近年、クラウドコンピューティングの普及に伴い、ネットワーク境界はあまりなくなっています。そのため、内部のクラウド資産と外部のインターネットトラフィックの間に仮想バリアをつくるクラウド型ファイアウォールが重要になっています。
この記事では、おすすめのクラウド型ファイアウォールやファイアウォールの基礎知識やメリットについて解説します。大事な情報をしっかり守り、業務が安心してスムーズにすすめられるよう、ぜひ参考にしてください。
目次
クラウド型ファイアウォールは、これまでのファイアウォールと同じように、外部のネットワークからの攻撃や不正なアクセスから守るためのセキュリティ製品です。クラウド型ファイアウォールは、クラウド上でホストされている点が従来のファイアウォールとの違いになります。クラウド型ファイアウォールは、FWaaS(Firewall as a Service)とも呼ばれています。
これまでのファイアウォールとクラウド型ファイアウォールでは設置場所が異なります。
これまでのファイアウォールは信頼された内部ネットワークと外部ネットワークの間に構築されていました。クラウド型ファイアウォールはクラウドサービスの周囲に仮想バリアを形成し、クラウド環境でのサーバの通信をフィルタリングします。
内部ネットワークと外部ネットワークとの境界は、「ネットワーク境界」と言います。クラウドコンピューティングの普及に伴い、現在ネットワーク境界はほとんどなくなっている状態です。そのため、ネットワーク境界に仮想バリアを形成するクラウド型ファイアウォールの必要性が高まっています。
ファイアウォールの提供形態は、クラウド型の他にソフトウェア型とハードウェア型があります。ここではそれぞれの特徴について解説していきます。
先述したように、クラウド型ファイアウォールはクラウド環境での通信を保護します。クラウド環境での通信は、「Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2)」 のようなインフラを提供するIaaS(イアース・アイアース)、「Gmail」などのSaaS(サース)と呼ばれるものがあげられます。
クラウド型ファイアウォールを使うことで、アクセスが許可されたユーザーは、社外にいてもほぼすべてのネットワーク上からクラウドに安全に接続できるようになります。
ソフトウェア型ファイアウォールは内部ネットワークと外部ネットワークの間に設置され、内部ネットワークに流れる通信をフィルタリングします。パソコンやサーバごとにインストールして利用するため、「パーソナル型ファイアウォール」とも呼ばれます。
ハードウェア型ファイアウォールも内部ネットワークと外部ネットワークの間に設置され、基本的にルーターに搭載されています。「ゲートウェイ型ファイアウォール」とも呼ばれ、ハードウェア型ファイアウォールでは一度に複数のネットワークを保護することができます。
クラウド型ファイアウォールは、従来のファイアウォールよりも柔軟性があり、管理が容易で、より高度な脅威からシステムを保護することができます。
この章では、クラウド型ファイアウォールのメリットについて具体的に解説していきます。
現在、オンラインストレージやグループウェアなど、業務システムをクラウド上で運用している企業は多いと思います。クラウド型ファイアウォールは、各システムごとに仮想バリアを形成でき、クラウドサーバへの通信をフィルタリングできます。そのため、重要データがクラウド上に保管されることが多い現代に適したセキュリティ対策だといえるでしょう。
クラウド型ファイアウォールは、ネットワーク内のデータ通信を監視することで、不正なアクセスを検知できるため、セキュリティ上のリスクを最小限に抑えることが可能です。
「ゼロトラストモデル」とは、あらゆる通信は完全には信頼できないという考えのもと、全ての通信に対して安全性の検証を行うセキュリティモデルです。従来のセキュリティモデルである「境界防御モデル」とは異なり、内部と外部を区別することなく、守るべき情報資産やシステムにアクセスするものは全て信用せずに検証します。
クラウド型ファイアウォールは、ゼロトラストモデルの実現につながります。本社や各支店からの通信、そしてリモートユーザーを含めた全ての通信を一元管理することにより、不正アクセスや情報漏洩などのリスクを低減することができます。
クラウド型ファイアウォールは、アップデートがベンダーによって実施されるため手間が少ないメリットがあります。
IaaSやSaaSと同様にクラウド上で動作ができて、インターネットを介してアクセスされます。これにより、サードパーティのベンダーがアップデートやメンテナンスを行うことができるのです。
クラウド型ファイアウォールは、コントロールパネル上で一括設定により複数のクラウドサーバーへの通信フィルタリングができます。コントロールパネル上で日々の運用や管理もできるので、手間が少ないのがメリットです。
さらに、システム運用初心者でも簡単に設定できる製品が多く、ユーザーが直感的に操作しやすいことも、ファイアウォールを導入しやすい点といえるでしょう。
次世代ファイアウォール(NGFW)は、アプリケーションを制御できるファイアウォールで、IPS(侵入防止システム)やディープパケットインスペクション(DPI)など、初期のファイアウォールにはなかった機能を搭載しています。次世代ファイアウォールは、クラウドでもオンプレミスのハードウェアとしても動作します。
次世代ファイアウォールについては次世代ファイアウォールとは?従来から進化した点やメリット・デメリットでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
次世代ファイアウォールについてはUTMと次世代ファイアウォールの違いや共通点をわかりやすく解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
クラウド型ファイアウォールは多数のメーカーが取り扱っています。後悔のないクラウド型ファイアウォール選びをするために、この章ではおすすめのクラウド型ファイアウォール8選を紹介します。 比較ポイントや特徴もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
VPNが組めるルーターが条件が合えばそのまま利用できるので、その場合は新たな設備投資は不要です。オフィスのセキュリティとして使えば、固定IPアドレスなども不要で、リモートワーク環境も利用できます。
その場合も、オフィスと同じようにURLフィルタリングなどセキュリティを利用可能です。複数の拠点がある企業でも、各拠点ごとにUTMを設置する必要はなく、運用や管理の手間が省けてセキュリティ設定や管理も一元化され、効率的な運用を行えます。
MRB-Cloudの比較ポイント
GresShieldは、診断からコンサルティング・システム構築までのトータルサービス次世代クラウドセキュリティ対策ソリューション Gresシリーズの一つです。
GresShieldの大きな特徴は、従来型のファイアウォールでは難しいアプリケーションの識別ができる、アプリケーションコントロール機能があることでしょう。
従来のIPアドレス/ポート番号ベースの制御機能に加えて、FacebookやFaceTimeなどのSNSや通話アプリ、検索エンジンなどのアプリケーションごとのアクセス制御ができます。
GresShieldの比較ポイント
Sophos Firewall XGSは、エンドポイントとファイアウォール間でセキュリティ情報を共有することで、ネットワーク内の感染元やユーザーを特定し、問題のあるデバイスのネットワークアクセスを自動的に制限できます。
また、高性能マルチコアx86 CPUとXstreamプロセッサーによるアプリケーション高速化を実現する2つのCPUが搭載されており、保護機能の柔軟性を維持しながらパフォーマンスを向上させることが可能です。
XG Firewallの比較ポイント
ニフクラは、国産のパブリッククラウドであり、VMware vSphere®をベースとしています。オンプレミスのVMware vSphere®環境から移行するための最適なクラウドです。
多岐にわたる機能・サービスをオンデマンドで提供しており、ほとんどが、ブラウザ経由でアクセス可能なコントロールパネルから操作できます。
VMware vCenter Serverや監視ソフトウェアなしで、サーバーやディスクなどのリソース管理だけでなく、サーバーやネットワークの利用状況や料金の管理などが可能です。
ニフクラの比較ポイント
IDCF CLOUDは、シンプルな管理画面から自由にサービスを組み合わせて利用できるIaaS型クラウドサービスです。初期費用は0円で、業界最安水準の1時間1円、1ヵ月500円から始められるパブリッククラウドとなっています。
また、どこからでもCPUやメモリなどのリソースをスケールアップできるため、サーバーの構成変更やスケールアウトも自由です。
国内の自社データセンターで運用しているので、バックボーンネットワークは高速かつ大容量で急激なアクセス増加や大量配信にも対応できます。
IDCF CLOUDの比較ポイント
Zscalerクラウドファイアウォールは、管理が必要なハードウェアやソフトウェアなしでも、すべてのユーザーに高速で安全なオンオフネットワーク接続を提供しています。
また、無制限のインライントラフィック検査とプラットフォームにより、容量制限が原因でセキュリティ面を妥協することはありません。
ユビキタスなセキュリティにより、毎日300兆のシグナルを活用して、クラウド全体でリアルタイムのセキュリティ更新プログラムを共有し、高い保護レベルを実現しています。
Zscalerクラウドファイアウォールの比較ポイント
楽天クラウドは、ビジネスの成長を加速させながらコストを抑えます。必要な時に必要な分だけコンピューティングリソースを利用できるクラウドインフラストラクチャーで、ハードウェアのリソースを仮想化し整理できるでしょう。
従量課金制で、1ヶ月間使用しても最大480時間分のリーズナブルな料金体系です。Web管理ポータルからスムーズにスケールアップやスケールアウトが操作可能です。
各種ベンダーとのパートナーシップを活かし、最適な提供価格と開発環境を提供し、ハイパフォーマンスで拡張性が高いでしょう。
楽天クラウドの比較ポイント
クラウドファイアウォールpowered by Palo Alto Networksは、高度なセキュリティ機能により、ユーザーやデバイスの場所にかかわらず、ネットワーク機能も含め、包括的なセキュリティ機能とネットワーク機能を提供します。
また、豊富な種類のアプリケーションを識別し、可視化することや、SSL復号機能により暗号化通信の検査も可能です。
お客様専用のIPアドレスが利用できるため、Web/SaaSアクセス時の送信元IPアドレスによる制限ができます。
クラウドファイアウォールpowered by Palo Alto Networksの比較ポイント
SASE(サシー)とは、「Secure Access Service Edge(セキュアアクセスサービスエッジ)」の略で、これまで個別に存在していたネットワークサービスとセキュリティサービスを融合させるセキュリティサービスです。先述した「ゼロトラストモデル」に似ていますが、ゼロトラストモデルはあくまでセキュリティ構築のための考え方のみを指します。それに対し、SASEは複数の製品を組み合わせて適切な構成を行う具体的なソリューションです。
SASEにおいて、クラウド型ファイアウォールはほかのセキュリティ対策製品と連携して動作し、サイバー攻撃やデータ漏えいなどの脅威からネットワーク境界を保護します。
この記事では、おすすめのクラウド型ファイアウォール8選を紹介し、クラウド型ファイアウォールの基礎知識やメリットについても説明しました。
クラウド型ファイアウォールはたくさんありますが、それぞれ特徴が異なり、まずは情報を集めて比較検討をすることが重要です。どのクラウド型ファイアウォールを使用するか迷った際には、今回紹介したおすすめの中から問い合わせてみてはいかがでしょうか。
最適なクラウド型ファイアウォールを選び、業務を安心して進められるよう大事な情報をしっかり守りましょう。