アシストスーツの市場規模を解説|販売台数増で市場拡大へ

更新日 2023.05.11
投稿者:豊田 裕史

重いものを運んだり、歩いたり日常的な動作をする時に体に掛かる負担を軽減してくれるアシストスーツ。中腰での作業や重い荷物を運ぶことの多い、農業や製造業で利用されるケースが増えてきました。

今回は、アシストスーツ市場がどのようになっていくかを徹底解説しますので、参考にしてみてください。

アシストスーツとは?

アシストスーツとは、歩く・荷物を運ぶ・階段の昇り降りなど日常的な動作をサポートする装置です。アシストスーツを着用することで体に加わる負担を軽減することができます。重い荷物を運ぶことの多い製造業界や、屈んだ状態での作業が多い農業などで多く活躍しています。

また、近年では高齢者の方が自らの力で日常生活を楽しめるようにサポートするアシストスーツも増えてきました。農業や製造業はもちろん、歩く・座る・立つなどの日常動作も助けてくれるアシストスーツは介護業界での活躍も期待されています。

アシストスーツの基礎知識についてはアシストスーツの基礎知識|選び方や導入メリットを徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

アシストスーツの市場規模

様々な場面で活躍が期待されているアシストスーツの市場規模は、今後どのようになっていくのでしょうか。

市場概要

2021年に株式会社矢野経済研究所が実施した調査では、2021年以降アシストスーツ市場は22億円を超えています。

歩行を支援したり重い荷物を運ぶサポートを目的としたアシストスーツが主流でしたが、介護者の負担を軽減する新製品なども増えてきました。その結果、より多くの場面でアシストスーツが普及し市場の拡大が進んでいます。

出典:パワーアシストスーツ市場に関する調査を実施(2021年)

様々なタイプの製品が出てきた

アシストスーツにも様々なタイプの製品が出てきました。センサーなどで体の動きを感知しサポートしてくれる動力ありの電動モデル。バッテリーを必要とせず、ソフト素材や空気圧で動きをサポートする動力なしモデル。

さらに、外骨格をつけることで姿勢や動きをサポートしてくれるモデルや、スーツに使用している素材の力を活かしてサポートしてくれるタイプもあります。

構造 特長 価格帯
電動タイプ(外骨格) モーターやセンサー、IoT機能 センサーが人の動きに合わせてサポートしてくれます。パワフルなサポートは安心感抜群です。 近年では小型のモーターも増えており、かなり軽量化がされています。 4万〜70万円前後
動力なし(外骨格) 強化ベルトやガススプリング、空気圧 重量が軽く、屋内外どちらでも使用できるものが多いです。強化ベルトや空気圧など電力を必要としないため、感電などの恐れがありません。 4万〜50万円前後
動力なし(素材の力) 特殊高反発ゴムやバネ、ベルト 装着が簡単で締め付けが少なく、長時間装着していても快適に過ごせます。衣服の中に着用できるものや洗濯できるものもあります。 3万〜10万円前後

最近では、高性能かつ低価格な製品の取り扱いも増えてきており、一般向けでも購入しやすい傾向が生まれてきています。

介護業界における発展性

アシストスーツは介護業界でのさらなる活躍を期待されています。現在も問題視されている少子高齢化ですが、2025年にはさらに少ない現役世代で高齢者を支えていく必要があると予想されているのです。

日本社会が今後解決すべき大きな課題として「2025年問題」と言われています。この2025年問題に向けて、厚生労働省が介護ロボットやICTの活用を推進しており、国として介護ロボットの導入を推進しているのです。

しかし、普及を進めるには課題も多く、価格が高いことや活用実績・事例がまだまだ少ないことが挙げられます。効率よく業務を進められることで職員への負担が軽減することは良いことですが、ロボットに介護してもらうのが不安という利用者の方も多いでしょう。

また、導入準備の手間や費用に見合った効果が見えないなど、現場の方からの声はさまざまあります。

アシストスーツの市場拡大について

様々な場面で活躍を期待されているアシストスーツ。今後のアシストスーツの市場はどのようになっていくのでしょうか。

日本能率協会総合研究所(JMAR)からは、下図のような国内のアシストスーツ市場予想が公表されています。詳しく見ていきましょう。

出典:MDB Digital Search

2023年のアシストスーツの市場

日本能率協会総合研究所の調査では、2023年度の国内アシストスーツ市場は約8000台にもなるとされています。近年、アシストスーツの販売台数が増加傾向にある理由は、開発実証段階から本格的に実用できる段階に移行したからでしょう。

また、アシストスーツの普及が進むことで価格帯が低くなってきていることも挙げられます。時代の変化に合わせてレンタルやリースができるアシストスーツも導入されているので今後もアシストスーツ市場は拡大していくでしょう。

アシストスーツ市場の今後

先述の通り課題はまだまだ多いアシストスーツですが、物流・工場・土木・農業などの重労働だけでなく、医療・介護業界において発展性をみると市場拡大は期待できそうです。課題の改善を繰り返し、普及率が増加すれば量産が可能になります。

近い未来には、個人向けのアシストスーツやコンパクトでパワフルなモデル、スポーツや普段の生活でも使われるようになるかもしれません。

アシストスーツメーカーもチェック

ここまで市場規模について見てきました。気になった方は、アシストスーツのメーカーも確認してみましょう。

アシストスーツについては【2023】パワーアシストスーツ16選を徹底比較!でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

まとめ

今回は、近年市場規模が拡大しているアシストスーツについて紹介してきました。製造業や農業などの重い荷物を運んだり、中腰での作業が多い時に活躍するアシストスーツ。

少子高齢化が問題視されている現代では、介護業界での発展性も期待されています。課題はまだまだ山積みですが、今後も普及率は増加し日常生活での利用が当たり前になる日が来るかもしれません。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。


フリーランスWEBライター
URL:https://twitter.com/kakeru5152

元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。

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