インターネットVPNの一種にIPsec‐VPNというものがあります。しかし、聞いたことはあるものの、どのような役割を果たすのか分からないという方もいるでしょう。また、SSL-VPNとの違いを知りたいという方もいるかと思います。
今回の記事では、IPsec-VPNについて解説し、SSL-VPNとの違いやメリット・デメリットも紹介しますので参考にしてください。
IPsec-VPNはインターネットVPNの一種であり、IPパケットを暗号化した通信方式です。内容を抜き取られない状態に暗号化して接続できるため、安全性に優れた仕組みとなっています。
また、L2TPなどと異なりIPsecのみで暗号化を完結でき、セキュリティレベルが高いので安全に各拠点のLAN同士を接続するのに適した通信方式です。なお、リモートアクセスする場合は、端末に専用ソフトをインストールした上で環境設定を行わなければなりません。
IPsec‐VPNは、拠点間接続においてもっともセキュリティが強固です。IPヘッダが含まれたパケットも暗号化されるので、SSL-VPNよりもセキュリティ面が優れています。重要なデータを扱う場合、高度なセキュリティが求められるため、そのような環境でリモートアクセスする際はIP‐VPNがおすすめです。
IPsec-VPNは、制御する必要がないところまで制御してしまいます。 TCPやUDPヘッダを暗号化した場合、IPsecの通信をすべて許可するか、すべて遮断するかの2択になってしまうので覚えておきましょう。
SSL-VPNは、暗号化にSSLを利用してアクセスします。SSLとは、暗号化や認証の技術を駆使することでデータを保護する仕組みです。主に、クレジットカードなどの個人情報を送受信する際に利用されます。
複雑な設定は不要で、リモートアクセス端末とVPN装置の間で暗号化された通信が可能なので、簡単にパソコンやスマホなどから使用することが可能です。
SSL-VPNはIPsec‐VPNと違って多要素認証が可能です。リモートアクセス時のセキュリティを強化する上ではID・パスワード認証だけでは不十分であり、複数の要素を組み合わせて多要素認証を行う必要があります。そうすることで、リモート時でも安全性が高いアクセスが可能です。
また、SSL-VPNは低コストで導入でき、Webブラウザを利用した構成も構築できます。そのため、リモートアクセスする側のユーザーは、VPN装置やソフトウェアは必要ないです、リモートアクセス環境を構築する際の費用を抑えることができるのもSSL-VPNのメリットと言えるでしょう。
SSL-VPNでは、サイトVPNを使用できません。性能に関してはIPsec‐VPNより劣ります。また、SSL-VPNはTCPに限り適用でき、UDP向けの場合はDTLSという規格が実装されていなければなりません。しかし、今のところDTLSの普及はそれほど進んでいません。
IPsec‐VPNとSSL-VPNの違いは、主に以下の2点です。
その他の違いについては以下の表を参考にしてください。
IPsec-VPNはインターネットVPNの一種です。ここでは、インターネットVPNとIP-VPNの違いを解説していきます。
インターネットVPNは、通常のインターネット回線上にVPNトンネルを仮想的に構築するVPNです。インターネットVPNを利用することで、安全に拠点間での通信ができます。また、比較的低コストで導入可能です。
また、不特定多数の人が利用できるインターネット回線なので、トンネリングや暗号化技術(IPsec・SSLなど)で通信経路を保護し、セキュリティ強化を図っています。
通信事業者それぞれが保有している閉域ネットワークを使用して仮想的にVPNトンネルを構築します。IP-VPNは暗号化せず使用するもので、通信速度が保証されている帯域確保型回線のサービスです。
危険性のあるパブリックゲートウェイを避けて接続可能で、MPLS(Multiprotocol Label Switching)という機能を利用することで、導入企業のインターネットの利用が優先的に処理されるよう仕様になっています。
IP-VPNはVPNの一種です。インターネットVPNとIP-VPNは、データ通信に使用する回線が違います。
インターネットVPNは、一般的なインターネット回線上に構築されるVPNですが、IP-VPNは、通信事業者がそれぞれ保有している閉域ネットワーク上に構築するVPNです。
今回の記事ではIPsec‐VPNについて、そしてSSL-VPNとの違いやメリット・デメリットを解説しました。それぞれ果たす役割が異なるため、用途に適したVPNを導入することが重要です。
今回の記事の内容を参考に、どちらが用途に適しているかどうか理解し、導入を検討してみてください。