病院にとって、ナースコールは患者さまとスタッフの連絡手段として欠かすことはできません。
一方で、ナースコールのシステムの仕組みや、ナースコールのメーカーを選ぶ際のポイントを知っている方はあまり多くないと思います。
本記事は、ナースコール入替を検討する病院や介護施設からの相談に対応してきた専任のコンシェルジュが執筆。セカンドラボでは、病院でナースコールを導入する場合、アイホンとケアコムが第一候補になると考えています。
病院でナースコールを導入する場合の参考になる情報を記載しているので、参考にしていただければ幸いです。
病院には必ず設置されているナースコール。基本的な内容を解説していきます。
ナースコールとは、医療福祉施設の患者様が、スタッフをすぐ呼べるように設置するツールのことです。患者様の容態が急変したり、病院スタッフの手を借りたい場合の意思表示として、ナースコールの呼び出しボタンを押します。代表的なメーカーは、アイホンとケアコムの2社です。
ほとんどの病院では有線のナースコールを使っています。緊急の呼び出しが発生する病院において、呼び出しボタンの電源が切れることは許されないため、無線ナースコールを採用する病院は多くないのが実情です。
近年は介護施設を中心に、無線のナースコールを使う事業所も増えています。呼び出しボタンの電源が切れる等のリスクが解消されれば、今後は病院でも無線ナースコールの導入が進んでいくかもしれません。
ナースコールは病院や介護施設、家庭でも使われています。ナースコールを網羅的に解説したナースコールシステムのメーカー11選比較|使い方や選び方までもご覧ください。
ナースコールは、病院にくる患者様や入院患者が助けをもとめる意思表示の手段として活用されています。ベッドから立ち上がりたい、トイレに行きたい、急に体調が悪くなったなど、助けを借りたい時はいつやってくるかわかりません。
病院側としても、24時間利用者の動きを確認することはできないので、駆けつけるタイミングを知ることができるほか、職員間で連絡をとる際もよく利用されています。
法律でもその必要性に言及されています。
病院がナースコールを設置しないことは、「高齢者虐待防止法(高齢者虐待の帽子、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律)」で定める虐待行為のうちの「介護・世話の放棄・放任」における「必要な用具の使用を限定し、高齢者の要望や行動を制限させる行為」に該当するとみなされます。
ナースコールが必要な理由についてはナースコールはなぜ必要?機能面や法律面から解説!でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ナースコールは患者さまの安全を守るために大切な通信機器です。
通院する患者さまは病気やケガによって、身体的・精神的に弱さを抱えています。患者さまの体調が急に悪くなった際に、周囲にスタッフがいなくてもナースコールがあれば、体調の変化をスタッフに伝えることができます。
肝心な時に、ナースコールが正常に作動しなければ、体調の変化はスタッフに伝わらず、患者さまの生命を脅かすことになります。そのため病院でナースコールを選ぶ際は、他の医療機関での実績を参考に、品質や安全面で信用の出来るメーカーを選ぶことが大切です。
どんなにすぐれたナースコールでも、長年使用していくなかで、経年劣化や使用方法によるトラブルが発生します。
ナースコールは患者さまの安全を守るためにも、トラブル発生時にはいち早く問題を解決する必要があります。また機器の故障を未然に防ぐためにも、導入後もきめ細やかなメンテナンスが必要です。
そのため、ナースコール導入時には、アフターフォローの充実度や、レスポンスの早さも確認しましょう。
ナースコールの価格はメーカーごとに差があるため、業者の提案を聞いて見積もりをもらいましょう。有線の場合は配線工事費、無線の場合はWi-Fi環境の構築に費用が発生することもあります。トータルでかかる費用がどのくらいになるか、慎重に検討しましょう。
ナースコールの価格を細かく分けると、以下の3つに分類することができます。くわしくは以下の記事でも解説しています。
ナースコールの価格は 「ナースコールの価格はどれくらい?|主要7メーカーの参考価格付き」でも詳しく解説しています。参考にしてください。
病院での設置におすすめのナースコールを見ていきましょう。以下で紹介している3社のうち、ケアコムとアイホンの2社が病院ナースコールの大きなシェアを獲得しています。
株式会社ケアコムのナースコールは業界シェアが大きく、一般的なナースコールとしてイメージされやすい「インターホン型」を提供しています。
たとえば「PLAIMH NICSS(プライマ ニックス)」はスマートフォンとも連携できるため、ナースステーションから離れた場所で作業していても通知を受け取ることが可能です。
画面上で複数の患者様による呼び出しを同時に表示できることから、対応の優先度を判断できます。
「NICSS-EX8」は、さまざまなシステム・機器と連動できる病棟業務支援プラットフォームです。トイレ離座検知システムでは、患者様の立ち上がり動作を離座センサーが検知し、転倒前にスタッフが駆けつけられるようサポートします。
株式会社ケアコムの比較ポイント
対象施設 | 医療機関、介護施設 |
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参考価格 | 要問合せ |
連携機器 | PHS、スマートフォン、院内情報システム(医事システム、オーダリングシステム、電子カルテ、介護ソフト)など |
設置方法 | いずれも対応(商品により異なる) |
アイホン株式会社のナースコールは病院を中心に多くの施設で導入され、ケアコムと並んで「インターホン型」の二大大手として知られています。
同社の「Vi-nurse(ビーナース)」は、映像や情報の見える化を実現したスマートフォンとも連携できるナースコールシステムです。独自のセンサーでバイタルサインの測定が可能なスマートベッドシステムをはじめ、さまざまなサービスや機器と連動できます。「緊急通報装置」は、緊急ボタンやセンサーの作動により、あらかじめ設定した連絡先へ異常を知らせるシステムです。スタッフ不在時は、ケアセンターが通報内容を確認します。「緊急通報装置」は、サービスつき高齢者向け住宅に最適です。
アイホン株式会社の比較ポイント
対象施設 | 医療機関、介護施設、一般住宅など |
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参考価格 | 要問合せ |
連携機器 | PHS、スマートフォン、位置情報システム、電子カルテなど |
設置方法 | いずれも対応(商品により異なる) |
名電通株式会社は、1974年の創業以来、ビジネスフォン業界で長く活躍し続けている企業です。信頼と実績をもとに、現在も多くの通信機器を販売しています。
同社のナースエコールは、従来式ナースコールの約半額で導入できる「電話機一体型ナースコールシステム」です。一元管理システムにより、複数施設で「拠点間内線通話」「拠点間着信転送機能」を活用できます。高い拡張性を備えたナースコールシステムを低価格で導入できる点が特徴です。また、無線と有線の両方で運用できるハイブリッド型のナースコールでもあります。非常時のみ、親機と子機を有線で接続することも可能です。
名電通株式会社の比較ポイント
対象施設 | 医療機関、介護施設 |
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参考価格 | 7,800円/月~(小規模施設の場合。要問合せ) |
連携機器 | PHS、スマートフォン、各種センサー、インカムなど |
設置方法 | 無線 |
病院のナースコールについて、よくある質問を紹介します。ナースコールを導入する病院目線と、ナースコールを使う患者様のそれぞれの質問を紹介しています。
ナースコールの耐用年数は、おおよそ8年~12年とされています。
ケアコムやアイホンなどの企業が所属する「インターホン工業会」が、12年を更新の目安と定めており、これに倣う企業が多いと考えられます。ただ、あくまでも目安の期間であり、その期間内の品質を保証するものではありません。
業界団体の指針とは別で、各メーカーが自社製品の推奨使用期間を示している場合もあるので、検討時には確認してみましょう。
ナースコールの耐用年数についてはナースコールは何年使える?|気になる「耐用年数」をご紹介でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ナースコールを運用する方法は複数あります。
ナースコール制御装置を使うタイプ、ビジネスフォン制御装置を使うタイプ、無線で接続するタイプとがあります。中規模以上の病院ではナースコール専用システムが選ばれることが多く、ケアコムやアイホンのナースコールを導入している施設がほとんどです。無線のナースコールは、老人ホームや家庭用で利用されるケースが多いです。
病院でおすすめのナースコールについて解説しました。ナースコールは病院の基本となるインフラのため、導入時はどこのメーカーにするべきか迷うことも多いでしょう。
そんなときは、医療福祉施設の商品比較サービス2ndLaboに相談しましょう。各分野に精通したコンシェルジュがヒアリングし、オススメの企業にお繋ぎします。施設にあったナースコールを導入し、利用者さま・患者さまも、職員も過ごしやすい環境を実現しましょう。