ブラストチラーの活用方法、使い方とは?おすすめメーカーも記載あり

更新日 2024.04.09
投稿者:豊田 裕史

病院や介護施設での食事提供においては、美味しい食事と同時に、安全性もとても重要な位置にあります。
この記事では、ブラストチラーの概要や活用方法、急速冷凍機との違いについて解説します。
また、おすすめのメーカーも記載していますので、ご検討中の方の参考になれば幸いです。

ブラストチラーとは?

ブラストチラーとは、加熱処理された出来たての食品を、粗熱を取り急速に冷却する機器です。冷風を360°あらゆる角度から吹きかけることによって、90℃近くある食品でも短時間で3℃程度まで冷却することができます。これにより、食中毒の原因となる細菌などの繁殖を防げるだけでなく、風味を極力落とさずに保存することが可能です。クックチルシステムやニュークックチルシステムにおける急速冷却の工程で使用され、一気に冷却することで、大量調理や効率アップを実現します。ブラストチラーは、クックチル・ニュークックチルでの調理工程において、要ともいえる機器です。

ブラストチラーの機能

病院や介護施設などで、調理から食事提供までの工程で活躍してくれるブラストチラー。この章では、その具体的な使い方を従来工程との比較も含めて解説すると共に、その活用方法についてもご説明します。

急速冷却で調理スピード向上|従来工程との比較

従来の冷却工程では、加熱調理後の食品をバットやボウル等に移し、それをさらに大きな入れ物に入れて、流水や氷などで冷やす必要がありました。この方法では冷却に時間がかかるほか、満遍なく冷却するためには、途中で食品を混ぜて熱を逃がさなければなりません。

しかし、ブラストチラーなら加熱調理後の熱々の状態でもバットに移し替えて庫内に入れ、スイッチを押すだけで自動的に冷却が開始されます。その後は機械に任せておけば良いので、他の作業に時間を使うことができ、従来工程よりも調理スピードの向上が可能です。

大量調理で活用

病院や介護施設など、提供数の多い調理現場では、クックチルシステムやニュークックチルシステムを採用しているところも多くあります。このクックチルやニュークックチルシステムを運営していくうえで、欠かせないのが急速冷却が可能なブラストチラーです。

厚生労働省発行の「大量調理施設衛生管理マニュアル」において、加熱調理後の食品は30分以内に中心温度を20℃付近まで下げることとされています。ブラストチラーなら、このような冷却時間の制限に対応でき、衛生管理を徹底することが可能です。また、急速冷却が済んだ後はそのまま保存しておけるので、スタッフが多い時間帯に大量に調理し、提供の際は温めるだけで提供することもできます。

ブラストチラーを使うことで、大量の調理を安全かつ効率的におこなうことができるでしょう。

出典:厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」

ブラストチラーの導入メリットは?

ブラストチラーは一気に急速冷却をおこなうことで、調理スピードの向上や大量調理が可能です。実際に導入することでどのようなメリットがあるのか、解説します。

安全性の向上

加熱した食品を冷却する場合、約10℃〜60℃の温度帯で食中毒の原因となる雑菌が繁殖しやすくなります。この温度帯が長くなればなるほど食中毒の危険が増すことから、できるだけ早く温度を下げなければいけません。

ブラストチラーでは、この危険な温度帯を庫内で冷風をあてることによって一気に通過させることができるため、雑菌が繁殖しにくいのがメリットです。また、庫内で冷却することにより、異物の混入も防ぐことができるので、食品の安全性を向上させることもできます。

作業効率の向上

ブラストチラーでは、粗熱をとらずに出来たての食品をバット等でそのまま冷却することができるため、一旦置いておく場所を確保する必要がありません。冷却にかかる時間も削減できるので、浮いた時間を別の作業にあてることができます。また、冷却までの時間を予測することができるので、調理工程の計画を立てやすくなり、作業効率をアップさせることができるでしょう。

品質の向上

自然冷却では、冷却時間が長くなることで香りや旨味が抜けやすく、水分が失われることでパサつきの原因になってしまうこともあります。この点、ブラストチラーでは水分や香りなどキープした状態で急速冷却することが可能です。そのため、再加熱した後もふっくら美味しいままで提供することができるので、自然冷却よりも品質を向上させることができます。

ブラストチラーと急速冷凍機の違いとは?

ブラストチラーと急速冷凍機は混同されることが多いのですが、この2つの機能はまったく異なります。 ブラストチラーは冷却技術の一つで、調理後すぐの熱々の状態でバット等に移し、そのまま庫内に投入して急速冷却することができる機器です。具体的には約90℃の料理を投入することができ、その後3℃までの冷却ができるようになっています。主に、クックチルやニュークックチルシステムで調理をおこなう際に用いられ、雑菌の繁殖しやすい温度帯を短時間で通過させることが可能です。

急速冷凍機(ショックフリーザー)は冷凍技術の一つであり、常温の食品を急速冷凍する機器で、冷却可能温度は-18℃〜3℃になります。主にクックフリーズシステムで使用し、常温の状態から一気に冷凍することで食材内部の氷結晶を小さくし、細胞の破壊を最小限に抑えることが可能です。

このように、両者では投入可能温度や冷却可能温度、使用目的でも明確に違いがあります。ブラストチラーと急速冷凍機(ショックフリーザー)については、食材や用途によって上手に使い分けることで、提供できる食事の幅が広がるでしょう。

おすすめのブラストチラーメーカー11選

おすすめのブラストチラーメーカーについて紹介していきます

ブラストチラーメーカーについてはブラストチラーメーカー11選を徹底比較|メリットや選び方まででも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

まとめ

出来たての料理を急速冷却することで、雑菌の繁殖しやすい温度帯を短時間で通過させることができるブラストチラー。従来の調理工程と比べると冷却の過程に違いがあり、冷却場所を大幅にとる必要もなく、庫内に入れてスイッチを押すだけで簡単に冷却が可能です。また、冷却にかかる時間も最小限に抑えられることや保存も可能となることから、大量調理をおこなう現場においても活躍してくれます。

ブラストチラーを導入することで、安全性の向上や作業効率の向上、食品の品質向上が得られるということも大きなメリットです。ブラストチラーと急速冷却機は混同されることもありますが、使用目的が冷却と冷凍であることや、庫内に入れられる温度でも違いがあります。今回の記事では、おすすめのブラストチラーについても記載していますので、ぜひ参考にしてください。

中小企業診断士
セカンドラボ株式会社 PR Solution Div.
URL:https://note.com/2ndlabo/n/n949eaa3e9d69

北海道大学を卒業後、医療機器の営業として6年間勤務。外科、整形外科、泌尿器科領域を中心に民間・国公立の病院を担当。2020年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療福祉施設の課題解決プラットフォーム「2ndLabo」にて各種ITツール、医療機器の導入支援、クリニック開業支援に従事。

2ndLaboのサービスを通じて、これまで1,000件を超えるサービス導入支援・開業支援を担当。得意分野は、電子カルテ、介護ソフト、各種医療機器。

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