【徹底比較】レセプト業務の代行・外注業者8選|導入メリットや注意点まで

更新日 2024.02.26
投稿者:豊田 裕史

月末月初のレセプト業務にあたり、こんなお悩みをお持ちではないでしょうか。

「レセプト担当職員が退職することになってしまった」

「レセプト点検業務で残業が続いてしまう・・・」

「時間をかけて点検してもレセプトが差し戻されてしまう・・・」

医療機関の収入に直結するレセプト業務で、こんなお悩みを感じている方は多いのではないでしょうか。そんな医療期間をサポートするサービスとして、請求前のレセプト内容を外部の目で確認してくれる「レセプト代行サービス」があります。

この記事では、レセプト点検代行サービスのおすすめ業者や、代行業者の選び方について解説していきます。

レセプト代行を検討する前に

まず前提として、レセプト代行業者も人材不足に陥っている状況があります。代行業者は常に人員を確保できているわけではなく、限られた人員が多くの医療機関のレセプト業務を担当しているのです。

この記事をご覧いただいている医院のなかには、レセプト業務ができる人材がいなかったり、退職予定だったりする場合もあるとおもいます。それで求人を出したり、代行業者を探したりされていることと思いますが、クリニックの数が全国的に増加する一方で、医療事務の人手不足がどんどん進んでいくのは間違いありません。代行業者でも人手不足が進んだ結果、代行している業務の質が低下し、依頼先クリニックの期待に応えられないケースが増えています。

また、レセプト代行業者以外の職員にレセプト点検のノウハウが共有されず、代行業者との契約期間が終わった後、レセプト業務ができる職員が誰もいないケースも各地で発生しているのです。

>>レセプト代行業者を知りたい方はこちら

欠員の補充での利用はおすすめしません

医療業界は人材の流動性が高く、「来月からレセプト担当職員が不在になってしまう!取り急ぎ、次の採用が決まるまで代行業者にお願いしよう」と考えても不思議ではありません。ただ、そのような「退職などによる欠員の埋め合わせ」としてレセプト代行業者を利用することはおすすめしません

代行業者は民間企業なので、一定期間以上契約を結んでもらえる医療機関とお付き合いしたいと考えるケースが多く、単発契約は受けてもらえないケースもあるのが実情です。

代行業者の事情|代行業者の職員数には限りがある

上述の通りレセプト代行業者には「来月からうちの点検業務を代行してほしい」との問い合わせが入ります。ただ、点検代行業者がすべての希望には対応できるわけではありません。

点検代行業者の流れとしては、郵送やオンラインで医療機関からレセプトデータを受領し、数日後に医療機関にデータを返送するというもの。代行業者も無尽蔵に職員を抱えているわけではないので、対応できる医療機関の数にも限界があります。

レセプト点検代行の種類

点検代行の種類は、大きく3種類。「代行業者に現地に来てもらう」スタイルを希望される方は多いですが、多くのクリニックでもレセプト点検に頭を悩ませている状況は同じなので、業者が対応できない場合もあります。

希望通りの運用ができるとは限らないことを前提に、レセプト点検代行の種類を紹介していきます。

代行業者に現地に来てもらう

代行業者の職員に現地に来てもらって、レセプト点検をしてもらう運用です。「点検代行」と聞くと、真っ先に思い浮かぶケースかと思いますが、代行業者もすべての依頼に応えられるわけではありません。

この運用では、レセプト期間が終わると、職員への研修もセットで行うケースが多いです。レセプト点検代行だけを業者にお願いしたい、という場合は対応してもらえないケースもあります。

レセプトデータを業者に送る

月のレセプトデータをまとめ、紙またはPDFなどで業者に送信する運用です。

懸念点としては、内容のやり取りに時間がかかってしまうことです。クラウド上で業者とクリニックがデータをやり取りできる場合はそこまで問題になりませんが、郵送でのやり取りの場合は、よりスケジュールが厳しくなります。以下、郵送時のスケジュールのイメージを示すので参考にしてください。

  1. (1日~2日)医療機関でデータ作成、代行業者に書類データ送信
  2. (3日~4日)点検代行会社にデータ到着・点検
  3. (5日~6日)点検代行会社から医療機関にFAXで返送
  4. (7日~)医療機関で最終確認し、レセプトを提出

リモート医事サービス

新しい方法として、リモート医事サービスがあります。

点検代行業務に限らず、予約や受付業務の代行までを一括して遠隔操作してくれるサービスです。詳細は以下記事をご確認ください。

リモート医事サービスについては注目のリモート医事サービスとは?|ソラストとニチイ学館のサービスを比較でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

レセプトチェックソフトの利用もご検討を

毎月1日~10日の「レセプト期間」は、多くの医療機関で残業が発生しています。職員の働き方を見直すために点検業務の代行を考える先生も多いですが、代行業者もすべての希望に応えられるわけではありません。最初に、レセプト代行を検討する前に知っておくべきことを紹介します。

レセプトチェックソフトの利用もご検討を

上述のようにレセプト点検代行業者にも事情があり、すべての依頼を受けることができない状況です。

そんな医療機関のみなさまは、レセプトチェックソフトの活用を検討しても良いかもしれません。電子カルテには、レセプトチェックソフトが組み込まれていたり、チェックソフトの機能が備わっていたりする場合も多いので、一度確認してみましょう。

チェックソフトを使う場合、チェックの基となるデータの初期設定さえ済ませれば、ほとんど返戻のないレセプト請求を実現することも可能です。詳細は以下ページから確認してみてください。

レセプトチェックソフトについては【2023】レセプトチェックソフトの人気・おすすめ6選【徹底比較】でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

レセプト代行業者8選

ここまで、レセプト代行業者を選ぶポイントをお伝えしてきました。

レセプト業者を選ぶ際には、何の業務を外注するかを決め、院内体制の相談にのってくれることや過去の対応実績を見るようにしてください。

歯科のレセプト代行については歯科のレセプト点検代行業者8選|導入メリットも紹介でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

在宅医療・訪問診療のレセプト代行については在宅医療・訪問診療向けレセプト代行業者比較|メリットや選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

リモート医事サービス「iisy」|株式会社ソラスト

株式会社ソラスト

出典:リモート医事サービス「iisy」 https://iisy.co.jp/

株式会社ソラストのリモート医事サービスは、2021年6月に立ち上げられ、10ヶ月で申込契約件数が100件を超えています。

新規開院クリニックや10以上のクリニックを運営する有力医療法人などからの申込も多く、急成長を遂げている会社です。

予約・問い合わせ対応、受付処理、料金計算、診療報酬請求をリモートセンターのスタッフがリアルタイムで対応します。

そのため、東京圏だけでなく地方山間部、離島などスタッフを募集してもなかなか集まらないところからの依頼が増えている状況です。

リモート医事サービス「iisy」の比較ポイント

  • 立ち上げから10ヶ月で、申込総数100件超えの急成長しているサービス
  • 予約・問い合わせ対応、受付処理、料金計算、診療報酬請求を、リモートでリアルタイムで対応
  • ISMS/ISO27001 認証取得済みで、セキュリティ対策も万全

企業情報

本社住所 〒108-8210 東京都港区港南1-7-18 A-PLACE品川東6F
サービス提供範囲 受付業務/会計系業務/レセプト業務全般
対応実績 100件以上(2022年4月)
料金形態 従量課金制(この他に、月5万円~体験プランや新規開業医様限定プランあり)
対象施設 医科

株式会社メディカルタクト

株式会社メディカルタクト

出典:株式会社メディカルタクト https://receipt-check.com/

株式会社メディカルタクトは、クリニック経営という視点から見たレセプト請求業務に力をいれています。

単にレセプト請求を代行業者に丸投げするのではなく、安定的な経営をするため、実際に働く事務スタッフに合わせたプランの提供が魅力です。適正な病院経営という観点から、請求代行からレセプトの精度調査も行います。

人材派遣はしていませんが、社員教育にも力を入れており、勉強会やセミナーなどを開催し、現場で働くスタッフの知識の向上も目的としています。

株式会社メディカルタクトの比較ポイント

  • 電子カルテの機能を最大限に活用するので、システム導入費がかからない
  • スタッフ教育からレセプト精度向上への取り組みがある
  • クリニック経営という視点からのレセプト業務支援で、安定的な経営が可能になる

企業情報

本社住所 〒541-0046 大阪市中央区平野町2-3-7
サービス提供範囲 レセプト作成/点検/提出/スタッフ育成教育/レセプト精度調査
対応実績 40件(HP上に記載されているもの)
料金形態
  • 外来:1件100円~※最低利用金額50,000円~
  • 在宅:1件1,000円~
  • 透析:1件2,000円~
対象施設 医科

レセプト点検代行・指導・精度調査|株式会社GLANZ (グランツ)

株式会社GLANZ (グランツ)

出典:レセプト点検代行・指導・精度調査 http://www.kk-glanz.jp/987558483

株式会社GLANZ(グランツ)は、医療現場で働く医療事務スタッフのスキルアップを掲げ、レセプト点検代行や指導などを行っている会社です。そのため、現場密着型でそれぞれのクリニックに対してしっかりと関わっていきます。

単なるレセプト代行ではなく、レセプト作成や修正は各々のクリニックで行いますが、魅力は事務スタッフへの直接指導です。レセプト作成の際にはどこを注意したらいいのか、また、改善方法も併せて指導してくれます。

返戻・増減点対策、指導や保険請求実務講座などもできるので、それぞれのクリニックに合わせた運用が可能です。「スタッフのレベルを上げたいが、自院での指導が難しい」という場合などに対応できます。

レセプト点検代行・指導・精度調査の比較ポイント

  • レセプトの点検、指導や事務スタッフへの直接指導に力を入れている
  • 継続的な点検、指導が必要となるため、単発での依頼は受けていない
  • 医科、クリニックのみ対応で、歯科や病院は受け入れていない

企業情報

本社住所 〒460-0008 名古屋市中区栄5丁目26-39 GS栄ビル3F ビジネスリンクス名古屋
サービス提供範囲 レセプト点検・指導/レセプト精度調査/人材育成
対応実績
料金形態
対象施設 医科

在宅医療・在宅診療専門のレセプト代行サービス|株式会社スマイル

株式会社スマイル

出典:在宅医療・在宅診療専門のレセプト代行サービス https://smile-cs.com/

株式会社スマイルは、在宅医療・在宅診療専門のレセプト代行サービスを展開しています。外来診療と在宅診療はまったく異なる診療報酬となり、特化したスタッフがなかなかおらず、レセプト請求の際に間違いが多くなるのが悩みです。

レセプトチェックを外注に出すことで、ミスをなくし、算定が可能な項目に関しても提案ができます。

また、業者指定のクラウド型電子カルテを使用している場合は、カルテ記載を行うだけで確実なレセプトへと導くことが可能です。

在宅医療・在宅診療専門のレセプト代行サービスの比較ポイント

  • 在宅医療・在宅診療専門のレセプト代行
  • 在宅医療レセプトに関わる人材育成が不要
  • 算定漏れ・返戻・減点を回避して収益改善

企業情報

本社住所 〒573-0032 大阪府枚方市岡東町12-1 ひらかたサンプラザ1号館604号
サービス提供範囲 レセプト作成/点検/提出/研修・勉強会
対応実績
料金形態 従量課金
対象施設 医科(在宅医療・在宅診療専門)

株式会社MJメディカル

株式会社MJメディカル

出典:株式会社MJメディカル https://www.medical-japan.com/reciept/

株式会社MJメディカルは、医科(外来)レセプトの点検や労災レセプトの作成、診療報酬改定時における、届出作成・提出支援などを行っています。

独自システムを用いた点検と経験に基づく目視の点検など、病名漏れや症状詳記、増点に繋がる加算の算定まで、理にかなったチェックが可能です。

その他、開業や経営支援など、医療分野におけるさまざまな相談に応じてくれます。レセプト代行の流れのイメージ図は以下の通りです。

レセプト代行の流れ

株式会社MJメディカルの比較ポイント

  • 独自システムを用いた点検と、経験に基づく目視の点検などさまざまな角度からチェックができる
  • 単発でのチェック(現地訪問/CD-ROM郵送)も対応可能
  • 対応地域は東京都・千葉県・埼玉県・神奈川県

企業情報

本社住所 〒337-0051 埼玉県さいたま市見沼区東大宮1丁目71-25 豊村ビル2階
サービス提供範囲 レセプト作成/点検/提出
対応実績
料金形態 月額課金制(月に1,000枚以上のレセプトは別途見積、その他単発チェック可能)
対象施設 医科

ビジカン|株式会社キャンドゥ

株式会社キャンドゥ

出典:ビジカン https://visikan.com/

株式会社キャンドゥは、訪問看護専門のレセプト請求代行サービスを展開しています。複雑な介護保険と医療保険のレセプト請求に特化することで、訪問看護業界の事務の煩雑さを解消することができるようになりました。

また、Pマーク取得企業で個人情報の取り扱いを重要視しているほか、自治体ごとのローカルルールにも幅広く対応することができます。

そのほか、ソフトウェアの導入、維持や更新なども対応しており、全体的な運営に関してなどレセプト以外の相談も可能です。

ビジカンの比較ポイント

  • 訪問看護専門のレセプト請求代行サービス
  • IT導入の不安や事業所の運営に関しても相談可能
  • 介護保険や医療保険だけでなく、自治体独自のローカルルールにも対応

企業情報

本社住所 〒541-0048 大阪市中央区瓦町4丁目7-4 南星瓦町ビル5F
サービス提供範囲 レセプト作成/点検/提出/指示書、公費等の期限切れチェック/提供票の予定取り込み/実績提供票の作成など
対応実績
料金形態 従量課金制
対象施設 訪問看護

株式会社プリマジェスト

株式会社プリマジェスト

出典:株式会社プリマジェスト https://www.primagest.co.jp/

株式会社プリマジェストは、紙レセプトをデータ化することで、診療報酬請求明細書(レセプト)の審査支払業務などの効率化を支援しています。

レセプト業務を行う中で、紙レセプトの扱いが増えれば、ミスが多くなったりデータの共有が難しいのが現状です。

原票をイメージデータ化することで、スマートな運用ができ、作業効率を大幅にアップすることができます。

株式会社プリマジェストの比較ポイント

  • 紙レセプトをイメージデータ化し、ワンストップでのレセプトデータ化やそれに付帯する事前事後の業務安定化が図れる
  • 原票処理による運用ミスの減少が図れる
  • レセプトの点検や請求は行っていない

企業情報

本社住所 〒212-0013 神奈川県川崎市幸区堀川町580 ソリッドスクエア東館12F
サービス提供範囲 紙レセプトのイメージデータ化
対応実績
料金形態
対象施設

NichiiConnect|株式会社ニチイ学館

株式会社ニチイ学館

出典:遠隔医療事務サービス ~NichiiConnect~ https://www.nichiigakkan.co.jp/_nichiiconnect.html

株式会社ニチイ学館は、対応実績は医療施設で約8,000件以上となり、圧倒的なシェアで医事業務受託ナンバー1の実績を誇っています。NichiiConnectは、レセプト点検などの算定業務を、ニチイの職員が代行して請け負ってくれるサービスです。ニチイの集約センターから医院の電子カルテ・レセコンにアクセスし、遠隔で操作していきます。

保険請求のプロの点検ノウハウをシステム化し、「わかりやすさ」「使いやすさ」を追求した機能と帳票で、多角的かつ的確なチェックが可能です。

点検項目は約400あり、過去の算定履歴から管理料等の算定漏れをなくし、医薬品の疾患や併用禁忌のチェックができます。

また、すべての帳票がPDF保存に標準対応しているため、パソコンやタブレットがあれば場所を選ばずにレセプト点検が可能です。

NichiiConnectの比較ポイント

  • 業界ナンバー1の対応実績がある
  • 保険請求のプロによる点検
  • 優れたカスタマイズ機能を持つ

企業情報

本社住所 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台4-6 御茶ノ水ソラシティ(総合受付18階)
サービス提供範囲 レセプト作成/点検/提出/人材派遣
対応実績 約8,000件以上(医療施設)
料金形態
対象施設 医科

レセプト代行業者の選び方

レセプト業務を代行業者に任せることで、事務作業にかかる時間を削減できることは、経営上でも大きな意義があります。

では、具体的にどんな業者を選べばいいのでしょうか?ここでは、レセプト業者を選ぶ際に気をつけたいポイントを解説していきます。

レセプト点検だけでなく、医療事務業務を外注したい医療機関は医療事務代行業者12選|サービス内容やメリット、業者の選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

対応できるレセプトの種類

レセプト代行と一口にいっても、医科、介護請求、歯科、柔整など、それぞれに対応可能な業者は異なります。その中でも、今回は医科でのレセプト代行に絞ってご紹介していきましょう。

各分野でさまざまな代行業者がいますが、共通しているのは、自院への対応が可能な業者を適切に選ぶということです。

きちんと業者との意思疎通を図り、疑問があればその都度質問するなどして、スムーズなやり取りができるようにしておきましょう。

レセプト業務をどこまで外注するか

先ほどお伝えした通り、レセプト業務には

  • 診療情報をレセコンに入力
  • レセプトを作成
  • レセプト点検
  • 審査支払機関に提出

のステップがあります。

これらの中でレセコンへの入力を代行する業務、レセプト点検を代行する業務、すべてを代行してくれるなど、業者によって外注の範囲はさまざまです。

具体的に、効率的に進まない作業はどこか、どのように業務を進めどこに力を入れていきたいかなど、まずはご自身で見極めてから依頼しましょう。

院内体制についてアドバイスをくれるかどうか

代行業者にお願いすることで、職員の知識の差に経営が左右されるリスクは最小限に抑えることが出来ます。しかし、「レセプト知識のない人材を医療事務として採用できる」「レセプト業務は全てお任せ」と謳う業者に関しては注意が必要です。

院内でレセプト業務や医療事務の全体的な流れが分かる職員がいないということは、今後もずっと外注を続けることになってしまいます。これは外注業者にとってはメリットですが、病院側にとってはメリットとはいえません。

これに関して「株式会社メディカルタクト」は、HPや各媒体で医療事務の完全丸投げを望むクリニックが多いことに警鐘を鳴らしています。

完全外注は、社員教育の手間が省けるなどメリットはありますが、職員の業務に関する向上心を削ぐ可能性もありオススメしていません。

医療事務は病院やクリニックの顔であるからこそ、適度な外注と職員のモチベーションのバランスが大切です。

過去の対応実績

レセプト代行業者は全国各地にあります。それぞれの地域限定で対応している業者もあり、どこを選べば良いのか迷ってしまうかもしれません。

そんなときは、過去の実績を公開している業者のうち、十分な請負実績がある業者を選びましょう。

中でも「iisy(株式会社ソラスト)」は、2021年6月から提供をはじめたサービスにも関わらず、契約件数100件を超えたと発表しました。

また「株式会社メディカルタクト」は、HPに40件以上の取引実績一覧を公開しています。このように、どれくらいの実績があるのか具体的に確認することも大切です。

レセプト業務の流れ

レセプト業務は、医療機関を経営するにあたってとても重要な仕事です。仕事内容に関しても専門的な知識が必要であり、自院でレセプト業務のすべてを行おうとすると、なかなか人材が集まらないのが現状です。

では、具体的にレセプト業務とはどんなものなのでしょうか?ここでは、レセプト業務の概要やその流れについて解説します。

レセプト業務とは?

患者さまが診療を受けた際、何にいくら費用を要したのか記載したレセプト(診療報酬明細書)を、該当機関に請求するのがレセプト業務になります。

レセプト業務とは

この該当する機関とは、健康保険組合や共済組合、市町村などです。国民皆保険制度においては、患者さまは保険証を提出して診療を受け、窓口で診療報酬の請求を受けます。このとき患者さまが診療の都度支払う診療報酬は最大で3割です。残りの7割以上を1か月ごとにまとめて健康保険組合や共済組合、市町村などに請求していきます。

この請求の際に不備があると、報酬の支払いが遅れたり、診療報酬が下がる可能性があるのです。レセプト業務は、医療機関の収入として大きな割合を占めるので、できるだけミスがないようにしなければなりません。

レセプト作成の流れ

レセプト請求は1か月ごとに行い、その月の診療報酬の請求は翌月の10日までが提出期限となります。

では、具体的に請求をするまでには、どのようにレセプト作成を行うのでしょうか?その流れを見ていきましょう。

①診療情報をレセコンに入力

診療の都度、診療情報をレセコン(レセプトコンピュータ)に入力します。外来の場合は、診察の度に受付や会計と並行して行いますが、入院の場合、その清算の都度です。

診療内容や検査項目を入力すると、レセコンが診療報酬点数を自動的に計算してくれます。

②レセプトを作成

毎月10日までに、前月の診療内容と診療報酬の額を各患者さまごとに作成します。

患者さまの数が多ければ多いほど作成する数も増えますが、作成自体はレセコンが行ってくれるので、基本的に難しい作業にはなりません。

しかし、レセコンへの最初の入力を誤ってしまうと、レセプト作成の際にもミスが出てしまうので注意が必要です。

③レセプトを点検

レセプト業務の中で最も重要であり、時間がかかるのがこのレセプト点検業務です。

ここでレセプトのミスに気づかず提出してしまうと、審査支払機関からの支払いが遅れるため、見込んでいた収入が得られなくなります。

また、「レセプトの内容に間違いがないか」「診療内容と傷病名に整合性があるか」なども1つ1つ確認をしましょう。

こちらの確認は、医師がしなければいけません。修正すべき箇所があれば、ここで修正を行います。

毎日の慌ただしい業務の中、まったくミスがない人間はいませんので、この段階での点検はとても大切です。

④審査支払機関に提出

レセプト作成と点検を経て、問題がなければ審査支払機関に提出します。提出は、郵送による書類の提出と、データとして電子レセプトを送信する方法の2つです。

その後の修正への対応をスムーズに行うためにも、電子レセプトでの提出が推奨されています。

提出後に間違いが指摘されると、提出書類の返戻や診療報酬の減点を受けることになり、再度修正して提出しなければならないので注意が必要です。

レセプトチェックソフトを導入するのも一つの手です。【2023】レセプトチェックソフトの人気・おすすめ6選【徹底比較】で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

レセプト点検に時間がかかる理由

先ほどレセプトの流れについて解説しましたが、この中でもレセプト点検に時間がかかるのはなぜでしょうか?その理由は、「ドクターにしか解決できない問題」があるからです。

病名をつけたり初診の算定開始日を示したりすることは、医師にしか判断することができません。例えば、ある程度処方薬などから傷病名の予測はつきますが、それを事務の方で判断して修正はできないことになっています。

このように、最終的な判断は医師がしなくてはならないため、どうしても時間がかかってしまうのです。

レセプト業務を代行するメリット

昨今、レセプト業務をすべて任せられる人材を確保することが難しくなっているといわれています。

未経験の人材を、一から専門的な業務ができるようになるまでに育てるためには、それ相当の時間を割かなければなりません。

そこで注目が集まっているのが、レセプト代行です。レセプト業務を代行してもらうとどんなメリットがあるのか、具体的に解説します。

返戻・再請求を減らすことができる

レセプトの不備がなくなることで、返戻対応や再請求業務にかかる時間や人件費の削減ができます。代行業者がミスや算定が可能な項目などをチェックしてくれるため、医師による病名の記入漏れや、算定できていない点などをなくすことが可能です。

忙しい業務の中で、返戻や再請求に人手を取られることが減るため、病院側にとっては大きなメリットになります。

業務効率化につながる

返戻や再請求がなくなることで、事務作業に割く時間を減らし、治療や患者さまとのコミュニケーションに時間を割くことができます。

医療機関を運営していく中で、患者さまへの対応は病院の価値を高め、今後の財産として積み重なっていくものです。

業務を効率化できれば、患者さまへの対応も余裕を持ってできますし、職員の普段の仕事もしやすくなるため、職場環境の改善にも役立つことでしょう。

職員採用のハードルが下がる

レセプト業務は、通常専門的な知識が必要だったり、法律の改正などにも対応していかなくてはいけません。

しかし、人それぞれ経験や知識量が違うため、ベテランの医療事務員が退職した場合、同じ作業をこなせる方はなかなか来ないものです。

この点、レセプト業務を外注すると、専門的な知識が必要な作業は安定して外部に任せることができます。医療事務の担当する業務が明確になり、必要以上に知識を必要とされる業務が減ることになるのです。

経験のある職員が退職しても、新規職員のレベルに左右されないため、応募が入りやすい点は大きなメリットといえます。

代行業者に丸投げするリスク

時間や人件費のかかるレセプト業務を代行できるメリットは多いですが、すべて丸投げすると、思わぬリスクを負ってしまうこともあります。

コストだけで判断するのではなく、今後の安定的な経営のためにも院内でも判断ができる体制を残しておくことは大切です。

また、業者に依存しすぎない視点も重要になります。いま一度、代行業者へ依頼するに当たってのリスクも確認してみましょう。

院内のチェック体制が働かなくなる

レセプト業務は、専門的な知識が必要な場面が多くあります。なかなかその知識を有するスタッフの確保は難しいですが、業務のほとんどを代行している場合、現場にはチェックできる人材がいないことになります。

通常の業務の中で確認できるミスは、その都度チェックしておくことで業務全体の把握ができ、安定した経営に繋がるのです。

院内のチェック体制を保つためにも、丸投げではなく受付や医療事務スタッフで判断できることは院内で完結できる体制が望ましいといえるでしょう。

業者の質を判断できなくなる

代行業者に依頼する際にも、院長や医療事務スタッフがレセプト業務についてきちんと把握していなければ、代行業者の質を判断することができません。どのような代行業者にどこまで依頼するのか、自らが選択していく姿勢が大切です。

医療事務と院長先生で確認できる体制を理想とし、代行業者がいないと院内運営が回らないという状況は避けた方が賢明でしょう。

スタッフを教育する視点も忘れずに

業界の現状として、レセプト代行業者の数は少なくなってきているのが現状です。

レセプト業務を代行業者に丸投げすると、院内スタッフ(医療事務)の質が上がらず、優秀な人材を確保することが難しくなるでしょう。

代行業者はそれぞれにレセプトの作成や点検だけでなく、スタッフの指導や知識のアップデートを行うノウハウを持っています。現在働いているスタッフを育てる意識はとても大切です。

安定的な経営を目指すためにも、レセプト業務以外にも、スタッフの教育に目を向けることであらゆる状況に対応することが可能になってきます。

まとめ

レセプト業務とは、患者さまが保険医療を受けた際に、診療内容に伴った診療報酬明細書を該当機関に請求することです。このレセプト業務を代行業者に依頼することで、返戻・再請求を減らせたり、業務の効率化や職員採用のハードルが下がるなどのメリットがあります。

レセプト代行業者はそれぞれに特色や専門の分野がありますので、事前に自院の代行ニーズを把握し、過去の実績なども加味して選ぶといいでしょう。代行業者も様々なので丸投げもできますが、クリニックや事業所の安定的な経営のためには、自院でもチェック体制があることが望ましいといえます。

また職員の教育は、今後の大きな財産にほかなりません。その点も含めて、どんな業者を選ぶのかぜひ参考にしてください。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。


フリーランスWEBライター
URL:https://twitter.com/kakeru5152

元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。

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