診療所の建築基準法とは?病院と診療所での違いを解説

更新日 2023.09.15
投稿者:豊田 裕史

診療所を新たに開設する場合、さまざまな法令に従って作業を進めなければなりません。
建築基準法も、診療所の建設に関わる法律の1つです。
しかし、建築基準法の内容をよくご存じでない方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、建築基準法に焦点を当てながら、診療所を建築する際のポイントを解説していきます。

診療所の建築に関わるルールを把握しておきたいと考えている方は、本記事を参考にしてみてください。

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建築基準法とは?

建築基準法とは、建物に関するさまざまな規則を定めた法律です。法律の中では、特定の土地に設置できる建物の床面積や、建てられる建築物の種類などが細かく決められています。新たに建物を造る際は、この建築基準法に則ったうえで作業を進めなければなりません。建築物の敷地や設備、構造、用途に関して、法律に定められている規則を守る必要があります。

建築基準法における診療所の扱い

建築基準法では、診療所は特殊建築物か一般建築物のどちらかに分類されます。この分類によって、建築に関する規定や建てられる場所が変わってくるため、正しく理解することが大切です。建築基準法における診療所の扱いを、以下で詳しく解説します。

無床の診療所は一般建築物

診療所のうち、病床がなくて患者が入院できない施設は一般建築物に分類されます。一方、病床のある診療所は特殊建築物として扱われます。 ここで注意したいのが、診療所の定義です。建築基準法や医療法では、病床が19床以下の医療施設は診療所と定義されます。

それに対して、20床以上の病床がある施設は、診療所ではなく病院という分類になります。病床を持つ診療所と同様に、病院も建築基準法における特殊建築物です。特殊建築物とは、建築に関して厳しい規則が設けられている施設のことを指します。一般建築物と違い、特殊建築物を建てる際には立地条件や防火設備などを、建築基準法が定める基準に合わせなければなりません。 病院だけでなく、学校や百貨店、ホテルのような不特定多数の人が利用する施設も、特殊建築物として扱われます。特殊建築物は多くの人が利用するため、安全を十分に確保したうえで建築する必要があるのです。

用途地域による規制

建築基準法では「第一種低層住居専用地域」や「第二種中高層住居専用地域」といったように、人々が暮らす街のエリアが13の用途地域に分けられています。用途地域ごとに、設置できる建築物の種類や大きさが決められているため、建築物を建てる際はこのルールを守らなければなりません。この用途規制において、診療所は13種類すべての用途地域に建てることができます。

病床のある診療所は特殊建築物に分類されますが、たとえ特殊建築物であっても19床以下の診療所であれば、用途地域に関して規制は受けません。ただし、20以上の病床を持つ病院は、建てられる場所に制限があります。

病院を建てられる用途地域は、以下の8ヵ所です。

  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域

出典:東京都都市整備局「用途地域による建築物の用途制限の概要 」

他に遵守すべき法令

診療所を建てる際に遵守しなければならない法令は、建築基準法だけではありません。ここでは、消防法や各地域の条例についてご紹介します。

消防法

消防法は、火災の予防や災害による被害の軽減を目的とした法律です。診療所を建てる際は、この消防法に則って防火対策を施さなければなりません。消火器やスプリンクラーのような消火設備に加えて、警報設備や避難器具も設置する必要があります。非常口の案内となる誘導灯や、建物内で火災が広がらないような防炎加工も必要です。設置する消火設備や避難器具の量については、消防法で定められています。診療所の規模に合わせた防火対策を行いましょう。

地域の条例

診療所を建築する場合、建築基準法や消防法のような法律だけでなく、各地域が定めている条例にも従わなければなりません。たとえば、東京都は条例によって、病院と診療所のバリアフリー化を義務付けています。診療所に関しては、病床のない施設のうち床面積が500㎡を超えるもの、病床を持つ施設はそのすべてがバリアフリー化の対象です。

そのほかの地域では、床面積2,000㎡を超える病院と診療所だけが、バリアフリー化を義務付けられています。東京都はほかの地域よりも、バリアフリー化の対象が広いです。このように、条例による規定は地域によってさまざまなので、診療所を建てる際は条例の内容も見落とさないようにしましょう。

出典:国土交通省「バリアフリー法の概要について」

診療所の建築は専門家に相談を

ここまで診療所の建築に関わる法令について解説してきました。法律で定められた規定に従うことは大切ですが、診療所を建てる際にはほかにも注意点があります。

その1つが、開業にかかる費用です。診療所の開業に際して発生する費用は、開業形態や建物の構造・工法などによって異なります。必要な設備などを検討したうえで、予算を組むことが重要です。

このように、医療建築にはさまざまな法律や規制が関わってくるうえ、費用についても検討しなければなりません。法律や費用に関しては、その道に精通したプロに任せるのがおすすめです。診療所を新たに開設することを決めた場合、まずは専門家に相談してみてはいかがでしょうか。以下のページではおすすめの医院建築メーカーをご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

医院建築については医院建築について徹底解説|メーカーの選び方、坪単価まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

まとめ

診療所を建てる際は、建築基準法で定められた内容に従う必要があります。建築基準法における診療所の扱いは、病床の有無によって変わってくるため注意しましょう。また、消防法や地域の条例も意識しながら、作業を進めなければなりません。法律の知識に自信のない方は、専門家に相談するなどしてプロにアドバイスをもらうことをおすすめします。さまざまな法規制に従い、ルールを守ったうえで診療所を開設しましょう。

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中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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