「電子カルテを自院に導入してみようかな?」とは思っても、本当に電子カルテを導入するべきか、何を選べばいいのか、迷っている人は多いでしょう。
今回の記事では、大規模病院・中小規模病院それぞれに、おすすめの電子カルテを紹介していきます。この記事を見れば、病院向けの電子カルテを選ぶポイントが分かり、自院にあった製品を選ぶことができるでしょう。
ここからは、おすすめの病院向け電子カルテを紹介していきます。まずは中小規模病院向け電子カルテのメーカー10製品ご紹介します。
Medicom-CKⅡは一般・療養型中小規模病院向けの電子カルテです。誰もが直感的に操作できるシンプルな画面設計となっております。中小規模病院の業務で必要な機能を厳選し、標準パッケージ化することで1人ひとりの業務負担を軽減します。
Medicom-CKⅡの比較ポイント
製品情報
特徴 | 中小規模病院での業務を見直し、必要な機能を厳選してパッケージ化。 |
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サポート対応 | 要お問い合わせ |
クラウドカルテ「blanc」(ブラン)は、『いつでも・どこでも・だれでも』をコンセプトにした一般病院・精神科病院向けの電子カルテシステムです。クラウド型の電子カルテなので、院内サーバーなどのハードウェア管理が不要になります。東日本と西日本それぞれにデータを保管しているので、災害時でも大事な患者様のデータを守る事ができます。
blancの比較ポイント
製品情報
特徴 | 一般病棟にも精神科病棟にも対応。 |
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サポート対応 | 要お問い合わせ |
ワイズマンの電子カルテシステムERは、中小病院で必要とされる機能や業務フローを洗い出し、中小病院にフィットするように設計されたパッケージシステムとなっております。医療だけでなく介護現場での情報一元化のニーズに応えるべく、介護・福祉システムとの連携にも対応しています。
電子カルテシステムERの比較ポイント
製品情報
特徴 | 介護・福祉システムとの連携。 |
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サポート対応 | 要お問い合わせ |
セコム・ユビキタス電子カルテは、セコムグループによるITセキュリティ技術によって守られたクラウドで提供する「安心・安全」なクラウド型電子カルテです。お預かりしたデータは、セコムが運営する災害対策の整った堅牢なデータセンターに保管されます。自社でデータセンターを運営している点もセコムならではの特徴です。
セコム・ユビキタス電子カルテの比較ポイント
製品情報
特徴 | 高度なセキュリティ技術、災害対策の整った堅牢なデータセンター。 |
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サポート対応 | 導入時から稼働後まで、手厚いサポートを行っております。 |
レスコのWarokuホスピタルカルテは、精神科病院向けのクラウド型電子カルテです。政府が推進する電子カルテの標準規格に準拠しています。「Alpha」で培った20年間の経験と知見を活かし、導入検討段階から導入中、稼働後とそれぞれのフェーズに合わせたソリューションをご提供します。
Warokuホスピタルカルテの比較ポイント
製品情報
特徴 | 精神科病院向けカルテ「Alpha」で培った20年間の経験と知見を活かして開発。 |
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サポート対応 | クラウド型電子カルテのため、診療報酬改定やバージョンアップの間も通常通りの運用が可能です。 ※24時間対応の「チャットボット」機能も実装予定。 |
クラウド電子カルテHAYATE/NEOは有床診療所~199床以下の病院様向けの電子カルテです。クラウド技術により大幅なコスト削減を実現しました。
精神科機能もあるので、入院形態登録や行動制限オーダー、等価換算計算といった精神科特有の業務に対応可能です。
HAYATE/NEOの比較ポイント
製品情報
特徴 | クラウド技術により大幅なコスト削減を実現 |
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サポート対応 | 専任スタッフによるサポートセンター (専用お問い合わせフォーム、またはサポートセンター電話受付) |
シーエスアイは20年以上に渡る電子カルテのシステム開発実績があり、MI・RA・Isシリーズは全国900件以上の施設に導入されています。
MI・RA・Is Vでは標準の電子カルテ機能を進化させ、無駄を省き、スケジュールの可視化やメッセージ機能などコミュニケーションツールも多数搭載しています。個々及びチーム医療を効率化できます。
病院の状況や運用方法にあわせて、柔軟にシステム提案が可能です。オンプレ型/クラウド型、療養病棟や精神病棟を有した病院様向けパッケージ、低価格で導入可能な小規模病院向けパッケージなど幅広い製品ラインナップを取り揃えています。
MI・RA・Is V(ミライズ ファイブ)の比較ポイント
製品情報
特徴 | 電子カルテシステム開発実績20年、全国導入施設900件以上。 |
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サポート対応 | 要お問い合わせ |
「HOPE LifeMark-MX」は、病院シェアNo.1電子カルテの操作性と柔軟性を継承しています。
だれにでも見やすく操作もしやすいユーザーインターフェースがあり、介護システムや地域との連携のおかげで、効率的な業務遂行・カルテ情報や検査結果などの診療情報の共有が可能です。
サーバー仮想化により、設置スペース・トータルコスト削減に成功しました。もし不安ならばデモに参加できるので、申し込んでみてはいかがでしょうか。
HOPE LifeMark-MXの比較ポイント
製品情報
特徴 | 扱いやすいユーザーインターフェース |
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サポート対応 | スタートガイド、デモあり |
ウェブカルテは使いやさや、繋げやすさ、運用のしやすさにこだわって開発された中小規模病院向けのクラウド電子カルテです。各部門向けの標準インターフェイスを備えているため、各部門と柔軟に接続をすることができます。特に連携が密になる医事システムは、富士通HOPE・ナイスMLA・ORCAとの接続が可能です。同一法人内での介護システムとの連携も実現します。
ウェブカルテの比較ポイント
製品情報
特徴 | 「使いやすさ」「繋げやすさ」「運用のしやすさ」にこだわって開発された電子カルテ。 |
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サポート対応 | 要お問い合わせ |
「PlusUSカルテ」は、電子カルテ、オーダリング、看護支援が一体となったパッケージシステムです。パッケージ化されているので、情報を1つのデータベースにまとめて合理的に一元管理できます。
ほかのPlusUs製品を組み合わせることで、コストパフォーマンスの高いご提案も可能です。また、病院内のサーバーとは別でクラウド上にもバックアップを行っているので、BCP対策としても活用できます。
PlusUSカルテの比較ポイント
製品情報
特徴 | web型電子カルテ |
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サポート対応 | ー |
次に大規模病院向け電子カルテのご紹介です。ぜひ製品選びの参考にしてください。
「HOPE LifeMark-HX」は、大中規模病院向け(目安:300床以上~)の電子カルテシステムで、患者さんの大切な医療データの紛失リスクを大きく下げることができます。他の電子カルテシステムと比較しても特に利便性が高く、複数の検査機器をひとつのネットワーク上で結びつけ、相互にデータをやり取りすることができます。また、分かりやすいユーザーインターフェースも好評で、蓄積されたデータを「活用」することを意識した統合ビューやLifeMark-DWHなどの機能も備えています。
導入している病院としては、国立病院機構名古屋医療センターがあげられます。
クラウド版の「HOPE LifeMark-HX Cloud」も提供しています。クラウド環境でもセキュアな通信環境を提供でき、安心して使うことができます。サーバー台数が減るため、当然コスト削減も実現できるでしょう。
HOPE LifeMark-HXの比較ポイント
製品情報
特徴 | 使いやすいダッシュボード、サーバの二重化、キーワード検索 |
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サポート対応 | 24時間365日のサポートセンター、リモート運用サポート |
「MegaOakHR」は、NECが提供する電子カルテシステムの一つです。発売以来、「医療安全」「業務効率化」「操作性向上」「経営改善」をテーマに機能強化をしています。各病院への事前ヒアリングを基に、病院ごとにカスタマイズしたマスターを提供する方式で、227の病院で稼働しているというデータ(2021年)があります。病院向け電子カルテベンダーのシェアランキングでは4位に位置しています。
セキュリティ対策として、IDとパスワード、指紋や静脈を組み合わせた生体認証対応ソリューションを活用したうえで、不正アクセスを抑制するアクセスログの記録や、閲覧できる人を細かく制限する設定も可能です。
MegaOakHRの比較ポイント
製品情報
特徴 | 診療データを確認する領域を大きく確保、利用者の声をもとに改良 |
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サポート対応 | 災害対策ソリューション |
「MegaOak/iS」は、NECが提供する電子カルテシステムの一つです。医師の指示を起点とした病院の業務プロセスに対応した機能を有するとともに、医療スタッフ間のよりスムーズな情報共有を実現可能です。クリニカルデスクトップ機能やワークアシスタント機能などもあります。
医療機関の業務プロセスに合わせたカスタマイズが可能であり、病院ごとに異なる業務プロセスに対応できるのもメリットとしてあげられます。 デメリットとしては、導入コストが高いことや、導入後の運用コストがかかることが挙げられます 茅ヶ崎市立病院などで導入されており、真正性を確保した診療録の管理と診療サポート機能で活用されています。
MegaOak/isの比較ポイント
製品情報
特徴 | 多職種連携による医師のケアレスミス防止 |
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サポート対応 | 災害対策ソリューション |
ソフトウェア・サービス株式会社の「新版e-カルテ」は、医師の診察・診療記録・看護記録・栄養指導・リハビリテーションの記録などを総合的に管理することができます。また、情報の追加・修正・削除、複数ユーザーが同時に画面や情報を表示できる機能、サーバの完全二重化に対応しています。 また、オーダリングシステム「NEWTONS2」の利用で、電子カルテとシームレスな連携が可能です。
近年はクラウド型電子カルテ開発も進めています。貢川整形外科病院(山梨県)は、Microsoft Azureを利用したクラウド型電子カルテを導入し、医療現場での情報共有を実現しました。
新版e-カルテの比較ポイント
製品情報
特徴 | 診療記録の3原則「真正性」「見読性」「保存性」 |
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サポート対応 | Web上のフォーム、コミュニティサイト |
日本IBM株式会社が提供する電子カルテシステム「IBM CIS+(Clinical Information System)ソリューション」は、総合医療情報システムを刷新し、その中核となる電子カルテシステムをIBM Cloudに移行することで、ハイブリッドクラウド環境を実現しています。福井大学病院が採用しており、パブリッククラウドを電子カルテシステムで採用した国内初めての事例となっています。
患者情報の一元管理や診療記録の電子化、診療支援機能なども提供しています。
さらに、DDoS防御、グローバル・ロード・バランサー、Webアプリケーション・ファイアウォール(WAF)などの機能をオールインワンで提供し、セキュリティー、可用性、パフォーマンスを向上させることができます。
IBM CIS+の比較ポイント
製品情報
特徴 | 電子カルテの方から提案してくれる |
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サポート対応 | ー |
ここでは、病院向け電子カルテを比較するポイントを説明します。
公式HPから確認できる情報をまとめました。詳細は各メーカーや販売店に確認してください。具体的には以下の3つです。
電子カルテは毎日使用するシステムですので、利用者にとって使いやすいかどうかは、電子カルテを選ぶ上で大事なポイントです。現在においては見やすさに気を使った電子カルテが続々と開発されています。「1画面で必要な情報が見られること」、「スタッフと情報共有のしやすさ」など、各社工夫をこらしています。
例えば、富士通株式会社のHOPE LifeMark-HXは、必要な情報を1画面に集約されていて、ウィーメックス株式会社のMedicom-CKは、患者様の主訴や治療経過を一覧で表示できる「ライフビュー」と呼ばれる機能があります。
電子カルテといえど、見やすさがいまいちなものも多く出回っています。電子カルテを選ぶ際は、製品の特徴をしっかり確認しておきましょう。
業務効率化を狙って電子化をすすめたのに、操作画面が使いにくくスムーズに操作できないと本末転倒です。そのため、カルテの操作性についてもしっかりチェックしておきましょう。
各メーカーでは、「文字サイズの変更」や「診療データ情報を目立たせる」機能を搭載した製品が多く開発されています。
例えば、ウィーメックス株式会社のMedicom-CKは、レイアウトを崩すことなく文字サイズを拡大できることを売りとしていますし、NEC株式会社のMegaOakHRは、診療データを確認する領域を大きく確保することで、ユーザーが使いやすい設計です。
診療が止まることがあってはならない医療機関において、緊急時のサポート体制を確認しておくことも必須です。
メーカーが実施している緊急時のサポート体制としては、富士通株式会社のHOPE LifeMark-HXは24時間365日頼れるサポートセンターを設置して、いつでも相談できる環境を作りました。また、ソフトマックス株式会社のPlusUSカルテは、院内サーバーとは別で、クラウド上にもバックアップを行い、BCP対策としても活用できることをPRしています。
万が一、電子カルテがダウンしたときのために、無停電電源装置や自家発電装置を備えており、2重3重にデータのバックアップをとれる仕様です。
2021年10月に徳島県の病院がランサムウェアの被害を受けたことで、よりデータ管理への関心を高めることになりました。さらなるサービスが施された製品の開発にも期待できそうです。
電子カルテ導入のメリットは、以下の3つです。
業務効率がアップすると、医療スタッフだけでなく患者様にとっても効果的です。
例えば、医師は文書作成の手間が減り、患者様は診察までの待ち時間が短縮されます。 また、電子カルテの導入によって、医師も患者様も時間が浮くので、医師が患者様の対応により時間を割けるでしょう。
電子カルテの導入は、医師が本来向き合うべき対象、つまりカルテではなく患者様と向き合うための時間を作るために役立つツールでもあります。
紙カルテの場合は、日を追うごとに新しい書類が増えていきます。紛失の恐れもあるから管理も大変ですし、必要な情報を探すのも一苦労です。
一方、電子カルテの場合は、サーバー上に情報が送られるので、物理的なスペースは取りません。検索などすれば、必要なデータもすぐに見つかりますし、紛失のリスクも限りなく少なく済みます。
紙カルテを電子化保存できるサービスもあるので、電子カルテに移行の際も、病院内にある情報はすぐに電子仕様に模様替えも可能です。
なお、紙カルテから電子カルテに移行する際の注意点として、運用に適した電子カルテを選定しておきましょう。連携できるシステム、ベンダー(販売元)の特徴、初期費用を回収できる目処なども把握しておくことが理想です。
また、ほかのスタッフの混乱を招かないためにも、導入目的の共通認識を持ったうえで、導入直前に一報を入れておくといいでしょう。
導入する際は、インターネット環境(通信回線、通信機器など)は確実に揃えておいてください。
医師が検査会社に連絡するときは、検査指示から結果取得まですべてオンラインで行うことになるため、お互い手間をかけずに迅速な対応・取り込みが可能です。
もちろん検査結果は、手元の電子カルテのなかに保存されています。検査結果を至急確認したい場合も、電子カルテ上からすぐに見つけられるでしょう。
ここでは、一般病院における電子カルテの普及率について説明します。病床規模別の電子カルテ導入率についても説明します。
厚生労働省が公表している「医療施設調査」によると、電子カルテシステムの普及率は年々上がっています。実際、2020年の一般病院における普及率は57.2%と、観測以降初めて半数を超えました。
しかし、病床別の普及率で見てみると、400床以上で91.2%、200〜399床で74.8%、200床未満で48.8%となっております。現状としては、大規模病院は順調に普及率が上がっていますが、中小規模病院は未だに普及したとはいえません。
中小規模病院での電子カルテ普及率が少ない理由は、以下の通りだと考えられます。
電子カルテを導入する場合は、200床以下の病院でも2億円の投資額が必要です。費用対効果が判断しづらい製品に対して、2億円を払うのは勇気が必要かもしれません。しかし、最近はクラウド型電子カルテが増えてきたことで、比較的料金は安くなっているはずです。
また、操作に慣れるまでは確かに時間を要しますが、慣れれば事務員でも扱えます。操作に慣れれば、電子カルテの使い勝手の良さにも気付けるでしょう。
電子カルテの普及率については電子カルテの普及率は?|普及が進まない理由やシェア率まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
電子カルテは、医療現場において業務効率化や医療ミスの防止など多くのメリットがあります。文章で紹介したカルテの見やすさ・カルテの操作性・緊急時のサポート態勢の他、価格面などを考慮して電子カルテを選ぶことが大切です。
また、大規模病院向け、中小規模病院向け電子カルテも紹介しました。大規模病院の約9割が電子カルテを導入しており、今後は中小規模病院でも普及が進んでいくでしょう。
ご不明点があれば、セカンドラボのコンシェルジュにお気軽に相談してみてください。