福祉施設や病院などの食事提供の現場において、人手不足対策や業務の効率化は重要な課題です。こうしたなか、国の人手不足対策である中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)の対象製品として、2026年2月5日に「再加熱カート」と「再加熱キャビネット」が新たに追加されました。初期費用を抑えて最新機器を導入する有効な手段となります。
本記事では、中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)の概要や、対象となる製品一覧に加え、自社の施設に合わせた再加熱カートと再加熱キャビネットの違いや選び方について分かりやすく解説します。
再加熱器の導入や更新を検討している事業者に、新しい選択肢が生まれています。国の人手不足対策である「中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)」の対象製品として、2026年2月5日に「再加熱キャビネット/カート」が追加されました。
このカタログ型は、事前に登録された製品のなかから自社に合う機器を選んで申請する仕組みです。これまで厨房や福祉の現場で選べる機器は清掃ロボットや配膳ロボットなどが中心でしたが、製品カタログの更新に伴い、食事の提供業務に直接関わる設備も選択できるようになりました。
初期費用の負担から再加熱器の導入を検討していた施設にとって、この制度は有効な選択肢となります。なお、今回の追加では「飲料ディスペンサー/とろみ給茶機」も同じタイミングで対象に加わっています。
補助金を利用する場合は、まず基本的な仕組みと受け取れる補助金額を確認しておく必要があります。このカタログ型は、国が指定した製品一覧から選んで購入するため、一般的な補助金に比べて申請手続きが簡素化されている点が特徴です。
補助率については、機器の本体価格および設置工事費の2分の1が補助されます。補助の上限額は従業員数によって変動し、5人以下は500万円、6人〜20人は750万円、21人以上は1,000万円となります。なお、大幅な賃上げ要件を達成した場合はインセンティブとして、それぞれ750万円、1,000万円、1,500万円まで上限額が引き上げられます。
また、この補助金は複数回の申請が可能ですが、2回目以降は、累計補助上限額(各申請時点の補助上限額の2倍)が適用されるほか、追加の要件が加わります。詳細はホームページをご確認ください。
出典:中小企業省力化投資補助金
本補助金の申請は令和9年(2027年)3月末頃まで随時受け付けられています。ただし、カタログに掲載される製品や販売事業者の登録有効期間は令和9年9月末までとなっており、要件改定や不正などにより期間内であっても登録が取り消される場合があります。最新の登録状況や詳細なスケジュールについては、必ず公募要領をご確認ください。
本補助金の申請から支払いまでは、まず販売事業者と共同で事業計画を策定して交付申請を行い、採択後に製品を導入して実績報告を行います。補助金の受け取り後も、3年間の効果報告期間や資産の処分制限期間が設けられており、適切な運用と管理が必要です。全体の細かな手続きや注意点については、事前に「公募要領 3-1. 全体フロー」の解説をご確認ください。
補助金を受け取るためにはいくつかの要件があり、すべての要件を満たす必要があります。たとえば、国が定める「労働生産性の向上目標」を設定して取り組むことや、補助上限額の引き上げを狙う場合は「賃上げの目標」を設定し従業員へ表明することなどが求められます。
要件にはこのような目標設定のほか、対象外となる事業の基準なども細かく定められています。申請の際は、必ず「公募要領 4-1. 補助対象事業の要件」の詳細をご確認ください。
中小企業省力化投資補助金のホームページには、2026年6月時点で再加熱カート8品目、再加熱キャビネット8品目の合計16品目が登録されています。本補助金を利用して導入する際は、これらカタログに掲載されている対象品目の中から製品を選択する必要があります。
■再加熱カート
| 製造事業者 | 製品名 | 製品名/製品型番 |
|---|---|---|
| ホシザキ株式会社 | 再加熱カート | NWU-22B3+(NWC-22B+NWF-22B) |
| ホシザキ株式会社 | 再加熱カート | NWU-26B3+(NWC-28B+NWF-28B) |
| ホシザキ株式会社 | 再加熱カート | NWU-26B3+(NWC-26B+NWF-26B) |
| ホシザキ株式会社 | 再加熱カート | NWU-24B3+(NWC-24B+NWF-24B) |
| 株式会社フジマック | 再加熱カート | FRHS95+FRHC24A |
| 株式会社フジマック | 再加熱カート | FRHS95+FRHC26A |
| 株式会社フジマック | 再加熱カート | FRHS95+FRHC28A |
| 株式会社中島製作所 | ミールシャトル | NMS-ST24+NMS-SH24 |
■再加熱キャビネット
| 製造事業者 | 製品名 | 製品名/製品型番 |
|---|---|---|
| ニチワ電機株式会社 | スチコン式リヒートウォーマーキャビネット | RHW-720 |
| ホシザキ株式会社 | 再加熱キャビネット | NRH-13B-1 |
| ホシザキ株式会社 | 再加熱キャビネット | HRH-6TA |
| 株式会社マルゼン | リヒートマイスター(冷却機能付き再加熱調理機)5段1列仕様 | RHM-5,RHM-5R |
| 株式会社フジマック | 再加熱キャビネット | FRHB7287 |
| 株式会社マルゼン | リヒートマイスター(冷却機能付き再加熱調理機)10段2列仕様 | RHM-10W |
| 株式会社マルゼン | リヒートマイスター(冷却機能付き再加熱調理機)10段1列仕様 | RHM-10,RHM-10R |
| 株式会社アイホー | 再加熱調理機(冷却機能付) | RHC-091,RHC-091(PU仕様),RHC-091CP |
ここまで補助金の要件や流れを見てきましたが、最後に導入対象となる「再加熱カート」と「再加熱キャビネット」の違いについて改めてご紹介します。両者の大きな違いは「移動性」と「配膳の手間」です。
再加熱カートは料理をセットした状態のまま配膳先へ移動できますが、再加熱キャビネットは厨房に据え置いて使用するため、加熱後に別の配膳車へトレイを移し替える運用となります。自社の施設規模や配膳動線に合わせて、最適なタイプを選ぶことが大切です。
| 項目 | 再加熱カート | 再加熱キャビネット |
|---|---|---|
| 主な特徴 | キャスター付きの移動型 | 厨房に据え置く固定型 |
| 運用の流れ | 再加熱 → そのまま配膳 | 再加熱 → 配膳車へ移し替え |
| メリット | 移し替えの手間がなく、配膳がスムーズ | 省スペース、初期費用を抑えやすい |
| デメリット | 本体が大型で通路の幅が必要、導入費用が高額 | 移し替えの手間と時間が発生する |
「中小企業省力化投資補助金」の対象に再加熱カートおよび再加熱キャビネットが追加されたことで、福祉施設や病院、給食センターなどの食事提供業務における人手不足対策として、これらの機器が導入しやすくなりました。
食事の質を維持しながら厨房業務を効率化する手段として、再加熱機器の導入は有効な選択肢となります。配膳の手間を減らしたい場合は「再加熱カート」、厨房のスペースを考慮しつつ初期費用を抑えたい場合は「再加熱キャビネット」など、それぞれの特徴や運用の違いを比較して自社に適した製品を選ぶ必要があります。
本補助金は登録カタログから製品を選択する仕組みですが、事前の要件確認や販売事業者との共同申請が必要です。登録製品や公募スケジュールは随時更新されるため、まずは公式ホームページで最新の情報を確認し、計画的に準備を進めることをおすすめします。