介護ロボットの耐用年数はどのくらい?種類別に細かく解説

更新日 2024.04.22
投稿者:豊田 裕史

介護ロボットは介護者と要介護者双方の負担を軽減できるため、厚生労働省でも普及の促進が行われています。それにより、近年では介護施設において、介護ロボットの導入を検討する施設も少なくありません。

介護ロボットを導入するにあたり、知っておかなければならないのが「耐用年数」です。介護ロボットを購入すると、耐用年数に合わせて減価償却という会計処理が必要になります。当記事では介護ロボットの耐用年数について、分かりやすく解説していきます。

介護ロボットの耐用年数は5年前後

介護ロボットの耐用年数は、法律で一律に定められているわけではありません。とはいえ、多くの介護ロボットの耐用年数は5年前後となっています。介護ロボットの種類や目的、作業内容によって耐用年数は異なります。具体的な耐用年数が知りたい場合は、各メーカーに問い合わせてみてください。

そもそも「耐用年数」とは?

耐用年数には2つの考え方があります。1つは国税庁が定める「法定耐用年数」で、もう1つは製品を使用できる期間を意味する「物理的な耐用年数」です。介護ロボットを含む「資産」は、経年とともに価値が減少していくものです。そのため、耐用年数を設けることで、その年数の間少しずつ経費として処理していきます。この経費処理を「減価償却」と呼びます。

たとえば、耐用年数が5年間の介護ロボットであれば、購入費用を5年に分けて経費として計上するのです。これにより、施設の損益を正確に計上できるようになります。中には耐用年数を超えても使用できるものもありますが、耐用年数を超えてからは減価償却処理ができませんので注意しましょう。

詳しくはメーカー・自治体に相談を

先述したように、耐用年数は資産ごとに定められています。たとえば、ベッドなら8年、冷暖房用機器なら6年が耐用年数ですが、介護ロボットの場合は一律で耐用年数が定められているわけではありません。

ロボットの種類や細目によって、耐用年数が個々に決められるため注意が必要です。導入予定の介護ロボットが決まったら、取扱いメーカーまたは自治体に相談してみましょう。耐用年数が分からないと、正確な減価償却が行なえませんので必ず把握しておくようにしてください。

介護ロボットの種類と耐用年数

実は「介護ロボット」と一言で言っても、種類はさまざまです。大きく分けると「介護支援型」「自立支援型」「コミュニケーション/セキュリティ型」の3種類になりますが、さらに細かく分けられます。ここからはこれらの細分化された介護ロボットの「物理的な耐用年数」について解説していきます。

  • 移乗介助
  • 見守り・コミュニケーション
  • 移動支援
  • 入職支援
  • 排泄支援
  • 介護業務支援

POSレジを使った顧客管理については介護ロボットの6分野を解説!メリットや製品例&予算も紹介でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

ここからは、厚生労働省から出されている「介護ロボットの試用貸出リスト」を参考に、代表的なメーカーが発表している耐用年数を種類別に紹介していきます。

出典:介護ロボットの試用貸出リスト|厚労省

移乗支援

移乗支援型の介護ロボットは「接着型」「非接着型」の2パターンあります。接着型は介護者が装着することで腰痛のリスクを削減するために使用するケースと、要介護者が装着して自立をサポートするケースそれぞれの用途で使用可能です。一方、非接着型は介助者が要介助者を移乗させるときに、移乗をアシストするための装置です。装着する手間がかからない反面、比較的移乗に時間がかかるというデメリットもあります。接着型・非接着型の代表製品とその耐用年数は下記の通りです。

製品名 HAL® 腰タイプ介護・自立支援用 J-PAS fleairy(フレアリー) レイボエクソスケルトン ROBOHELPER SASUKE 移乗サポートロボット Hug L1
企業名 CYBERDYNE株式会社 株式会社ジェイテクト 株式会社加地 マッスル株式会社 株式会社FUJI
耐用年数 5年 3年 3年毎にパーツ交換すれば、耐用年数に期限なし 原則として5年 5年

見守り・コミュニケーション

「見守り・コミュニケーション」タイプの介護ロボットは、要介護者の見守りや対話相手として用いられます。見守りロボットの中には「介護施設見守り」と「在宅施設見守り」の2種類があり、転倒検知センサーや臨床センサー、外部通信機能が搭載されています。それにより、要介護者の転倒を察知し介護者に通知を行います。 コミュニケーションロボットは、高齢者のコミュニケーション不足を解消するためのロボットです。対話やレクリエーションを行うことで、認知症対策としても期待できます。見守り・コミュニケーション型ロボットの耐用年数は、下記の表を参考にしてください。

製品名 見守りライフ A.I.Viewlife SensingWave®介護・睡眠見守りシステム 見守りシステムNeos+Care(ネオスケア) 見守り介護ロボット aams(アアムス) LASHIC-care(ラシクケア) 見守りセンサー「ANSIEL」 みまもりCUBE
企業名 トーテックアメニティ株式会社 エイアイビューライフ株式会社 凸版印刷株式会社 ノーリツプレシジョン株式会社 バイオシルバー インフィック株式会社 積水化学工業株式会社 株式会社ラムロック
耐用年数 約5年 センサー、サーバー:最大 5 年間 約5年 約5年 約5年(使用状況等により異なる) 約5~10年 約5年 約5年

移動支援

次は「移動支援」を目的とした介護ロボットです。歩行が不安定な要介護者に対し、転倒予防や歩行のアシストを行うことを目的としています。屋外・屋内・装着移動の3種類に分けられており、それぞれに特徴があります。屋外移動の介護ロボットは、移動のサポートの他に荷物の持ち運び機能も付いているのが特徴です。屋外の上り坂や下り坂にも対応できるよう、モーター駆動やブレーキ機能が調整されています。

一方で屋内移動の場合は、転倒防止や排泄介助などの細かな機能が必要です。さらに、装着移動は要介護者が装着した状態で、動作をアシストするロボットです。歩行補助や座る際のサポートを行い、屋内屋外問わず使用できます。移動支援を目的とした介護ロボットの耐用年数は、下記を参考にしてください。

製品名 ロボットアシストウォーカーRT.1 ロボットアシストウォーカーRT.2Viewlife
企業名 RT.ワークス株式会社 RT.ワークス株式会社
耐用年数 約5年 約5年間

排泄支援

「排泄支援」の介護ロボットは、その名の通り排泄行為をサポートするロボットです。「排泄物処理」「トイレ誘導」「排泄動作支援」といった、それぞれのシーンに合わせた介護ロボットがあります。排泄物処理ロボットは要介護者の排泄物を検知し、吸引・洗浄・乾燥などの処理を行ってくれます。衛生面の強化につながるだけでなく、要介護者の自尊心を保つこともできるでしょう。

トイレ誘導は適切なタイミングで、要介護者をトイレへ誘導するためのロボットです。排泄予測支援装置を搭載しており、排泄のタイミングをロボットが通知してくれます。「排泄動作支援」ロボットは、排泄に必要な動作をアシストしてくれます。トイレ内での衣類の着脱は転倒の原因もなりますが、動作支援ロボットを使い立位保持をすることで転倒のリスクを防ぐことに繋がります。

製品名 排尿予測デバイス「DFree」 iViz air 自動排泄処理装置 キュラコ おむつモニター mini
企業名 トリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社 富士フイルムメディカル株式会社 株式会社キュラコジャパン 株式会社エフエージェイ
耐用年数 3年 5年 使用頻度により異なるため不明 センサーは約2年

入浴支援

入浴支援のための介護ロボットは、要介護者の入浴をサポートする機器です。浴室は滑りやすく、高齢者の事故も多発するポイントです。また、介護者側も転倒のリスクがあるため、入浴介助業務は負担となります。要介護者が安心して入浴するため、また介護者が安全に入浴介助を行うために、入浴支援の介護ロボットが役立ちます。主な製品「バスアシスト」の耐用年数は、下記の通りです。

製品名 バスアシスト
企業名 株式会社ハイレックスコーポレーション
耐用年数 4年

介護業務支援

最後の介護ロボットは「介護業務支援」を目的とした機器です。介護業務に必要なデータの収集や蓄積を行い、介護に活用していくことができます。蓄積したデータは関係者間で共有できるため、介護記録やケアプランの作成に役立つでしょう。介護記録ソフトと連携できるものであれば、ケア記録の入力業務の負担削減にも繋がります。要介護者のアシストをするロボットとは異なり、介護者側の業務効率化や情報共有をサポートしてくれるロボットです。

製品名 ココヘルパ
企業名 ジーコム株式会社
耐用年数 12年

まとめ

介護ロボットの耐用年数は、目的や細目によって異なりますが3~5年が一般的です。とはいえ、中には6年や12年といったものもあるため、詳しい耐用年数は各メーカーや自治体に確認してみましょう。介護ロボットは介護者の負担を減らすばかりでなく、要介護者への身体的リスクを減らす効果も期待できるものです。導入には多額の費用が必要になりますが、減価償却で適切に経費計上することで節税にもつながります。事前に耐用年数を調べ、正しく減価償却処理を行いましょう。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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