日々の診療に追われる医療機関にとって、受付業務、会計、レセプト作成といった医療事務は大きな負担です。慢性的に医療事務の人手不足の状況が続いていてお困りの医療機関も多いのではないでしょうか?
そんな医療機関の力強い味方となってくれるのが、医療事務代行です。医療事務代行は医療事務が担う受付、会計、レセプト業務の一部または全部を専門業者に依頼することができるサービスです。
今回は、医療事務代行は基本的な内容から、価格イメージ、選ぶ際のポイントなど幅広く紹介します。医療事務に課題を感じている方はぜひ参考にしてみてください。
医療事務代行とは、医療機関で行う医療事務業務(受付、会計、レセプト業務など)の一部または全部を外部の専門業者に委託するサービスのことです。
医療機関が医療事務代行を利用する主な目的は、医療事務スタッフの負担を軽減し、医師や看護師などの医療従事者が本来の医療行為に専念できる環境を整えることです。専門業者に委託することで、より正確で効率的な事務処理が期待できるというメリットもあります。
「医療事務代行」と「レセプト代行」という言葉はほとんど同じ意味合いで使われます。下記の図のようなイメージです。医療事務代行は受付・会計・レセプト業務を専門業者に依頼できるサービスであり、その中のレセプト業務のみを依頼できるのがレセプト代行です。医療事務代行の方がより広範囲の業務内容を対象にしています。
「レセプト代行」については【徹底解説】レセプト代行・外注が気になる方必見!料金や選び方などでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
医療事務代行は2つのサービス形態に分かれます。1つが実際に外部スタッフに来院してもらって現地で対応してもらう方法です。もう1つが外部スタッフは来院せずリモートのやり取りで完結する方法です。医療事務人材の不足やIT技術の進歩を理由に、後者の形態を取る医療事務代行が増えています。
医療事務代行を利用することには様々なメリットがあります。主なメリットは下記の4つです。
煩雑な医療事務業務を外部に委託することで、医療事務スタッフの業務負担を軽減できます。医師や看護師は、事務作業に時間を取られることなく、本来の医療行為に専念できるようになります。
専門知識や経験豊富な代行業者に委託することで、正確かつ効率的な事務処理が期待できます。特に、複雑な診療報酬請求業務(レセプト業務)においては、専門業者の知識を活用することで、請求漏れや査定のリスクを減らすことができます。
診療報酬改定など、医療制度や関連法規の変更に、自社で対応する手間が省けます。代行業者は常に最新の情報を把握しているため、適切な対応が期待できます。
医療事務以外の業務に経営資源を集中させることができます。例えば、患者サービスの向上や新たな医療サービスの展開などに注力できます。
続いて、医療事務代行で依頼できる主な業務内容について紹介します。大きくは受付、会計、レセプト業務の3つに分かれます。代行業者を探す際は、どこまでの業務を依頼することが出来るのかを最初に確認してみましょう。
受付業務 |
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会計業務 |
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診療報酬請求業務(レセプト業務) |
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この中でも、レセプト業務の代行は特に人気があります。一般に「レセプト代行」という風に言われています。
「レセプト代行」については【徹底解説】レセプト代行・外注が気になる方必見!料金や選び方などでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
医療事務代行の費用は、依頼する業務内容によって変わるため、一概にいくらぐらいと言うことは出来ません。レセプト業務の委託についてはHP上で料金が公表されていることが多いです。株式会社ソラストのレセプト代行の料金表を例におおよその価格イメージを持ちましょう。
レセプト点検プラン | レセプト点検プラン 診療報酬請求まるっとプラン |
訪問まるっとプラン |
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49,800円/一式 ※固定料金 ※最低利用期間:3か月 |
外来分200円/実日数 訪問分600円/実日数 ※従量課金 ※最低利用料金:5万円 ※最低利用期間:1年間 |
外来分200円/実日数 訪問分1,000円/実日数 ※従量課金 ※最低利用料金:5万円 ※最低利用期間:1年間 |
株式会社ソラストの場合、「レセプト点検のみの依頼」であれば月額49,800円、「レセプト業務全般の依頼」であればレセプト枚数に応じた従量課金となっています。
レセプト代行の料金についてはレセプト代行の料金は?|おすすめの代行業者も比較でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
では実際にどのような会社が医療事務代行を行っているのかを見てみましょう。医療事務代行を提供している主な会社は下記の通りです。
会社名 | 特長 |
株式会社ソラスト |
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株式会社ニチイ学館 |
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OASIS INNOVATION株式会社 |
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株式会社メディカルタクト |
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メディカルインフォマティクス株式会社 |
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株式会社クラウドクリニック |
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株式会社プロアス |
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最後に医療事務代行を利用する際の注意点とポイントを解説します。以下の点に注意して、自院に合った医療事務代行業者を選ぶようにしましょう。
どの範囲の業務を委託するのかを明確にしましょう。受付、会計、レセプト作成、請求など、代行業者によって対応範囲が異なります。自院で残したい業務と外部に委託したい業務を整理することが重要です。
医療事務代行業者の実績や得意な診療科を確認しましょう。特に、自院の診療科での実績が豊富かどうかが重要です。医療法や診療報酬に関する知識、レセプト作成のスキルが高いかを確認しましょう。
患者様の個人情報を取り扱うため、情報セキュリティ対策がしっかりとされている業者を選びましょう。秘密保持契約(NDA)の締結は必須です。過去に情報漏洩などの事故がないかなども確認しておくと安心です。
代行業者との連携や報告体制がスムーズであるかを確認しましょう。疑問点や不明点があった際に、 быстроに対応してくれるかどうかも重要です。
料金体系が明確で、自院の予算に合っているかを確認しましょう。初期費用、月額費用、追加費用などを把握し、費用対効果を検討することが大切です。
契約期間や解約条件をしっかり確認しましょう。
代行業者に全てを任せきりにするのではなく、連携を取りながら業務を進めることが重要です。自院のノウハウが失われないように、一部業務は院内で担当することも検討しましょう。
今回は医療事務代行サービスについて解説しました。 医療事務代行を利用することによって、院内の業務効率向上が見込めるだけなく、「スタッフ不在」といった問題を解決できます。
医療事務代行サービスを提供する企業はいくつかあります。企業によってサービス内容が異なるため、検討する際は十分に比較・吟味してください。また、医療事務代行を利用することで、医療事務スタッフが育たなくなる可能性があります。この点も加味し、長期的なスパンで考えて導入の可否を判断しましょう。