「クックチル」を検討していると、あわせて耳にするのが「クックフリーズ」です。
そんな疑問を抱いている方も多いはず。実はこの2つ、「調理して冷やす」点は似ていますが、日々の段取りやスタッフさんの働き方には、それぞれ違った特徴があります。
この記事では、クックフリーズの仕組みをクックチルと比較しながら、現場の目線で分かりやすく整理しました。「私たちの施設にはどちらの運用が合うのかな?」と考えるときのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
クックフリーズは、調理済みの料理を急速冷凍して保管し、必要なときに温めて出す「調理システム」です。専門業者が作った「完調品(完成した料理)」を冷凍庫に備えておき、提供時に温めるだけで食卓に出せるようになります。
一般的に、調理済みパックを活用する仕組みを総称して「クックチル」と呼ぶことも多いため、混同されやすいかもしれません。厳密には、保存方法が「冷蔵」ならクックチル、「冷凍」ならクックフリーズと区別されます。また、湯煎などで手軽に提供できる「完調品」として流通しているものの多くは、このクックフリーズ(冷凍)の形態をとっています。本記事では、この2つを区別したうえで、それぞれの違いについて詳しく解説していきます。
主な調理システムには、保存方法によって以下のような違いがあります。
冷凍保存のクックフリーズは、数日で使い切る必要がある冷蔵(クックチル)に比べ、長期間のストックが可能です。この「時間のゆとり」が、人手不足に悩む現場の助けになっています。
クックフリーズとクックチルは、どちらも「前もって調理されたものを活用する」点は同じですが、運用の仕組みは大きく異なります。
| 比較ポイント | クックフリーズ(冷凍) | クックチル(冷蔵) |
|---|---|---|
| 1食の価格目安 | 朝:160円〜 / 昼夕:230円〜 | 朝:200円〜 / 昼夕:300円〜 |
| 保存期間 | 数週間〜数ヶ月(ストック可) | 約5日間(早めに使い切る) |
| 配送頻度 | 週1回〜(まとめて受取) | 週3回〜毎日(こまめな受取) |
| 受け取りの負担 | 少ない(検品回数が減る) | 多い(毎日のように発生) |
| 廃棄ロス | 出にくい(次に回せる) | 出やすい(期限が短いため) |
| 再加熱 | 芯まで温めるのに時間がかかる | 冷蔵から温めるので早い |
一番の違いは、「配送回数を減らせること」と「1食あたりの安さ」です。特にコスト面では、1日3食合わせると1人あたり100円〜200円ほどの差が出ることもあります。
クックチルについては、クックチルとは|ニュークックチルとの違いや導入フローまで詳しく解説で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
このように1食あたりの価格が安く抑えられる理由は、品質の違いではなく「物流」と「無駄」の差にあります。
こまめな配送が必要で運賃がかさむ冷蔵のクックチルに対し、冷凍のクックフリーズはまとめて配送できるため、1食あたりの送料を大幅にカットできます。また、長期保存ができるため急な欠食でも廃棄する必要がなく、こうした「運ぶコスト」と「捨てる無駄」を最小限に抑えられる仕組みが低価格につながっています。
クックフリーズを活用することで、厨房のオペレーションは大きく改善されます。一方で、冷凍ならではの事前の準備も必要です。
冷凍でストックできる特性が、人手不足やコストの悩みを解決します。
「温めて盛り付けるだけ」で食事が完成するため、早朝から専門の調理スタッフを配置する必要がありません。誰でも同じ品質で提供できるため、スタッフの教育負担も軽くなります。
長期保存ができるため、急な欠食が出てもそのまま翌日以降に回せます。「期限が短いから捨てざるを得ない」という無駄がなくなるのは、経営面でも大きな強みです。
常に一定のストックがある状態になるため、災害などで物流が止まった際も、そのまま「非常食」として機能します。もしもの時の安心感は、冷蔵保存にはない大きなメリットです。
スムーズな運用のために、あらかじめ検討しておくべきポイントが2つあります。
1〜2週間分をまとめて受け取る運用が多いため、十分な保管スペースが必要です。既存の設備に入り切らない場合は、専用の冷凍ストッカーを増設するなどの検討が必要です。
メニューの中には、冷凍に適さない食材(こんにゃく、たけのこ、生野菜など)もあります。これらは食感が変わりやすいため、献立の組み合わせなどで工夫が必要です。
「クックチル」のデメリットについては、クックチル導入のデメリットは?味や現場の課題を克服し人手不足に備える方法で詳しく解説しています。「クックフリーズ」も共通する点が多いのでぜひ参考にしてください。
どちらが合うかは、施設の「規模」と「スタッフの状況」で決まります。
★「小〜中規模」や「人手不足」が気になる施設におすすめ
クックフリーズは、限られた人員で効率よく厨房を回したい現場に最適です。長期保存ができるため、管理のしやすさとコストパフォーマンスの両立を重視する施設に向いています。
★「中〜大規模」や「一定の食数」がある施設におすすめ
クックチルは、毎日決まった食数を安定して提供する大規模な現場に適しています。短期間で食材を回転させるサイクルが整っている施設に向いています。
クックフリーズ導入後の厨房業務は、調理から「加熱・配膳」へとシフトし、大幅に簡素化されます。
週1回〜の配送で届くパックを検品し、そのまま冷凍庫へ保管します。毎日食材が届くクックサーブやクックチルに比べ、納品対応の回数が減るため、事務作業の負担が軽くなります。また、数週間〜数ヶ月の長期ストックが可能なため、在庫管理も容易です。
冷凍パックのまま加熱を行うため、特別な調理技術は一切必要ありません。基本的にはお湯に入れるだけの「湯煎」で対応できるため、特別な調理器具がない小規模施設でも導入したその日から運用可能です。
提供する食数が多い場合には、一度に大量のパックを温められるスチームコンベクションオーブンや再加熱機の活用が効率的です。どちらの方法を選んでも、タイマーで時間を管理するだけで誰でも芯まで熱々の状態に仕上げられるため、加熱不足などのミスを防ぎながら安定した品質を保てます。
スチコンについては、スチコンメーカー比較6選|価格や機能を徹底比較で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
加熱が終わったら、パックを開封して器に盛り付けます。包丁やまな板を使う工程がほとんどないため、調理器具の洗浄の手間が省け、衛生管理もシンプルになります。メイン料理に、施設の炊飯器で炊いたご飯と汁物を添えるだけで、バランスの良い食事が完成します。
クックフリーズの導入を成功させるためには、自施設の「食数」や「必要としている食形態」にぴったりの業者を選ぶことが大切です。業者によって、味付けのこだわりや配送のルール、さらには冷凍庫のレンタルといったサポート体制もさまざまです。
ここでは、介護施設への導入実績が豊富で、現場からの信頼も厚い代表的な業者を8社ご紹介します。各社の特徴を比較しながら、自分たちの施設にとって最も使い勝手の良さそうなサービスをぜひ見つけてみてください。

クックデリは高齢者施設向けの完全調理済み冷凍食品です。1日22万食を毎日出荷しており、全国約7,000施設にお届けしています(2025年12月時点)。プロの料理研究家が監修しており、1品1品に食のプロのこだわりがこめられています。
毎日の食事を楽しんで頂けるように、味はもちろん、季節の行事や食欲をそそる彩りにも配慮して献立を作成しています。
クックデリの比較ポイント
製品情報
| 対応可能エリア | 日本全国 |
|---|---|
| 価格 | 要お問合せ |

おたっしゃごぜんでは、3つのタイプのクックチル(フリーズ・チルド・クック)を取り扱っています。それぞれ別々のメーカーとやりとりする手間を省き、3タイプを一度にまとめて商談・試食(無料)を行うことが可能です。
常食は「チルド」、ムース食が必要な場合は「フリーズ」など、異なるタイプのクックチルの併用オーダーも可能です。
おたっしゃごぜんの比較ポイント
製品情報
| 対応可能エリア | 日本全国 |
|---|---|
| 価格 | 要お問合せ |
おたっしゃごぜんについては選べる3種類のクックチルが魅力!おたっしゃごぜんを徹底解説!でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

クックパックではカレーや麺類、丼など、人気のある多彩なメニューは約4000種類以上取り揃えています。通常の食事(常食)以外にも各治療食に対応しています。治療食も同一値段でご提供(160食種以上)。近年話題のニュークックチルにも対応しています。
クックパックの比較ポイント
製品情報
| 対応可能エリア | 日本全国 |
|---|---|
| 価格 | 要お問合せ |

グローバルキッチン株式会社は、介護が必要な方に「食」のサポートをする会社です。クックフリーズは「まごの手キッチン」という名前で、3,500以上の施設に導入されています。朝食は160円前後、昼食や夕食は230円前後から購入が可能です。
管理栄養士が毎月献立を提供しているため、栄養面でも安心できるでしょう。療養・介護職のエネルギー調整や、ムース食、塩分調整食やタンパク質調整食といった調理方法にも柔軟に対応してくれるので、事前に相談することをおすすめします。
グローバルキッチン株式会社の比較ポイント
製品情報
| 対応可能エリア | 日本全国 |
|---|---|
| 価格 | 朝食160円前後 昼食/夕食230円前後 |
| 特徴 | 全国対応可能で療養食なども対応可能であり幅広く利用することが可能 |

森永食研株式会社は大分県に本社を置く会社です。常食・治療食や嚥下食など、利用者一人ひとりの個別ニーズに対応してくれるのが特徴です。メニューには四季の風味を取り入れながら、栄養バランスを考えた飽きのこない90日サイクルとなっています。
味・風味・色合いも本物志向で、本物の食材と味付けにこだわっているため満足のいく食事を楽しんでもらえるでしょう。献立表がセットになっているので、食材の組み合わせに悩むこともありません。なお、オプションで汁物を付けることも可能です。
森永食研株式会社の比較ポイント
製品情報
| 対応可能エリア | 要問合せ |
|---|---|
| 価格 | 要問合せ |
| 特徴 | 治療食に対して幅広く対応可能で透析食や減塩食にも対応している。 |

SOMPOケアフーズ株式会社は、安心・安全・健康に資する最高品質の介護サービスを提供している会社です。冷凍総菜「デリパック」は、高齢者施設に向けた食事サービスです。自然解凍・湯せん・スチームコンベクションなどで、簡単に食事の準備ができます。
事業者の予算に合わせて、メニューをカスタマイズすることも可能です。SOMPOケアフーズ株式会社では美味しさをとことん追及しており、メニューに合わせて出汁を使い分けています。また、肉料理と魚料理を別々の専門業者が製造するなど、細かなところにもこだわっています。
SOMPOケアフーズ株式会社の比較ポイント
製品情報
| 対応可能エリア | 要問合せ |
|---|---|
| 価格 | 要問合せ |
| 特徴 | 嚥下の状態に合わせて味にこだわった食事を提供 |

「有限会社咲献」は平成15年に創業し、医療・福祉分野に特化した食事サービスを提供している長崎県の会社です。クックフリーズは高齢者福祉施設向けの調理済み食品で、美味しさを閉じ込めた真空冷凍パックを湯せん、または自然解凍するだけで簡単に作り上げることができます。
栄養士によるバランスの取れた献立で、オプションでおやつを付けることも可能です。試食やデモンストレーション、見積もりなどは無料で行っているため、まずは問い合わせてみることをおすすめします。
有限会社咲献の比較ポイント
製品情報
| 対応可能エリア | クックフリーズ卸エリア:全国 |
|---|---|
| 価格 | 要問合せ |
| 特徴 | 見て楽しく、食べて美味しい食事提供のサポート |

「株式会社アオイコーポレーション」は、給食受託サービスから介護職の製造販売までを行っている高知の企業です。原料となる食材のトレーサビリティは徹底して行われているため、品質の向上と「安心・安全」な料理の提供が可能になるでしょう。
新工場「高知セントラルキッチン」では、一日3,000食の製造が可能です。高知県食品衛生管理認証制度の認証取得を目指した最新施設で、高齢者施設の給食業務も安心して任せることができるでしょう。
株式会社アオイコーポレーションの比較ポイント
製品情報
| 対応可能エリア | 要問合せ |
|---|---|
| 価格 | 要問合せ |
| 特徴 | 最新衛生管理厨房と最新鋭冷凍・冷蔵加工高齢者向け食品製造機器を備えた工場を併設 |

シェフクックは茨城県にある会社で、昭和52年から給食弁当や介護施設向け配食サービスを提供してきました。シェフクックでは100%埼玉県産のコシヒカリを使っており、味にも自信を持って提供しています。
また、工場では徹底した品質と工程管理、高水準な衛生管理を行っているので食の品質も安心です。社員には定期的に衛生講習を行っており、従業員全体の意識を常に高めています。対応地域は限られていますが、その分輸送にかかるコストを削減でき高いコストパフォーマンスを実現しています。
シェフクックの比較ポイント
製品情報
| 対応可能エリア | 埼玉県、茨城県、栃木県、千葉県、群馬県、東京都 ※一部地域を除く |
|---|---|
| 価格 | 朝・昼・晩3食コース 797円(税別) |
| 特徴 | 国産米や国産野菜を使った美味しい食事の提供 |

株式会社デリキューブは2007年に設立した長崎県の会社です。病院や介護施設だけでなく、個人向けの介護食や健康管理食も提供しています。施設向けの介護食は1個約145円のお惣菜ムースセットから、1日3食の弁当タイプまで10種類のタイプから選ぶことが可能です。
すべての食材は調理済みで、温めるだけで簡単に食べることができます。1人分から対応可能なセットもありますので、施設の人数や予算に合わせて最適なセットを選ぶことができるでしょう。
株式会社デリキューブの比較ポイント
製品情報
| 対応可能エリア | 全国 |
|---|---|
| 価格 | 1日3食:920円 1日1食(昼:380円、夕:380円) |
| 特徴 | 価格帯や硬さによって数種類から好みの食材を選べる |

フリーズ食品開発株式会社はクックフリーズ食品を製造し、グローバルにお届けする目的で設立された新潟県の会社です。液体凍結方式により、食材の細胞破壊を起こりにくくし豆腐や天ぷらなど幅広い食材・料理の凍結ができるようになりました。
また、さまざまな技術と複合することで、その食材や料理に合わせた最適な凍結が可能です。フリーズ食品開発株式会社では「脱塩(デソルト)調理」という独自の調理法を開発しました。できる限り塩分を除いた調理法により、塩分を控えなければならない高齢者でも安心して食べることができるでしょう。
フリーズ食品開発株式会社の比較ポイント
製品情報
| 対応可能エリア | 要問合せ |
|---|---|
| 価格 | 要問合せ |
| 特徴 | 「脱塩(デソルト)調理」により塩分をできる限り取り除いた調理方法も可能 |
クックチル業者については、クックチル業者13選を徹底比較|導入の基礎知識から選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
導入前に現場から寄せられることの多い、調理や解凍についての疑問にお答えします。
A. 面倒な「事前解凍」は不要です。
クックフリーズは、凍ったまま湯煎やスチコンで加熱する運用が基本です。前日から冷蔵庫に移して解凍しておくといった下準備が必要ないため、急な食数の変更にもその場ですぐに対応できます。
A. 急速冷凍技術により、作りたての美味しさが保たれています。
家庭の冷凍庫とは異なり、専用の機械で一気に凍らせるため、食材の細胞が壊れにくく、風味や食感が損なわれにくいのが特徴です。特に煮物やハンバーグなどは、再加熱することで味が染み込み、より美味しく仕上がります。
A. 基本的には湯煎やスチコンを推奨しています。
電子レンジは加熱ムラが起きやすく、部分的に硬くなったり冷たいままだったりすることがあります。多くの食数を安全に、かつ均一な温度で提供するためには、パックごと一定の温度で温められる「湯煎」や「スチコン」を活用するのが、最も確実で失敗のない方法です。
A. 衛生管理の観点から、必ず加熱して提供してください。
介護現場で最も大切なのは食中毒の防止です。クックフリーズは加熱調理を前提としたシステムですので、指定の温度と時間でしっかりと再加熱することで、安全かつ安心な食事を提供できます。
クックフリーズは、人手不足やコストの悩みなど、現場の「困りごと」に寄り添ってくれる心強い味方です。まとめて受け取れる手軽さや、期限を気にせずストックできる安心感は、忙しいスタッフの心に大きなゆとりを生み出します。
もちろん、冷凍庫の場所を確保するといった事前の準備は必要です。しかし「誰が担当しても、いつでも温かくて美味しい食事が用意できる」という安心感は、施設全体の大きな支えになります。
もし導入を迷っているのであれば、まずはスタッフの皆さんと一緒に「試食」をすることから始めてみてください。実際に温めて盛り付け、みんなで味を確かめる時間は、これからの厨房のあり方を話し合う良いきっかけになります。まずは無料サンプルなどを上手に活用して、自分たちの施設にぴったりな「無理のない形」をぜひ見つけてみてください。