昨今、アシストスーツは製造業・農業・介護といった様々な業界で需要が高まっています。というのも労働人口の高齢化や女性の増加に伴い、働き手の身体への負担を軽減することに役立っているからです。他にも高齢者の歩行支援など運動機能を補助するニーズもあります。
アシストスーツ購入を検討する際、何を基準に選べば良いのかわからないと思われる方も多いのではないでしょうか。まず大きく『動力タイプ』と『無動力タイプ』に分けられるでしょう。
アシスト力の強いモーターやセンサーが着いた『動力タイプ』は女性や高齢者にかなりの負担がかかってしまいます。このことから今回は手軽に着用でき、かつ価格の手頃な『無動力タイプ』のゴムタイプのアシストスーツについて詳しく解説していきましょう。
併せてアシストスーツの基礎知識やおすすめ商品も詳しく解説していきますので、購入する際の参考にしてみてください。
目次
アシストスーツとは装着することで身体にかかる負担を軽減したり、動作をスムーズに行うことを補助するための装置です。今後も様々な分野で必要不可欠になっていくであろうことが予測されています。以下、ニーズの高い業界の一例を挙げました。
収穫・仕分けといった腰に負担がかかる姿勢が多い作業が中心です。腰にかかる負担を軽減し、収穫物などの重量物運搬作業の効率化にニーズがあります。
労働災害の約4割が腰痛という報告がある業界です。生産性人口の現象により高齢の労働者や女性が増加したことも原因の一つと考えられます。
細やかな心遣いが求められることから女性の活躍が著しい業界です。さらに入浴介助や患者の移動介助など重労働も求められるため、身体への負担の軽減のニーズがあります。
ゴムタイプのアシストスーツは、モニターやセンサーといった動力源が無い『無動力タイプ』です。「気軽に装着したい。」という方にぴったりのアシストスーツと言えるでしょう。また電動部品を使用していないことで稼働時間にも制限がかかりません。
さらに人間工学に基づいて設計されており、身体への負担を軽減させるものとして効果が期待されています。ここからは、ゴムタイプのアシストスーツの構造と特徴、そしてその効果について詳しく見ていきましょう。
メーカーによってデザインや効力に多少の違いはもちろんあります。ですが動力源を使わずに高反発ゴムが伸びた状態から、元に戻ろうとする収縮力を利用している構造は同じです。その仕組みを利用し日常生活で行われる動作をアシストしています。例えば「しゃがむ姿勢になった時にゴムが伸び、その張力を利用して楽に立ち上がる」というようなことです。
構造上、電動部品を使用していないことから「軽量・薄型」となっています。ですのでアシストスーツを装着するというよりも手軽に「着る」という感覚に近いと言えるでしょう。
また、充電の煩わしさからも開放されると同時に、稼働時間も使用環境の制限もありません。製品によっては汚れると簡単に洗えることから、快適に作業できます。
さらに全タイプのアシストスーツの価格相場は、およそ数万円〜100万円となっている中でゴムタイプのアシストスーツは安価な部類に属すると言えるでしょう。やはり動力源による力の創生が必要ないことで手頃な価格を実現しています。
複雑な構造の『動力タイプ』のアシストスーツと比較して「軽量・手軽・低価格」ではあるものの、やはり比較してアシスト力が弱いという点は否めません。あくまでも日常動作のサポートを前提にしていることをご理解ください。
このように様々な場面での活躍が期待できます。ただ、ゴムタイプに限らず、全アシストスーツは持てないものが持てるようになるパワーアップの効果はありません。あくまでも腰などへの負担を軽減することが目的として作られています。
ここまでメリットを中心に述べてきましたが、もちろんデメリットもあります。それは、やはり『動力タイプ』と比較してアシスト力が低い点です。そのためには日常生活のサポートが前提であることを踏まえつつ、アシストスーツを購入する目的・具体的な作業内容を考慮して選ぶことをおすすめします。
ゴムタイプ以外の電動タイプ、外骨格タイプを後述していますので、ご参考にしてみてください。
『動力タイプ』の電動モデルと、バッテリーを必要としない『無動力タイプ』に分けられます。さらに外骨格(人工筋肉)で動作をアシストするタイプと、素材(ゴム)の力でサポートするタイプもあります。
ゴムタイプのアシストスーツは下図の最下段『動力なし(素材の力)』に該当します。
構造 | 特徴 | 価格帯 | |
---|---|---|---|
電動タイプ(外骨格) | モーター・油圧 | 最もアシスト力は強い。反面、重くメンテナンスが必要 | 50〜100万円前後 |
電動タイプ(素材の力) | モーター・ゴム | 電動外骨格タイプより、装着は手軽・アシスト力は弱い・メンテナンスは必要 | 50万円前後 |
動力なし(外骨格) | バネ・空気圧 | 電動タイプよりは軽く、装着は手軽。ゴムタイプよりアシスト力は高い | 数万円~ |
動力なし(素材の力) | 高反発ゴム | 最もアシスト力は弱い。反面、最も軽量で手軽 | 数万円~ |
おすすめのゴムタイプのアシストスーツを販売しているメーカーとその商品についてご紹介します。なお、価格は販売代理店によって異なる場合があるため、ご注意ください。
農業・製造業・物流・介護の現場で働く方の悩みを解決し、元気にしたいという思いで開発されたのが『ダーウィン ハコベルデ』です。「より軽く、より簡単に、より強く」という現場の声に応えたアシストスーツになっています。
医療用品メーカーで培った「高反発ゴム」が中腰姿勢からの立ち上がりを、また独自に開発された「空気圧式人工筋肉」が辛い姿勢の維持をアシストするのです。無動力タイプのため、電源不要のわずか800gという「軽量・薄型設計」で、まるで衣服のようなアシストスーツを実現しました。
その結果、女性や高齢者の方からの支持も集めています。動力源も無いことで価格を低く抑えることができ、充電などのランニングコストもかかりません。
ダーウィン ハコベルデの比較ポイント
製品情報
製品名 | ダーウィン ハコベルデ |
---|---|
メーカー名 | ダイヤ工業株式会社 |
アシストタイプ | 動力無し(ゴムタイプ) |
アシスト領域 | 腕、腰 |
洗濯 | 可能 |
サイズ展開 | M(155cm~170cm)・L(170cm~185cm) |
重さ | 約800g |
特長 | 高反発ゴムと人工筋肉が腰をサポート |
価格 | 85,800円(税込み) |
すべての素材に日本製を使用し、匠の技術をつぎ込んだ『進化系のアシストスーツ』です。介護・農業・物流・製造業の現場で広く活用され、着脱が簡単なシンプルなデザインとユニセックス(男女兼用)で人気を集めています。
腰の曲げ伸ばしをアシストしているのが、超ハイパワーゴム(独自開発した3層構造の超高弾性素材)です。加えて両肩と股間の3点を支点に腰を支えることで無重力のように腰を浮き上がらせ、骨盤の位置を安定させました。その結果、安全性がより高まったとのことです。
さらに伸縮処理(5000回)のテストで約9割の保持力と、伸長力のテストで30kg以上の伸長力を証明し、特許取得(第6974288号)もしております。
楽衛門の比較ポイント
製品情報
製品名 | 楽衛門 |
---|---|
メーカー名 | 株式会社ラクエモン |
アシストタイプ | 動力無し(ゴムタイプ) |
アシスト領域 | 腰 |
洗濯 | 可能 |
サイズ展開 |
|
重さ | 約800g |
特長 | ゴムの復元力で腰の負担を軽減 |
価格 | 41,800円(税込み) |
最後に、ゴムタイプと同じ『非動力タイプ』でありながら、ゴムではなくバネの収縮力を活かしたアシストスーツをご紹介です。株式会社エヌ・エス・ピーが販売している『ワーキングパワースーツ』は、特殊設計された6本の薄型バネの反発力を利用して、腰から背中にかけて身体を支えます。
ゴムタイプと同じく手軽に着用でき、動力源を持たないため軽量、かつ価格も比較的安価、ランニングコストもかかりません。作業時の身体への負担軽減、腰痛防止、背中の痛み防止につながるよう動作をアシストするスーツです。
ワーキングパワースーツは建設、物流、介護、農業などの作業者の方の身体疲労の軽減や作業効率のアップ、作業現場の事故防止、労働環境改善を目的として開発されました。特殊設計された6本の薄型バネの反発力を利用して作業をアシストするアシストスーツです。
腰サポーターや腰痛ベルトなど、従来の商品には体をアシストする機能がありませんが、ワーキングパワースーツは、バネの反発力を利用して腰から背中にかけて身体を支えて疲労軽減と腰痛防止、背中の痛み防止に繋げていきます。(作業内容としては、重量物の持ち上げ時、中腰作業時に効果的です)また、バネを利用した膝サポーターを併用することにより歩行のサポートも行う事ができます。
4つのアシスト機能が搭載され、「重量物のアシスト機能」「中腰作業のアシスト機能」「姿勢矯正アシスト」「膝サポーターによる歩行アシスト」で作業のサポートを行います。
ワーキングパワースーツの比較ポイント
製品情報
製品名 | ワーキングパワースーツ |
---|---|
メーカー名 | 株式会社エヌ・エス・ピー |
アシストタイプ | 動力なし(ばねタイプ) |
アシスト領域 | 腕、腰、脚 |
洗濯 | 可能 |
サイズ展開 | SS~6L(ウエスト65㎝~110㎝) |
重さ | 要問合せ |
特長 | 高反発スプリングの力で背筋力を20%向上 |
価格 | 要問合せ |
本記事では、アシストスーツの構造・特徴・価格についておすすめメーカーの商品を交えてご紹介しました。アシストスーツを利用することで、人手不足や高齢化による身体への負担軽減や、作業効率のアップに繋がると期待されています。
アシストスーツは機能、構造によって多種多様です。利用目的や価格、労働環境と照らし合わせて、ご自身に最適なアシストスーツを選んでください 。