【それだけで安全?】POSレジのウイルス対策について徹底解説

更新日 2023.11.13
投稿者:豊田 裕史

近年のIT化に伴い、バーコードを読み取るだけで様々な情報が収集できるPOSレジの利用が広がっています。レジの効率化だけでなく経営の分析もできる便利なツールですが、POSレジ内の情報を狙ったウイルス攻撃を受けてしまうリスクもあります。

この記事では攻撃を受けてしまった場合に起こりうる被害や、予算別にできるウイルス対策についてわかりやすく解説しました。

セキュリティの面でも安心してPOSレジを運用するためにぜひ参考にしてください。

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POSレジとは

POSレジ

POSレジとは何を・いつ・いくらでなどの販売情報をバーコードを読み取るだけで記録、計算してくれるレジです。POSは「Points of Sales」の略で、リアルタイムの売上情報を収集できるのがPOSレジの強みです。情報はサーバーで管理され、他店舗を含めた全ての店舗の情報をまとめることもできます。レジの効率と正確性を上げるだけではなく、情報の分析をすることで経営の効率化を図れるのです。

POSレジについてはPOSレジとは|仕組みや種類、おすすめメーカーまでわかりやすく解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

POSレジはどうやって攻撃を受けるのか?

POSレジはネットワークを介したりUSBを接続したりすることでマルウェアを仕込まれ、攻撃を受けるリスクがあります。マルウェアとはマリシャス(malicious:悪意のある)と、ソフトウェア(software)が合わさった単語です。データを盗み、悪用するなど害のあるソフトウSェアを総称しており、コンピューターウイルスやトロイの木馬もマルウェアに含まれます。

マルウェア攻撃は気付かないうちに行われます。メールのファイルを開いたりアプリをダウンロードしたりといった日常の操作が原因でウイルスに感染してしまうのです。また、ネットワークを介した攻撃だけではなくUSBメモリの接続にもリスクがあります。安全だと思っていたUSBがすでにウイルスに感染しており、POSレジが攻撃を受けてしまうケースも少なくありません。

POSレジには販売情報だけでなく、顧客のクレジットカードなどの機密情報も詰まっています。そのため加害者にとって打ってつけの標的であり、セキュリティが弱いところを狙って攻撃されてしまうのです。

POSレジが攻撃を受けたらどうなるのか?

POSレジが攻撃を受けてしまうとレジで収集したデータが盗まれるだけではなく、社会的信用の損失にも繋がってしまいます。攻撃を受けてしまった場合に想定される被害について、詳しくみていきましょう。

顧客情報の流出

POSレジには

  • 売り上げ情報
  • 会員カードによる顧客の個人情報
  • クレジットカード
  • キャッシュレス決済

などのデータが集積されています。これらの機密データが攻撃を受けると第三者に盗まれてしまうのです。住所や氏名などの個人情報が流出すると、たとえ悪用されなくても会員は不安になり、顧客離れに繋がります。

クレジットカードの情報が盗まれてしまえばカードの不正利用も生じかねません。アメリカではPOSレジからクレジットカード情報が盗まれ、集団訴訟を起こされた事例もあります。経営を分析するために便利な情報ですが、流出してしまうと顧客の信用も無くなり金銭的な賠償も発生してしまうおそれがあるのです。

業務データの流出

顧客情報だけでなく、業務データが流出した場合も被害は甚大です。POSレジ内には店舗の在庫や発注情報・仕入れ価格などの外部に出していないデータも多く集積されています。ライバル会社への内部情報の流失は、自分の手の内を見せてしまうことになり、競争に不利になるリスク要因です。

さらに発注情報が漏洩すると取引会社へも迷惑がかかります。企業として信用されなくなり、クレームだけでは済まずに取引を停止されるおそれもあります。

社会的信用を失う

情報の流出は顧客・取引先のみならず社会全体からの信用を失います。多くの人は個人情報を盗まれるかもしれない会社とは関わりたくはないと考えるためです。もちろん悪いのはウイルスに感染させて情報を悪用する加害者です。しかし攻撃を受けた企業への不安感が生じてしまうのは仕方ありません。

情報流出時にお客様離れや取引停止が起こるだけでなく、今後も「情報を流出し悪用された企業」というレッテルがついてきてしまうのです。

経営の悪化

ウイルス攻撃により、経営状態が悪化してしまうことも考えられます。顧客離れやウイルス対策のため営業できない期間が生じてしまうと売り上げが減少します。従業員への補償が必要になるケースもあるでしょう。さらに流失したデータに対する賠償金がかかることも考えられますし、一度失った顧客が戻ってきてくれる補償もありません。攻撃を受けてしまうと経営の悪化もあり得るのです。

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予算別おすすめウイルス対策構成例

ここでは予算別に行うべきウイルス対策構成例を解説します。企業の規模やPOSレジで管理しているデータによってセキュリティにかけられる予算は異なるため、それぞれ合った方法で対策していきましょう。

低予算でできるウイルス対策

まず小規模の会社などで予算をかける余裕や必要性がない場合におすすめの構成です。予算が少ない場合でもPOSレジを安心して使うために、セキュリティ対策はしっかり行いましょう。

末端のウイルス対策のみ

タブレットやスマートフォンなどの情報の終点(末端)を守る対策を、エンドポイントセキュリティと言います。端末内のデータを守ることに特化したセキュリティ対策です。

エンドポイントセキュリティは大きく次の2種類に分けられます。

  • EPP(Endpoint Protection Platform):ウイルスを迅速に検知、被害を防止
  • EDR(Endpoint Detection and Response):感染後に被害を抑える

どちらもウイルスの侵入を防げなかった場合でも、迅速に働くことで端末内の情報を守るシステムです。テレワークの普及やウイルス攻撃の多様化によってニーズが高まっています。 エンドポイントセキュリティはUSB接続によるウイルス感染などインターネットを介さない攻撃に対しても有効です。予算がない場合でも、エンドポイントセキュリティは行うことをおすすめします。

Google Workspaceの導入

Google Workspace(グーグルワークスペース)という、Googleの提供するビジネスツールの導入もセキュリティ対策に有効です。Gmailやウェブ会議機能はもちろんエンドポイント管理機能も備わっており、よりツールを安全に使うことが可能になります。

Googleで運用されている世界的にも厳しいプライバシー・セキュリティ基準を満たしており、安全性は世界トップレベルです。1人あたり月680円(2023.1現在)から使用可能なため予算をかけられない中小企業におすすめです。14日間無料でお試しすることもできます。

OSを常に最新状態にしておく

OSを最新の状態にアップデートしておくこともセキュリティ対策になります。アップデートでは機能の追加だけでなく、セキュリティに生じた問題点の修正も行われます。つまりアップデートを行わないのは、セキュリティの問題点を放置しているのと同じなのです。ウイルスによる攻撃は問題のある部分をピンポイントに狙って行われるため、アップデートを行って防げるものは防ぎましょう。

そもそもセキュリティ対策がしっかりしたPOSレジを導入する

そもそもPOSレジを導入する際はセキュリティ対策がしっかりしている製品を選ぶのが大切です。メーカー側でのセキュリティ対策が厳重であれば、結果としてセキュリティにかけるコストと手間が削減できます。すでにPOSレジを導入している場合も、使用している製品のセキュリティレベルをチェックし不安を感じたら乗り換えも検討しましょう。ウイルス攻撃を受けてしまってから後悔しても、失った信用はなかなか取り戻せません。

タブレットPOSレジについてはタブレットPOSレジのおすすめ15選|選び方や比較ポイント等でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

ある程度予算をかけて、しっかり対策したい方

次に大企業や機密性の高い情報を扱っている会社で行うべき、予算をかけたセキュリティ対策をご紹介します。しっかり対策すると200万円ほどかかる場合もありますので、必要な対策を見極めて選びましょう。

UTMの導入

UTM(Unified Threat Management)とは統合脅威管理と訳される、1つで多様なセキュリティ管理ができる製品のことです。ファイアウォールや不正アクセスの検知、アンチウイルスなどの機能があります。本来複数のセキュリティ対策をするにはその数だけ契約や機器が必要ですが、UTMは1台で全て対応可能なのが魅力です。コストと手間が削減でき、セキュリティ担当者が不在の企業でも運用がしやすいというメリットがあります。内部・外部どちらからもウイルス防御が可能なため、UTMはおすすめのセキュリティ対策です。

SKYSEAの導入

SKYSEA(スカイシー)は組織全体のIT管理やウイルス防御を行うことのできる製品です。使用している全端末でだれが・いつ・何をしたのかといったログが記録でき、不正な動作が把握できます。USBなどの記憶媒体の使用制限を設定することでデバイス管理も可能です。画面操作もわかりやすく、多くの他社セキュリティ製品とも連携が行えるため、より強固な対策を構成できます。外部からの攻撃だけでなく、ログを把握することで在宅勤務中も含めた情報漏洩のリスクも管理したい企業に向いています。

低予算対策の場合は、社員のセキュリティ対策教育を徹底する

セキュリティ対策にそれほど予算がかけられない場合は、社員へのセキュリティ教育を徹底しましょう。予算をかけた場合に比べてログ管理ができないことが多く、社員経由でのウイルス感染リスクが高まるためです。以下の点を中心に社員教育を行ってください。

①POS端末にUSBメモリを接続しない

例え悪意がなくても、安全だと思っていたUSB端末がすでにウイルスに感染していることがあります。感染しているUSBを1度でも接続してしまうと、ウイルスが増殖しデータを盗まれる被害に繋がりかねません。基本的にはPOS端末にはUSBメモリは接続しないというルールを定め、外部からの危険を防ぎましょう。

セキュリティツールに予算をかけられない場合でもこのようなルール作りや教育が、リスク回避手段の1つになるのです。

②POSのタブレット端末に不必要なアプリを入れない

タブレットがあると様々なアプリをダウンロードしたくなるかもしれませんが、それは避けてください。有名アプリに似せて情報を抜き取ったり、セキュリティ対策アプリに見せかけてウイルス攻撃を行ったりしてくるアプリも存在します。アプリをどうしても入れる場合はしっかり提供元を確認して、Google PlayやApp Storeといった公式ストアからダウンロードしましょう。また、使用していない不要なアプリも定期的に消去することでウイルス攻撃のリスクを減らせます。POSレジで使用している端末には本当に必要なアプリだけを入れましょう。

まとめ

販売情報の収集や分析に便利なPOSレジには、ウイルス攻撃により経営の悪化や信用を失うリスクもあります。アプリのダウンロードやUSBの接続など日常の動作でもウイルス感染は起こる可能性があるため、セキュリティ対策は必須です。新規でPOSレジを導入する場合はセキュリティもしっかり確認し、導入済みの場合でも不安があれば乗り換えも検討しましょう。予算がない場合、社員教育を徹底することも大切です。

POSレジはレジを効率化し、情報を収集・分析できる便利なツールです。 この記事を参考に予算に合わせたウイルス対策を行い、安心して運用していきましょう。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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