日本は長寿・高齢化社会に突入しており、介護を受ける高齢者の割合も年々増加しています。介護施設の介護の中でも特に負担が大きいのが「入浴介助」です。一人では到底厳しいですし、浴室のレイアウト・浴槽の形状によっては、二人でも難しいでしょう。
その重労働を軽減するためのツールに「入浴用リフト」があるのですが、今回は特に「レンタルできる入浴用リフト」にフォーカスしてご紹介します。その特徴や種類、メリット・デメリット、メーカーによる違いなどについて分かりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
入浴用リフトは、高齢者など体に不自由な部分のある方に対し、浴槽への出入りをサポートする器具です。電動式と吊り下げ式に区分されます。
また、体力や筋力の衰えた高齢者などにとって、浴槽をまたぐ行為はかなりの努力が必要です(場合によっては危険が伴います)。それに加えて、浴室内はあらゆる場所に水滴が付着していますから、スリップして転倒する危険が常に付きまといます。介助者にとっても同様のリスクが存在します。それらの危険を入浴用リフト導入により、除去・軽減するのです。
入浴用リフトを導入するメリットは、関係者別に以下のとおりです。
主に介護施設等においてレンタルを検討するのは「購入前のお試し」だと思います。その場合の注意点について見ていきましょう。
購入する場合は、市町村によっては助成金等の制度を実施している場合もあるのですが、レンタルは対象外です。また、個人で介護保険対象者の場合は介護保険で負担してくれる部分もあるのですが、施設で導入する場合はそのようなサポートはありません。つまり、「購入前のお試しレンタル」に関しては、全額自己負担となるため、注意が必要です。
レンタル期間が終了すれば、当然返却することとなります。大きな傷などがあれば、相応の費用負担を請求される可能性があるため、注意しましょう。また、レンタル期間は、通常1ヶ月単位です。
レンタルする入浴用リフトを選ぶ時に見ておきたい「3つのポイント」を紹介します。今回は、電動式(浴槽内昇降型)の「TOTO バスリフト」と吊り下げ式の「つるべー」を例として、各ポイントを見ていきます。
「TOTO バスリフト」の利用イメージは、まず利用者がバスリフトの座面に座ってから(横座り状態)、足を浴槽に入れます。あとはスタッフが「昇降ボタンを押すだけ」です。このとき、利用者の体が傾いたりしないよう監視します。
「つるべー」の場合は、スタッフが浴槽の外でスリング(利用者の体を包み込むもの)を装着して、電動で上昇させます。浴槽上部まで人力で軽く押し、電動で下降させて湯船に入れます。浴槽の底におしりが軽く触れる位置で下降を止めることにより、スリングひもが緊張した状態を保つので、体が傾く恐れは少ないです。
どちらの方法も、利用者の体を浴槽の深い位置から引き上げる作業がなく、スタッフの肉体的負担が軽減されます。
「TOTO バスリフト」は座った後に「上下に昇降するだけ」なので、利用者が怖さを感じることはほとんどありません。ただし、「つるべー」は体がいったん空中に浮かび、その状態で移動し少し揺れることから、人によっては怖さを感じる可能性があります。
導入する前に必ず確認したいのが機器のサイズです。浴槽や洗い場のサイズによっては、機器を設置を出来ないこともありますし、設置出来たとしてもかえって介助がしにくくなる場合もあります。浴槽のサイズや洗い場の広さを考慮して、機器を設置した際のイメージを持つことが大切です。また費用についてもレンタル期間に応じて変わってきますので、どのくらいの期間レンタルをするのか、その場合の総額がいくらになるのかをよく検討する必要があります。
ここでは、レンタルできる入浴用リフト4選を紹介します。
「つるべー」シリーズは、全8種58パターンという豊富な品ぞろえで、顧客の多様なニーズに応えています。具体的には、入浴時の浴槽への移動のみでなく、ベッドへの移動、室内での移動、あるいは外出時の自動車車内へ移動できるタイプなどです。
アームとモーターを取り外せば、健常者が入浴するときの邪魔になりません。アームの長いタイプでは、脱衣所から浴槽まで利用者を運ぶこともできます。
つるべーの比較ポイント
製品情報
種類 | 吊り下げ式 |
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月額 | 要お問い合わせ |
設置条件 | 要お問い合わせ |
ミクニ マイティエースⅡは、「施設向け浴室セット」として2種類の支柱ユニットを準備しています(個浴セット、LBセット)。これにより、さまざまなタイプの浴室・浴槽に対応可能です。
また、専用のキャリー型吊り具と併用することで、入浴介助の負担軽減、時間短縮を図ることができます。標準装備の無線リモコンにより離れた位置からでも操作可能で、介助者の利便性が高いです。
株式会社ミクニ ライフ&オートの比較ポイント
製品情報
種類 | 吊り下げ式 |
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月額 | 要お問い合わせ |
設置条件 | 要お問い合わせ |
バスリフトは個浴用浴槽へ装着する製品で、体重35kg~100kgの方まで使用できます。利用者が座面に座ったら、介助者は昇降ボタンを押すだけなので、設置・操作とも非常に簡単な製品です。
また、オプション品として、体格の大きな人のための「ワイドシート(標準より50㎜ワイド)」、入浴時の姿勢安定のための「背あてボード」、浴槽をまたぐのがつらい人のための「トランスファーボード」、浴槽内にアームレストがついている場合の「アームレスト乗越えキット」などが準備されています。
バスリフトの比較ポイント
製品情報
種類 | 電動式ー浴内昇降型 |
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月額 | 要お問い合わせ |
設置条件 | 浴槽内側の長さ801mm以上、深さ500mm以上、その他 |
ネプチューンは個浴用浴槽に装着するタイプで、浴槽床面へ吸盤で固定します。浴槽床面に凸凹がある場合でも、固定キット(オプション)で使用可能です。
市販のシャワーチェアーから乗り移ることができます。また耐荷重130kgなので、体格の大きな方でも安心です。背もたれも付いていますので、入浴中の姿勢が安定し介助者も気遣うことが少なくて済みます。昇降電力は、充電式のバッテリーなのでリーズナブルであるのも魅力と言えるでしょう。
ネプチューンの比較ポイント
製品情報
種類 | 電動式-浴内昇降型 |
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月額 | 12,200円 |
設置条件 | 浴槽幅72cm以上、深さ67cm以下、底部幅45cm以上など |
ここまで、レンタルできる入浴用リフトについて、4つの代表的製品を紹介しました。今後レンタルを考える場合は、自施設には「どんなタイプが適しているのか」「浴室内にどのようなレイアウトで設置するべきか」などを考える必要がありそうです。その際、本記事をぜひお役立てください。