相談支援業務では、個別支援計画書の作成、モニタリング記録、給付管理業務、関係機関との連絡調整など、事務作業が多く発生します。制度改正のたびに新たな知識の習得や、書類作成方法の変更が必要です。
今回は相談支援事業所の事務作業を効率化する「相談支援ソフト」について紹介します。相談支援ソフトを導入することで、手作業で行っていた記録や計画作成の時間を削減することができます。利用者さん一人ひとりに、よりより質の高い支援を提供するための強力なツールとなるはずです。
これまでExcelやWordなどで対応してきた事業所も、新規で開設予定の事業所も、ぜひこの機会に相談支援ソフトの導入を検討してみてください。
相談支援ソフトとは、相談支援業務の効率化を図るために開発されたソフトウェアです。相談記録や計画書の作成、進捗管理などを支援し、相談員の業務負担を軽減することを目的としています。相談支援ソフトには、主に以下のような機能が搭載されています。
相談記録の管理 | 相談内容や支援内容を記録し、検索や共有を容易にします |
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計画書の作成 | 個別支援計画やサービス等利用計画などの計画書を作成し、進捗状況を管理します |
モニタリング | 支援の実施状況や利用者の状況を定期的に確認し、記録します |
スケジュール管理 | 利用者や関係機関とのスケジュールを管理し、調整を容易にします |
情報共有 | 関係機関や担当者間で情報を共有し、連携を強化します |
帳票作成 | 行政への報告書や利用者への提供資料など、各種帳票を効率的に作成します |
請求業務 | 障害福祉サービスの給付費請求や利用料請求など、請求業務を効率化します |
以上のような多彩な機能で、導入した事業所に様々なメリットをもたらします。メリットについて少し詳しく見ていきましょう。
実際に相談支援ソフトを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか?相談支援ソフトのメリットは主に以下3つです。
それぞれ解説していきます。
相談支援ソフトを導入すると5つの面で業務が効率化します。それぞれ詳しくみていきましょう。
相談支援ソフトを導入すると、文章のテンプレートが保存できたり、音声入力が可能になったりします。よく使う文言や文章を用意しておくと、文章を作成するスピードが一段と早くなります。従来は、報告書や企画書を1つひとつ手書きで行っていたため、制作に時間がかかるだけでなく、誤字や記入漏れも発生していました。
また、フォーマットを用意しておくだけで、相談内容や計画書を何度も作る必要もありません。このように相談支援ソフトを導入することで、文章の質や効率を向上することが可能です。
相談支援ソフトの請求とは、主に国民健康保険団体連合会(国保連)へ提出するものです。国家機関にデータを送ることは、誤入力があってばならないことはもちろん、正確なデータを送る必要があります。1つでも間違えてしまうと、再度書き直し、再提出するなど手間や時間を要します。
相談支援ソフトを導入することで、入力ミスを防ぎ、さらに作成時間の短縮も可能です。ソフトに請求データを連動させることで、面倒な入力の手間を省くことができます。
ジェノグラムとは、家系図のようなものです。相談支援業務では、支援者の家族構成を一目で把握する必要があります。相談支援ソフトを活用することで、利用者のジェノグラムを簡単に作成することが可能です。また、編集もスムーズなので、関係性の変化にもすぐ対応できます。さらにソフトを利用することで、支援者間で情報共有できるようになります。
相談支援業務では、福祉や医療機関、行政との連帯が欠かせません。従来では、関係機関を手作業で行なっていたため、ミスや伝達不足などが発生していました。相談支援ソフトを利用することで、オンライン上で連帯が可能になり、情報共有をスムーズに行うことができます。
相談支援業務では、相談件数や内容、相談者の情報をまとめなければなりません。従来のように情報を手作業で入力すると、時間がかかることはもちろん、入力ミスのリスクもあります。相談支援ソフトを利用し、相談者の状況がどのようになっているのか一目でわかるように管理することが可能です。
さらにグラフやレポートを自動作成することも可能で、データ入力の時間も大幅に削減することができます。
相談支援ソフトを導入すると、利用者の支援記録、相談受付、報告書などを一元管理が可能です。従来では、紙ベースで情報をまとめていることが多く、保管場所を確保したり、情報を探すために時間を要したりしていました。
相談支援ソフトの導入により、情報管理が楽になり、検索する際も手間をかけることなく情報を得ることができます。
また、紛失のリスクも最小限に抑えられます。大量のデータを管理するとなると、大切な情報をなくしてしまうことも。しかしソフト内で管理できるようになると、情報を紛失したり、誤った情報を誤った場所に入力してしまうなどのリスクも減らすことが可能です。
相談支援業務では、お客様の大切なデータをきちんと保管しなければなりません。相談支援ソフトでは、アクセス制限を設定できたり、通信の暗号化を可能にします。
利用者ごとに閲覧制限をかけることで、利用者のプライバシーを保護したり、誰がサイトにアクセスしたかを確認することが可能です。
おすすめの相談支援ソフトを6つ紹介します。それぞれのメリットを比較してみましょう。
株式会社リクルートが提供しているknowbe(ノウビー)は、エラー通知やアラート機能を備えており、入力ミスや過誤返戻のリスクを大幅に軽減できます。
利用者情報・実績記録・支援記録などの情報を一元管理し、ワンクリックで集計やデータ作成を行うことかが可能です。累計利用者数220,000人以上と、多くの利用者が相談支援ソフトを利用しており、使いやすさに定評があるソフトです。
日本コンピュータコンサルタントが提供する介舟ファミリーは、販売年数30年以上、継続率95%と圧倒的な信頼を誇る相談支援ソフトです。介舟ファミリーが選ばれる理由として、使いやすいソフトと手厚いサービスです。
介舟ファミリーの相談支援ソフトは、画面がみやすく、シンプルな操作が支持されています。また、初期の操作をサポートしてくれるだけでなく、データの作成から送信までを手伝ってくれることが、利用者からの高評価の理由です。
NDソフトウェア株式会社が提供しているぼのぼのmoreは、20年以上もサービスの提供を続けている人気の相談支援ソフトです。幅広い対応サービスに対応しており、記録の電子化も可能です。「ぼのぼのmore」は、障害事業者向けのソフトで、オプションが充実しています。
「ぼのぼのmore」の最大の特徴として、一度入力した情報は保存されるため2度入力する手間を省ける点です。業務効率を格段にアップできるソフトと言えるでしょう。
株式会社エス・エム・エスが利提供しているプロジェクトRINは、わかりやすさを重視したソフトです。福祉事業所の現場から生まれた、支援者が必要としている業務の効率化を測った業務支援システムです。例えば、障がい福祉事業所と共同で設計し、データ入力を簡単に行えるようなソフトを兼揃えています。
PCやスマホ、タブレットへの連動を可能にしており、シーンごとに使い分けやすくなっているのも大きなポイントです。
株式会社LITALICOが提供するかんたん請求ソフトは、請求に特化しているソフトです。使い慣れたエクセルで入力が可能なので、新しい操作を学び直す必要がありません。
記録を打ち込むだけで、簡単に資料を作成してくれるので、請求にかかる時間を大幅に削減できることがポイントです。
またサポートデスクも、請求期間(1日~10日)は20時30分までと長い時間受け付けているのが特徴です。
株式会社マイズワンが提供している相談支援ソフトは、介護・福祉の全サービスをカバーする豊富なシステムが用意されています。
例えば、確実な請求書類の制作や集計資料の出力、タブレットでのケア記録など介護業界を全般的にサポートするシステムが用意されています。
またインターネット環境があれば、バックアップやメンテナンスも不要のため、機器の扱いに慣れていない方でも安心して活用することが可能です。
今回は、相談支援ソフトについてまとめてみました。相談支援ソフトは、簡単にデータを入力したり、請求書を作成したり、作業効率を上げる機能が多く備わっています。相談支援ソフトを購入する際は、必要な機能と予算、職員のスキルなどを考慮した上で選択すると良いでしょう。