POSレジの導入にあたって、気になる点の一つが耐用年数です。コストをかけて導入するからには、できるだけ長く使用したいのが本音でしょう。
今回の記事では、POSレジの耐用年数について詳しく解説を行っていきます。また、レンタルではなく購入可能なPOSレジおすすめメーカー8社も紹介しますので、導入の際の参考にしてみてください。
目次
まずは結論だけを知りたいという方のために、POSレジの耐用年数や減価償却について解説していきます。
POSレジは固定資産として「事務機器、通信機器」に含まれ法定耐用年数は5年と定まられています。
固定資産なので減価償却により、一括計上は行わずに毎年減価償却の分を経費として計上します。
また、購入以外の導入方法の場合は以下の通りとなります。
参考:国税庁「耐用年数表」
ここからは、耐用年数や減価償却の言葉の意味やポイントについてわかりやすく解説していきます。
耐用年数とは、固定資産を使用できる期間のことを指します。この期間に合わせて、減価償却という形で毎年経費として計上し処理することが可能です。たとえば、耐用年数が10年の製品を100万円で購入した場合、10年間かけて合計100万円になるように経費計上していきます。
耐用年数が法的な考え方であるのに対して、メーカーが提示している耐久年数とは、そもそもPOSレジが使えなくなるまでの目安期間です。そのため、耐用年数が5年だからと言っても使い方によっては必ずしも5年使えるとは限りません。
また、Airレジやスマレジなど耐久年数が示されていないメーカーも多いのでその場合は耐用年数の5年をおおよその目安としておきましょう。
減価償却とは、固定資産の導入費用を法定耐用年数(正確には使用期間)にわたって分割して計上する会計処理のことを意味します。会計作業を行うにあたって欠かせない知識です。「資産は時間とともにその価値が低くなる」という一つの考え方として覚えておきましょう。
たとえば、農家がトラクターを500万円で購入した場合、減価償却せずに全額経費にすると黒字経営だったのが赤字になってしまう可能性があります。そうなると毎年の利益額を正確に算出できないので、耐用年数に応じて500万円の購入費用を分割で経費に計上するのです。
※500万円(トラクター購入費用)÷7年(トラクターの耐用年数)=約71万円(毎年、経費に計上する額)
減価償却には減価償却できる資産とできない資産がありますが、POSレジは減価償却できる資産に含まれます。
POSレジの減価償却で使える節税法を2点紹介していきます。
まず初めに考えられるのが利益が好調なときに、減価償却費を増やして節税効果を狙う方法です。長期的に活用可能な資産を利益が出ているときに購入することで税金額を減らしつつ、将来に向けての投資ができます。
少額減価償却資産は特例制度を利用することが可能です。具体的にどういうことかというと、青色申告をしている中小企業ならば、30万円未満の少額資産を年度内に一括経費計上が可能であるというルールです。POSレジは周辺機器をそろえても30万円未満になるケースが多いので積極的に活用しましょう。
ここでは、POSレジと周辺機器の耐用年数について説明します。POSレジと周辺機器の耐用年数は統一されているので、覚えやすいでしょう。
国税庁が定める品目ごとの耐用年数において、POSレジは「事務機器、通信機器」に該当するため、耐用年数は5年です。ただし、一部例外としてガソリンスタンドのPOSレジは給油機とセットになっているのでガソリン設備or液化石油ガススタンド設備扱いとなり耐用年数は8年となります。
POSレジは固定資産なので、例えば50万円のPOSレジを購入した場合、5年間に分けて毎年10万円を経費として計上できます。
また、30万円未満で購入した場合は少額減価償却資産になるので、年度内に一括経費計上が可能になります。人気の低価格POSレジであるAirレジやスマレジ、Squareは周辺機器の基本セットであれば総額10万円~25万円程度の金額になるので活用できる確率は高いです。少額減価償却できる可能性が高いPOSレジは後述いたします。(すぐに見たいという方は以下のリンクをクリックしてください。)
POSレジ本体の耐用年数は5年ですが、周辺機器についても下記の通り同様の年数です。こちらにも例外は存在しており、サーバーではない日常使いのパソコンをPOSレジの周辺機器として連携して活用した場合のみ耐用年数は4年になります。
これらの周辺機器も固定資産に該当するため、耐用年数に応じて減価償却を行います。
POSレジの勘定科目の大カテゴリーは「事務機器・通信機器」になりますが、小カテゴリーで見ると以下の表の通り種類ごとに異なります。
種類 | 勘定科目 | 製品例 |
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従来のレジスター、ターミナルPOS、PC-POSレジ | 金銭登録機 | BCPOS、東芝テックなど |
PC・タブレットにPOSアプリをダウンロードするタイプ | ソフトウェア | Airレジ、スマレジ、Squareなど |
POSレジは購入以外にもレンタルやリースでの導入が可能です。それぞれの違いと、耐用年数・減価償却について解説していきます。
POSレジのレンタルは基本的に短期のイベント用に活用される場合が多いです。1週間1万円~10万円程度と期間でみると購入より割高になります。POSレジのレンタルの場合は耐用年数は適用されないので減価償却を行うこともありません。
POSレジのリースは初期費用を抑える目的で活用される場合が多いです。1万円~2万5千円程度の月額を5年契約で毎月支払うケースが多いです。初期費用は抑えられますが、途中解約はできず購入に比べて総額は高くなるので長期的な視点で導入方法の判断をしましょう。
リースには購入者に所有権を移転する所有移転契約と、リース会社が所有権をもつ所有移転外契約があります。以下の通り、それぞれで耐用年数や減価償却のルールが異なります。
POSレジ選びに迷われている方へ
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ここでは、少額減価償却できる可能性が高い低価格なPOSレジのおすすめ製品5選を紹介します。購入を検討している方は、参考にしてみてください。
Square POSレジは、アメリカのSquare社が提供する無料のPOSレジアプリです。全世界で200万以上の事業所に利用され、圧倒的な導入数を誇ります。
前述の通り、Square POSレジ最大の特徴は、POSレジ利用料が無料で必要な費用はキャッシュレス決済手数料のみである点です。モバイル端末さえあれば、導入可能なので最も低コストなPOSレジとも言えます。
無料ではあるものの、POSレジとしての機能や使いやすさはトップクラスで、周辺端末のデザインや操作性も優れている、非常におすすめのPOSレジです。
Square POSレジの比較ポイント
製品情報
初期費用 | 0円~ |
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月額費用 | 0円~ |
特徴 | 無料で使えるPOSレジ。費用はキャッシュレス決済手数料のみ。 |
株式会社スマレジのPOSレジは、幅広い業種で利用されており、店舗スタッフから圧倒的な支持を得ています。スマレジのメインエンジンはクラウド上にあるため、自動的にアップデートが行われ、常に最新の状態で利用可能です。販売業務だけではなく、在庫・商品・顧客管理や売上データの分析など、店舗運営に欠かせないさまざまな機能を利用できます。
株式会社スマレジの比較ポイント
製品情報
初期費用 | 230,000円~ |
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月額料金 | 0円~ |
特長 | クラウド型なので常に最新のPOSシステムが使える。 小規模店舗や多店舗展開に対応した機能が充実している。 圧倒的な実績があり特に小売店の利用者から評価が高い。 |
株式会社リクルートが提供している「Airレジ」は、商品登録や会計などの基本レジ機能を無料で利用可能です。商品登録は非常にシンプルで、レイアウトも自由に変更できます。売り上げや在庫数は自動で集計されるため、手動で計算する必要はありません。 また、自動釣銭機とも連携できるので、レジ締め作業の時間短縮も可能です。
Airレジの比較ポイント
製品情報
初期費用 | 0円~(iPadやレシートプリンター等は別途購入が必要) |
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月額料金 | 0円~ |
特長 | 注文入力・会計や管理・分析などのレジ機能が無料。利用店舗数No.1。 |
STORESレジは、ネットショップ開設システムやネット予約システムを提供するSTORES株式会社がリリースした無料で始められるPOSレジです。
特徴として、ecサイトやネット予約機能、キャッシュレス決済機能との連携機能が充実しており、小売店、サロン、医療機関での利用に向いているPOSレジです。
STORESのキャッシュレス決済端末「STORES決済」は、医療機関の場合、キャッシュレス決済手数料1.5%の破格で使えるので病院・クリニックでのキャッシュレス導入にもおすすめです。
STORESレジの比較ポイント
製品情報
初期費用 | 0~ |
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月額費用 | 0円~ |
特徴 | 小売店、理美容室、サロン、医療機関には特におすすめのPOSレジ |
株式会社ビジコムが提供している「BCPOS」は、さまざまな業態に対応しているPOSレジです。販売画面で商品の在庫数や稼働数をリアルタイムで把握できるので、すぐに在庫の有無を確認できます。クラウド型店舗本部管理システム「TenpoVisor」と連動すれば、他店舗の在庫や店舗間の商品移動処理もできるため、効率的に業務を行うことが可能です。
株式会社ビジコムの比較ポイント
製品情報
初期費用 | 280,000円~ |
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月額料金 | 0円~ |
特長 | POSシステムの利用料金については月額0円のプランからある。サブスク型と買い切り型を選べる。自動釣銭機と合わせた形での販売もおこなっているため、自動釣銭機と合わせて導入を検討している場合は非常におすすめ。 |
導入費用を抑えるなら節税や少額POSレジの導入以外に補助金を活用するという手段があります。POSレジで利用できる補助金を一部紹介します。
IT補助金とは中小企業や小規模事業者がITツール導入時に活用できる補助金です。条件を満たすと、POSレジを導入する際に費用の一部(1/2~3/4)の補助を受けることができます。
業務改善助成金とは、生産性向上と賃金引き上げに取り組む中小企業・小規模事業者が支援する制度です。生産性向上のための設備導入や、業務改善のためのコンサルティング、人材育成に関わる研修などの費用の一部が助成されます。 現在は通常コースの他に、新型コロナウイルス感染症の影響により売上が減少した場合や、原材料費の高騰などで利益率が低下した場合に活用できる特例コースが準備されており、それぞれ要件が異なります。
小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者が今後直面する制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス制度の導入など)へ向けた取り組みに対し、経費の一部を補助する制度です。 地域の雇用や産業を支える小規模事業者の生産性向上と持続的発展を図ることを目的としています。対象となるのは従業員数や資本金などの一定の基準を満たす会社、営利法人、個人事業主などです。
POSレジの補助金についてはPOSレジ導入時に活用できる補助金5選|仕組みや申請スケジュールを解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
POSレジの耐用年数について解説しました。これから導入を考えている方はもちろん、既にPOSレジを使っている方も、しっかり理解して減価償却の対応で手間取ることのないようにしたいですね。