再加熱カートの価格はどのくらい?費用相場を調査

更新日 2024.08.26
投稿者:豊田 裕史

温かい食事を温かく、冷たい食事を冷たく、おいしく食事を提供するためのシステムとしてニュークックチルシステムに注目が集まっています。
ニュークックチルシステムで利用される再加熱カートは、調理した食事を短い時間でチルド状態まで冷凍し、事前に盛り付けた状態でカートの中で再加熱ができるのです。

本記事では、再加熱カートのメーカーを比較し、費用相場を見ていきます。患者様に温かくおいしい食事を提供できる再加熱カートの導入検討について、参考にしてみてください。

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再加熱カートの価格相場

再加熱カートの導入にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。カート本体だけではなく、様々な設備を一緒に導入する必要があったり、その後に保守費用がかかったり、メーカーによって様々です。具体的に確認していきましょう。

標準的な価格

標準的は価格相場は、メーカーによって異なるものの、400万円~650万円程度が相場となります。

再加熱カートを構成する部品としては、ユニット、断熱カート、フレームカートなどです。各部品の役割は、ユニットが温風や冷風を断熱カート内へ循環させ、断熱カート内に入れるフレームカートに食事を載せたトレイをセットして食事を提供することです。

それぞれでばら売りしているケースもあるので、費用比較には注意してください。

再加熱カートのおすすめ企業11選

それでは、実際に再加熱カートのおすすめを見ていきましょう。

HPに価格を提示している企業もありますが、基本的には問い合わせが必要な企業が多くあります。

自施設に合った再加熱カートや、その他のシステム・保守なども含めて提案してくれるので、気になった企業があればぜひ問い合わせてみましょう。

ニチワ電機株式会社

ニチワ電機株式会社

出典:ニチワ電機株式会社 https://www.nichiwadenki.co.jp/product/steam-convection-oven-system-reheat-cart/

ニチワ電機株式会社が提供する再加熱カートは、加熱蒸気式のシステムで熱風・蒸気を循環させることで温めます。

蒸気が循環するため、加熱にムラが少なく、料理の仕上がりが高いことが評価されています。熱風式のデメリットであった乾燥しやすい点を蒸気を循環させることでカバーしているのです。

AIが食材の種類や数によってかかる負荷を自動で認識するので、加熱不足がないようにしたり、再加熱時間を短縮したり、適切な品質管理を行います。

ニチワ電機株式会社の比較ポイント

  • 自動化室熱風式でムラなくおいしく再加熱できる
  • AIが加熱時間や負荷を自動調整
  • オプションで遠隔監視も可能

製品情報

機能 AI自動補正機能あり、見やすい表示モニター搭載
価格 要問合せ
特長 自動加湿熱風式の為熱風式のデメリットである乾燥しやすい点をカバーしておりおいしさも担保されている。オプションで遠隔監視も可能なので常時の加熱状況確認も可能。

株式会社フジマック

株式会社フジマック

出典:株式会社フジマック https://www.fujimak.co.jp/products/07/000267.html

フジマックが提供する再加熱カートは熱風循環方式を採用しています。白を基調としつつカラーバリエーションが豊富で、調理室の雰囲気に合わせやすいでしょう。

厨房スペースを有効活用できるコンパクトな設計で、シャトル本体も軽量なため食事を運ぶときも楽に運搬できます。

キャスターは小回りが利くので安全に走行・配膳が可能です。操作パネルもわかりやすく、季節によって温度管理を変更する場合にも対応できます。

株式会社フジマックの比較ポイント

  • 4輪すべて自在輪で、走行・運搬しやすい
  • 豊富なカラーバリエーション
  • 簡単な操作パネルで自動運転設定も可能

製品情報

機能 4輪すべて自在輪、タッチパネルで自動運転
価格 要問い合わせ
特長 カラーバリエーションが豊富。業界最小クラスのコンパクト設計。

ホシザキ株式会社

ホシザキ株式会社

出典:ホシザキ株式会社 https://www.hoshizaki.co.jp/p/nw/

ホシザキ株式会社の再加熱カートは、22~28膳用のラインナップがあり、必要な膳数によって大きさや価格が異なります。

加熱方式は熱風循環方式を採用しており、食材の乾燥を防ぎます。断熱カートとフレームカートが分かれているため、フレームカートが丸ごと水洗いできるので衛生的にも安心できるでしょう。

運びやすいハンドルで、急なブレーキにも対応、進行方向を切り替えて小回りも聞くので、配膳も簡単に行うことができます。

ホシザキ株式会社の比較ポイント

  • フレームカートが水洗い可能
  • 業界再省スペースのコンパクトさ
  • 運びやすさにこだわったハンドルやブレーキ

製品情報

機能 熱風式、カート水洗い可能
価格 ユニット:約380万円、断熱カート:約150万円、カート:約100万円
特長 ユニット面積が0.87㎡と業界最小スペースで構成されており、狭い厨房でも導入可能となっている。断熱カートも運搬のしやすさを配慮して設計されている

フクシマガリレイ株式会社

フクシマガリレイ株式会社

出典:フクシマガリレイ株式会社 https://www.galilei.co.jp/products/search/?daibunrui_id=7&tyubunrui_id=18

フクシマガリレイ株式会社は、主に業務用冷蔵庫の製造を行っている会社です。

HACCPに準拠した確実な再加熱を行うことができるので、食中毒対策にも安心です。省スペース設計のため、設置や作業に場所を取りません。

温食と冷食はトレイをセットすることにより完全に区分けが可能です。夏の時期には冷食スペースを広く使えるよう切り替えることもできます。パススルー構造で、トレイをスペースを気にせず、楽に出し入れすることが可能です。

フクシマガリレイ株式会社の比較ポイント

  • 省スペース設計
  • 温食・冷食の区分けを柔軟に切り替え可能
  • パススルー構造で楽に出し入れ

製品情報

機能 温冷の区分けを自在に切り替え、パススルー構造
価格 要問い合わせ
特長 カート内も丸ごと水洗い可能。HACCPに準拠した加熱ができる。省スペース設計。

株式会社AIHO

株式会社AIHO

出典:株式会社AIHO https://www.aiho.co.jp/product/acr/

株式会社AiHOは業務用厨房機器メーカーで、ステーション・カート・インサートで構成される再加熱カートを製造・販売しています。

温食部を熱風で再加熱しても、冷食部には影響がなく、トレイを回転することで時期や提供する食材に合わせて温食・冷食のスペースを切り替えが可能です。

開けた扉は側面に収納でき、配膳する際も邪魔になりません。

株式会社AIHOの比較ポイント

  • 熱風式の加熱で温食・冷食ともおいしく提供できる
  • トレイの出し入れの際に邪魔にならない扉の構造
  • カートの丸洗いも可能

製品情報

機能 液晶画面で設定確認、カートの扉は側面に収納
価格 要問い合わせ
特長 トレイを回転することで温食・冷食のスペースを入れ替えることができる。ステンレス製カートは丸洗いが可能。

PHC株式会社

PHC株式会社

出典:PHC株式会社 https://www.phchd.com/jp/biomedical/food-catering/delicart-rh

PHC株式会社は、これまで培った温調技術や走行技術を生かして、ニュークックチルシステムに適した再加熱カートを提供しています。

パワーアシスト機能を搭載し、カートに内蔵されたモーターが引く人の力に合わせて走行を補助し配膳まで安全に異動することができるのです。

カラーの液晶タッチパネルは、見方や操作も分かりやすく、庫内温度をグラフで表示します。加熱が始まると自動ですべてのドアがロックされ、事故を防いでくれるのも安心です。

PHC株式会社の比較ポイント

  • 庫内の状況を24時間記録し、グラフ表示できる
  • パワーアシスト機能搭載で、モーターがカートを引く人の力に合わせて補助
  • タッチパネルで分かりやすく操作できる

製品情報

機能 パワーアシスト機能、液晶タッチパネル、温度管理システム
価格 要問い合わせ
特長 オプションで配膳時に走行メロディーが流せる。庫内の状況を24時間監視し温度をグラフ表示する。

株式会社中島製作所

株式会社中島製作所

出典:株式会社中島製作所 https://www.meal-shuttle.jp/strength/product.html

中島製作所の再加熱カートの特徴は、マイクロ波式を採用していることです。

電子レンジと同じ構造のマイクロ波によって食材の中心から温めることができます。そのため、従来では加熱ムラを考えて平坦に盛り付けることが多かった食事を、立体的に盛り付け見た目もおいしく食事を提供することが可能になりました。

再加熱時間は10分で、ステーション1台で2台のシャトルを再加熱できます。熱風式と比較してコスト面でもメリットがあり、加熱時間・電力・排熱量いずれも削減されます。

株式会社中島製作所の比較ポイント

  • マイクロ波式で短時間でおいしく加熱
  • リレー方式を採用することでステーションの数を削減できる
  • 食事だけを温めるので、配膳時のけが防止にもつながる

製品情報

機能 マイクロ波式、温めたい食事だけを狙って温められる
価格 要問い合わせ
特長 電気部品がないので掃除がしやすい。リレー運転でステーションを少なくできる。

株式会社エージーピー

株式会社エージーピー

出典:株式会社エージーピー https://www.agpgroup.co.jp/business/foodcart/

株式会社エージーピーは、機内食カート製造で培った強みやノウハウを生かしてIH式の再加熱カートを製造しています。

1トレイあたり主菜・副菜・汁物の加熱ができ、食器をピンポイントで温めるので、それぞれの食材や料理に合わせて加熱時間や火力を調整できることが特徴です。

狭い場所でもスムーズに移動できるコンパクトさと軽さが魅力で、誰でも安心して操作ができます。

株式会社エージーピーの比較ポイント

  • IH式を採用し省電力
  • 食器ごとに加熱でき、時間や火力を調節できる
  • 小回りが利くキャスターでスムーズに移動可能

製品情報

機能 IH式、食器単体をピンポイントで加熱
価格 要問い合わせ
特長 機内食サービスのノウハウを生かした設計。カートも小回りが利くので配膳が楽に行える。

昭和飛行機工業株式会社

昭和飛行機工業株式会社

出典:昭和飛行機工業株式会社 https://www.showa-aircraft.co.jp/business/products/onsenjizai/detail.html

※昭和飛行機工業は2023年2月に再加熱式カート新規販売を終了しました

昭和飛行機工業株式会社の再加熱カートは、航空機内での機内食カートのノウハウを生かした業界最小クラスのコンパクト設計で、20膳分が収納できます。

IH式ヒーターで温めるので熱風式など他のタイプの再加熱カートに比べて少ないことも特徴です。

小規模施設向けの再加熱カートで、電源設備だけで利用できます。トレー設置の異常を検知できるセルフチェック機能が搭載されており、うっかりミスを防げることもポイントでしょう。

昭和飛行機工業株式会社の比較ポイント

  • 業界最小クラスのコンパクト設計で小規模施設でも利用可能
  • IH式で省電力
  • セルフチェック機能でうっかりミスも安心

製品情報

機能 タイマー機能、セルフチェック機能あり
価格 要問い合わせ
特長 機内食カートのノウハウを生かした再加熱・保温ができるカート。うっかりミスを防ぐセルフチェック機能があることもうれしいポイント。

株式会社アイエス

株式会社アイエス

出典:株式会社アイエス http://www.is-h.co.jp/technology

株式会社アイエスの提供するSteam Re-Heating Cartsは、熱風式に比べてより短時間で加熱処理ができる加熱蒸気式を採用しています。

ご飯はふっくらとおいしく加熱ができ、揚げ物・焼き物・煮炊物など、それぞれの食材のおいしさを引き出すように最適な加熱が可能です。各段にわたって温度差を少なくし、どこに置いてあっても同じおいしさを引き出せることは患者さんにとっても嬉しいことではないでしょうか。

消費電力が少なく済むことや、カートの導入を考慮して新しくレシピを作らなくてもそのままのレシピが利用できることもポイントです。

株式会社アイエスの比較ポイント

  • 加熱蒸気式で最適な加熱が可能
  • 消費電力が少ない
  • 専用レシピが不要

製品情報

機能 加熱蒸気式、コンパクト設計、専用レシピが不要
価格 要問い合わせ
特長 消費電力は24膳タイプで6.5kw/hと少なくコスト削減にもつながる。加熱蒸気式で各段の温度差を少なくできる。

エレクター株式会社

エレクター株式会社

出典:エレクター株式会社 https://www.erecta.co.jp/brand/ergoserv_ergosert.html

エレクター株式会社はフランスのソカメル社の販売する熱風式の再加熱カートを輸入・販売しています。

人間工学に基づいたデザインで、搬送するシャトルなどの細部には結合しやすく、運搬しやすいよう工夫されていることが特徴です。

ディスプレイも見やすく、温度や加熱終了までの時間がパッと把握しやすい画面になっています。

エレクター株式会社の比較ポイント

  • 熱風式を採用し、シャトル内に均一に送風
  • 人間工学に基づいたデザインで使いやすい
  • タイマー設定が可能で、終了までの時間もわかりやすい

製品情報

機能 熱風式、タイマー設定、防水仕様、故障しづらいステーション・カート分離式
価格 要問い合わせ
特長 ステーションとシャトルの結合には、独自の保持装置が働いて連結がしやすい。

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再加熱カートの基礎知識

再加熱カートのおすすめメーカーを確認してきました。ここで改めて、再加熱カートの基礎知識について確認しておきましょう。

これまでの温冷配膳車とは異なり、再加熱カートは調理された温度を保つだけではなくカード内で再加熱ができることが大きな特徴です。

再加熱カートとは?

再加熱カートとは、ニュークックチル用にチルド状態で盛り付けた状態の食品をチルドで保存し、タイマーで再加熱を開始するもののことを言います。

冷食のものはそのまま冷食で提供することも可能で、カート内で温色と冷食をスペースによって使い分けが可能です。

温風と冷風を循環させる「ユニット」と保温性を高めた「断熱カート」、トレイを配置する為の「フレームカート」の3点から構成されています。加熱方式には種類があり、熱風式、IH式、マイクロ波式、加熱蒸気式の4つです。

一番利用されているのは熱風式で、IH式は省エネが実現でき最近注目が集まっています。マイクロ波式は食器に影響を与えないことがメリットで、加熱蒸気式は熱風式の乾燥しやすいというデメリットを解消してくれます。

ニュークックチルについてはニュークックチルとは|クックチルとの違いやメリットを解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

温冷配膳車については【徹底比較】病院・介護施設向けの温冷配膳車11選|選び方や導入メリットもでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

導入のメリット

再加熱カートの導入には大きく2つのメリットがあります。人材不足や業務効率化に悩む医療機関や介護施設が多い中で、再加熱カートの利用はその問題の解決策としても有効です。具体的に確認していきましょう。

調理工程の効率化

まずは調理工程が効率化できることです。再加熱カートを利用すると、チルド状態にした食材を事前に盛り付けてカート内にセットしておくことができます。

これまでは、朝食の提供には温める・盛り付ける作業が必要なため、職員は早朝に出勤し準備していました。しかし、再加熱カートを利用することで前日の夕方に必要な準備を済ませ、あらかじめセットした加熱スケジュールで 加熱ができます。

当日は配膳するだけなので、調理工程が時間に縛られず効率化が図れます。

配膳作業の効率化

次に、配膳作業も効率化できます。

クックチル方式では、チルドした食事を温めることは同じなのですが、盛り付けは後から行います。せっかく温めた食事を配膳するまでに時間がかかってしまい、食事が冷めてしまったり、食中毒のリスクが発生したりすることもありました。

再加熱カートは、配膳できる状態で保存を行うので、温食・冷食部を分けて加熱し、カートごと患者様の元へ配膳します。温めてすぐのおいしい食事を提供できるようになるので、患者様の満足度向上にもつながっています。

まとめ

本記事では、再加熱カートの費用相場を調査し比較しました。

再加熱カートはニュークックチルシステムに必要な機器で、患者様に温かくおいしい食事を提供することができます。各メーカーによって費用は異なり初期の投資費用はかかるものの、調理を行う職員の負担軽減や、将来的なコストダウンも可能です。

気になったメーカーがあれば問い合わせをして、自分の施設に合ったシステムや商品の提案を受けてみてください。

再加熱カート選びの専門知識・時間がない方

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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