「UTMの導入を検討しているけど、シェア率や市場規模が気になる」
このようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
さまざまセキュリティ機能を1つに統合した端末、「UTM(統合脅威管理)」に注目している企業も増えています。UTMのシェア率を知っておくことで、導入検討時の判断材料になるでしょう。今回はUTMの市場規模や導入率の解説、人気製品の紹介をしますので、ぜひ参考にしてください。
目次
UTMの市場規模や導入率は、どれくらいなのでしょうか。ここでは、国内のUTM導入率と世界のUTM市場規模を解説します。
まずは、国内でのUTM導入率を見ていきましょう。日経 xTECHが2018年度に行った調査によると、アンケートに回答した45.8%の方がUTM・ファイアウォールを導入していると回答しています。同調査で「境界防御のために導入しているセキュリティ機器の種類」を尋ねたところ、最も多いのがUTM/ファイアウォール、次いでWebゲートウエイという回答でした。
また、ミック経済研究所の外部攻撃防御型セキュリティソリューションの法人導入調査では、UTMアプライアンスの導入率は61.2%ということがわかっています。さらに、ミック経済研究所の調査では、今後の導入予定についても調査しており、将来的なポテンシャルとして、UTMは75.1%の普及率に達するとしているのです。
これらのことから、UTMは国内の企業で普及してきていると言ってもよいでしょう。
出典:日経 xTECH|首位はフォーティネットとヤマハ、UTM/ルーター部門の利用度
出典:ミック経済研究所|外部攻撃防御型セキュリティソリューションの法人ユーザ導入実態調査2018年版
では、世界のUTM市場規模はどうでしょうか。UTMの世界市場は、アジア太平洋、北米、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、その他の地域に分類されます。北米は技術の進歩などにより、UTMの市場シェアでは主要地域です。アジア太平洋地域は、2021年から2027年に高い成長率が見込まれ、シェア率を伸ばしていくと予想されています。
日経 xTECHの「ネットワーク機器利用実態調査2022」によると、境界防御製品を導入している企業が使っているベンダー製品で最も多いのが、「フォーティネット」の45.2%。ほぼ半数に迫る勢いで、昨年に続き首位になっています。
次いで2位がパロアルトネットワークスで19.6%、3位がシスコシステムズで14.6%でした。
1位フォーティネット(45.2%)
2位パロアルトネットワークス(19.6%)
3位シスコシステムズ(14.6%)
日本では、上記の3社がUTMのシェア率約80%を占めています。国内では特に、フォーティネットのUTMのシェア率が非常に高いことがわかるでしょう。
前章では、国内のUTMシェア率ランキングを紹介してきました。では、世界規模で見ると、どうなるでしょうか。実は、世界のUTMシェア率のトップも、「フォーティネット」です。フォーティネット社が2022年4月公表した記事のなかで、セキュリティ機器の出荷台数で9年連続首位を獲得したと発表しています。フォーティネットは2021年で出荷台数が前年比31.4%増加。ファイアウォール、UTM、VPNを合わせた市場だけで、36.8%のシェアを獲得しています。フォーティネットが世界でシェアを伸ばしている理由には、
これらの強みがあるからです。「どのUTMメーカーを選べばいいかわからない」という方は、まずフォーティネットを検討してみてはいかがでしょうか。
出典:FORTINET|フォーティネット、セキュリティアプライアンスの出荷台数で9年連続首位に(大手調査会社調べ)
ここでは、シェア上位のUTMを5製品紹介します。
■Fortigateのシェア率
2018年 | 2022年 | |
シェア率(シェアランキング) | 38.4%(1位) | 45.2%(1位) |
Fortigateのシェア率が高い理由
■Fortigateの特徴
Fortigateは本社がアメリカ・カリフォルニア州にあるFortinet(フォーティネット社)のUTMシリーズです。Fortigateは、あらゆる場所の保護を可能にする効率的なセキュリティを実現します。例えば、
上記以外にも豊富なラインナップが揃っています。本記事でもお伝えしてきたように、Fortigateは日本のUTM市場シェア1位を獲得しており好評です。
■Palo Alto Networksのシェア率
2018年 | 2022年 | |
シェア率(シェアランキング) | 22.8%(2位) | 19.6%(2位) |
Palo Alto Networksのシェア率が高い理由
■Palo Alto Networksの特徴
Palo Alto Networksの次世代型のファイアウォールは、世界シェア2位を誇ります。従来型ファイアウォールよりもハード負荷が軽減され、最小限の遅延でトラフィック処理を実現します。
また、機械学習を備えているため、解析の済んでいない未知の脅威からの攻撃を防ぐことも可能です。さらに、ユーザー別に権限を設けられるので、業務に支障が出ないよう、柔軟なアプリケーション制御も可能となります。
■Cisco systesのシェア率
2018年 | 2022年 | |
シェア率(シェアランキング) | 13.5%(3位) | 14.6%(3位) |
Cisco systesのシェア率が高い理由
■Cisco systesの特徴
Cisco systesは、上記の製品同様、UTMを超えたセキュリティアプライアンスの次世代型ファイアウォールです。業界トップクラスのWindows PCの脆弱性対応力に優れています。
また、世界最大級の解析力を持つシスコのセキュリティ基盤と連携して、マルウェア検知、防御が実現可能です。PC、iPhone、Android、どんな端末からでも安全なアクセスを提供してくれます。
■F5ネットワークスのシェア率
2018年 | 2022年 | |
シェア率(シェアランキング) | 圏外 | 4.5%(4位) |
F5ネットワークスのシェア率が高い理由
■F5ネットワークスの特徴
F5ネットワークスはアメリカ合衆国ワシントン州シアトルに本社を置くネットワーク・アプライアンス製品の開発・製造・販売をする企業です。ファイアウォールやWebアプリケーションファイアウォール、アクセス制御など、幅広いネットワークセキュリティ機能を装備しています。
また、F5ネットワークスはパートナーとの協業も積極的に行っており、他社製品との連携によってUTMを実現できるのも特徴です。
■ジュニパーネットワークスのシェア率
2018年 | 2022年 | |
シェア率(シェアランキング) | 8.4%(4位) | 4.5%(5位) |
ジュニパーネットワークスのシェア率が高い理由
■ジュニパーネットワークスの特徴
ジュニパーネットワークスはアメリカカリフォルニア州に本社を置く、社員数9,400人のネットワーク・通信機器の開発・販売企業です。ジュニパーのUTMは次世代ファイアウォールを搭載し、GUIも使いやすいのが特徴です。
また、モジュラー型ハードウェアを採用しており、必要な機能だけを導入できます。ネットワーク環境の変化にも強く、コスパの高いネットワーク環境を構築できるでしょう。
UTMは「もう古い」「必要ない」ということを聞いたことがあるのではないでしょうか。ここでは、UTMが「古い」「必要ない」と言われる理由や、実際のところ必要性はどうなのかを解説します。
結論からお伝えすると、中小企業やSOHOにとっては引き続き有用なセキュリティツールであることは間違いありません。UTMが「もう古い」と言われるのは、「ゼロトラストネットワーク構築が必要な大企業やITベンダーにとっては古い」という意味です。
実際にUTMの導入率も伸びており、世界市場でも2027年に131.8億米ドルに達すると予測されています。ゼロトラストネットワーク構築が必要な大企業やITベンダーとは、
などを指します。上記のような組織は、常に多くの接続機器が必要になり、細かく分類すべき多種のアクセス者がいるためです。ただし、すべての大企業やITベンダーにゼロトラストネットワーク構築が必要なわけではありません。リモートワークの推進などにより、大人数が社外からアクセスしなければならない状態に限ります。
前述したように、中小企業やSOHOにとっては、UTMを1台導入するだけでセキュリティ問題を解決できる有用な製品です。今後もしばらくはセキュリティ対策製品の市場でシェアも伸びていくことが予想されております。
今回はUTMのシェア率や市場規模、人気製品などについて解説してきました。UTMのシェア率は国内、世界規模ともに増加傾向にあり、今後もさらに伸ばしていくことが予想されています。どの製品を選べばいいか迷う場合は、今回紹介したシェア率が高い製品を選ぶのも一つでしょう。
UTMは「もう古い」「必要ない」というのは、ゼロトラストネットワーク構築が必要な大企業やITベンダーだけです。中小企業やSOHOにとっては、今後も有用なセキュリティツールなので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。