温冷配膳車のメリットとデメリットは?おすすめメーカーも紹介

更新日 2024.02.09
投稿者:豊田 裕史

医療機関や介護施設で食事を提供する際には、カートを使って運ぶのが一般的です。カートを使うことで一度に多くの食事を運ぶことができますが、運搬中に温かい食事が冷めてしまうという問題点もあるでしょう。

温冷配膳車であれば、その問題点を解決することができます。とはいえ、温冷配膳車を使ううえでデメリットはないのでしょうか。当記事では温冷配膳車を使うことによるメリットとデメリットを解説していきます。温冷配膳車の導入を迷っている方はぜひ参考にしてください。

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温冷配膳車とは

そもそも温冷配膳車とは、どのようなものなのかよく分からないという方も多いことでしょう。まずは、温冷配膳車の概要について解説していきます。温冷配膳車の庫内は、温蔵室と冷蔵室に分かれています。それにより、医療機関や介護施設において利用者に食事を運ぶ際に温かいものは温かいまま、冷たいものは冷たいままで運ぶことが可能です。詳しいメリットは後述しますが、ワゴンタイプなので衛生的かつ作業効率を向上させることができます。

温冷配膳車については【徹底比較】病院・介護施設向けの温冷配膳車11選|選び方や導入メリットもでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

温冷配膳車導入のメリット

温冷配膳車を導入することで、下記のようなメリットを得ることが可能です。

  • 配膳効率の向上
  • 風味をキープ
  • 衛生面の向上

ここからは、温冷配膳車を導入した場合に得られるメリットについて解説していきます。

配膳効率の向上

最初のメリットとしては「配膳効率の向上」が挙げられます。メーカーによって配膳できる食事の数は異なりますが、小型タイプでも24膳、大型タイプであれば60膳ほどの食事を運ぶことが可能です。

一度に多くの食事を運ぶことができるので、配膳効率は向上します。また、トレイに配膳した状態で運べるので、何度も配膳し直す手間を省くことも可能です。配膳効率が向上することで、スタッフの労力も軽減されるでしょう。

風味をキープ

温かいものは温かいまま、冷たいものは冷たいままで配膳できるので、作りたての風味を損なうことがありません。これまでのように、主食や汁物、副菜といった献立がすべて揃うのを待ち、それから配膳すると風味や温度が落ちてしまいます。

温冷配膳車であれば、施設の規模に関わらず風味をキープした状態で食事を配膳することが可能です。さらに、温度をキープできるだけでなく効率的に配膳できるので、より風味も損なわれにくくなるでしょう。美味しい食事を提供できることで、利用者の満足度向上にもつながるはずです。

衛生面の向上

最後のメリットとしては「衛生面の向上」が挙げられます。常温の状態で食事を保存することで、細菌が繁殖しやすくなってしまうのです。厚生労働省の大量調理衛生ガイドラインによると「調理後の食品は、調理終了後から2時間以内に喫食することが望ましい。」となっています。

温冷配膳車なら食中毒菌が繁殖しにくい温度をキープできるため、衛生面の向上にもつながるでしょう。さらに、しっかりした扉が付いており、異物混入を防ぐことも可能です。庫内を水洗いできるタイプであれば、より衛生的に保つことができます。

出典:厚生労働省の大量調理衛生ガイドライン

温冷配膳車導入のデメリット

メリットの多い温冷配膳車ですが、下記のようなデメリットも考えられます。

  • 食器の買い替えが必要
  • 業務フローの変更が必要
  • 清掃の手間がかかる
  • 保温機能と冷蔵機能しかない

ここからは、温冷配膳車を導入するデメリットをみていきましょう。

食器の買い替えが必要

最初のデメリットとしては「食器の買い替えが必要」になるという点です。これまで保温食器を使用していた場合は、食器の買い替えが必要になります。温冷配膳車自体のコストもかかるうえに、食器の買い替えとなると高額になるためネックになる施設も多いでしょう。

ただし、保温食器を使わなくてよくなるので、さまざまな種類の食器を使えるようになります。季節に合わせた食器を使えば、より華やかな食事を提供できるようになるでしょう。コストはかかりますが、その分利用者の満足度向上にもつながります。

業務フローの変更が必要

次に「業務フローの変更が必要になる」というデメリットも挙げられます。業務効率は向上しますが、その分これまでの作業とは流れが変わってきます。少ない人数で配膳できるようになるため、人員の配置も変わってくるでしょう。

また、配膳は温冷配膳車で行いますが、下膳は下膳専用のカートで行う必要があります。配膳と下膳のカートを分けることで、汚染交差の防止につながるからです。配膳と下膳のカートが異なることも踏まえ、業務フローを変更していきましょう。

清掃の手間がかかる

「清掃の手間がかかる」のも、デメリットのひとつとして挙げられます。通常のカートに比べ、温冷配膳車の場合はその都度分解してから清掃する必要があります。さらに、これまでと同じく感染防止のために、消毒もしなければなりません。

庫内を水洗いできる温冷配膳車もありますが、そうでない場合は清掃に手間がかかってしまうでしょう。温冷臓器の清掃に加えて、冷却器の清掃やメンテナンスも定期的にする必要があります。通常のカートよりも作りが複雑になる分、清掃には時間と手間がかかります。

保温機能と冷蔵機能しかない

最後のデメリットは「保温機能と冷蔵機能しかない」という点です。再加熱カートに比べて、温冷配膳車には保温機能と冷蔵機能しかありません。食事を温め直す機能は付いていないので注意しましょう。その点、再加熱カートであればチルド状態の食事をそのまま載せて再加熱・再冷却することも可能です。つまり、温冷配膳車に入れる前に冷めてしまった食事を温めたい場合は、温冷配膳車ではなく再加熱カートを使用する必要があります。

温冷配膳車の価格

温冷配膳車を導入するにあたり、最も気になるのは価格でしょう。温冷配膳車はサイズによって費用が変わってきます。ここからは、温冷配膳車の価格について解説していきます。

標準サイズの温冷配膳車の価格

一般的な温冷配膳車の場合、中型サイズで400万円~500万円が相場です。54膳にも対応可能な大型サイズであれば、500万円以上が価格相場になります。さらに、中型以下の小型サイズであれば、300万円~400万円ほどで購入可能です。

とはいえ、アシスト機能や温度調節が付いているかどうかで価格は異なります。また、自走式の温冷配膳車であれば、メーカーごとに確認が必要です。予算や施設の規模に応じて、適切な温冷配膳車を選ぶようにしましょう。

温冷配膳車の価格については温冷配膳車の価格はどのくらい?|選定のポイントも紹介でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

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初めての導入におすすめの温冷配膳車メーカー7選

温冷配膳車メーカーは多数ありますが、サポートが手厚いメーカーは下記の通りです。

株式会社マルゼン

株式会社マルゼン

出典:株式会社マルゼン http://www.maruzen-kitchen.co.jp/index.htm

株式会社マルゼンの温冷配膳車は、さまざまなサイズ展開があります。24膳の小型サイズから54膳の大型サイズまで、施設に応じて適切なサイズの温冷配膳車を選ぶことができるでしょう。トレイはフラットタイプを使用しており、トレイに仕切りの段差がありません。そのため、配膳された食器を自由に配置しながら、より自然で快適に食事を楽しむことができるでしょう。オプションでバンパーセンサーを搭載でき、障害物を感知すると停止させることも可能です。

株式会社マルゼンの比較ポイント

  • 24膳から54膳まで選べる多様なサイズ展開
  • 自走式と手動式から選択可能
  • オプションでバンパーセンサーの搭載も可能

機器概要

機能 手動式、自走式、ダムウェーター
サポート体制 アフターサービス可能な支社が日本全国各地にスタンバイ
特長 食器を自由に配置できるフラットトレイに対応

ニチワ電機株式会社

ニチワ電機株式会社

出典:ニチワ電機株式会社 https://www.nichiwadenki.co.jp/product/electric-unit-care-wagon/

ニチワ電機株式会社からは、温蔵専用配膳車や高湿高鮮度配膳車、コールドワゴンなど温度に合わせて豊富なラインナップの配膳車が販売されています。温蔵専用配膳車であれば、庫内の丸洗いもできるので衛生的に使用できるでしょう。さらに、サポート体制も充実しているのもニチワ電機株式会社の特長です。メンテナンスの要請があれば、スピーディーに対応してくれるサービス体制を全国に整備しています。不具合があった時だけでなく、機器の有効な取扱いに関するアドバイスにも対応してくれるので安心です。

ニチワ電機株式会社の比較ポイント

  • 高感度電子サーモスタットで適温管理できる温蔵配膳車
  • 温蔵配膳車は庫内水洗いも可能
  • ノーラップで高鮮度なチルドワゴン

機器概要

機能 要問合せ
サポート体制 迅速に対応できるサービス体制を全国に整備
特長 温蔵・高湿高鮮度・冷蔵など温度によって選べるラインナップ

株式会社Fujitaka

株式会社Fujitaka

出典:株式会社Fujitaka https://www.fujitaka.com/haizensya/index.html

株式会社Fujitakaが提供している温冷配膳車は、和風モダンなデザインなど豊富なラインナップが特長です。施設向けの温冷配膳車はワントーンで味気ないものも多いですが、デザイン性の高いものにすることで施設の雰囲気も明るくなるでしょう。走行の手助けをするパワーアシスト機能が付いており、引く強さに合わせたペースで走行させることが可能です。さらに、手を離すと自動停止し、ブレーキ状態になる安全装備も備わっているので万が一手を離してしまった場合でも安心です。

株式会社Fujitakaの比較ポイント

  • 走行の手助けをするパワーアシスト機能
  • オプションで後方確認モニターや走行メロディ機能も付けられる
  • 衝撃軽減強化ドアが標準装備

機器概要

機能 手動式、フルオープンドア
サポート体制 年間保守契約を結べば定期点検や365日の対応等をしてもらえる
特長 デザインにこだわったモデルもあり、施設形態合わせての利用が可能

株式会社フジマック

株式会社フジマック

出典:株式会社フジマック https://www.fujimak.co.jp/

株式会社フジマックの温冷配膳車は、2014年にグッドデザイン賞も受賞したシンプルで透明感のあるクリアなデザインが特長です。パネルのカラーは9色という豊富なラインナップで、施設に合わせたカラーが見つかるでしょう。カート本体は突起が少ないフラットなデザインとなっており、万が一の接触や引っかかり、破損のリスクを減らすことができます。また、扉のパッキンも取り外しできるので、清掃がしやすく衛生的に使用できるでしょう。

株式会社フジマックの比較ポイント

  • 遠赤外線パネルヒーターと微風ファンで温増室を加熱
  • 本体に収納できる牽引ハンドルで収納場所に困らない
  • 本体下部にフットブレーキを装備

機器概要

機能 手動式、パススルー方式
サポート体制 365日対応のメンテナンスサービスと地域密着型の充実したサポート体制
特長 扉のパッキンも取り外し可能で清掃がしやすいようになっている

ホシザキ株式会社

ホシザキ株式会社

出典:ホシザキ株式会社 https://www.hoshizaki.co.jp/p/food_service/

ホシザキ株式会社の温冷配膳車は、清掃のしやすさを追求したカートです。庫内にはサビにくいステンレス鋼板を使用しているため、セパレーターを付けたまま水洗いすることもできます。アルコールを使った清掃もできるので、手軽に衛生管理ができるでしょう。また、温度表示は庫内温度と設定温度を同時に表示してくれます。ひと目で温度確認ができるので、記録にも便利です。

ホシザキ株式会社の比較ポイント

  • 2つの温度を同時に確認できる温度表示パネル
  • 90℃に開いた状態で扉を止められるのでトレイを左右同時に出し入れ可能
  • 開きやすい埋め込み式取っ手

機器概要

機能 手動式、パススルー方式、リバーシブル方式
サポート体制 全国約445ヵ所にあるサービスステーションで迅速対応
特長 温蔵室と冷蔵室の間の仕切りまで取り外して拭き掃除が可能

エレクター株式会社

エレクター株式会社

出典:エレクター株式会社 https://www.erecta.co.jp/brand/mog.html

エレクター株式会社の温冷配膳車は、奥行750㎜の業界最小のコンパクトサイズです。丸みを帯びたデザインなので、あたたかみを感じられるデザインとなっています。同じサイズでも丸みや色彩を工夫することで、圧迫感のないスッキリした印象を与えられます。操作ボタンは、保温と保冷のオンオフ、温度設定、温度調整の3種類のみです。操作ボタンが最低限に抑えられているので、機械操作に不慣れなスタッフでも直感的に使用することができるでしょう。

エレクター株式会社の比較ポイント

  • 日本人女性の平均身長に合わせて操作しやすいパネルの高さ
  • 施設内で圧迫感を感じさせない丸みを帯びたデザイン
  • 工具なしでユニットを外せるのでお手入れも楽々

機器概要

機能 手動式、自走式
サポート体制 要問合せ
特長 6つのキャスター装備で無理なく方向転換が可能

北沢産業株式会社

北沢産業株式会社

出典:北沢産業株式会社 https://www.kitazawasangyo.co.jp/

北沢産業株式会社の温冷配膳車ウェルカートは、扱いやすい小型軽量ボディの手動式タイプです。押し引きしやすい丸型で大きめのフリーハンドルを採用しているため、走行時に重さを感じさせません。さらに、スリムドアグリップなので上から下までどこを持ってもドアの開閉ができて便利です。また、着脱が簡単・確実なマグネットコンセントや漏電ブレーカーを搭載しているため、安心して作業が行えます。

北沢産業株式会社の比較ポイント

  • 大きい温度表示で見やすく分かりやすい
  • タイマー機能や脱臭機能などオプションも充実
  • 配膳時の作業効率を考えた庫内設計

機器概要

機能 手動式
サポート体制 要問合せ
特長 高い保温性と効率的な電力消費が実現できる遠赤外線微風循環方式採用

まとめ

温冷配膳車を使うことで美味しい食事を提供できるばかりでなく、衛生的に食事を提供することが可能になります。細菌の繁殖を抑えるだけでなく、食事への異物混入も防ぐことができるでしょう。食器の買い替えや導入コストが必要になるといったデメリットもありますが、機能面でのデメリットはありません。顧客満足度や施設の信頼度を上げるためにもぜひ検討してみましょう。さまざまなメーカーから温冷配膳車がリリースされているため、複数製品を比較・検討しながら決めてください。

温冷配膳車については【徹底比較】病院・介護施設向けの温冷配膳車11選|選び方や導入メリットもでも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

温冷配膳車選びの専門知識・時間がない方

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。


フリーランスWEBライター
URL:https://twitter.com/kakeru5152

元高校国語教師。3年ほど教育現場で働き、フリーランスWEBライターとして独立。様々なメディアで記事を制作。ディレクターとしても活動。個人でブログも運営しており、情報発信も行なっています。

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