調剤薬局用レセコンとは?機能や使用するメリットを解説

更新日 2024.04.09
投稿者:横山 洋介

レセコンとはレセプトコンピューターの略で、主にクリニックや病院で診療報酬請求をするために用いられています。調剤薬局でも病院やクリニックと同様に、診療(調剤)報酬請求をするために、レセコンを用いたレセプト業務が必要です。

今回の記事では薬局のレセコンについて、機能や導入メリット、導入時の注意点や選び方を解説していきます。この記事を読むことで、レセコンのメリットや選び方がわかり、自社のニーズに合うレセコンを導入することができるでしょう。

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薬局のレセコンとは?

レセコンとは、病院や調剤薬局などの医療施設において、レセプト業務を行うコンピューターシステムです。ここではレセプトの概要や調剤薬局におけるレセプト業務について解説していきます。

レセプトとは?

レセプトとは、病院・薬局などの医療施設が患者に保険医療を提供した際に、掛かった費用の内訳を示した明細書のことです。医療施設の収入となる診療報酬を得るためには、このレセプトを国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金などに提出する必要があります。

このように、レセプトは診療報酬が支払われるために必要不可欠であり、レセプト業務を正確に行うことは病院・薬局にとって非常に重要です。不当な請求がないか、算定漏れがないかなど、レセプト請求が正確に行われているかを定期的に点検することも必要でしょう。

調剤薬局におけるレセコン入力業務の内容は?

調剤薬局では、患者が持参した処方箋の内容をレセコンに入力していきます。処方箋をそのままレセプト請求できるわけではないため、情報を返還して入力する必要があり、手入力の場合はミスのリスクがあります。

近年ではQRコードで処方箋の内容を読み取るレセコンもあるため、ミスなくレセコン業務を行いたい場合は検討してみると良いでしょう。また、レセコンに入力した内容をもとに、薬袋やお薬手帳のシール、薬剤情報提供書、調剤報酬明細書などを出力することも可能です。

薬局レセコンの機能

薬局レセコンには様々な機能があります。ここでは、主要な機能4つについて解説していくので、確認していきましょう。

処方入力

処方箋の内容をレセコンに入力することで、各種点数や薬価からなる調剤報酬額を自動計算することができます。

レセプト請求業務

レセコンに入力された処方情報を元に、レセプト(調剤報酬明細書)の作成・請求を正確に、迅速に行うことが可能です。メーカーによってはレセプトチェック機能が搭載されているものもあるので、レセプトチェックも行いたい場合は機能の有無を確認しましょう。

電子薬歴

服薬指導の内容を記載する電子薬歴が一体化しているレセコンもあります。この場合は、ひとつのパソコンですべての情報を管理できるため、業務の効率化が期待できます。

QRコード読み取り

処方箋にQRコードがついている場合、QRコードを読み込むだけで患者情報や処方内容などが自動でレセコンに入力されます。患者氏名や生年月日、保険情報、処方元や薬の内容まですべてがレセコンに入力されるため、薬局側で行う作業は確認と訂正がメインです。

手入力に比べると業務は大幅に効率化されるため、近隣の医療機関がQRコードつき処方箋を導入している場合は、この機能が搭載されたレセコンを選ぶとよいでしょう。

薬局にレセコンを導入するメリット

現在ではほとんどの薬局が電子レセプトを導入しており、紙のレセプトを使用している施設は4%程度とほとんどありません。多くの施設で使われていることからもわかるように、レセコンの導入にはさまざまなメリットがあります。

ここではメリットを4つに分けて解説していきます。

経費や時間の節約になる

レセコンを用いてレセプト業務を行うと、コンピューターが保険者ごとに自動集計をしてくれるため、レセプト作成時間が削減できることがメリットのひとつです。

また、少ない人員でも業務を回すことができるため、結果的に人件費の削減にもつながります。

簡単にレセプトの提出ができる

従来のレセプト提出は紙や電子媒体を期限内に郵送または持参する必要がありましたが、レセコンを使用すればオンライン提出が可能で、期限にも余裕があります。

レセプト提出の期限前は残業が多くなりがちですが、提出期限に余裕があり、提出方法が簡便であるため、残業時間の減少が期待できるでしょう。

ミスが減らせる

レセコン導入による電子化で、紙ベースの手作業に比べてミス減少が期待できることもメリットのひとつです。レセプトに記載不備があると、「レセプトの払戻」が行われ、払戻になったレセプトは、再度修正して送信する必要があります。

ミスが減ればこの手間も省けるため、業務改善が期待できるでしょう。また、近年ではマイナンバーを活用した「オンライン資格確認」の利用により、レセプト払戻数が減少しているというデータもあります。

オンライン資格確認は2023年4月より原則義務化されるため、これを機に導入を検討するのも良いでしょう。

オンライン資格についてはオンライン資格確認に必要な端末を紹介|制度詳細や運用の流れまででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

患者さんの待ち時間減少

薬局での待ち時間の長さに不満をもつ患者は多く、長年の課題となっています。レセコンを導入することで業務が大幅に効率化するため、結果的に患者さんの待ち時間は短くなるでしょう。

調剤システムと連動していれば、さらに業務は効率化され、待ち時間減少が期待できます。

薬局にレセコンを導入する際の注意点

メリットの多いレセコンですが、導入時には注意点もあります。自社にあうレセコンを選択するためにも注意点をチェックしてみてください。

価格だけで選ばない

ひとつめの注意点としては、価格だけで選ばないことが挙げられます。なぜなら、価格だけで選んでしまうと、自社に必要な機能が揃っていない可能性があるからです。

具体的にお伝えすると、レセコンには医科用・歯科用・調剤用の3種類があり、薬局で使用するレセコンは「調剤用」を選ばなければなりません。

また、薬歴を一体型にしたいか、調剤システムとの連携が必要かなど、それぞれ必要な機能は薬局により異なります。

自社でどのようにレセコンを使用したいかを考え、必要な機能をピックアップしてから検討するとよいでしょう。

労災用IDの取得も忘れずに

労災用のID取得も忘れずに行う必要があります。労災用IDを取得しなければ、労災レセプトは使用できません。

レセコンの導入がきまったら、管轄の「都道府県労働局」で労災用IDを取得しておき、取得後にメーカーに導入設定を行ってもらいましょう。

薬局向けレセコンの選び方

ここでは、薬局向けレセコンの選び方について5つのポイントに分けて解説していきます。

運用形態

レセコンの運用形態は「オンプレミス型」「クラウド型」「ハイブリッド型」の3種類があります。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自社に合う運用形態を選択すると良いでしょう。

オンプレミス型

オンプレミス型は、薬局内にサーバーを設置し、データを保管・管理して運用する形態です。カスタマイズの自由度が高い、動作が早いなどのメリットがありますが、サーバーを設置する必要がある、初期費用が高いなどのデメリットがあります。

クラウド型

クラウド型は、インターネット上のサーバでデータを保管・管理して運用する形態です。 初期費用が安い、資産管理の必要がないなどのメリットがありますが、トータルコストがオンプレミス型よりも高くなりやすいデメリットがあります。

ハイブリッド型

ハイブリッド型はオンプレミス型とクラウド型のメリットを兼ね備えた運用形態です。 薬局内にサーバーを設置し、薬局内のネットワークで運用しながら、クラウド上にバックアップを取ることで災害時などに備えることができます。

リスクの分散、柔軟なIT環境の構築などのメリットがありますが、運用方法によってはコストが高くなるデメリットがあります。

NSIPSに対応しているものを選ぶ

調剤システム処方IF共有仕様「New Standard Interface of Pharmacy-system Specifications」に対応しているレセコンを選ぶことも大切なポイントです。

NSIPSに対応していれば、さまざまな調剤機器やPOSレジとレセコンをスムーズに連動させることが可能となり、周辺機器の選択肢が広がります。

日本薬剤師会のホームページで、NSIPSに対応しているメーカーを公開しているので、対応機種についてはご参照ください。

出典:日本薬剤師会

NSIPSについてはNSIPS®とは?対応POSの導入メリットやおすすめ製品を解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

トータルコスト

初期導入費用だけで判断しがちですが、レセコンには利用料や月額料金、保守費用などもかかります。トータルコストを考えて、最もお得なレセコンを選びましょう。

サポート体制の有無

サポートの有無も重要です。レセコンは直感的に操作できるように作られていますが、それでも慣れるまでには時間がかかります。困った時にすぐに対応してくれるのか、どのようなサポートがあるのかを事前に確認しておくと良いでしょう。

また、サーバーがダウンしたときや停電したときの対応、フリーズした時のサポート体制もチェックしておくことをおすすめします。

操作性

調剤薬局事務は特別な資格を必要としないので、未経験者がレセコン入力を行う可能性もあります。

そのため、誰でも使いやすいレセコンであることも大事なポイントです。レセコンは、直感的に操作できるようにさまざまな工夫がほどこされています。導入前のデモなどで、レセコンの使いやすさを確認してみると良いでしょう。

薬局向けのおすすめレセコンはこちら

調剤薬局レセコンのメーカー情報は、こちらの記事で確認することができます。製品導入をご検討されている方は、一度製品情報を見てみることでイメージが具体的になるでしょう。

調剤薬局レセコンのおすすめ製品についてはおすすめ調剤薬局向けレセコン比較10選|価格や選び方のポイントまででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

まとめ

この記事では、薬局のレセコンの機能や導入メリット、導入時の注意点や選び方を詳しく解説しました。医療業界のIT化がすすむ昨今、調剤薬局においてもレセコンの導入は必須でしょう。一括りに薬局向けのレセコンと言っても、各製品の機能や価格は様々です。導入に際しては複数社デモを試してみて、自社の運用にあったレセコンを選ぶようにしましょう。

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セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n33882f74cd71

国立大学を卒業後、新聞記者として4年間勤務。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、レジの導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野はレジ関連(POSレジ、自動精算機)、ナースコール、レセプト代行。

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