クックチルシステムの実施に必要な厨房機器のひとつである「ブラストチラー」は、加熱した食材の温度を一気に冷却する機器です。スチームコンベクションオーブン(スチコン)等で加熱した食事を急速に冷却することで、美味しいままの状態で保存することができます。
一方で、サイズが大きく、飲食店などの店舗には入りきらないケースもありました。そのニーズに答えられるのが、今回紹介する小型のブラストチラーです。
「小型のブラストチラーであれば導入を検討できるかも」
という方は、ぜひ参考にしてみてください。
まず最初に、小型ブラストチラー6種類を一覧でご紹介いたします。
メーカー | オリオン機械 | ニチワ電機 | フクシマガリレイ | パナソニック産機システムズ | 大和冷機工業 | エフ・エム・アイ |
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サイズ | W750×D700×H850 | W750×D700×H850 | W750×D810×H850 | W750×D700×H850 | W750×D600×H800 | W790×D770×H870 |
費用 | 要問合せ | 要問合せ | 1,657,000円(税抜) | 1,906,000円(税抜) | 要問合せ | 要問合せ |
特徴 | 簡易的な操作パネル | オーブン段積みが可能 オゾン殺菌も標準搭載 |
食品のうま味もしっかりと閉じ込める | ナノイーが庫内の菌を抑制 | 奥行600mmのコンパクトさ | 冷却機能だけでなく加熱機能もあり |
上記で紹介したおすすめの小型ブラストチラーについて、詳細を説明していきます。
最初にご紹介するのは、オリオン機械株式会社の「ピコブラスト」です。 ピコブラストはコンパクトなサイズで、調理スペースに置きやすい製品となっています。 操作パネルもシンプルで簡易な形なので、製品の操作も難しくないでしょう。
また、ピコブラストは衛生面も優れています。 製品に搭載されている庫内乾燥機能を利用し、庫内の水分を乾燥させることで、細菌の発生を予防することが可能です。 加えて、オゾン発生装置による除菌効果も期待できます。
オリオン機械株式会社の比較ポイント
製品情報
サイズ | W750×D700×H850 |
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費用 | 要問合せ |
特徴 | コンパクトな形となっており操作パネルも簡易な形となっている。小型ながら庫内乾燥機能もあるため使いやすい。 |
ニチワ電機株式会社の「ミニブラスト」も、小型で扱いやすい製品です。 ブラストチラーの中でも小さめのサイズなので、調理スペースが狭くても設置しやすいでしょう。
また、ミニブラストはオーブン段積みが可能です。 ブラストチラーの上にオーブンを置けるため、さらにスペースを節約できます。
ニチワ電機株式会社の比較ポイント
製品情報
サイズ | W750×D700×H850 |
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費用 | 要問合せ |
特徴 | オーブン段積みが可能で乾燥機能だけでなくオゾン殺菌も標準搭載 |
フクシマガリレイ株式会社は、業務用冷凍冷蔵庫や冷凍冷蔵ショーケースを扱っている企業です。 ブラストチラーも販売しており、標準サイズだけでなく小型サイズの製品もあります。
フクシマガリレイ株式会社の小型ブラストチラーは、幅750mm、奥行810mm、高さ850mmというコンパクトなサイズです。 また、有効内容積は111L、電源仕様は単相100Vとなっており、病院や介護施設でも問題なく利用できるでしょう。急速冷却により細菌の増殖を防ぎつつ、調理した食品の風味もしっかりと閉じ込められます。
フクシマガリレイ株式会社の比較ポイント
製品情報
サイズ | W750×D810×H850 |
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費用 | 1,657,000円(税抜) |
特徴 | コンパクトで扱いやすいブラストチラー。食品のうま味もしっかりと閉じ込める。 |
パナソニック産機システムズ株式会社の小型ブラストチラーには、さまざまな特徴があります。1つ目は、風速を5段階から選択して設定できる点です。 冷却に時間がかかるグラタンは最大風速で、形状が不安定なゼリーは最小風速で、といった具合に風速を調節できます。
また、ナノイーが搭載されている点も特徴の1つです。 ごく小さな微粒子イオンであるナノイーが菌を抑制し、庫内を清潔に保ちます。
そのほかにも、深さ25mmのホテルパンを12段収容可能、予冷運転機能が搭載されている、といった特徴があります。
パナソニック産機システムズ株式会社の比較ポイント
製品情報
サイズ | W750×D700×H850 |
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費用 | 1,960,000円 (税抜) |
特徴 | 風速の調整や予冷運転機能など、便利な機能を使用できる。加えてパナソニック特有のナノイーを搭載。 |
ブラストチラーの中でも、大和冷機工業株式会社の製品は比較的小さめのサイズです。 奥行が600mmとなっており、他社製品よりもコンパクトなのでスペースに困りません。
また、ブラストチラーの上にスチコンを積むことも可能です。 そのほかにも、こちらの製品にはさまざまな機能が搭載されています。 食品を冷却する際の運転モードと風速は、それぞれ3段階から調整可能です。
大和冷機工業株式会社の比較ポイント
製品情報
サイズ | W750×D600×H800 |
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費用 | 要問合せ |
特徴 | 奥行600mmのコンパクトなブラストチラー。芯温センサーやUVランプのような便利機能も搭載されていて扱いやすい。 |
株式会社エフ・エム・アイの小型ブラストチラーには、冷却機能だけでなく加熱機能も備わっています。 -40℃から85℃まで調整可能で、低温調理や真空調理に加えて、食品の保温や発酵も可能です。
そして、こちらの製品には殺菌機能や温度計測機能も備わっています。 サニジェンという独自のイオン殺菌システムが菌を減らしてくれるので、衛生面は心配ありません。
株式会社エフ・エム・アイの比較ポイント
製品情報
サイズ | W790×D770×H870 |
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費用 | 要問合せ |
特徴 | 冷却機能だけでなく加熱機能もあり。急速冷却に加えて低温調理や保温、発酵など、幅広い目的で利用可能 |
ブラストチラーとは、加熱調理した食品に冷風を吹きかけ、急速に冷却する機器のことです。食品を急速冷却することで細菌の繁殖を防げるほか、食品の風味も維持できます。ブラストチラーのポイントは、食品を急速に冷却するという点です。調理した食品を自然冷却した場合、細菌の増殖温度帯となる約10~65℃に留まる時間が長くなります。しかし、ブラストチラーを利用すれば、90℃近くにまで加熱した食品を急速冷却し、3℃程度の温度にまで下げることが可能です。
食品の温度を一気に下げることにより、細菌の増殖温度帯をすぐに通過するため、食中毒のリスクが下がります。 そして、急速冷却には食品の風味を閉じ込める効果もあります。 食品を常温で置いておくと徐々に風味が失われてしまいますが、ブラストチラーによる急速冷却なら、食品の品質を維持したまま料理を冷やすことが可能です。
このように、ブラストチラーは食品の衛生管理や品質維持に役立ちます。
ブラストチラーには標準的なサイズの製品だけでなく、小型サイズのものもあります。それぞれのサイズについて、以下で解説していきます。
標準サイズと小型サイズ、それぞれの幅と奥行、高さを以下の表にまとめました。
標準 | 小型 | |
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W(幅) | 800~1500 | 500~700 |
D(奥行) | 800~1300 | 600~700 |
H(高さ) | 1000~2000 | 550~800 |
※単位:mm
比較表からわかるように、同じブラストチラーでも、大型のものと小型のものではサイズが倍以上異なります。 調理スペースが狭くて標準サイズのブラストチラーが収まらなくても、小型サイズなら問題なく置けるかもしれません。 幅、奥行、高さをしっかりと調べたうえで製品を選ぶことが大切です。
標準的なサイズのブラストチラーは、幅が800~1500mm、奥行が800~1300mm、高さが1000~2000mmです。大きいものだと、高さが2mまでいくものもあります。
そのため、標準サイズのブラストチラーを導入する場合は、調理スペースの高さにも注意して製品を選ばなければなりません。幅や奥行ももちろん調べる必要はありますが、高さも見落とさないようにしましょう。
小型ブラストチラーのサイズ感は、幅500~700mm、奥行600~700mm、高さ550~800mmとなります。標準サイズと違って小型サイズの製品には、卓上に置けるようなコンパクトなものも多いです。
スペースをさらに節約したい場合は、小型ブラストチラーの上に別の厨房機器を設置するのも良いでしょう。小型のスチコンなどであれば、ブラストチラーの上にも収まります。
ここからは、小型のブラストチラーを導入する際の注意事項を解説します。
小型のブラストチラーを購入する場合は、製品の容積を確認しておくことが大切です。 小型の製品は標準サイズよりも、容積が小さめとなっています。そのため、一度に対応できる量も通常のものよりは少ないです。 調理する量が多いにも関わらず、容積が小さな製品を選んでしまうと、作業効率が悪くなってしまいます。実際に利用した場合に問題がないか検討したうえで、製品を選びましょう。
庫内の掃除のしやすさにも着目しましょう。ブラストチラー本体に自動洗浄機能がついていれば、掃除は楽になります。しかし、標準サイズの製品と比べて、小型ブラストチラーには自動洗浄機能が備わっていない製品も多いです。掃除の手間を省きたい場合は、自動洗浄機能のあるブラストチラーを選んだ方が良いでしょう。衛生面も考慮したうえで、掃除しやすいかどうかも前もって確認しておくべきです。
病院や介護施設にクックチルシステムを導入する際に必要となるのが、ブラストチラーです。ブラストチラーを利用することで、品質を損なわずに食品を冷却できます。ブラストチラーには小型の製品もあるため、調理スペースが狭い場合は小型サイズのものを導入するのがおすすめです。施設での調理に小型ブラストチラーを必要としている方は、本記事でご紹介した6つの製品の中からお好みのものを導入してみてはいかがでしょうか
通常サイズのブラストチラーについてはブラストチラーメーカー11選を徹底比較|メリットや選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。