スタンディングリフトは、移乗の際の福祉用具として対象者の残存機能を生かしながら、容易に介護を行うための機器です。利用者は身体的負担が少なく日常生活を行えるとともに、介護従事者も作業中に腰部などへの負担を抑えられます。利用者と介護従事者の双方にとってメリットのある機器ですが、高額な導入費用がネックとなることもあるようです。
今回は、スタンディングリフトの費用相場や各メーカーの価格を紹介します。導入補助金やレンタルについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
スタンディングリフトには、大きく分けて手動タイプと電動タイプの2種類があり、対象者の体重や立位動作の状況により使い分けられています。また、体の支え方によって、前方サポートタイプと後方サポートタイプに分けることも可能です。購入した場合の価格相場は、本体料金のみで手動タイプは30〜35万円、電動タイプは35〜88万円程度となっています。それぞれの特徴をまとめると次のとおりです。
手動タイプ | 電動タイプ | |
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相場価格 | 30万円~35万円 | 35万円~88万円 |
特長 | 手すりなどにつかまる力があり、自力か誘導でお尻を浮かせたり左右に身体を傾けたりできる利用者方が対象 |
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スタンディングリフトを導入するには、購入とレンタルがあります。購入する際には、本体価格だけではなくオプション料金にも気を付けましょう。ここでは購入とレンタルの場合の価格体系について説明していきます。
スタンディングリフトの価格体系は、本体価格とオプション料金から成ります。例えば、アイ・ソネックス株式会社の「スカイリフト」の本体価格とオプション料金については次のとおりです。
商品名 | 価格 | 備考 |
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スカイリフト SL-2018R | 528,000円(非課税) | - |
エアスリング AS-201 | 38,500円(うち消費税額 3,500円) | 腰回りをおおわないので排泄ケアに。最適手早く装着できるスタンダードタイプ |
サポートスリング SS-202 | 35,200円(うち消費税額 3,200円) | 座った姿勢で使えるので初めての方でも安心(下肢の関節拘縮や筋力低下で立位がとれない方に) |
スムースホルダー | 19,800円(うち消費税額 1,800円) | しっかり腰をサポートするのでリハビリ訓練におすすめ、エアスリングと併用必要 |
トイレットスリング TS-204 | 35,200円(うち消費税額 3,200円) | スリングを装着したままでズボンやパンツの着脱ができる |
エアスリング専用 脚ベルト(オプション品) | 2本1セット 7,920円(消費税額720円) | 状態の変化により立位姿勢が困難になってきた方に。臀部をサポートし、ずり下がりを防止 |
エアスリング専用 胸パット(オプション品) | 2,200円(うち消費税額 200円) | エアスリングをよりフィットさせることで、立ち上がり時の滑りを防止して体幹を安定させる |
なお、身体状況や用途に合わせて選べるスカイリフト専用スリングシートは別売りです。本体と同時購入の場合、1枚だけ非課税扱いとなります。
介護保険が利用できるスタンディングリフトは、通常のレンタル料金の1割負担で導入できます。この後、本記事で紹介する7種類のスタンディングリフトはすべて介護保険利用対象なので参考にしてください。レンタル方法は、メーカーや取扱会社に問い合わせが必要となります。
福祉用具貸与(移動用リフト)であるスタンディングリフトを導入するには、各都道府県補助金である介護ロボット導入支援事業次の補助金等が利用可能です(一部地域を除く)。例えば、宮城県の令和4年度介護ロボット・ICT導入支援事業の概要は次のとおりです。
事業名 | 令和4年度介護ロボット・ICT導入支援事業 |
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事業の目的 | 介護従事者の身体的負担の軽減や業務の効率化を目的とした介護ロボット・ICTの導入に要する経費を補助する |
補助対象者 | 県内において介護サービス事業所を運営する者(介護保険法に基づく全サービスが対象) |
補助対象等 |
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出典:令和4年度介護ロボット・ICT導入支援事業について - 宮城県公式ウェブサイト
次に、おすすめ・人気のスタンディングリフト8選をご紹介します。それぞれの製品の特徴と電動式か手動式かの違い、サイズも記載しているので参考にしてください。
移乗サポートロボットHug L1は、たつ・すわるの2ボタンのみで操作できるので、だれでも簡単に移乗介助できます。重量が軽く6個の移動用キャスターも使用しているので、トイレや車いすへの移動が容易です。手軽に操作できるので、今までオムツを使っていた利用者もトイレで排泄ができるようになります。
移乗サポートロボット Hug L1の比較ポイント
製品情報
電動/非電動 | 電動式 |
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重量 | 30(kg) |
サイズ(縦×横×高さ) | 880×550×850~1200(mm) |
価格(購入) | 880,000円(税抜) |
価格(レンタル) | 平均価格24,510円/月 |
充電方式 | バッテリー充電方式 |
レンタル適用 | 介護保険レンタル適用商品 |
補助金 |
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移乗サポートロボットHug T1は、上半身をスライドしながら立ち上がるので、残存している脚力を最大限に活用できます。また、スリングシートが不要なので、セッティングの必要がなく使いたい時に使えるのがメリットです。さらに、スタッフ一人で移乗やトイレ介助などができるので業務効率が上がります。
移乗サポートロボット Hug T1の比較ポイント
製品情報
電動/非電動 | 電動式 |
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重量 | 35(kg) |
サイズ(縦×横×高さ) | 950×620×880~1,350(mm) |
価格(購入) | 980,000円(非課税) |
価格(レンタル) | 要お問い合わせ |
充電方式 | バッテリー充電方式 |
レンタル適用 | 介護保険レンタル適用商品 |
補助金 |
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スカイリフトは、排泄ケアに最適な日常生活に欠かせないリフトです。車いすへ移乗する際、座奥まで深く腰掛けられるので転落防止に効果があります。また、パッドやスリングが起立姿勢を支えるのでリハビリ効果も期待できます。さらに、六輪なので小回りがきいて軽い力で移動できるのもメリットです。操作が軽いので介助者の負担も軽減されます。リフトの幅は肩幅くらいなので、家庭で幅の狭いトイレで横に立って介助可能です。ペダルを踏み込むと脚部が開くので、幅の広い洋式便器にも対応できます。
スカイリフトの比較ポイント
製品情報
電動/非電動 | 電動式 |
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重量 | 42(kg) |
サイズ(縦×横×高さ) | 1,373×503×964(mm) |
価格(購入) | 528,000円(非課税) |
価格(レンタル) | 要お問い合わせ |
充電方式 | バッテリー充電方式 |
レンタル適用 | 介護保険レンタル適用商品 |
補助金 |
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ミニリフト125低床タイプは、別売のミニリフトスリングを装着すれば座位からの立ちあがりや着座ができるので、排泄介助に最適です。手元にボタン型スイッチがあるので、リフトアームの上げ下げと脚の開閉ができ、緊急時にも対応可能です。また、利用者の体格に合わせて、リフトアームの長さとレッグサポートの位置調節もできます。
ミニリフト125 低床タイプ KZ-A69710の比較ポイント
製品情報
電動/非電動 | 電動式 |
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重量 | 45(kg) |
サイズ(縦×横×高さ) | 950×515~835×985~1,410(mm) |
価格(購入) | 500,000円(非課税) |
価格(レンタル) | 要お問い合わせ |
充電方式 | バッテリー充電方式 |
レンタル適用 | 介護保険レンタル適用商品 |
補助金 |
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イージーアップは、トイレ介助や車いす移乗に最適な スタンディングリフトです。自力での立ち上がりが困難な方を補助する電動起立型リフトとなります。電動で立ち上がれるので、介助者の負担も軽減可能です。別売りの専用スタンディングスリングを使用すれば、立ち座り動作をサポートできます。また、低床ベッドでも使用できるうえに、利用者の体格に合わせてフックを選べるので快適なスタンディングが可能です。
イージーアップの比較ポイント
製品情報
電動/非電動 | 電動式 |
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重量 | 51(kg) |
サイズ(縦×横×高さ) | 1,055×678~938×1,636~777(mm) |
価格(購入) | 500,000円(非課税) |
価格(レンタル) | 要お問い合わせ |
充電方式 | バッテリー充電方式 |
レンタル適用 | 介護保険レンタル適用商品 |
補助金 |
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スマイルWLシリーズは、排泄介助や浴室介助が楽々簡単です。重心移動方式で吊り上げないので、スリングは必要ありません。また、わずかな力で動く手動式なので経済的で停電でも安心です。介助者の腰痛防止や利用者の転倒防止に役立ちます。小回りがきくので、家庭の狭い場所でも使えます。収納時はアームの折りたたみが可能なので場所をとりません。シンプルな構造なので、組み立てが簡単で故障しにくいのが特徴です。
スマイルWLシリーズの比較ポイント
製品情報
電動/非電動 | 手動式 |
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重量 | 21(kg) |
サイズ(縦×横×高さ) | 446×1,070×920(mm) |
価格(購入) | 375,000円(非課税) |
価格(レンタル) | 要お問い合わせ |
充電方式 | - |
レンタル適用 | 介護保険レンタル適用商品 |
補助金 |
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サラステディーは、利用者自身の力を生かして移乗が可能なので、利用者と介助者両方の負担を軽減可能です。 膝から大腿部までの距離が短く、日本人の体に合わせた仕様となっています。また、視線が高くなるので利用者の安心感が得られるとともに、介護従事者も軽い力で移動介助ができるので腰への負担を軽減できます。
サラステディーの比較ポイント
製品情報
電動/非電動 | 手動式 |
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重量 | 29.4(kg) |
サイズ(縦×横×高さ) | 1,050×905×729(mm) |
価格(購入) | 350,000円(非課税) |
価格(レンタル) | 要お問い合わせ |
充電方式 | - |
レンタル適用 | 介護保険レンタル適用商品 |
補助金 |
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ささえ手は、自立移動ができない方のための起立補助リフトです。スリングシートでの吊り上げ動作を行わないので、車いすやトイレへの移乗が安全で容易に行えます。また、電源不要の手動リフトで、低床ベッドやカーペットやクッションフロアでも容易に移動ができるキャスターが付いていることが特徴です。
ささえ手の比較ポイント
製品情報
電動/非電動 | 手動式 |
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重量 | 34(kg) |
サイズ(縦×横×高さ) | 400×760×1,040~1200(mm) |
価格(購入) | 348,000円(非課税) |
価格(レンタル) | 平均価格14,000円/月 |
充電方式 | - |
レンタル適用 | 介護保険レンタル適用商品 |
補助金 |
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スタンディングリフトを安全に利用するためには、「ヒヤリ・ハット」を材料として具体的に対策を講じることが大切です。介護従事者のみの対策を講じると、多忙な時期に対応できなかったり使用頻度が減ったりします。介護従事者の負担軽減にもつながりません。対策では次のことに留意しましょう。
重大な事故が起こらないように、継続的に改善し続けることが必要です。
スタンディングリフトは、利用者と介護従事者の双方にとってメリットのある福祉用具です。導入費用は高額ですが、都道府県の導入補助金を活用したり、介護保険制度の対象となるレンタル制度も検討したりすれば、ハードルは下がります。今回取り上げたおすすめ8選を参考にして事業所にあった製品を検討してみてください。この記事が、利用者の満足度向上と介護従事者の業務改善につながれば幸いです。
スタンディングリフトについてはスタンディングリフト7選徹底比較|使い方や特徴、導入メリットまで解説でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。