病院や介護施設での給食提供は、以前にも増して味や安全性が求められる時代となりました。
昨今、クックチルシステムを導入する施設が増えてきていますが、そのクックチルシステムを導入する際、食品を冷却するためのブラストチラーという機器が必要です。
今回の記事では、自施設で調理を行う際に必要なブラストチラーについて詳しく解説していきます。おすすめのブラストチラー11選も紹介していますので、導入する際の参考にしてみてください。
目次
ブラストチラーは、加熱処理された食品を急速に冷やす機器です。 冷風を吹きかけることで加熱処理した食品を急速に冷却し、細菌の繁殖を防ぎつつ風味も落とさずに冷やせます。また、90℃近くまで加熱した食品を急速冷却し、3℃程度の温度まで下げることが可能です。これにより、細菌が繁殖しやすい約10~65℃に留まる時間が短くなります。そのため、自施設でクックチル・ニュークックチルを行う場合は欠かせません。
ここでは、ブラストチラーに搭載されているさまざまな機能について解説を行っていきます。 ここで紹介する機能は以下の3点です。
食品の芯温が設定温度に達すると、冷却から保冷運転に切り替わります。 冷却から保冷に切り替わることで、冷却のしすぎによる品質の劣化を防ぐことが可能です。
芯温制御とは別でタイマーによる制御で、冷却から保冷運転へ切り替えることが可能です。 芯温センサーを食品に挿入すれば、食品の正確な温度を確認できます。
冷却する食品に合わせて、風量や風速の変更が可能です。 柔らかく崩れやすい製品は、風量を弱めて冷却し、密度の高い製品には風量を強めて冷却するようにします。
ここでは、混同されがちなブラストチラーと急速冷凍機(ショックフリーザー)の違いについて解説します。 ブラストチラーと急速冷凍機の違いは以下の表のとおりです。
ブラストチラー(冷却) | 急速冷凍機 | |
投入可能温度 | 90℃以下から | 常温から |
冷却可能温度 | 3℃まで | -18℃~3℃ |
主な利用シーン | クックチル、ニュークックチル | クックフリーズ |
上記のように、ブラストチラーは調理直後から投入可能ですが、急速冷凍機は粗熱をとらなければなりません。 ブラストチラーは、90℃前後から一気に3℃程度まで冷却可能です。それに対して、急速冷凍機は常温から-18℃まで温度を下げ冷凍を行います。
ここでは、ブラストチラーの導入メリットを紹介します。 ブラストチラーの導入メリットは以下の3点です。
ブラストチラーを導入することで、雑菌が繁殖しやすい10℃~60℃の温度帯を瞬時に通過させることが可能です。そのため、雑菌を繁殖させずに食材を一気に冷やせます。 また、異物の混入も防ぐことが可能です。
これまでは自然冷却であり、冷却作業に時間を要していましたが、ブラストチラー導入により作業時間の短縮を図ることが可能です。 また、スタッフの作業工数削減にもつながります。
急速冷却を行うことで食材の旨味や風味が閉じ込められるので、自然冷却よりもおいしく作ることができます。 また、先述したように衛生面に関しても細菌の繁殖を防げるので安全です。
ここでは、実際にどのような点に注意してブラストチラーを選べばいいのかを解説します。 ブラストチラーの選定ポイントは以下の2点です。
日々使用するものなので、清潔さは非常に大切です。そのため、手入れのしやすさは確認しておきましょう。 庫内を丸洗いできて、自動乾燥できるものは手入れが楽です。自動洗浄機能付きの機種もあるので、洗浄時間の短縮もできます。
導入の際は、ブラストチラーのサイズも非常に重要です。自施設の厨房スペースに収まるかどうかは事前に確認しておきましょう。また、収まるかどうかだけではなく、動線の確保ができているかどうかも確認する必要があります。
小型のブラストチラーについてはブラストチラー小型おすすめ6選|サイズ感や注意事項徹底比較 でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
ブラストチラーの価格はメーカーやサイズによってばらつきはありますが、一般的な中型サイズであれば150万円~300万円が相場となっています。 予算やスペースに合わせて自施設に適したブラストチラーを選ぶようにしましょう。
株式会社フジマックが提供しているブラストチラーには、庫内を清潔に保つ自動洗浄・乾燥機能が搭載されています。 直感的に操作できるタッチパネルなので、誰でも簡単に操作可能です。メモリー登録機能でよく使用する冷却設定を登録しておけば、ワンタッチで運転できます。 また、プロセス登録では食材に最適な冷却パターンを作成可能です。
株式会社フジマックの比較ポイント
製品概要
主な機能 | 自動洗浄・乾燥機能、メモリー登録、プロセス登録 |
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ショックフリーザー有無 | あり |
特長 | 自動洗浄・乾燥機能が搭載なので庫内をいつも清潔に保てる |
株式会社エフ・エム・アイが提供しているブラストチラーには、4つの冷却機能が備わっています。二段階冷却や水分の多い食材に適したプログラムもあるので、食材に応じて使用可能です。また、イオン殺菌システムで庫内の殺菌・消臭を行えるので清潔に保てます。サイズは小型から大型まであるので、厨房のスペースに応じて設置可能です。
株式会社エフ・エム・アイの比較ポイント
製品概要
主な機能 | 調整可能マルチラック、イオン殺菌システム、 |
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ショックフリーザー有無 | あり |
特長 | サイズに合わせてシリーズ化されており、冷却システムも4つのプログラムから選択可能 |
大和冷熱工業株式会社が提供しているブラストチラーは、縦型タイプと横型タイプがあり、設置スペースに応じて選択可能です。 また、2/3ホテルパンを5枚収納できる小型ブラストチラーもあります。メモリー機能では、食品に合わせてプログラム運転が可能です。USBで温度・運転データの出力もできます。 メモリー機能とUSBデータ出力機能は、小型タイプには備わっていないので注意してください。
大和冷熱工業株式会社の比較ポイント
製品概要
主な機能 | メモリー機能、USBで温度・運転データの出力が可能 |
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ショックフリーザー有無 | あり |
特長 | 視認性・操作性を追求した操作パネル |
オリオン機械株式会社が提供しているブラストチラーは、業界最強SUS製冷却パイプ採用しており、加熱調理された食材から発生する腐食性ガスによる腐食を防ぐことが可能です。 庫内は丸洗い可能で、隅々まで洗浄できます。食材凍結を防ぐチルド冷却制御・チルド冷却時の微調整機能・惣菜冷却専用に開発されたダイレクトモードなどの独自機能が搭載されているため、食材に応じて使用可能です。
オリオン機械株式会社の比較ポイント
製品概要
主な機能 | チルド冷却制御、微調整機能、省エネ自動洗浄機能 |
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ショックフリーザー有無 | あり |
特長 | 独自冷却機能で食材に合わせた冷却が可能 |
パナソニック産機システムズ株式会社が提供しているブラストチラーは、3種類の冷却モードと運転制御モードを組み合わせて、細かい設定で冷却可能です。 プログラムモードは、20個まで設定ができます。また、庫内をあらかじめ冷やしておける予冷運転機能が備わっているので、冷却時間の短縮が可能です。 庫内にはパナソニックの強みであるナノイーが搭載されているため、庫内の菌を制御できます。
パナソニック産機システムズ株式会社の比較ポイント
製品概要
主な機能 | 予冷運転機能、ナノイー |
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ショックフリーザー有無 | あり |
特長 | 事前に庫内を冷やしておける予冷運転機能が備わっている、パナソニック独自のナノイー搭載 |
フクシマガリレイ株式会社が提供しているブラストチラーは、自動洗浄機能が付いています。専用洗浄剤を投入し、クリーニングボタンを押すだけで庫内や冷却庫内の蒸発器も洗浄し、すすぎから乾燥までを自動で行うことが可能です。タンク循環方式を採用しているため、洗浄時に使用する水量を抑えることができるので節水につながります。 2017年にはグッドデザイン賞を受賞しており、デザイン性が高いのも特長です。
フクシマガリレイ株式会社の比較ポイント
製品概要
主な機能 | 自動洗浄機能、タンク循環方式 |
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ショックフリーザー有無 | あり |
特長 | すすぎから乾燥まで自動で行えるため洗浄時間の短縮ができる |
ホシザキ株式会社が提供しているブラストチラーには、自動乾燥機能が搭載されています。水洗い後にワンタッチで扉を閉めたまま乾燥できるので、非常に衛生的です。 また、受注生産ですが自動洗浄機能付きのブラストチラーも提供しています。複数のタイプがあり、テーブルタイプであれば上にスチコンを設置できるのでスペースを有効に活用可能です。
ホシザキ株式会社の比較ポイント
製品概要
主な機能 | スピード冷却、芯温制御など |
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ショックフリーザー有無 | あり |
特長 | 庫内水洗い可能、扉とフロントパネルにはキズが付きにくく汚れが落ちやすいフッ素プレコートステンレスを使用 |
ニチワ電機株式会社が提供しているブラストチラーは、大型と小型タイプがあります。 庫内は水洗い可能で、洗浄後はヒーターと送風で乾燥させることが可能です。オゾン運転機能があり、乾燥後に運転すれば細菌やカビの繁殖を制御できます。 自動洗浄機能付きのブラストチラーも提供しており、オプションでハンドシャワーを装備することが可能です。
ニチワ電機株式会社の比較ポイント
製品概要
主な機能 | 急速冷却、急速冷凍、オゾン運転 |
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ショックフリーザー有無 | あり |
特長 | オゾン運転機能で庫内を清潔に保てる |
北沢産業株式会社が提供しているブラストチラー・ジーニアスは、チルドやフリーザーだけではなく、解凍や低温調理にも使えます。 また、ホテルパン以外にヨーロッパ天板も使用可能です。小型タイプもあるので、狭いスペースでも設置できます。 オプション機能で予冷や庫内乾燥機能があるので、必要に応じて検討してみるといいでしょう。
北沢産業株式会社の比較ポイント
製品概要
主な機能 | チリング、フリージング、解凍、発酵、低温調理 |
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ショックフリーザー有無 | あり |
特長 | 冷却以外にも解凍や低温調理にも使える |
株式会社AIHOが提供しているブラストチラーは、食材に風を吹き付けることで急速に冷却します。冷却をしても食材の栄養価は変わりません。テーブルタイプと縦長タイプがあり、テーブルタイプであれば上にスチコンを設置可能です。そのため、限られたスペースを有効活用できます。スチコンの導入予定がある場合は、テーブルタイプを検討してみるといいでしょう。
株式会社 AIHOの比較ポイント
製品概要
主な機能 | 急速冷却 |
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ショックフリーザー有無 | 要問合せ |
特長 | テーブルタイプと縦長タイプから選べる |
適温での食事提供を目的としたシステムの中で、ブラストチラーも取り扱っています。東京や大阪にはテストキッチンを設けており、ブラストチラーの使い方からセミナー、メニューに関する相談も可能です。
株式会社中西製作所の比較ポイント
製品概要
主な機能 | 冷却機能 |
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ショックフリーザー有無 | 要問合せ |
特長 | 株式会社中西製作所は総合厨房機器メーカーとして知られており幅広く対応が可能 |
ブラストチラーはクックチルを導入する際に欠かせない機器です。特に、味と安全性が求められる医療・介護施設では非常に重宝します。今回の記事で紹介したブラストチラーの導入メリットや選定ポイントをおさえた上で、導入を検討してみるといいでしょう。 どのメーカのものを選べばいいか迷った際は、今回紹介したおすすめのブラストチラー11選から選んでみてください。