オートクレーブの滅菌時間はどのくらい?器具の種類・分量別に解説

更新日 2024.01.15
投稿者:豊田 裕史

オートクレーブで滅菌できるのは知っているが、どのくらいの時間で滅菌処理ができるのか疑問に思っている方もいるでしょう。今回の記事では、オートクレーブの滅菌時間を器具の種類・分量別に解説していきますので参考にしてください。

オートクレーブの基礎知識

オートクレーブは、内部を飽和蒸気によって高温・高圧にして滅菌を行う機器です。
別名「高圧蒸気滅菌器」とも言い、医療器具などの滅菌・微生物の殺滅・コンクリートの製造など、必要に応じて、その対象を適切に滅菌処理します。

原理としては圧力鍋と同じで、圧力を加えて内部を高温することで対象物を滅菌が可能です。
しかし、プラスチック器具やゴム製品は高温に弱いため、溶けたり変形したりする可能性があるため、オートクレーブは使用できません。オートクレーブで滅菌できないものは、ガス滅菌で対応可能です。

オートクレーブの滅菌時間はどのくらい?

ここでは、オートクレーブの滅菌に要する時間がどのくらいなのかを解説していきます。

115℃以上で30分間が目安

オートクレーブで滅菌する物質・器具の種類や量によりますが、平均すると以下が滅菌時間の目安となります。

  • 115℃:30分間
  • 121℃:20分間
  • 126℃:15分間
  • 134℃:10分間

滅菌と除菌・殺菌の違い

滅菌は、物質中のすべての微生物を殺滅・除去することができ、除菌や殺菌よりも確実に菌を無くすことが可能です。一方、殺菌は菌の一部を殺しただけでも殺菌したことになります。また、除菌は菌を取り除くことを意味しますが、その対象や程度は明確に定められていません。そのため、殺菌や除菌は、滅菌のようにすべての微生物を殺滅できるわけではないのです。

オートクレーブの使い方

ここでは、オートクレーブの使い方を解説していきます。

利用シーン

オートクレーブの利用シーンには、以下のようなものがあります。

  • 医療器具などの滅菌
  • コンクリートの製造
  • タイルの試験
  • 航空機部品などの成形

また、炊飯器や圧力釜もオートクレーブに近しいもので、高温・高圧を活用している例です。

オートクレーブを使う手順

オートクレーブは以下のような手順で使用します。

  1. オートクレーブの缶体の底面にある、すのこ(底に敷かれている穴が開いている円盤)が少し浸かる程度の精製水(もしくは蒸留水)を入れます。
  2. 続いて、オートクレーブ用のカゴやバケツに滅菌する機器や試薬を置いて、スノコの上に設置します。
  3. 被滅菌物を置いたら、圧力計が0MPaになっているのを確認します。確認後、水蒸気を排出する回収ボトルの水位が適切かどうか目視してドアを閉めましょう。
  4. 安全弁や排気ホースに何か問題がないか確認し、温度・時間を設定して運転を開始します。
  5. 設定時間を過ぎると滅菌工程が完了します。少しずつ温度と内圧が下がるまで待ちましょう。

オートクレーブの滅菌効果が続く期限は?

滅菌物のパッケージが破損する等しなければ、基本的に無期限に有効です。
しかし、パッケージや対象物の経年劣化はおこりうるので、使用する施設で使用期限を決めて運用したほうがいいでしょう。

まとめ

今回の記事ではオートクレーブの基礎知識について解説しました。オートクレーブの滅菌時間は、滅菌する物質・器具の種類や量によって異なりますが、115℃で30分間、134℃だと10分間です。オートクレーブの導入をされている方は、ぜひ参考にしてみてください。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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