病院や介護施設などでの食事提供において、食品衛生法が昔に比べて大きく変化し、より安全性を求められる時代となりました。
これらを踏まえ、食品に対する品質や安全、味の向上に寄与する目的でブラストチラーを導入する施設が増えてきています。
今回の記事では、ブラストチラーについて、その製品の概要やメリット・デメリットなども詳しく解説しました。
それぞれの特徴を把握しながら、ご自身の施設に適した製品をご検討ください。
ブラストチラーとは、加熱処理された食品を0〜10℃前後まで急速冷却してくれる機器です。冷風を吹きかけることで、90℃近いアツアツの食品でも一気に冷却することができます。これにより、事前に調理しておいた食品を急速冷却し、食の安全や風味を損なうことなく希望の時間に提供することが可能です。
これに対し、粗熱の取れた食品を-20℃前後まで急速冷凍してくれるのが、ショックフリーザーになります。ブラストチラーもショックフリーザーも、細菌の繁殖を防ぎ保管できる時間を増やすことができるなど、効率と安全性の両方を叶えてくれる製品です。これらはそれぞれに用途が違うため、両方の機能を併用することで、より食事提供の際の効率化を図ることができます。製品によっては両方の機能を備えたものもあるので、ぜひ参考にしてください。
ブラストチラーについてはブラストチラーとは?ショックフリーザーとの違いも徹底解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
食品の安全性を保ちながら、調理の時間を調整することができるブラストチラー。導入することでどんなメリットがあるのか、具体的に解説していきます。
作った食事を自然冷却する場合、そのときの気温や食事の内容によって、冷却にかかる時間はまちまちです。また、食事提供の時間に併せて職員の人数を確保しなければならないことや、時間に追われることによる配膳ミスなども考えられます。これらは、ブラストチラーの導入によって改善することが可能です。ブラストチラーで急速冷却し保存しておくことで、事前調理が可能になり作業時間の短縮ができるなど、職員の労務工数削減につながります。
自然冷却などで時間をかけて冷却すると、その分風味や香りが落ちやすくなります。この点、ブラストチラーにて急速冷却をすることで、出来たての旨味や香りが残りやすくなり、より美味しい食事を提供できるようになりました。
出来たての食事や加熱加工した食品を冷却、凍結することで保管することが可能になるため、計画的な調理ができ食材のロスを減らすことができます。ブラストチラーの場合、急速冷却後、冷蔵庫に移してから最大で4〜5日間保存することが可能です。病院や介護施設など、限られた職員で一気に食事を作り上げる場合、どうしても間違いが起きやすくなります。この点でも、ブラストチラーを利用することで余裕を持った調理が可能になり、食材ロスの削減につなげることができるでしょう。
一般的に、加熱調理した食品でも10℃〜60℃の間の温度帯で雑菌は繁殖しやすくなります。その場合でも、ブラストチラーを使用することで雑菌の繁殖しやすい温度帯をいち早く通過させ、食品の安全性を向上させることが可能です。また、出来上がった料理をホテルパンのまま冷却することができるので、異物の混入も同時に防ぐことができます。
続いて、ブラストチラー導入に際して、発生すると考えられるデメリットを解説します。
ブラストチラーで冷却する場合、出来たての料理を10℃程度まで冷やすためには、約30分ほどの時間を要します。これに対し、食品包装された状態でアルコールを使って一気冷却する、アルコール凍結機ではより短い時間で一気に冷却することが可能です。両方の機器を比較すると、ブラストチラーの方が冷却スピードがやや遅い点はデメリットといえるでしょう。
ブラストチラーを導入する際、冷却する食品が多ければ多いほどある程度の設置スペースが必要になってきます。その場合、厨房の作業スペースが狭くなってしまう可能性があるため注意しなければなりません。中には、省スペースのものや小型のブラストチラーも発売されているので、作業スペースに合わせた機器を選ぶのも解決策の1つになります。
小型のブラストチラーについてはブラストチラー小型おすすめ6選|サイズ感や注意事項徹底比較 でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
もう1つのデメリットとして、導入の際にはある程度のコストがかかる点が挙げられます。小型のブラストチラーで安価なタイプでも、数十万円からとなっており、大型になると高いものは400万円を超えることも珍しくありません。
この点、株式会社ネクシィーズの設備導入サービス「ネクシィーズ・ゼロシリーズ」が、初期費用ゼロで導入できるのでおすすめです。今回メーカー紹介には入っていませんが、ご興味があればぜひ一度ご検討ください。
食品を安全に急速冷却し、作業の効率化などに貢献してくれるブラストチラー。今回は、そのブラストチラーを販売しているおすすめの企業を11選ご紹介します。
株株式会社フジマックのブラストチラー&フリーザーは、3タイプの冷却・冷凍機能を有しておりフリーズ機能もあります。クックチル、ニュークックチル、クックフリーズにも対応しており、食の安全性だけでなく幅広いメニューでの対応が可能です。自動洗浄乾燥機能もあり、冷凍機の霜取りも自動で行ってくれる為、作業時間の短縮ができます。また、HACCP方式に基づいた食品衛生管理の提案をおこなってくれるなど、病院や介護施設などの給食設備において強い味方となってくれるでしょう。
株式会社フジマックの比較ポイント
製品概要
価格 | 要問合せ |
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主な機能 | 3タイプモード搭載、タッチパネル操作、自動洗浄・乾燥機能、メモリ登録可能 |
ショックフリーザー有無 | あり |
株式会社エフ・エム・アイは、ブラストチラーに加えてショックフリーザー機能も使用できる機器を揃えています。冷却システムも4つのプログラムから選択でき、食材に合わせて冷却方法を選ぶこともできるので、美味しさを逃さず急速冷却ができるのが特徴です。ショックフリーザー機能も付いているので、幅広い調理方法に対応ができます。またトレイの間隔やピッチ調整ができる、特許取得済みのマルチラックを採用しており、ホテルパンや天板の高さに簡単に合わせることが可能です。
株式会社エフ・エム・アイの比較ポイント
製品概要
価格 | 要問合せ |
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主な機能 | 調整可能マルチラック、イオン殺菌システム、芯温センサー、ワイヤレスデータ送信 |
ショックフリーザー有無 | あり |
大和冷熱工業株式会社は、大きさが奥行600㎜の業界初の小型ブラストチラー/ショックフリーザーを展開しています。ソフトチル・ハードチル・ショックフリーズの3つのモードを選ぶことができ、各モードごとに風速の切り替えも可能です。そのほか、メモリー機能で食品に合わせて運転をプログラムできたり、USBにて運転や温度データの出力ができるようになっています。
大和冷熱工業株式会社の比較ポイント
製品概要
価格 | 要問合せ |
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ショックフリーザー有無 | 芯温計測センサ搭載、メモリ機能搭載、UVランプ搭載 |
ショックフリーザー有無 | あり |
オリオン機械株式会社のブラストチラー&フリーザーは、衛生面と使いやすさにこだわりを持って作られています。冷却方法は4つから選択することができ、フリーザー機能にも対応が可能です。コントロールパネルが使いやすいことや、庫内は隅々まで洗浄ができ、専用の洗剤を使った自動洗浄機能もあるなど、衛生的で安全性も担保されています。また、冷媒ガスが通る冷却パイプは業界最強のものを使用しており、冷やす食材を選ばず、幅広い調理方法に応用可能です。
オリオン機械株式会社の比較ポイント
製品概要
価格 | 要問合せ |
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主な機能 | コントロールパネル搭載、芯温計測センサ搭載、自動洗浄機能、オゾン運転 |
ショックフリーザー有無 | あり |
パナソニック産機システムズ株式会社は、5段階の冷却モードに加え、事前に庫内を冷やしておく予冷運転機能を備えたブラストチラー&フリーザーです。そのほかにも、運転時の芯温計測データや異常時の警報データを通信出力可能なシステムを標準搭載しており、中央監視ができるようになっています。粗熱取り専用のブラストチラーもあり、現在調理現場にある機器と組み合わせてお使いいただくことも可能です。またパナソニックならではのナノイー技術搭載で、菌の抑制や脱臭もでき、より安心して使用することができます。
パナソニック産機システムズ株式会社の比較ポイント
製品概要
価格 | ブラストチラーのみ:1,452,000円~ ブラストチラー&フリーザー:1,960,000円~ |
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主な機能 | データ出力機能、芯温計測センサ、プログラム記録機能、タイマー機能、風速設定機能 |
ショックフリーザー有無 | あり |
フクシマガリレイ株式会社は、自動洗浄機能を重要視し、庫内の清潔を維持して食の安全を守るブラストチラー&フリーザーを展開しています。手動洗浄では細かな汚れを落としにくいというブラストチラーの特徴を踏まえ、いかに専用洗剤で汚れを落とすかを意識した庫内設計を実現しました。タッチパネルによる操作もわかりやすい表示となっていますので、簡単に操作が可能です。自動洗浄機能付き以外にも、さまざまなタイプの機種がありますので、用途や調理規模に合わせて選択が可能となっています。
フクシマガリレイ株式会社の比較ポイント
製品概要
価格 | 自動洗浄機能付き:4,075,000円~ 自動洗浄機能なし:1,657,000円~ |
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主な機能 | 自動洗浄・乾燥機能、タッチパネル操作 |
ショックフリーザー有無 | あり |
ホシザキ株式会社のブラストチラー&ショックフリーザーは、-40℃の冷風で細菌が増殖しやすい温度帯を一気に通過させることができます。この冷風は、食品に合わせて風速の調整も6段階で可能となっており、食品に応じて詳細な設定が可能です。また、20通りまでプログラム登録できるので、作業時間軽減に大きく貢献してくれるでしょう。自動洗浄のないタイプのシリーズにおいても乾燥機の搭載がある為、衛生面でも安心して利用することができます。
ホシザキ株式会社の比較ポイント
製品概要
価格 | 自動洗浄機能付き:3,326,000円~ 自動洗浄機能なし:2,257,000円~ |
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主な機能 | 自動洗浄機能、タイマー制御機能、USB出力可能(オプション)、芯温計測センサ |
ショックフリーザー有無 | あり |
ニチワ電機株式会社は、ブラストチラー&フリーザーについて、さまざまなタイプの機種を取り揃えています。タッチパネルも見やすく、4つの冷却モードから選択が可能で、プログラム運転やオゾン運転など多彩な機能が搭載されているのも魅力です。自動洗浄が可能なモデルでは、業界最短の洗浄時間で衛生面の向上だけでなく、業務の効率もアップすることができます。ショックフリーザー無しの冷却のみの機器もあるため、求める機能幅に合わせて選択することが可能です。
ニチワ電機株式会社の比較ポイント
製品概要
価格 | 要問合せ |
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主な機能 | 乾燥防止機能、メモリ機能あり、オゾン殺菌機能搭載、自動洗浄機能(一部モデル) |
ショックフリーザー有無 | あり |
北沢産業株式会社では、比較的コンパクトでさまざまな調理現場にマッチしやすいブラストチラーを展開しています。庫内の最低到達温度は-40℃までで、冷却から冷凍までおこなうことが可能です。クックチルシステムを実現するうえで欠かせないブラストチラーを通して、食品の安全性を追求すると共に、高品質な料理の提供に貢献しています。
北沢産業株式会社の比較ポイント
製品概要
価格 | 要問合せ |
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主な機能 | 冷却・冷凍機能 |
ショックフリーザー有無 | あり |
株式会社 AIHOは、さまざまな大きさのブラストチラーを発売しており、設置スペースや目的やコストなどに応じて選ぶことができます。雑菌の繁殖を抑え、食品の栄養価をほとんど変えずに急速冷却をすることが可能です。また、業務用の厨房機器や設備を広く展開しているため、病院や介護施設など導入したい場所に応じて、相談や提案をおこなってくれます。
株式会社 AIHOの比較ポイント
製品概要
価格 | 要問合せ |
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主な機能 | 冷却機能、タッチパネル操作 |
ショックフリーザー有無 | 要問合せ |
株式会社中西製作所は総合厨房機器メーカーとして知られており、学校給食や病院、施設などの大量に調理をおこなう現場で活躍中です。適温での食事提供を目的としたシステムの中で、ブラストチラーも取り扱っています。東京や大阪にはテストキッチンを設けており、ブラストチラーの使い方からセミナー、メニューに関する相談も可能です。
株式会社中西製作所の比較ポイント
製品概要
価格 | 要問合せ |
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主な機能 | 冷却機能 |
ショックフリーザー有無 | 要問合せ |
ブラストチラーは、加熱された食品を0℃〜10℃程度まで冷却する機器で、これにより味の劣化を防ぎ細菌の繁殖を抑制することが可能です。 ブラストチラーを導入することで、生産性や安全性向上、食品ロスの削減に繋がるというメリットがあります。 その一方で、アルコール凍結機と比べると凍結スピードが劣ることや設置スペースの確保、導入コストが高いというデメリットがあることも事実です。 検討の際は、それぞれメーカーによって機能の違いや大きさに差がありますので、比較しながら最適なものを選ぶようにしてください。