オンライン診療システムとは|基礎知識やメリット、機能を解説

更新日 2024.02.14
投稿者:豊田 裕史

オンライン診療は、2020年の新型コロナウイルス(COVID-19)の流行に伴った「初診対面の原則」の時限的な規制緩和により、徐々に浸透しはじめています。

今回の記事では、オンライン診療システムについて詳しく解説した上で、オンライン診療システム8社を紹介しますので、参考にしてみてください。

オンライン診療とは

オンライン診療とはスマートフォンやタブレットなどの情報通信機器を通して、患者の診察・診断を行い、診断結果の伝達や処方などをリアルタイムで行う診療方法です。

以下では、オンライン診療の概要と目的を解説していきます。

オンライン診療の概要

オンライン診療では以下のように、診療から決済までをオンライン上で完結させることができます。

  • 予約
  • 問診
  • 診察
  • 処方箋の受け取り
  • 決済

医師と患者はスマートフォンやタブレットなどを使用してビデオ通話で対面するため、病院やクリニックまで足を運ぶ必要がありません。

オンライン診療の目的

オンライン診療の目的は、地域差のない医療サービスを提供したり、医療の質を向上させたりすることです。全国には医療機関がない地域が多くあり、その地域には大勢の人が住んでいます。

医療機関がない地域に住んでいる方にも、しっかりとした医療を届けられるようにオンライン診療の取り組みが進んでいるのです。

オンライン診療のメリット・デメリット

ここでは、オンライン診療のメリット・デメリットをそれぞれ紹介していきます。

オンライン診療のメリット

オンライン診療のメリットは以下の通りです。

  • 新型コロナの感染防止
  • 医療機関の不足した地域の診察も可能
  • 通院や待ち時間の削減になる

新型コロナの感染防止

近年では、新型コロナウイルスの感染防止対策を行う上でも、オンライン診療の需要が高まっています。新型コロナウイルス以外にも、インフルエンザなどの感染症が流行する時期も、院内での感染を防ぐためにオンライン診療が役立つでしょう。

医療機関の不足した地域の診察も可能

医療機関がない地域に住んでいる人でも、距離を気にせず診察を受けることが可能です。転勤などの理由でこれまで通っていた病院に行けなくなった患者も、オンライン診療であれば病院を変えずに慣れ親しんだ医師の診察を受けることができます。

通院や待ち時間の削減になる

オンライン診療なので、自宅で診察を受けられます。そのため、通院する必要がありません。また、病院まで行って診察を受ける場合、待ち時間対策を講じている病院でも、少なからず待ち時間は発生します。しかし、オンライン診療の場合は、待ち時間と会計時間がかかりません。そのため、患者の満足度向上も期待できます。

オンライン診療のデメリット

オンライン診療のデメリットは以下の通りです。

  • 情報通信機器の準備や導入が必要
  • 対面診療に比べて患者様の情報が不足してしまう
  • 容体が急変した際の処置が難しい
  • オンライン診療では処方できない薬がある

情報通信機器の準備や導入が必要

オンライン診療では、基本的にパソコン・スマートフォン・タブレットのいずれかを使用します。そのため、オンライン診療が可能な情報通信機器が必要です。また、オンライン診療を行うためのシステムも導入しなければなりません。患者に対してオンライン診療に対応していることを伝える必要もあるため、多少の費用と時間がかかります。

対面診療に比べて患者様の情報が不足してしまう

オンライン診療は画面越しでの診察になるので、触診や聴診は行えません。そのため、患者の症状に関する情報を得るのが難しい場合があります。オンライン診療では正確な診断ができない場合や、必要な検査がある場合は患者に来院してもらわなければなりません。

容体が急変した際の処置が難しい

オンライン診療の際に患者が急変した場合、すぐに患者の処置に取り掛かることができません。オンライン診療は緊急性のある状況に弱いため、現状では多くの課題が残っています。

オンライン診療では処方できない薬がある

オンライン診療の場合、処方できない薬が複数あります。副作用のリスクが高い薬や、睡眠導入剤・抗不安薬などはオンライン診療では処方できません。これらの薬を処方する場合は、対面での診察が必要です。

オンライン診療システムの機能を紹介

ここでは、オンライン診療システムの機能と費用を紹介していきます。

システムに搭載されている機能

オンライン診療システムに搭載されている機能には、以下のようなものがあります。

  • Webサイト・アプリからの診察予約
  • 事前問診を入力するWeb問診
  • クレジットカードなどによるキャッシュレス決済
  • 処方箋の発行・送信

費用

オンライン診療システムの導入・利用には以下の費用がかかります。

  • 初期費用
  • 月額費用
  • サービス利用料 ※オンライン診療の1回の決済あたりにかかる費用

オンラインシステム導入までの流れ

ここでは、オンライン診療システム導入までの流れを解説していきます。

必要機材とシステムを導入

まずは、パソコンやタブレットなどのインターネットに接続できる機器を準備します。カメラやマイク機能が備わっていない場合は、別途購入が必要です。

機器の準備ができたら、自院に適したオンライン診療システムを選んで導入します。導入後は初期設定を行い、正常に作動するか確認しましょう。

厚生局へ届け出る

オンライン診療システムが正常に使える状況になったら、保険診療を行う場合は厚生局へ届け出を出す準備が必要です。

厚生労働省のHPで届け出の方法を確認した上で、しっかりと届け出るようにしましょう。

診察同意書と計画書の作成・患者様へ説明していく

厚生局への届け出が完了したら、診察同意書と診察計画書を作成します。これらを作成した上で、オンライン診療を行う際に、患者へメリット・デメリットを丁寧に説明して同意を得なければなりません。

同意を得られたら、患者へオンライン診療で使用するシステム(アプリ)を紹介して、使用方法を解説します。問題なく使用できれば、ようやくオンライン診療を行うことが可能です。

オンライン診療システム10社

ここでは、オンライン診療システム10社を紹介します。それぞれ特徴が異なるので、比較しながら導入を検討してみてください。

SOKUYAKU|ジェイフロンティア株式会社

SOKUYAKU

出典:SOKUYAKU https://sokuyaku.jp/sokuyaku_for_clinic/

SOKUYAKUプラットフォームでオンライン診療から、オンライン服薬指導、薬の配送までを一気通貫で完結することができます。直感的に操作可能な画面設計となっているため、システムに不慣れな方でも操作がしやすいシステムとなっております。お困りの際には専門のサポートスタッフが電話やメールでSOKUYAKUの運用を丁寧にサポートします。

SOKUYAKUの比較ポイント

  • オンライン診療から、オンライン服薬指導、薬の配送までを一気通貫で完結できる。
  • システムに不慣れな人でも操作がしやすいように設計された画面設計。
  • お困りの際には専門のサポートスタッフがSOKUYAKUの運用をサポート。

製品情報

費用 初期費用 0円(保険診療・保険外診療ともに今なら無料)
月額料金 保険診療:ずっと無料キャンペーン実施中、保険外診療:330円(税込)/件
無料期間 要お問い合わせ

オンライン診療byHOSPITAL SUPPORT|株式会社くすりの窓口

オンライン診療byHOSPITAL SUPPORT

出典:オンライン診療byHOSPITAL SUPPORT https://kusurinomadoguchi.co.jp/service/online_medical/

くすりの窓口の「オンライン診療byHOSPITAL SUPPORT」は利用者目線にこだわって開発されています。医療機関様それぞれに適したプランをご用意しているため、費用面でオンライン診療の導入を断念された方も、ぜひ一度ご相談ください。

オンライン診療byHOSPITAL SUPPORTの比較ポイント

  • 利用者目線にこだわって開発されたオンライン診療。
  • 医療機関様それぞれに適した料金プランをご用意。
  • 外来診療とオンライン診療を一元管理が可能。

製品情報

費用 要お問い合わせ
無料期間 要お問い合わせ

CARADA オンライン診療|株式会社エムティーアイ

CARADA オンライン診療

出典:CARADA オンライン診療 https://lp.telemedicine.carada.jp/

株式会社エムティーアイが提供しているCARADAオンライン診療は、直感的に操作できるシンプルなオンライン診療システムです。予約から薬・処方箋の配送まで、オンライン診療に必要な機能が備わっています。

セキュリティ対策も万全で、LRM株式会社発行の『3省3ガイドライン準拠証明書』、ISMS認証(ISO27001)を取得済みなので、安心して利用可能です。

CARADA オンライン診療の比較ポイント

  • 直感的に操作できる
  • オンライン診療に必要な機能が充実
  • セキュリティ対策も万全

製品情報

費用 要問合せ
無料期間 デモ体験あり

KAITOS(カイトス)|東邦薬品株式会社

KAITOS(カイトス)

出典:KAITOS(カイトス) https://byoinnavi.jp/contents/kaitoslp/index.html

東邦薬品株式会社が提供しているKAITOSは、医療機関検索サイト「病院なび」と連携させることで、患者がみずからオンライン診療・服薬指導に対応している医療機関を見つけることができます。月間1420万人以上が利用しているサイトなので、自院がオンライン診療に対応していることを認知してもらう上で非常に有効でしょう。

また、専用コールセンターを常設しているので、質問や相談がある際も安心です。

KAITOS(カイトス)の比較ポイント

  • 医療機関検索サイト「病院なび」と連携可能
  • オンライン診療に対応していることを認知してもらいやすい
  • 専用コールセンター常設

製品情報

費用 要問合せ
無料期間 要問合せ

ポケットドクター|MRT株式会社

ポケットドクター

出典:ポケットドクター https://www.pocketdoctor.jp/med/

MRT株式会社が提供しているポケットドクターは、医師紹介実績が100万件以上あり、全国1万施設と連携しています。経済産業省・厚生労働省からも認められており、ジャパン・ヘルスケア・ビジネスコンテストでグランプリを受賞した経験もあるほどです。

ヘルスケア機器との連携が可能で、患者が付けたヘルスケア機器とポケットドクターを連携させることで、診療しながら患者のバイタルデータを確認できます。

ポケットドクターの比較ポイント

  • 医師紹介実績100万件以上
  • ジャパン・ヘルスケア・ビジネスコンテストでグランプリ受賞
  • ヘルスケア機器との連携が可能

製品情報

費用 ゴールドプラン月額33,000円
無料期間 トライアルプラン2か月無料

On診(おんしん)|株式会社ファインデックス

On診(おんしん)

出典:On診(おんしん) https://findex.co.jp/products/medical/onshin/index.html

株式会社ファインデックスが提供しているOn診は、大規模病院向けのクラウド型オンライン診療サポートシステムです。既存の電子カルテとクラウド上で連携できるので、セキュリティを担保してくれます。

遠方にいる家族もオンライン診療に同席できるので、一緒に医師の説明を受けることが可能です。1施設で同時に100以上のオンライン診療をコントロール可能なので、大規模病院に適しています。

On診(おんしん)の比較ポイント

  • 既存の電子カルテとクラウド上で連携可能
  • 遠方にいる家族もオンライン診療に同席できる
  • 1施設で同時に100以上のオンライン診療をコントロール

製品情報

費用 要問合せ
無料期間 要問合せ

LINEドクター|LINEヘルスケア株式会社

LINEドクター

出典:LINEドクター https://doctor.line.me/clinic

LINEヘルスケア株式会社が提供しているLINEドクターは、初期費用・月額固定費0円で利用可能です。予約管理から決済までワンストップで完結でき、権限を分けてアカウント発行が可能なので、スタッフ間で作業を分担することもできます。

既にLINEをインストールしている患者はその他に必要な手間がないので、オンライン診療前の負担を軽減可能です。医師は、施設情報の設定や医師アカウントの発行を行えばオンライン診療ができます。

LINEドクターの比較ポイント

  • 初期費用・月額固定費0円
  • 権限を分けてアカウント発行が可能
  • 患者は使用しているLINEですぐにオンライン診療を受けれる

製品情報

費用 初期費用・月額固定費0円(サービス利用料が決済金額の3.5%かかります)
無料期間 なし

curon(クロン)|株式会社MICIN

curon(クロン)

出典:curon(クロン) https://curon.co/

株式会社MICINが提供しているcuronは、クリニック向けのオンライン診療システムで、初期費用・月額利用料は0円です。導入実績は全国6,000件以上で、2021年には「MM総研大賞 スマートソリューション部門 ヘルスケアICT分野」で最優秀賞を受賞しています。

患者はアプリで診察を受けることができ、操作方法も簡単なので誰でも利用可能です。

curon(クロン)の比較ポイント

  • 初期費用・月額利用料0円
  • 「MM総研大賞 スマートソリューション部門 ヘルスケアICT分野」最優秀賞
  • 患者はアプリで診察を受けることができる

製品情報

費用 初期費用・月額利用料0円(事務手数料・決済額の4%)
無料期間 なし

YADOC(ヤードック)|株式会社インテグリティ・ヘルスケア

YADOC(ヤードック)

出典:YADOC(ヤードック) https://online.yadoc.jp/

株式会社インテグリティ・ヘルスケアが提供しているYADOCは、3,000件以上の医療機関で活用されています。標準のビデオ通話以外にも、Zoomなどのビデオ通話システムとの連携もできるので、安定した環境でオンライン診療が可能です。

問診票の質問は自由にカスタマイズ可能で、事前に患者に合った質問を用意しておけば診察がスムーズになります。

YADOC(ヤードック)の比較ポイント

  • 3,000件以上の医療機関で活用されている
  • Zoomなどのビデオ通話システムと連携可能
  • 問診票の質問は自由にカスタマイズ可能

製品情報

費用 33,000円/月
無料期間 なし

CLINICS(クリニクス)|株式会社メドレー

CLINICS(クリニクス)

出典:CLINICS(クリニクス) https://clinics-cloud.com/online

株式会社メドレーが提供しているCLINICSは、利用医療機関数が約3000件で、累計診療回数は約80万回という実績があります。導入の際は、専属の導入支援担当がサポートしてくれるので、安心して導入できます。

また、医療情報を扱うシステムを提供する企業としてISMSクラウドセキュリティ認証を取得しており、二要素認証など強固なセキュリティ機能も備えているため安全性が高いのも特徴です。

CLINICS(クリニクス)の比較ポイント

  • 利用医療機関数 約3000件・累計診療回数 約80万回
  • 導入時は専属の導入支援担当がサポート
  • 強固なセキュリティ機能を備えているため安全性が高い

製品情報

費用 月額15,000円、初期費用は要問合せ(サービス利用料・決済額の3.45%)
無料期間 導入時は専属の導入支援担当がサポート

まとめ

オンライン診療システムは地域差のない医療を提供する上で、非常に大切なツールです。より多くの人に適切な診察を受けてもらうためにも欠かせません。

今回の記事で解説した内容を参考に、自院での導入を検討してみるといいでしょう。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

関連記事

PAGE TOP