「ポータブルエコーを導入したいけど、どれを選べばいいか分からない」
「それぞれの価格帯を知りたい!」
「ポータブルエコーを選ぶときのポイントが知りたい」
このような疑問を持っている方のために、本記事では主要メーカーのポータブルエコーの情報をまとめています。ポータブルエコー導入時の参考にしてみてください。
まずは各メーカーのポータブルエコーの価格帯や、プローブの種類を確認してみましょう。なお、料金についてはプローブの本数やオプション機能の有無によっても変わってきますのでご注意ください。
企業名 | 製品名 | 価格(税別) | プローブ |
---|---|---|---|
富士フイルムメディカル | iViz air コンベックス | 977,200円(3年のサポートプラン付き) | コンベックス |
富士フイルムメディカル | iViz air リニア | 要お問い合わせ | リニア |
GEヘルスケア・ジャパン | Vscan Air SL | 1,100,000円~ | デュアルプローブ(セクタ・リニア) |
GEヘルスケア・ジャパン | Vscan Air CL | 798,000円~ | デュアルプローブ(コンベックス・リニア) |
フィリップス・ジャパン | Lumify | 要お問い合わせ | コンベックス、リニア、セクタ |
キャノンメディカルシステムズ | Viamo sv7 | 要お問い合わせ | コンベックス、マイクロコンベックス、リニア |
日本シグマックス | ポケットエコー miruco | 228,000円~ | コンベックス、リニア |
テルモ | ポータサウンド | 1,234,800円 | コンベックス、リニア |
アイソン | SONON 300 | 1,180,000円~ | コンベックス、リニア |
ポータブルエコーによってプローブの種類が異なります。プローブの種類によって診ることのできる検査部位も異なるので注意が必要です。具体的な検査部位や機能については、個別にメーカーに確認してみましょう。
ここでは、各ポータブルエコーについて、その特徴や比較ポイントなど詳しくまとめました。ご予算や利用シーンによって適したポータブルエコーが異なりますので、自院にあったポータブルエコーを検討してみてください。
iViz air コンベックスは、医療機器メーカー大手の富士フイルムが手がけるポータブルエコーです。鮮明な画質や、「膀胱尿量自動計測」「直腸観察ガイドPlus」など豊富なアプリケーションがあることが特長です。
iViz air は本体とプローブをWiFiで接続しワイヤレスを実現しました。ポケットサイズのコンパクトさとプローブの重量もわずか190gのため、持ち運びが容易です。またエコー画像はSNSやzoom共有ができ、遠隔でもリアルタイムにコミュニケーションを取ることができます。
iViz air コンベックスの比較ポイント
製品情報
製品名 | ワイヤレス超音波画像診断装置 iViz air |
---|---|
承認番号 | 301ABBZX00003000 |
価格 | 977,200円(税別・3年のサポートプラン付き) |
プローブの種類 | コンベックスプローブ |
プローブ重量 | 190g |
連続使用時間 | 3時間 |
ワイヤレス | 〇 |
端末 | 専用端末(6.1インチ / 10.1インチ) |
iViz air リニアにはカラードプラモードが搭載されているため、血流評価が可能です。シンプルな調整画面で速度スケールの選択も可能です。
プローブの先端部は厚さを限界まで薄く設計しています。穿刺針の刺入位置をスムーズに確認できます。またiViz air コンベックス同様に、iViz air リニアにも診断をサポートする豊富なアプリケーションがあります。「PV穿刺モードPlus」には2種類のモードがあり、より迅速かつ的確なエコーガイド下穿刺をアシストします。
iViz air リニアの比較ポイント
製品情報
製品名 | ワイヤレス超音波画像診断装置 iViz air |
---|---|
承認番号 | 301ABBZX00003000 |
価格 | 要お問い合わせ |
プローブの種類 | リニアプローブ |
プローブ重量 | 要お問い合わせ |
連続使用時間 | 要お問い合わせ |
ワイヤレス | 〇 |
端末 | 専用端末(6.1インチ / 10.1インチ) |
GEヘルスケア・ジャパンのVscan Air SLはセクタ・リニアのワイヤレスデュアルプローブを採用しているため、心エコーから血管・評価まで流れるようにスムーズなエコー検査が可能です。専用端末を持たないデバイスフリー設計のため、モニタのサイズやモバイル端末は自由に選ぶことができます。
さらに走査モードにはパルスドプラとMモードが新たに搭載され、全ての探触子およびプリセットで利用することができるようになりました。
Vscan Air SLの比較ポイント
製品情報
製品名 | 汎用超音波画像診断装置 Vscan Air |
---|---|
承認番号 | 303ACBZX00012000 |
価格 | 1,100,000円~ |
プローブの種類 | デュアルプローブ(セクタ・リニア) |
プローブ重量 | 218g |
連続使用時間 | 約50分 |
ワイヤレス | 〇 |
端末 | デバイスフリー |
Vscan Air CLはコンベックス・リニアのワイヤレスデュアルプローブを採用しています。また専用端末を持たないデバイスフリー設計のため、モニタのサイズやモバイル端末を自由に選ぶことができます。
コンベックスは腹部、心臓、産婦人科、血管、筋骨格系、肺、リニアは血管、筋骨格系、肺、体表、神経、新生児頭部のプリセット搭載しています。プローブ1本で深部から浅部まで全身の検査を網羅できます。走査モードにはパルスドプラとMモードが新たに搭載されており、全ての探触子およびプリセットで使用することができます。
Vscan Air CLの比較ポイント
製品情報
製品名 | 汎用超音波画像診断装置 Vscan Air |
---|---|
承認番号 | 303ACBZX00012000 |
価格 | 798,000円~ |
プローブの種類 | デュアルプローブ(コンベックス・リニア) |
プローブ重量 | 要お問い合わせ |
連続使用時間 | 要お問い合わせ |
ワイヤレス | 〇 |
端末 | デバイスフリー |
Lumifyは、使いやすいポータブルエコーでありながら、フィリップス社の高い技術力を駆使して高画質・直感的な操作を実現した製品です。コンベックス・リニア・セクタの3種類のトランスジューサを用意しているため、さまざまなシーンに合わせて使い分けることができます。
また、バッテリーも大容量で長時間の使用ができるほか、リアルタイムで画像の共有ができる、Reacts機能があるのも魅力です。そのほかにも、パルスドプラ法(血流速計測機能)や肺エコーの評価をサポートするB-lineカウンティング機能などが使用できます。Lumifyは、 ポイントオブケアにおける超音波の力を高め、より迅速な診断をサポートします。
Lumifyの比較ポイント
製品情報
製品名 | 超音波画像診断装置 Lumify |
---|---|
承認番号 | 302AFBZX00043000 |
価格 | 要お問い合わせ |
プローブの種類 | コンベックス、リニア、セクタ |
プローブ重量 | 要お問い合わせ |
連続使用時間 | 要お問い合わせ |
ワイヤレス | ✕ |
端末 | 専用端末(3種類から選択可能) |
Viamo sv7はCanonの技術力を生かし、高画質でありながら高機能を備えたポータブルエコーで、あらゆる現場にて活躍しています。全画面タッチパネルとなっており、検査中でもズームやフォーカスなどが行えるほか、カメラ機能でバーコード読取や写真撮影も可能です。
また充電ポートはUSB-Cを採用しており、充電しながらでも使用できます。充電切れで使えないという心配がなく忙しい現場でもしっかり活躍してくれます。
Viamo sv7の比較ポイント
製品情報
製品名 | 超音波診断装置 Viamo sv7 CUS-VSV7 |
---|---|
承認番号 | 229ACBZX00025000 |
価格 | 要お問い合わせ |
プローブの種類 | コンベックス、マイクロコンベックス、リニア |
プローブ重量 | 要お問い合わせ |
連続使用時間 | 要お問い合わせ |
ワイヤレス | ✕ |
端末 | 専用端末(12.3インチ) |
ポケットエコーmirucoは、在宅医療をはじめとした、様々な医療現場で簡単に使用ができるように設計されています。機能はBモード画像抽出機能と2点間距離計測機能に絞り込んでおり、購入は25.1万円(税込)からという低価格を実現しています。これまでに2,200台以上の販売実績(※2021年3月時点)があり、数多くの反響を頂いています。
プローブは、深部向き3.5MHzコンベクショプローブと浅部向き10MHzリニアプローブの2種類です。いずれかをリーズナブルに導入して頂くことも、1台のタブレット表示機で2種類のプローブを使い分けて頂くことも可能です。
ポケットエコー mirucoの比較ポイント
製品情報
製品名 | ポケットエコーmiruco(ミルコ) |
---|---|
承認番号 | 228AHBZX00010000 |
価格 |
3.5MHz コンベックスプローブセット 250,800円(税込)~ 10MHz リニアプローブセット 327,800円(税込)~ ダブルプローブセット 523,600円(税込)~ |
プローブの種類 | コンベックス、リニア |
プローブ重量 | コンベックスプローブ 約180g リニアプローブ 約140g |
連続使用時間 | 約6時間(フル充電の場合) |
ワイヤレス | ✕ |
端末 | 専用端末(8インチ) |
ポータサウンドは、医療機器メーカーとして長い歴史を持つテルモが手がけた、どこでも使いやすいワイヤレスポータブルエコーです。音声操作が可能で、タブレットに触れることなく操作できるので、業務の効率化や感染対策もできる点が魅力となっています。
また、表示機器はiPadやiPadminiを採用しているため、操作性がいいだけでなくバーコード読み取りなども利用することが可能です。エコー画像に簡単にコメントが記入できるほか、プローブは168gと軽量なので、持ち運びの際に負担になりません。
>ポータサウンドの比較ポイント
製品情報
製品名 | ポータサウンドリニアプローブ / ポータサウンドコンベックスプローブ |
---|---|
承認番号 | 302AIBZX00008000 |
価格 |
ポータサウンドリニアプローブ 1,234,800円(税別) ポータサウンドコンベックスプローブ 1,234,800円(税別) |
プローブの種類 | リニア、コンベックス |
プローブ重量 | リニアプローブ 168g コンベックスプローブ 200g |
連続使用時間 | 最大3時間(新品バッテリで25℃環境において満充電からBモードを動作させたとき) |
ワイヤレス | 〇 |
端末 | iPad / iPad mini |
SONONは、緊急医療現場で大切なスピードや、正確な判断をサポートする高画質な画像の両方を実現したワイヤレスポータブルエコーです。プローブにWi-Fiが内蔵されており、表示機器はiOSやAndroidのさまざまな機種で使用ができるようになっています。
また、さまざまなエコー画像を見比べることができる2画面機能や計測機能、ポケット型では珍しいカラードプラモードも利用可能です。そのほか、大容量バッテリーでスタンバイモードであれば12時間、連続使用は3時間とパワフルに活躍してくれます。
SONONの比較ポイント
製品情報
製品名 | SONON 300L / 300C |
---|---|
承認番号 | SONON 300L 230AGBZX00093000 SONON 300C 301AGBZX00069000 |
価格 |
SONON 300L(本体+付属品セット) 1,480,000円(税別) SONON 300C(本体+付属品セット) 1,180,000円(税別) |
プローブの種類 | リニア、コンベックス |
プローブ重量 | リニアプローブ 370g コンベックスプローブ 390g |
連続使用時間 | 最大3時間 |
ワイヤレス | 〇 |
端末 | Android / iOS / iPadOS |
あらゆる医療現場において活躍が期待されるポータブルエコーですが、使う目的や場所に応じてきちんと検討するようにしましょう。ここでは、ポータブルエコーを選定する場合にどこを比較すればいいのか、そのポイントを解説します。
ポータブルエコーの価格はプローブの本数や種類、オプションのアプリケーションをどこまで使用するかによって大きく変わってきます。プローブが1本構成の場合、導入価格は100万円前後となるメーカーが多いです。コンベックスプローブとリニアプローブのように、プローブの本数を増やす場合には、プローブ1本あたり+100万円程度かかってくる場合もあります。どのような検査を行いたいのか、予算と相談して決めるようにしましょう。
検査部位によって適したプローブの種類が異なります。メーカーによってどのプローブを持っているのかが異なりますので、注意が必要です。特に心臓の観察に適したセクタプローブを持っているメーカーは、GEヘルスケア・ジャパン株式会社やフィリップス・ジャパン株式会社など一部の企業に限られます。
エコー画像の鮮明さもメーカーによって異なります。導入に際しては、複数製品をデモで試して頂き実際の画面を確認して頂くことをおすすめします。
持ち運び使うことが多いポータブルエコーですので、操作性も製品を比較する上で大事な要素です。起動してから立ち上がるまでの時間や連続使用時間、本体やプローブの重量、ケーブルの有無など製品によって様々です。実際に使用する場面を想定して、使いやすいポータブルエコーを選ぶようにしましょう。
カラードプラ機能、Bモード表示・Mモード表示、遠隔での画像共有、その他専用のアプリケーションによる診断や穿刺のアシスト機能などポータブルエコーには多くの機能があります。機能が豊富な機種ほど導入費用は高くなる傾向があります。
ポータブルエコーメーカーによるサポートは、基本的に引き渡しから1年間は、事故や過失以外での故障や不具合を対象とした保証を標準装備しています。しかし、この標準装備の1年間保証では購入者に起因する破損や水没、バッテリーの交換などは含まれないことがほとんどです。各メーカーで保証内容は異なるので、保守内容はきちんと確認し、不明点はメーカー担当者に直接確認するようにしてください。
在宅医療やポイントオブケア(POC)の関心の高まりから、ポータブルエコーの導入を検討される医療機関が増えています。患者様のベッドサイドで、聴診器のようにポータブルエコーを用いた検査を行うPOCUS(Point of care ultrasound)も普及しつつあります。 では、実際にポータブルエコーとはどのようなものなのか、基礎知識からメリットまで解説します。
ポータブルエコーは、従来は大型だった超音波診断装置(エコー)を、持ち運び可能にした製品です。必要な画質や機能は維持しながらも、価格も抑えられているため、さまざまな現場で導入されるようになりました。
利用が広まった背景には、コロナ禍で患者の移動に制限がかかったことや在宅医療のニーズが増えたことが挙げられます。また、近年ポータブルエコーの性能が向上し、低価格でありながら、従来の大型超音波診断装置に劣らない高画質を実現した機種も登場してきています。
これまでの据置き型の超音波診断装置(エコー)と比較して、ポータブルエコーに特徴的な3つのメリットを紹介します。
ポータブルエコーは軽量・コンパクトであり、訪問診療やスポーツ現場、ベッドサイドでの使用など、場所を問わず簡単に持ち運びが可能です。中には専用端末がない製品もあり、条件を満たせば身近にあるタブレットやスマホで画像を表示することもできます。大きな機器を動かす必要がないため、緊急時も迅速な診断や処置を行うことが出来ます。
据置き型の超音波画像診断装置は質の高い画損診断が出来ますが、導入には数百万円、場合によっては1千万以上が必要になります。ポータブルエコーであれば、数十万円~100万円台で導入することが可能です。技術の進歩により小型でも高度な機能が搭載されています。
ポータブルエコーは小型で持ち運びが出来る点が特徴です。そのため、狭い診療室や訪問診療先でも利用することができます。据置き型と比べて機器の保管スペースも取らないためスペースの有効活用が可能です。
ポータブルエコーに関するよくある質問について、Q&A形式で回答します。
A. ポータブルエコーは従来の据置き型よりも小型で低価格な機器になりますが、近年、ポータブルエコーのニーズが高まっており技術が大きく進歩しています。画質も良く、画像の共有ができるなど機能も豊富で、健康診断だけでなく肺炎などの診断にも用いられています。
A. ポータブルエコーはタブレットやスマホ、パソコンなどの端末で見ることが可能です。専用端末(タブレット)が付いている場合もありますが、中には手持ちのタブレットやスマホなどを表示機器として利用できるものもあります。「大きな画面で見たい!」という場合は、パソコンに繋げられるタイプか画面の大きいタブレットが選べるポータブルエコーを検討して下さい。
A. ポータブルエコーの保険点数については、その都度状況や手技によって変わってきます。例えば、訪問診療時にポータブルエコーを用いて超音波検査を行った場合400点の保険算定が可能です。
A. 機種によってはレンタル業者がレンタルを行っているものもあります。レンタル期間やレンタル料金は業者によって異なってきます。レンタルの際には、月額費用のほかに運送料もかかりますので注意してください。
超音波診断装置(エコー)は、放射線を用いないため安全であり、痛みもないことから医療現場のさまざまなシーンで活躍しています。従来は大型であった超音波診断装置(エコー)を、持ち運びやすく軽量・コンパクトにしたのがポータブルエコーです。
現在さまざまなポータブルエコーが登場していますが、各メーカーによって機能やプローブ、表示機器にも違いがあります。ポータブルエコーを選ぶ際は、価格や製品の性能や仕様、使い勝手のほかに、どのようなサポートがあるか比較するようにしましょう。
ワイヤレスや専用端末がないものもあるので、自院にとって最適なポータブルエコーを選ぶ際には、ぜひ本記事を参考にしてください。