発生することで腰への負担を軽減します。次に紹介する動力タイプより価格が安いのが特徴です。介助する時に腰に負担がかかることの多い介護業界では、確実な効果が見込めると言えるでしょう。

動力ありのアシストスーツ

モーター駆動のアシストスーツです。電気で動くため、アシスト力にムラがありません。センサーで装着者の動きを検知し、必要なアシスト力を自動計算する機能がついているタイプもあります。動力なしのアシストスーツより高価な代わりに、高品質なアシストスーツです。高齢者や力のない女性におすすめのアシストスーツと言えるでしょう。

アシストスーツの効果を検証してみた

装着することで身体への負担を軽減するアシストスーツですが、実際にはどのような効果があるのでしょうか。ここでは具体的な効果について解説していきます。それでは見ていきましょう。

より少ない筋肉量で持ちあげ可能に

アシストスーツの効果は、研究結果で証明されています。着用時に筋肉の表面筋電位(EMG)が、約20%も減少したのです。具体的な実験方法としては、以下の通りになります。

  1. アシストスーツを着用し、腰を曲げながら荷物を持ち上げる
  2. 荷物を持ち上げるために、腰と太ももに必要な力の30%をアシストする
  3. 荷物を持ち上げたときのEMGの値を測定する
  4. アシストスーツ非着用時のEMGの値と比較する

実験の結果、腰を持ち上げる力の30%をアシストすることで、身体への負荷を軽減することが証明されました。この事例は論文にまとめられております。アシストスーツを着用することで、より少ない筋肉量で荷物を持ち上げることができると言えるでしょう。

出典:筋骨格シミュレーションに基づいた内骨格型パワーアシストスーツの補助効果検証

アシストスーツの導入効果

アシストスーツの導入効果

科学的にも効果が実証されているアシストスーツは、導入することで様々なメリットがあります。それでは、具体的なメリットはどのような点にあるのでしょうか。ここではアシストスーツを導入することのメリットを解説していきます。それでは見ていきましょう。

腰痛予防など職員負担の軽減

介護業界は、他の業界よりも腰痛になる割合が20%以上も高いと言われています。原因は、前かがみになったり、中腰の状態で介護者のサポートをしなければならないからです。腰痛を悪化させて、ぎっくり腰になる人も少なくありません。ぎっくり腰になると日常生活にも支障が出てくるため、職員の大きな負担になっています。アシストスーツは、腰への負担を大幅に軽減します。腰痛予防やぎっくり腰予防に繋がるため、職員の負担が少なくなると言えるでしょう。

業務効率アップ

研究結果とは別の事例ですが、アシストスーツを着用することで約20%の作業時間を削減できたという事例もあります。肉体労働をする場合、痛みがあると業務効率は悪化します。無理して動いている状態のため、効率よく動けません。また、重いものを動かす場合に時間も必要になります。アシストスーツを着用すると筋肉の活動量が少なくなり、身体への負荷が軽減されます。身体への負荷が軽減されると、業務のスピードアップが可能です。

さらに、介護業界では、複数人で利用者を持ち上げるケースが少なくありません。アシストスーツを使用することで、仕事で必要な力は確実に減ります。作業人数を減らすことで、業務効率改善にも繋げられると言えるでしょう。

人材の定着率アップ

介護業界は人手不足に悩まされています。身体を痛めて、仕方なく業界から離れる人も少なくありません。アシストスーツを使用すれば、身体への負担が減ります。職業病と言われている腰痛予防に繋げることも可能と言えるでしょう。

また、新規採用する際に仕事での身体への負担が少ないことへのアピールにもなります。施設側がアシストスーツを採用することで、人材の定着率がアップすると言えるでしょう。

リハビリにも活用できる

アシストスーツは作業補助だけでなく医療機関や介護施設でのリハビリにも活用されています。特にサイバーダイン社が開発した装着型サイボーグ「HAL」は、下肢麻痺の患者に使用し、実際に歩けるようになった実例もあり医療・リハビリ分野での活用が広がっています。

サイバーダインのHALについては世界初の装着型サイボーグ「HAL」!実際の評判・導入事例についてもご紹介!でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

アシストスーツの問題点やデメリットは?

問題点やデメリット

パワーアシストスーツの導入にあたって考えなけらばならない問題点やデメリットは下記の通りです。メリットとデメリットを比較したうえで導入すべきか判断していきましょう。

高額な費用

パワーアシストスーツは1万円弱で導入できる安価なモデルもありますが、その分アシスト力は弱くなります。大幅に負担軽減が期待される電動モデルとなると高いもので100万円前後の費用がかかります。費用対効果を考えたうえで導入の検討をしていきましょう。 下記がタイプ別の特徴と、各タイプの価格相場になります。

非電動タイプ 電動タイプ
タイプ サポータータイプ 外骨格タイプ 外骨格タイプ
価格帯 数万円〜 5万円~50万円 50万円~100万円前後
特徴① 気軽につけられる 人工筋肉など反発力を利用してアシスト力を強化 モーター駆動やセンサーによりアシスト力が強い、小柄な女性は重く感じる場合がある
特徴② 最もアシスト力は弱い 電動タイプよりも軽量化モデルが多く、長時間でも着用できる パワーの調整ができるので、無駄な力を必要としないなど高機能
特徴③ 最も軽量 電動タイプと比較するとアシスト力が弱い場合がある 価格が高く、メンテナンスが必要

各製品の具体的な価格については下記の記事で紹介していますのでチェックしてみてください。

アシストスーツの価格についてはアシストスーツの価格相場は?|主要9メーカーの具体的な価格まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

導入しても現場に浸透しない

導入したはいいものの、着脱に手間がかかる点、動きが制限される点、アシストスーツが重く女性が着用した場合に負担になる点など、不便さを理由に現場スタッフがアシストスーツを活用しないケースも見られます。トップダウンで導入するのではなく、デモなどを活用して現場のスタッフの声を聞きながら、実際に使いやすいと感じてもらえるような製品を導入をするようにしましょう。

アシストスーツの問題点についてはパワーアシストスーツの問題点は?|導入した際に発生しうるリスクと対応策を解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

施設に合ったアシストスーツの選び方

施設にも職員にもメリットの大きいアシストスーツですが、どのように選んでいけばいいのか気になる方もいると思います。ここでは、施設にあったアシストスーツの選び方を紹介します。それでは見ていきましょう。

着脱のしやすさ

アシストスーツは、シンプルなタイプから高品質で複雑なタイプまで多種多様です。介護の現場では、移乗介助の他に排泄介助などの細かい動きも少なくありません。動きやすさが重要になるため、介護業界ではシンプルなアシストスーツが向いていると言えそうです。複雑なタイプのアシストスーツよりも、着脱しやすいシンプルなアシストスーツを選んだほうがいいと言えるでしょう。

介護用のアシストスーツか

アシストスーツは、農業や工場、倉庫といった重労働の現場でも採用されています。これらの現場では、荷物の持ち運びが多く、介護用よりも大きい出力を求められることは多くありません。介護の現場では、移乗介助の場面で、パワーが必要になります。そのため、アシストスーツを選ぶ際に、人の体重を運ぶのに適した設計になっているのか、必要なパワーを得られるのか、確認することが重要です。介護向けに開発されたアシストスーツを選ぶのがおすすめと言えそうです。しっかりと情報収集の上、検討するようにしましょう。

トータルコスト

トータルコスト

アシストスーツは、コストが嵩みがちです。1台の導入で数万円から50万円ほどかかりますし、高価なタイプだと100万円近くかかることもあります。施設の予算とのバランスを取ることが重要と言えるでしょう。また、自治体によっては、補助金の活用ができます。地域にもよりますが、最大で半分の補助が出ることもあります。うまく活用するようにしましょう。

価格や機能が幅広いので、何よりも大切なのは自施設にあったアシストスーツを選ぶことです。下記の記事では定番のアシストスーツ全15商品の特徴やポイントを詳しく解説していますのでぜひチェックしてみてください。

まとめ

アシストスーツは、介護業界の職業病と言われる腰痛リスクを下げてくれる装具です。ぎっくり腰の予防にも繋がるため、職員の身体とメンタル、両面で負荷を軽減することができます。科学的なエビデンスもあるため、安心して使用できると言えるでしょう。

また、アシストスーツは、多種多様な業界で採用されています。介護用のアシストスーツを選ぶことで、職員の負荷だけではなく、業務改善にも繋がる可能性があります。自治体の補助金を活用しながら、しっかり検討するようにしましょう。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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