ポータブルレントゲンは、動くことができない患者様の撮影や訪問診療、災害時など幅広いシーンで活躍する医療機器です。さまざまな種類があるポータブルレントゲンですが、実際にはどのようなものを選ぶのがよいのか、また価格はどれくらいが相場なのか気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、これから新たに訪問診療をはじめる医師および歯科医師の方に向けて、ポータブルレントゲンの価格相場、主要なポータブルレントゲンの製品による個別価格や特長についてお伝えしていきます。製品ごとに優れている部分が異なりますので、各医院の目的に適したポータブルレントゲンを探してみてください。
まずポータブルレントゲンの価格帯は、歯科向けなのか、訪問診療向けなのかで大きく変わってきます。歯科向けであれば40万円程度で販売されている製品もあります。一方で訪問診療向けになると初期費用に数百万円は必要になります。製品や機器構成によっても料金は変わってきますので、具体的な金額はメーカーに問い合わせてみましょう。
次に、ポータブルレントゲンの価格比較一覧表をお伝えします。
製品名 | 企業名 | 利用場面 | 価格(税別) |
---|---|---|---|
携帯型X線撮影装置 CALNEO Xair | 富士フイルムメディカル株式会社 | 在宅・老健施設・救急・災害現場・診療所など | 要お問い合わせ |
オールラウンダー軽量ポータブルX線撮影装置Comfy | キヤノンメディカルシステムズ株式会社 | 在宅・介護施設・病棟・手術室・災害現場など | 要お問い合わせ |
ポータブルX線撮影装置 NX-100 | 株式会社ティーアンドエス | 在宅・災害現場など | 要お問い合わせ |
PX-20BTmini | 株式会社ケンコー・トキナー | 在宅・災害現場など | 2,200,000円 |
TRB9020H | ミカサエックスレイ株式会社 | 在宅・災害現場など | 要お問い合わせ |
AirRay(エアレイ) | 株式会社近畿レントゲン工業社 | 歯科 | 442,600円(税別) |
ポートエックスⅢ | 株式会社モリタ | 歯科 | 480,000円(税別) |
X-shot(エックスショット) | 株式会社ヨシダ | 歯科 | 498,000円(税別) |
デキシコ ADX4000W | 長田電機工業株式会社 | 歯科 | スモールセンサー1,780,000円 (税別) ラージセンサー1,830,000円 (税別) |
以上が一覧表です。ここからは、製品ごとの特長や比較ポイントをご紹介します。
従来の製品よりも軽量化されており、持ち運びがしやすいサイズ感です。満タンに充電することで、100ショットまで撮影可能なリチウムポリマーバッテリーを内蔵しており、長時間の使用もできます。充電しながらの撮影も可能です。
照射野ランプおよび、背面ディスプレイにはLEDを使用しているので、耐久性が高くみやすい操作画面を実現しています。画面の凹凸が少なく平面的なデザインなので、メンテナンスもしやすく衛生的に使用することもできるでしょう。
携帯型X線撮影装置 CALNEO Xairの比較ポイント
効率的かつ美しい写真が撮影できるオールラウンダー軽量ポータブルX線撮影装置Comfy 。公称焦点値(0.8)X線管球は小焦点のため、鮮明な画像を撮影することができます。5通りのプリセットはユーザーでプログラムすることも可能です。
15分充電で胸部の撮影50枚、30分の充電で90枚の撮影ができるので、急に使用することになっても十分に撮影をすることができます。
オプションでキャリーバッグ、PCバッグ、スペアバッテリー、絞り回転機構を組み合わせることも可能です。
オールラウンダー軽量ポータブルX線撮影装置Comfyの比較ポイント
NX-100は軽量でコンパクトモデルになっていますが、据え置きの設置にも対応。自由自在な使い方ができます。あらゆる撮影方法に対応するAPRの組み合わせでさまざまな撮影に適していることも特徴の一つです。
特殊平滑回路によるインバータ方式を採用していることで、リップルが少なく常時安定したX線を得ることができます。これによって、不要な被曝線量を減らし、安全かつ短時間撮影をすることが可能です。
撮影セッティングの自由度を損なわせないリバース表示機能も搭載しており、どの方向の撮影でも設定条件をみやすく表示させることができます。
ポータブルX線撮影装置 NX-100の比較ポイント
簡単に操作できるようなシンプルなデザインのポータブルレントゲン。撮影をスムーズに行うことができるように、21種類のメモリ機能が搭載されており、即座に撮影条件にあったものを呼び出すことが可能です。
また、付属品のハードタイプのキャリーケースに収納することで、安全に持ち運びをすることも可能です。オプションで3WAYソフトバッグをつけることもできます。手提げやショルダー、リュックとしても使用でき、持ち運びに便利です。
PX-20BTminiの比較ポイント
バッテリー内蔵時の製品重量が7.3kgのバッテリー駆動式レントゲン。付属しているレーザーポインターによって照射の中心、撮影距離を正確に確認することができ、撮影部位を逃すことがありません。
撮影枚数は撮影条件によって異なりますが、一回のフル充電で約500回の撮影をすることができます。装置にはバッテリーが一個付属していますが、予備バッテリーをオプションで準備しておくと製品を連続して使用することも可能です。
TRB9020Hの比較ポイント
AirRayは歯科用のポータブルレントゲンです。重さは1.9kgと軽量化を実現しています。国内メーカーのX線管を採用しており、0.4mmのX線焦点で高解像度画像を撮影することができます。
お手持ちのX線フィルム・CCD/CMOSセンサー、イメージングプレート(IP)などを使うこともできるので互換性にも優れています。付属品は、優先の照射スイッチと持ち運びできるキャリーケースがついており、オプションで後方散乱シールドや三脚、ネックストラップがあります。
AirRay(エアレイ)の比較ポイント
ポートエックスⅢは、必要な機能をしっかりと搭載した上で、シンプルな設計が魅力のポータブルレントゲンです。ディスプレイ表示で撮影設定も簡単に行うことができ、照射時間の調整も瞬時に行うことができます。各医院で使用しているデジタルセンサーやデジタルフィルムをそのまま使うことも可能です。(照射野は直径60mm)
大容量のバッテリーを内蔵しており、フルの充電でおよそ100回の撮影と連続照射ができます。軽量でコンパクトなので、訪問診療や災害時の撮影にも適しているといえるでしょう。
ポートエックスⅢの比較ポイント
バッテリー内蔵のポータブルレントゲンですが、軽量でコンパクトなので訪問診療を含めたさまざまな場面で対応することができます。X線センサーやフィルムにも対応可能です。
操作画面は非常にシンプルで、直感的に操作をすることができます。撮影する部位のピクトグラムを選択することで、簡単に適切なX線画像を撮影可能です。
たった40分でフル充電することができ、約50回の照射が可能。訪問診療以外にも手術室などのレントゲン撮影にも役立つでしょう。
X-shot(エックスショット)の比較ポイント
デジタルカメラのように撮影した画像を瞬時に表示したり保存したりすることができます。USBケーブルやWi-Fi無線自動転送機能で、画像をパソコンへ簡単に保存することが可能です。
安全性にも優れており、漏えい放射線を遮断します(JIS Z4701 0.25mGy/hr以下)。
タッチパネルには4.8インチのワイドモニターを採用しており、アイコンや日本語表記で簡単に操作をすることができます。また、画像データ管理機能で、さまざまな画像保存形式を選択することが可能です。
デキシコ ADX4000Wの比較ポイント
歯科向けのポータブルレントゲンの価格相場は約50万円でしたが、歯科医院以外など、用途によっては数百万円かかります。製品によって、価格がことなるのはもちろんですが、ポータブルレントゲンの大きさやフル充電時の撮影枚数などもさまざまです。自院で使用する場面を想定して、目的に応じたポータブルレントゲンを選ぶようにしましょう。
今一度、ご紹介した製品一覧をご覧いただき、製品ごとの特長をよくチェックしてからポータブルレントゲンの導入を検討してみてください。